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ボツSS投下スレ

1名無しセカンド:2007/10/03(水) 13:27:15 ID:AtEcmfaE0
予約かぶり、支給品かぶり、見落とし等によりボツになったSSの投下所です。

292ネコミミの名無しさん:2008/07/20(日) 02:50:44 ID:0PqhDLIo0
【柊かがみは二度死ぬ】
(柊かがみ、つかさの首を抱えて海に飛び込んだ直後)
 波間に漂っていたはずなのに、気付けば山の中。何故? そして、”つかさ”はどこに?
 探そうと一歩踏み出せばまた海。もがき、水を掻けば再びの山?
 溺れ、斜面を転がり、進み、溺れ、谷に落ち、そして溺れ、転落してゆく、どこまでも……。
 狂乱と静寂――次に気付いた時、目の前にいたのは酒を抱えた言峰綺礼だった。


【Domino effect】
(戴宗、ランサー、病院内で出会った直後)
 蒼い番犬の槍が東洋の豪傑を追い詰める。全くの誤解。振るわれてはならぬ刃。
 影にてほくそ笑む男はそこに凶弾を放ち――遂に零される赤い豪傑の血。
 豪傑の遺言。捻じれた槍は形を元に戻すが、その切先はあらぬ方を向いていた。
 偶々に現れた青い軍服の男。あれと同じ姿に、再び槍は捻じれる。
 まだ暗躍を繰り返す男。再び影より放たれた弾丸に、鎧姿が立ちはだかるも、飛散。
 文字通りの崩れ落ちた鎧姿の後ろには、悲惨な少女。ただ大きく広がった赤色。
 最後の少女が咆哮するも、しかしドミノは止まらない――……。


【悪意の花 Ⅱ】
(スパイク、読子、はやてと別れた直後)
 忘れたバックを取り戻しに道を引き返す、賞金稼ぎとエージェント。
 半ばで再会した彼女は、しかし以前の彼女ではなかった。
 その銃はどこで手に入れた? 何があった? どうして震えている?
 「そんな震えていたんじゃ当たる弾も当たらないぜ」
 ―― 一体何があった!?
 銃声。受け止める紙。冷めた男。恐怖する女。一体、何に……?
 「世話の焼けるガキだ……」
 怯えを抱え逃げる女を、賞金稼ぎとエージェントが追う。


【Mad as a March hare】
(ジェット一行、チェスと再会した直後)
 迎えたのメイドとその主。ホストはゲストを紅茶の席へと誘う。
 青い水面に揺れる船の中、紅く揺れるカップの中の水面……。
 それぞれの水面には、それぞれの顔と、それぞれの思惑が、映る。
 全員が加害者でも被害者でも探偵役でもある推理ゲーム。開始――!


【地獄巡り】
(ビシャス、ホテル到着直後)
 匂いを頼りに、羽を休めていた鴉はまた動き出す。
 しかし、見つけられるのは死肉ばかり。
 煌びやかな遊園地でも、何の変哲もない民家でも、望まない死肉ばかり……。


【灰被りの魔法は0時に解ける/残されたのは硝子の靴だけ】
(イリヤ、映画館での大騒ぎ中)
 駄犬を一薙ぎにし、場を飲み込まんとする黄金の王の前に、少女が辿り着く。
 王に懇願するは、死の淵にある少年の命。代わりに差し出すものは――聖杯。
 しかし、聖杯は未だに空。無価値。ならば、何を注ぐのか……?
 王は覚り、興味深げに杯を手に取った。
 そして、残されたのは瀕死の少年と硝子の靴――彼を導く車輪の従者。

293ネコミミの名無しさん:2008/07/20(日) 02:52:05 ID:0PqhDLIo0
【If nothing is bad】
(ルルーシュ、ヴィラル、ねねね、清麿、4人が遭遇した直後)
 静かに戦慄する策士。睨み付ける作家。歯軋りする獣人。目を伏せる天才。
 誰にとっても油断ならない舌戦。知と力のバランスゲーム。

 ルルーシュ・ランペルージには必要なものと、必要でないものがある。
 手札を開き、ギアスにかけられた制限を衆目に明かす。
 それは降伏宣言なのか? いや、そんなはずはなかった――。

 「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる――貴様らは死ね」

 明かした手札は相手ではなく、隣りの獣人に見せるためであった。 
 落ちゆく意識の中、ルルーシュは勝利の確信に唇を歪めていた。

 そして、目を伏せていた少年もついには獣人に討ち取られてしまう。
 しかし、”If nothing is bad”――なるようにならない最悪。
 全ては、そこを通り過ぎた赤い疾風が薙ぎ払ってしまった。

 後に残ったのは、夢の中で勝利を謳う策士が一人だけ――……。


【この地上には成すべき事が実に多い】
(ルルーシュ、清麿、二人になった直後)
 ……………………………………………………………………。


【孤城の主/陽は昇る】
(全員。時期は…………)
 ……………………………………………………………………。


【Man in the ”MIRROR”】
(……、………………)
 ……………………………………………………………………。


【HAPPY END】
(……、………………)
 ……………………………………………………………………。


――以上!

294ネコミミの名無しさん:2008/07/30(水) 19:17:17 ID:7ijYZhuA0
よし!やわらかもやしが腐れもやしに進化した今こそこのプロットを公開する時だぜ!

仮タイトル「シスコンってレベルじゃねーぞ!」
ルルとニアとV様が同行することになった次の話。

→自分がマタタビを殺してしまったと落ち込むニアを、優しく慰めるルルーシュ。
そこにある人物(考えてなかった)がやって来て三人に襲いかかる。
狙われたルルーシュは敵に襲われすっ転び、とっさにギアスを使い、その人物を追い払うことに成功する。
しかし制限で激しい眩暈に襲われ再び気絶してしまう。
そのルルーシュの手当をするニア(とV様)そこでニアは、ルルーシュが特別な力で自分を助けてくれたのではないかと思い始める。
そして目覚めたルルーシュ。ギアスを二人に見られたことを後悔するが、あのときはそれ以外に方法はなかったのだと強く思い直す。
そこにニアが戻ってきて事情を話す。
ニアをギアスについて上手く言いくるめようとするルルーシュに「本当に優しい方なんですね」、極めつけに「私にアニキという方がいたならルルーシュさんみたいな方かもしれません」発言。
兄の単語に激しく反応するルルーシュ。思わずナナリーとニアをだぶらせてしまう。
こいつはナナリーとは別だ、と言い聞かせつつも、わずかに動揺している自分に気づいて―――?で幕。
ニアとV様はルルが特殊な能力を持っていることに気づき、しかしどういうものかはいまいちよくわかっていない状態で。

最終的にはニアを庇って殺そうかと思っていた。しかしルルがもはや戻れないところまで来てしまったw今となっては夢のまた夢。
もやしをきれいなもやしのまま死なせたい……そう思っていた時が自分にもありました。

295ネコミミの名無しさん:2008/07/30(水) 23:22:16 ID:RxXSbDPs0
>>294

きれいに死なせたい。
自分はまだそう思ってますが、何か?

296ネコミミの名無しさん:2008/08/06(水) 17:07:52 ID:FG4doBX6O
Dさんにルールブレイカー持たせて、

「これがあれば家族をラダムから解放できんじゃ…?」
って妄想してた。
ラダムの寄生まで無効化できるかはワカランけど。

実現? しませんよ?

297ネコミミの名無しさん:2008/08/06(水) 17:08:01 ID:FG4doBX6O
Dさんにルールブレイカー持たせて、

「これがあれば家族をラダムから解放できんじゃ…?」
って妄想してた。
ラダムの寄生まで無効化できるかはワカランけど。

実現? しませんよ?

298ネコミミの名無しさん:2008/08/06(水) 18:54:26 ID:GII3vTFgO
便乗ってチャンスがあったらやろうとしてた馬鹿ネタ

・天元突破テッカマンブレード
・天剣絶刀テッカマンブレード

天元突破はDさんにパワーアップ要素詰め込んで、ゆーちゃん舞衣の犠牲(具体的になプランはあるが流用できそうなんで黙秘)の元に巨大化
天剣絶刀はご存知のDG細胞で
とにかくDさんを人でもテッカマンでもないものにするのが目的でした

299ネコミミの名無しさん:2008/08/25(月) 21:11:03 ID:b1z2U3uI0
真の螺旋力覚醒者が出て結界がとけた瞬間ニアがアンスパのメッセンジャー化
とか妄想してた

300ネコミミの名無しさん:2008/08/31(日) 10:20:09 ID:vYRfd5AQ0
新生ダイグレン団が再び全員合流。
ギアスチミルフとの戦いになり、ビャコウをグレンが撃破。
それでも生身で戦おうとするチミルフをガッシュが押さえ、
アニキからパスされたルールブレイカーでニアがチミルフを解放。

正気に戻ったチミルフがニアに対し、人と獣人のありようについて問う。
螺旋王が答えなかった答えを、ニアが未熟ながらも答えてみせる。
チミルフはその答えに感銘を受け、本能が定めていた「螺旋王」への忠誠を捨て、
自らの「意思」によって、ニアを主と定め、臣下となる。

というような展開を考えてた。
ぶっちゃけ、ニアに「チミルフは、私を護ってくださいますか?」って言わせて、
「不肖、元螺旋王四天王怒涛のチミルフ。
 七生を以て、御身御守護を――勤めさせていただきます」ってチミルフに言わせたかったw

301ネコミミの名無しさん:2008/08/31(日) 13:17:02 ID:IjMyfG1g0
なんという燃え展開……
カッコいいな、チミルフwww
でもその流れだったらルルーシュ涙目だな
ギアスはルルブレで解除されるしw

302ネコミミの名無しさん:2008/09/01(月) 22:42:14 ID:Q.QeLqCw0
せっかくの燃えチミルフネタの後であれなんだがw

ルルがチミルフを部下につけた後の話。
チミルフに連れられてきたひ弱そうな少年に驚きを隠せないニコ兄。
聞いてみると、チミルフはこの少年が自らの使えるべき主だと言い出す。
明らかに不審に思ったニコ兄は、ルルーシュと二人で会話をしたいと望む。
チミルフはニコラスをいぶかしむが、ルルーシュの制止によって2人で話すことに。
「……われ、チミルフになんかやったんと違うか?」
ニコラスを油断の置けない人間と判断したと同時に、チミルフの忠心にも理解があるらしいと悟ったルルーシュは、
嘘をつかずにギアスのことを話すことにする。―――大切なことは隠したままで。
「ああ、ギアス―――絶対遵守の力だ」
意志をねじ曲げて仕えさせる、それが気に入らないニコラスはルルーシュを殺そうとするが、お前もギアスにかけられるんだ、自分を殺せば主を殺されたことに激昂したチミルフに殺されることになると言われる。
彼の忠誠心の深さを知るニコラスはそれが十分にありえると考え、断念する。強い苛立ちと不快感を残したまま。
そして二人が話している間、カミナが地上をグレンで飛んでいた。
その時カミナとクロミラは、一人立っているチミルフの姿に気づく。
今が決着の時といきり立ってチミルフに喧嘩をふっかけるカミナ(クロミラは止めるが聞かない)。
チミルフもルルーシュから「近づく人間はすべて殺せ」と言われていたのでカミナを殺そうとする。
戦う2人。そこにルルーシュとニコラスが戻ってくる。
ルルーシュの名前を聞いて動揺するクロミラ。ニアの言っていた信頼できる人間が、カミナの敵を従えているとはどういうことか?
そしてルルーシュもカミナがニアの知り合いであることを知り、その口元を歪ませた―――、で幕。
次の展開はカミナ逃げてー!かニコラスが怒りの天元突破でルル殺しちゃうかどっちかな気がしていた。

ニコ兄はものすごく納得いかないままルルーシュを受け入れることになり、チミルフの件があるのでどうしようもできない。
だからこうイライラをより助長させようかと。
ルルーシュはギアスについてのおおまかな内容は話すが、瞳を見なければいけないというのは秘密にしている状態。

もうあの素晴らしすぎるLx氏の作品を見たらすべてぶっ飛んだけどw
つか今考えるといろいろ無理あるかな。カミナもニアとガッシュ捜索が先か?

303ネコミミの名無しさん:2008/09/02(火) 19:40:37 ID:SV5v4u8gO
カミナならありえるwww
仲間を探すか敵を倒すかと聞かれたら、目の前にある方を選ぶ気がありありと
あーでも少し遅れは成長したから違うかな?

304ネコミミの名無しさん:2008/09/13(土) 14:39:45 ID:HkdedEvY0
ボツネタ、ラッドみんの解釈

    ,ィィr--  ..__、j
   ル! {       `ヽ,       ∧
  N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨
  ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \ かがみは精神衰弱状態で、眼帯という自己暗示で意識を保っていたんだよ!
  `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   > だが眼帯が外れたことで自己暗示が解け、彼女は新たな自己暗示を掛けたんだ!
     {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠ ラッドの知識とかがみの想像から出来た、歪な仮想人格【ペルソナ】!
    '、 `,-_-ュ  u /|   ∠ そ れ が ラ ッ ド み ん の 正 体 だ っ た ん だ !!!
      ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  /
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´
    く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___
   「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
   |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,
    ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))
    l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7
    | |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l /

305ネコミミの名無しさん:2008/09/13(土) 15:51:06 ID:pi4Ywvbk0
ラッドみんネタでいくつか

制限解除されたラッドみんとギルの全力全壊のエヌマエリシュの対決とか見てみたかった
不死VS死の原典みたいな感じで

あとかがみとラッドでトライガンのリヴィオとラズロみたいなコンビネーションやってみたかった
ウルフウッドあたりを相手にヴァル剣で衝撃波やAAぶっ放して「私と、ラッドと、あの人に負けるんだ」みたいなw

307ネコミミの名無しさん:2008/09/17(水) 09:51:42 ID:3duMoKck0
test

309ネコミミの名無しさん:2008/12/11(木) 00:01:36 ID:sv8q2weo0
対主催を打倒するためにラガンに乗った夫妻が半壊したフォーグラーと合体してフォーグラガンとか
ガンダムと合体してラガンダムとかやってほしかった

310【ウソ予告】聖なる夜のカミナァッー! 〜LAST X'mas〜 ◆LXe12sNRSs:2008/12/24(水) 00:30:30 ID:8CmF5gK.0
 世間がメリークリスマスだなんだと騒ぎ立てる中、蚊帳の外に置かれた螺旋戦士たちは、最後の闘争に身を投じていた。
 聖夜など待ちきれんと愛を吼えた男女二人組は、グレンラガンを乗り回し下々の者たちを淘汰、駆逐していく。
 既に、子供のガッシュ、朴念仁のスカー、男っ気皆無のねねね、ジンガール不在のジンは寂しい聖夜を送ることが決定している。
 それすなわち、敗北と死亡退場を意味し、対主催連合は絶対の窮地に立たされているのであった!

「俺のこの手が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと轟き叫――」
「遅いわぁあああああああああああああああああああ!!」

 救援に駆けつけたドモン・カッシュは怒りに震え、愛を知るものとしてグレンラガンに挑みかかったが、力量の差は歴然だった。
 爆熱ゴッドフィンガー、超級覇王電影弾、石破天驚拳……流派東方不敗の奥義は、ドリルによって悉く打ち負かされてしまう。
 仲間は既に息絶え、生涯の伴侶とて不在(キャラ投票的な意味で)という逆境の中、ドモンの敗北は必至と思われた。

「ギィィィガァァァ……ラァァァブラブゥゥゥ……ドリル……ブレイクゥウウウウ!!」
「……ッ! ぐっ、づぁあああああ!?」

 グレンラガンの右腕に顕現した突起物が螺旋状に渦を巻き、ドモンの小柄な体を穿つ。
 なんとか防御の体勢を取るも衝撃までは緩和しきれず、ドモンは暴虐になされるがまま海へと弾き飛ばされた。
 入水とともに水柱が上がり、落水の勢いを物語る。飛沫がやんでもドモンの体は浮かんでこなかった。

(くっ……無念だ。俺たちの戦いはこんなところで終わるのか……)

 果てしない坂を上り詰めた先に待ち構えていた強敵に、なすすべも見出せない。
 せめてゴッドガンダムがあれば対等に戦えるのに、とドモンは沈みゆく身で思う。
 もはや希望は費えてしまったのだろうか。海中の魚が問いかけに答えてくれるはずもなく、ドモンはより深く沈み……。


【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム 死亡確認】


 ◇ ◇ ◇

311【ウソ予告】聖なる夜のカミナァッー! 〜LAST X'mas〜 ◆LXe12sNRSs:2008/12/24(水) 00:31:19 ID:8CmF5gK.0
 意識のない唇に、琥珀色の吐息が吹きかかる。
 青ざめ、冷え切っていた唇はほのかな熱気を帯び、しかし目覚めには程遠い。
 行為を待つ側は眠りの中、行為を渋る側はとある童話の一節でも思い描いただろうか。
 唇が唇を見つめれば、鼓動は高鳴り、衝動は苛烈に、雄雄しさを増していく。
 フラッシュバックする出会いを――思い出して、顔が上気したりもした。
 ぶんぶんと首を振り、頬を赤らめている場合ではないと決心を固める。
 命の淵に立たされている友を、救えるのは己の唇のみ――。
 かつての己も、また友の唇によって命を繋ぎとめられたのだから。
 恐れることは、ない。
 本能の命じるまま、感覚が告げるままに行動すれば、それが正解であるはずだ。
 相手の両肩を掴み、力強く、決して、離さない。
 激情は燃え、これから始める行為を思って、また燃えた。
 ああ、これしきのことで立ち止まってはいられない。
 友の肩に添えた手を力点とし、徐々に、徐々に顔を近づけていく。
 一分かけて、一センチほど進んだだろうか。
 突き出した唇はもどかしく、されど搾り出せる勇気は限界をとうに超えていて、やきもきする。
 自分がこんなにも臆病だとは思わなかった。
 いや……もう、臆病でいるのはやめよう。
 羞恥を越えた先に、素直な感情があるはずだから。
 いま必要なことを、精一杯やろう。
 だからこそ、唇は唇を狙い撃つように……触れた。
 その接触は一瞬、触れてすぐ離れてしまうほどの、拙いものだった。
 これで彼が目覚めるなどあるわけがなく、行為をまだ続けなければならないかと思うと、顔はまた赤くなった。
 恥ずかしい。
 誰も聞いていないのをいいことに、ぼそっと本音を零す。
 本人としても珍しい弱音は、羞恥を認め、しかし退散を選びはしないという意思の強さだった。
 肩に加える力をより強く、また顔を近づけていく。
 傍目にも強引なやり方で、ぐいぐいっと唇を唇に押し当てる。
 おっと、行為自体に意識を奪われてばかりもいられない。
 触れた唇のわずかな隙間から空気を取り込み、相手の口内へと潜り込ませていく。
 自分の口から漏れる、桃色の吐息が相手の喉を通して体内を満たしていく……と考えると、背筋が震えた。
 顔はもう、茹蛸のように真っ赤になっていたことだろう。
 赤を通り越して、黒に近くなっていたかもしれない。
 吐息は、生命力を呼び戻す空気として、次々と彼の中へ注ぎ込まれていった。
 その間、唇は唇に触れたまま……永遠にも思える長いを時間を、二人きりで。
 生きて、生きて、生きて――! と、情念を訴えながら。
 陶酔した表情で、友の目が再び開かれる瞬間を、待ち続けた。
 甘い一時を、貪るように味わいつつも。


【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム 蘇生確認】


 ◇ ◇ ◇

312【ウソ予告】聖なる夜のカミナァッー! 〜LAST X'mas〜 ◆LXe12sNRSs:2008/12/24(水) 00:32:16 ID:8CmF5gK.0
「ゲホッ! ゴホッ! ゴォッ!?」

 喉の奥から水が盛大に噴き出し、ドモンは眠りから覚めた。
 口の中が塩っ辛い。それに、鼻や喉がヒリヒリと痛む。そしてなにより、息苦しい。
 何秒間むせこんでいただろうか。ドモンが整然とした呼吸を取り戻すまで、かなりの時間を要した。
 意識をシャキッとさせようと自身に喝を入れる中、視界に見慣れた人影が映った。
 カウボーイハットから飛び出る青い髪。傷ついた上半身は、誘惑するような半裸。
 その姿は、ドモン同様水浸しになった――カミナのものだった。

「カミ、ナ……? おまえが俺を助けてくれたのか?」
「ケッ! みずくせぇじゃねぇか兄弟! あいつらぶっ飛ばすってんなら、俺がいくらでも手ェ貸してやるってのによぉ!」

 ぶっきら棒に言うカミナの表情は、なぜか朱に染まっていた。
 熱でもあるのか……とドモンはしばらく考え込み、やがて解答に辿り着くと、本人も顔を赤らめる。

(そうだ。俺は海に沈み、そのまま意識を失ったはず。となれば、カミナは海の中から俺を救い出し、例の心配蘇生法で命を繋ぎとめに走ったはず……)

 その意味を、ドモンは十二分に理解していた。
 だからこその赤面。だからこその恥じらい。だからこその喜びである。
 裏に隠そうとしても叶わない笑みが、カミナと見つめ合ってまた赤くなった。

 互いに顔を合わせては赤面し合う男二人、妙な気恥ずかしさは沈黙を促し、体と時は硬直する。
 しかし、遠方ではグレンラガンが今も地響きを立てながら進軍しており、残った参加者たちを駆逐しようとしていた。
 このままではいられない、と双方共に奮い立ち、手を取り合う。

「なにはともあれ、感謝するぞカミナ。あのときとは逆になってしまったが……奴を倒すため、力を貸してくれ!」
「おう! ヴィラルからクロミラを取り戻さなきゃいけねぇ。ドモン、俺もおまえのこと、頼りにさせてもらうぜ」

 差し出した手を快く受け入れるカミナだったが、ドモンは今の発言に悋気を覚える。
 それというのも、カミナが口にしたクロミラと人名……いや機械の名が、ドモンの純情をチクリと甚振ったからだ。

 思わず、考えてしまう。
 カミナがドモンの手を取る理由は、やはりそれなのだろうか。
 クロミラを取り戻す。それこそがカミナが奮起する理由であり、最終的な目的なのだろうか。
 だとしたら、この手はドモンのものでなくてもいいのでないだろうか――と。
 ドモンは熟考を重ねるうち、自然とカミナの手を振り払ってしまっていた。

「お、おい。どうしたってんだよドモン。これから俺たち二人でクロミラを取り戻すってときによぉ……」
「……クロミラ、クロミラ、クロミラと……おまえの頭の中には、あいつしかいないのか!? 俺の、居場所は……ないのか?」

 唐突に怒気を放つドモン。手を振りほどかれたカミナは、わけがわからず呆然と佇んだ。
 そのキョトンとした顔は鈍感の現れであり、ドモンはまた、やきもきした気分を味わう。
 クロミラに男として負けている自分を卑下しながら、機械に抱いている醜い嫉妬心を戒める。
 それでも、やはりカミナの前では素直になりきれないのだが。

「……へっ、なに言ってんだ。俺は今からクロミラを助けに行く。それは枉げられねぇが……」

 頬を膨らませながらそっぽ向くドモンに対し、カミナははにかんだ笑顔で、再び手を取る。
 まさかの行動に驚いたドモンは、思わずカミナの煮えたぎるような熱い瞳と視線を交差させ――想いが、爆発した。

「今、俺の隣に立ってんのはおまえだろうが。しょげてんじゃねーよダチ公」

 返す言葉もないドモンは、三、四回ほど頷いてカミナの気持ちに答える。
 繋いだ手はそのままに、グレンラガンの巨体へと視線を転じた。
 これから、戦地に舞い戻る。ドモンとカミナ、二人で手を繋いで――だ。

「ドモン……全部終わったら、おまえに言いたいことがあるんだ」
「なんだそれは? そんなもの、いま言えばいいじゃないか」
「それは、その……い、今じゃいろいろマズイんだよ!」
「ふっ、おかしなやつめ。まあいい。そのときを楽しみにしていようじゃないか……」

 今、二人の男が愛を唱える男女に挑む。
 それは二人にとっての絆を証明する試練であり、最後の関門。
 突破するのは維持と気合と根性と――愛にも似た『なにか』なのだろう。


 ◇ ◇ ◇

313【ウソ予告】聖なる夜のカミナァッー! 〜LAST X'mas〜 ◆LXe12sNRSs:2008/12/24(水) 00:33:05 ID:8CmF5gK.0

           ト、 |:::::::\{::::::::::::\, ィ´  ̄ `ヽ、        |、
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〉、ィ o/ /ヽr'‐'´::/___:!ヽ、   \ `ヽ、::| !     { `¨´ノ|::: |/|:/ ||  V!
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ヽ、__,ノ、/::., -‐r_ァ'´_ ̄ ̄ }ヽ.人  |l | |  、ァ, イ|ノノ:;'|::!::::|    ノ
 イ/  ノ/::.'´:`¨_´__  ̄ヾ、:::\ヽ !l | |ヽ__,.イ j_レ|:/_j_|:::ノ'´:}、_
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 |::/::.::.::.::.::.::.::.::.::.// ̄ ̄`ゝ、__,〃    `iヽ、::.::.|:::::::V´`ヾ::::: ソ
 |,'::.::.::.::.::.::..::.::/::.;ハ:::::::::::::::::/`\    ,ノ:::::::\|:::/   ヽ/


 おっと、残念だがここでドモンストップだ!

 アニメキャラ・バトルロワイアル2nd最終回は現在鋭意製作中!

 今は前半パートの折り返し地点といったところか。先はまだ長いが、もうしばらく辛抱してくれ!

 そうだな。時期も時期だしケーキや餅でも食って気長に待つといいだろう。正月も過ぎればゴールが見えてくるはずだ!

 それでも待ちきれないというみんなには、この先行版をお届けしよう!

 ここから先、俺たちはいったいどうなってしまうのか……まったく気になって仕方がないな!


 注)実際の最終回とは大いに異なります。

314ネコミミの名無しさん:2008/12/24(水) 10:42:14 ID:0EKGYj7w0
LX氏wwwあんた何やってくれているんだwww
ヤバい、腹筋がwwwてかなんで聖夜に2年連続でこのネタをwww
あと ド モ ン ス ト ッ プ
分かる人には分かるネタだがホントに使いやがってwwwGJwww



書き手のみなさん頑張ってください!なんでもスレのAA会話が熱い!

315ネコミミの名無しさん:2008/12/24(水) 16:11:38 ID:X1uzYI4.0
前にもやってるの?
どこで?

316ネコミミの名無しさん:2008/12/25(木) 01:39:15 ID:Sx6b6aF.0
あんたは何やってんだwww
だが面白いからGJ

317ネコミミの名無しさん:2008/12/25(木) 02:29:46 ID:yaxTNBks0
>>315
去年のは没ネタじゃなく本編でやってる

318ネコミミの名無しさん:2008/12/25(木) 19:24:30 ID:670y6f2U0
>>317
じゃ、私は、見ることが、できませんね
でもありがとうございます

319ネコミミの名無しさん:2008/12/29(月) 22:38:21 ID:NQN.gKYM0
いやいや普通に見れるよ?

320ネコミミの名無しさん:2008/12/30(火) 13:44:14 ID:hwejPpG20
だって、ブラウザを入れてないから、もう過去ログになっているとみえないだよ

321ネコミミの名無しさん:2008/12/30(火) 17:08:49 ID:GdWoIz3o0
wikiで見れば良いじゃん

322ネコミミの名無しさん:2008/12/30(火) 19:15:34 ID:S/BDyDAQ0
作品182、いまひとたびの生(◆LXe12sNRSs氏)の作品だよ
この作品がちょうどクリスマスに投下されましてね、ええ

325ネコミミの名無しさん:2009/02/21(土) 10:55:14 ID:W27c1nss0
test

326ネコミミの名無しさん:2009/02/22(日) 11:59:19 ID:SHdBnjWM0
ルルーシュが主催側に立った時点で皇帝陛下がアンスパの交渉役として迎えにくるネタを考えてた。
皇帝頼って帰還するかプライドにかけて拒絶するかで板挟みにあうとか。

327ネコミミの名無しさん:2009/02/22(日) 18:12:35 ID:joCF55Hw0
>>326
君は実にドSだなwww

328自重しなかった結果がこれだよ!  ◆DzDv5OMx7c:2009/03/01(日) 02:13:49 ID:TQmLdZ4s0
やぁ、みんな! 元気にしてるかな?
最終回で光栄にもヴィラシャマパートを書かせてもらった自分だけど
あれ、実は一回没になって丸々書き直してるんだ!
編集長曰く「唯一自重をお願いしたパート」らしいぞ!
某所で晒した結果、「投下してきなさい(生暖かい目)」と言われたので投下します。


---------------------------------------------------------------


……ここは、どこだ?

俺が目を覚ましたのはベッドの上だった。

俺は、確かあの球体に向かっていて――
なのに何故こんなところにいる?
疑問符を浮かべながら、周囲を警戒する。
そしてそこに現れたのは、

「お寝坊さんですよヴィラルさん、もう……お昼ですよ」

朝日を背に笑いかける誰よりも愛しい女の顔だった。

その顔を見た瞬間、衝動のままに引き寄せ、抱きしめる。
腕の中には確かな暖かさがある。
そして何よりも鼻腔をくすぐる春の日のような匂い……
ああ、間違いない。このシャマルは本物だ。

「きゃ! あ、あ、あのあのヴィラルさん!?」

何故か手をわたわたと振っている。

「そ、そその、私もしたくないわけじゃないですけれど
 お腹の子供が、その……」

そういって、お腹を押さえるシャマル。
だが俺はまるで阿呆のごとく、呆けることしか出来ず、
その言葉が意味するところがわからなかった。
――オナカノコドモ?
たったの7文字の言葉にもかかわらず、未知の言語のように脳が理解してくれなかった。

「も、もしかして忘れちゃったんですか!?
 昨日あれほど大喜びしていたのに……」

本気で悲しそうな瞳を見て、脳裏に鮮明に状況が蘇る。
昨日の夜、シャマルが急に倒れたことを。
どこか胡散臭い医者に『おめでとうございまぁ〜す!』と言われた事を。

――そうだ、俺たちは子供を授かったのだ。

寝起きのせいかぼんやりしているが、それだけは覚えている。
そう、忘れてなどいるものか! そうだ、俺は、俺たちは……

――勝ったのだ。

それ以上は言葉にならず、無言で幸せをかみ締める。

「……怖い夢でも見たんですか」

手のひらをそっと包む細く、きれいな指。

329自重しなかった結果がこれだよ!  ◆DzDv5OMx7c:2009/03/01(日) 02:14:03 ID:TQmLdZ4s0

ああ、怖い夢だ。
俺のそばからお前がいなくなってしまう夢だ。
お前が――どこかに消えてしまう夢だ。

「そんなこと言って、ヴィラルさんこそ、勝手にいなくならないでくださいね。
 私と、この子を残して……」

その言葉にシャマルのまだ膨らんですらいない下腹部を凝視してしまう。
獣人と人ならざるものの子供……どうなるかは分からない。
だが一つだけ望めるのならば出来る限り俺に似なければいい、とおもう。
俺に似てしまっては、相手に好意を伝えるのも一苦労だからだ。
そう言うとシャマルは苦笑し、

「馬鹿なヴィラルさん。
 言葉にしなくても、"好き"って気持ちは伝わるんですよ。
 ううん、その方が、きっと本当に伝わるんです」

その瞬間、俺はいったいどういう顔をしていたのだろう。
相当間の抜けた顔をしていたに違いない。

「ふふ……お昼ごはんを作りますから、ゆっくり起きて下さいね。
 今日こそおいしいって言わせて見せますから!」

シャマルは柔らかく笑い、そのまま台所へ戻っていく。

その背中をぼんやりと見ながら俺の脳裏に浮かんだのは、
子供が生まれたなら何をしようということだった。

晴れた日はどこか遠くへ出かけるのもいいかもしれない。
野を越え、山を越え、目的もなく。
雨の日は雨音を子守唄にまどろむのもいい。
雪の日は一つの毛布で身を寄せ合い、暖を取ろう。
ただ話をするだけでも、きっと話が尽きることは無いだろう。
ああ、でも今は……

「あ……」

今度は自分から台所に出向き、後ろから出来る限り優しく抱き寄せる。
シャマルも目を閉じて、体重をこちらに預けてくる。
髪から漂うあの甘い香りが、鼻をくすぐってくる。

俺は、幸せだ。
言葉だけでは足りない。だから力強く抱きしめる。
ぬくもりも、僅かな痛みもこの愛を伝える手段になると信じて。

愛している。世界中で誰よりも。
この世界で、ただそれだけを伝えたかった。

330ネコミミの名無しさん:2009/05/03(日) 10:35:48 ID:1ru22vT60
ルルーシュエピローグで没ネタをいくつか

①行政特区成立後に帰還
ルルーシュ「ここからどうしろと!?完全に積んでるじゃないか!」

②ラグナレク接続後帰還
帰還直後に集合無意識に取り込まれ終了

③ゼロレクイエム実行後に帰還
市民「殺せぇ!」
ルル「俺が何をしたあ!?」

④ナナナ世界に帰還
ルル「全然情報と違うじゃないかロージェノム!てか何でナナリーがナイトメアに!?!?」
はたして貧弱なもやし皇帝はマッチョの代役が務まるのか?
ルル(スザクじゃあるまいしそんなことできるか!)
スザク(僕でも無理だよ!)
黒の騎士団員「じゃあゼロ、いつも通りナイトメアの相手頼むわ」
ルル「え?マジ!?」

331帰ってきたカミナァッー! 完結片 ◆LXe12sNRSs:2009/12/24(木) 02:05:02 ID:SeGLSaL20
 【 ※ 注意 ※ 】

 このお話は、「もしもドモンとカミナが人知れず生還していたら〜」という妄想を元に綴ったifの物語です。

 既に完結しましたアニメキャラ・バトルロワイアル2ndとはまったく関係ありませんので、ご容赦ください。

 ひょっとしたら皆様の思い出をけがしてしまうやもしれませんが、そのへんは自己責任でお願いします……。


 ◇ ◇ ◇

332帰ってきたカミナァッー! 完結片 ◆LXe12sNRSs:2009/12/24(木) 02:05:58 ID:SeGLSaL20
「キング・オブ・ハート、ドモン・カッシュだな!? 貴様にガンダムファイトを申し込む!」

 広大なる平原の外れで、二体のガンダムが睨み合っていた。
 片方は、光の翼に巨大な斬艦刀、背部にビームランチャーを備えた、スタイリッシュながらも仰々しい装備の機体。
 もう片方は対極的に、一切の武装を排除した――武装らしい武装など、その拳くらいしか見当たらない――シンプルな機体。

 前者の機体を駆るのは、武者修行中の名も知れぬガンダムファイターだった。
 そして後者の機体を駆るのは、同じく武者修行中でありながら、世に名を知られすぎてしまったガンダムファイター。

 そう、彼こそが第十三回ガンダムファイト覇者――キング・オブ・ハート、ドモン・カッシュである。

「俺のこの手が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと轟き叫ぶ!」

 一人の男と一人の女が生んだ愛の結晶、愛情合体グレンラガンと、
 かつての師匠、東方不敗マスターアジアが操るマスターガンダム。
 強大なる敵を倒し、ドモンの命はついに天に召された――かと思いきや、目覚めたときには既にこの地にいた。
 目覚めてすぐに泣きじゃくるレインの顔が映ったここが、天国や地獄でありえるはずもない。
 この地は紛れもなく、ドモンが帰るべき場所。数多のファイターたちと凌ぎを削り合った、地球だった。

「ばぁくねつ! ゴッド……フィンガァァァァァァァ!!」

 螺旋王の実験はどうなってしまったのだろうか。
 スパイクやねねねは、ジンやゆたかや舞衣は、無事に生還することができたのだろうか……。
 事後の詳細を知りたいと願っても、誰かが教えてくれるわけでもない。
 ドモンは無限の宇宙を漂う迷人が如く、元の世界に戻った今も、迷走を続けていた。

「ヒィィィト……エンドォッ!」

 だからといって、生半可なファイトをするドモンではない。
 挑戦者を必殺のゴッドフィンガーで捩じ伏せると、ドモンはゴッドガンダムと共にその場を後にした。
 愛する者が待つ、帰るべき家へと。


 ◇ ◇ ◇

333帰ってきたカミナァッー! 完結片 ◆LXe12sNRSs:2009/12/24(木) 02:07:08 ID:SeGLSaL20
 螺旋王の実験。あれはもう、二年も前のことになる――。
 グレンラガンとの激闘で負った傷を癒してすぐ、ドモンは武者修行の旅に出た。
 生涯の伴侶であるレイン・ミカムラと、愛機ゴッドガンダム、そして風雲再起を伴ない、己を磨く修行の旅へと。

 ガンダムファイトという過酷な戦いを制した男は、あのバトルロワイアルでの結果を『己の未熟』と判断したのだ。
 もっと自分が強ければ、アレンビーも、ガッシュやスカーも、死なせずに済んだのかもしれない。
 自分への戒めというわけではないが、ドモンはさらなる強さを探求せずにはいられなかった。

 はぐれのガンダムファイターを退け、ベースとしているキャンプに戻った頃には、もう夕暮れ時だった。
 そろそろレインが晩飯の支度をしていることだろう。勝負後の空腹感を鬱陶しく思いながら、ドモンは家に帰りついた。

「うめぇ! おかわり!」

 そこでは既に、上半身裸の男が大飯をかっ食らっている最中だった。

「……もう食ってるのか、カミナ」
「おう、帰ったかドモン! おめぇも食え食え!」

 帰ってきたドモンへの挨拶も疎かに、その上半身裸の男――カミナはつばと米粒を飛ばしてくる。
 あの実験場で共に東方不敗と戦った男は、ドモンがこの世界に戻ったとき隣でに倒れていたらしい。
 そのときの状態がドモンに比べても重傷だったようで、すぐに全快とはいかず、眠りから覚めたのはほんの半月前のことだった。
 あのまま死んでもおかしくはない状況から現世に生還してみせたのは、さすがは無理を通して道理を蹴っ飛ばす男といったところだろうか。

「おかえりなさいドモン」
「ああ、ただいまレイン」

 カミナの傍若無人な振る舞いに辟易するドモンを、恋人のレインが出迎える。
 
「結果は訊くまでもないようだけれど……最近、根を詰めすぎじゃないかしら?」
「そうも言ってられん。チボデーとのファイトも間近に迫っているからな。怠けてはいられないさ」

 ここ数日、挑戦者からの申し出を受け続けているドモンの身を、レインは心配しているようだった。
 レイン・ミカムラ。彼女こそが、あの地で語って『愛すべき人』である。
 実験場での戦いは辛く厳しいものであったが、今はなによりも、彼女の下に帰ることができたのを喜ばしく思う。

「へっ。そのチボデーとかいう野郎もこりねぇな」

334帰ってきたカミナァッー! 完結片 ◆LXe12sNRSs:2009/12/24(木) 02:07:43 ID:SeGLSaL20
 楊枝で歯に詰まった飯を取り除きつつ、カミナは言う。
 なんの因果か、自分が元居た世界に戻れなかったこの男は、まるで居候者のようにドモンの武者修行に同行している。
 共に死地を駆け巡った仲だ。帰るべきところがないというのなら生活の面倒くらいは見てやってもいいが、ドモンは正直、今のカミナが好きではなかった。

 毎日毎日、レインが作った飯を食っては寝て、食っては寝て。
 そんな風に怠惰な生活を送り続けるばかり。
 ヴィラルたちや東方不敗を相手に息巻いていた、あの頃のカミナはどこにいってしまったのか。
 ドモンは変わり果ててしまったカミナに慨嘆し、嘆きはやがて怒りに近いものとなって、

「たしか、オレがここに来てからも一回ドモンに負けてただろ? いい加減、あきらめたらどうかね――」

 その発言で、激情は行動を促すほどのものに変わった。
 握りしめた拳で、カミナの顔面を殴り飛ばす。
 カミナは派手に倒れ、血のつばを吐いた。

「ドモンっ!?」

 いきなりの暴力に、レインが驚きの声を上げる。
 カミナ自身もなにがなんだかわからないといった様子で、殴られた怒りよりもまず、驚きが先行しているようだった。

「お、おい……どうしたってんだよドモン?」
「…………ッ!」

 かつてのカミナだったら、「やいやいやい! いきなりなにしやがる!」などと突っかかってきたことだろう。
 ここにいる男は、かつてドモンが恋焦がれていた男ではない。
 確信すると同時に、虚しくなってしまった。
 カミナという男はやはり、あの戦いで死んでしまったのだろうか――?

「チッ……食欲が失せちまった。ちょっと外に出てくらぁ」

 なにも喋らないドモンに嘆息し、カミナは外に出ていってしまった。
 殴り返しもしない。言い返しもしない。まるで覇気がない。
 本来のカミナなら――と、ドモンは帰ってきてからの二年間、あのときのカミナのことが忘れられないでいたのだった。


 ◇ ◇ ◇

335帰ってきたカミナァッー! 完結片 ◆LXe12sNRSs:2009/12/24(木) 02:08:24 ID:SeGLSaL20
 夜の海が一望できる崖の上で、カミナは一人あぐらをかいていた。
 星の光を浴びなにかを懐かしむような、彼には似合わないセンチメンタルな表情が映る。
 この光景も、彼が目覚めてからはよく見るものだった。

「またここに来ていたのか」

 ドモンが、カミナの背後から声をかける。
 カミナは振り返らず、ドモンに応えた。

「おまえもホント心配性なヤツだな。ふぬけたと思ってたんじゃねぇのか? オレのことをよ」
「……まあな」

 自覚はあるらしい。ドモンは苦笑を零しつつ、カミナのすぐ傍まで寄った。
 ちらりと覗く横顔は……触れれば壊れてしまいそうなくらい、儚げだった。
 これはこれでいい絵ではあるが、やはり彼には似つかわしくない。

「なぁ、ドモン。あいつらは、今頃……」
「忘れろ。俺たちが考えたところでどうにもならん」

 カミナもドモンと同じく、螺旋王の実験の顛末が気になるのだろう。
 無理もない。ドモンとて、帰ったばかりの頃はそうだった。
 カミナが目覚めたのはほんの半年前。その傷は、心身ともにまだ癒えきってはいないのだ。
 特にカミナには、命を捨ててでも取り戻したいと思う相棒がいたのだから――

「へっ、それもそうだな。クロミラのヤツも、今頃はきっと……」

 カミナがその名前を口に出した途端、ドモンの箍が外れた。
 見事な満月が見ている中、カミナの身を土の上に押し倒す。
 仰向けに倒れたカミナの上に、ドモンが覆いかぶさった。
 視線と視線が交差する。両者が共に、熱い眼差しをぶつけ合う。
 聞こえてくる荒い吐息は、興奮によるものだろうか。
 自分の頬が紅潮していることに気づけなかった。
 相手の頬が紅潮していることには気づいた。
 互いに、相手の顔面ばかりを凝視し続けていた。
 ずい、とドモンの上半身が数センチばかり沈む。
 必然的に、ドモンとカミナの間を埋める空間も数センチ狭まった。
 頭の中を数式が駆け巡る。両者の距離を算出する公式が流れた。
 あと何センチで、この唇と唇は触れ合うのだろうか――などと。
 お互いのファーストコンタクトを思い出しながら、お互いを想う。
 そうして、ドモンの鼻先がカミナの鼻先に触れるかというところで……

「まだ……まだあいつのことが忘れられないのか!」

 ドモンは、震えた声をカミナに浴びせた。

336帰ってきたカミナァッー! 完結片 ◆LXe12sNRSs:2009/12/24(木) 02:09:07 ID:SeGLSaL20
「クロスミラージュは確かに、おまえにとって良き相棒だったろう。だが……!」
「おいおい……らしくねぇだろが、ドモン。まさか、妬いてんのか……?」
「ふざけるな……っ! おまえがあいつを忘れられないというのなら、俺が忘れさせてや――」

 至近距離での言い合いに、ドモンはとうとう我慢が効かなくなった。
 今、男と男が限界を突破する――と思われたそのとき、海上の方角から轟音が木霊した。

「なっ……!?」

 驚きのあまり、ドモンはカミナから顔を離してしまった。
 そして転ずる視線の先、崖の向こうの海からは、大きな影が浮かび上がってくる。
 カミナの危機に反応し駆けつけてきたようなそれは、ドモンもよく知るモビルファイター――いや、ガンダムの姿をしていた。

「あーあ、変なタイミングでお披露目になっちまったな。ま、構わねーけどよ」

 それはまるで、機体色を紅蓮の如き赤に染め上げた――真紅のゴッドガンダム。
 実験場で戦ったグレンラガンを想起せざるを得ない、男らしい出で立ちだった。

「カミナ……この機体はいったい!?」
「聞いて驚くなよドモン。オレは――ガンダムファイターになる!」

 カミナの宣言に、ドモンは言葉を失った。
 数秒の間を置いてから、改めて尋ねる。

「カミナが、ファイターにだと? まさか、ここ数日レインと二人で作業をしていたのは……」
「おうよ! レインに協力してもらってこいつを組み立ててたのさ。この、グレンガンダムをな!」
「グレンガンダムだと!?」

 名は体を表すとの言葉通り、目の前のガンダムは紅蓮に染まっている。
 カミナは崖向こうを目指して跳躍、颯爽とグレンガンダムの肩口に跳び移った。

「……どうやら本気らしいな、カミナ」
「ああ。これでもまだ、オレがふぬけてるように見えるか?」
「ふっ、おまえというヤツは……いいだろう!」

 カミナはふぬけてなどいなかった。
 過去を過ぎ去り、現在を見据え、そして未来に挑もうとしている。
 それがあの戦いを生き抜いた者の、あの戦いで死んだ者たちへの礼儀なのだと言わんばかりに。

337帰ってきたカミナァッー! 完結片 ◆LXe12sNRSs:2009/12/24(木) 02:09:58 ID:SeGLSaL20
「ならば、おまえの初戦の相手……このキング・オブ・ハート、ドモン・カッシュが引き受ける!」

 ドモンもそのカミナの想いに賛同すべく、愛機の名前を呼んだ。

「出ろぉぉぉ! ガンダァァァァァム!」

 指をパチンと鳴らし、自身もガンダムを呼ぶ。
 ゴッドガンダムはグレンガンダムと同じく海中から現れ、真横に並び立った。
 ドモンは崖から跳びたち、ゴッドガンダムのコクピットへと躍り出る。
 初心者であるカミナもまたドモンに倣い、グレンガンダムの中に入った。

「いくぞカミナ! おまえにガンダムファイトの真髄というものを教えてやる!」
「調子に乗んなよ! 初白星はおまえからいただいてやるぜ、ドモン!」

 モビルトレースシステム作動。両雄、並び立つ。
 そういえば今日は12月24日だったな。などとどうでもよいことを頭の端で思いながら。
 こんな日に男同士で拳を交わし合うのも悪くはない。と同じくどうでもよいことを端で思う。

「ガンダムファイトォォォォ!」
「レディィィィィ、ゴォォォッ!」

 ドモンとカミナ。
 二年前のあの日、溺れた男を空腹の男が拾ったことから始まった奇妙な縁は、ここで一応の終わりを迎える。
 彼らのファイトの結果は、また別のお話で……――。


【ドモン&カミナ@聖なる夜のカミナァッー!――――――――HAPPY END】

338 ◆LXe12sNRSs:2009/12/24(木) 02:11:25 ID:SeGLSaL20
没供養完了。まあ聖夜ということで。お目汚し失礼しました〜。

339ネコミミの名無しさん:2009/12/25(金) 08:35:37 ID:EuoOEsyw0
投下乙です!
聖夜三部作、三年の時を経てここに堂々の完結!!
ドモンとカミナの未来に幸あらんことを(並行世界的にw)

340ネコミミの名無しさん:2011/03/05(土) 21:35:54 ID:oeDdgq.20
あげ

341通販 海外 ファッション:2013/10/16(水) 10:41:50 ID:2eFw48jc0
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