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ボツSS投下スレ
1
:
名無しセカンド
:2007/10/03(水) 13:27:15 ID:AtEcmfaE0
予約かぶり、支給品かぶり、見落とし等によりボツになったSSの投下所です。
4
:
王の建築
◆9yx/3mMoiE
:2007/10/06(土) 19:12:03 ID:xfSnvHjw0
「ハッハッハッ! 中々いい眺めだな!!」
「……ハァ、何してるんだろう私?」
金色の鎧を着た大笑いをあげる男ことギルガメッシュの横で、結城奈緒は手すりに持たれかけながら、ひっそりと胸中で溜息を付いていた。
彼女がギルガメッシュと組んだのはその多大なる戦闘能力故だ。
強い戦闘能力を持つ者は、それだけで戦場で生き残る確立が高い。
そのおこぼれに預かれれば、弱者であってもこの場では生き残ることは不可能ではないだろう。
自身も高い戦闘能力を持つ結城奈緒ならば、ギルガメッシュの不興さえ買わなければ生き残ることは難しくない。
たとえ、最後の一人になるまで戦うにしても。
だが結城奈緒の片付ける問題はバトルロイヤルで生き残るよりも、いかにしてこの王様に手綱を付けるかが先だった。
ギルガメッシュの後に続き校舎内を探してみたものの猫の子一匹見つからず、時間を無駄に過ごしてしまった。
成果といえば、屋上から見渡せる夜景ぐらいである。
本当になにをやっているのか? これならば赤ん坊のベビーシッターでもやっていた方がまだ良さそうだ。
「……ハァ」
再び胸中で溜息を付きながら頭を抱える。
もうそろそろ金ピカに先を急ぐように促してもいい頃合なのかもしれない。
別段どこに行きたいわけでもないが。
「ねえ金ぴか」
「ハッハッハッハッハッハッ!」
返事がない。
「ねえ金ぴか、ここに何もないなら移動しない?」
「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!」
返事がない。
「金ぴかってばさ!」
「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!」
どうやら夜景を飽きるまで眺める方針らしい。唯我独占モードというやつだ。
5
:
王の建築
◆9yx/3mMoiE
:2007/10/06(土) 19:13:17 ID:xfSnvHjw0
ならばこちらにも考えがある。
「ねえ金ぴか、あんたって剣以外にも支給品はあるの?」
やることは単純だ。相手に興味のある話題を振ってやればいい。
そうすれば、こちらの話を聞いてくれるはず。
「む、他の支給品か? 無論あるぞ」
ギルガメッシュがこちらの方に振り向き答える。
よし喰いついた、と奈緒は心の中でガッツポーズを決めつつ話を続けた。
「見せてくれない?」
そう言われギルガメッシュは顎に手を当て少し考え込むと
「ふむ、貴様は私の第一の僕だ。特別に許してやろう」
誰がしもべだとは思ったものの、そんなことは表情には出さない。
金ぴかが出した支給品を適当に褒め、移動しなければいけないのだ。
ここでへそを曲げてもらうつもりはない。
「一度しか出せぬようだからな、しかと見よ」
そう言いギルガメッシュが剣をコンクリートの床に突き刺し、デイバッグの中に片手を突っ込んだ。
奈緒はその動作を横目で見ながら思った。
なぜ『一度しか出せぬようだからな』と言ったのだろうかと。
ギルガメッシュの性格ならば、『一度しか出さぬからな』と言いそうなものなのに。
「さて、これが我のもう一つの支給品だ」
だがそんな奈緒の懸念を知らぬかのようにギルガメッシュは出し、頭上へと持ち上げた。
その瞬間、二人の頭上に月明かりですら届かぬ闇が覆いかぶさった。
奈緒は最初にそれを見たとき、何が起こっているのか理解できなかった。
巨大な何かをギルガメッシュが出したのだとしか、理解できなかった。
6
:
王の建築
◆9yx/3mMoiE
:2007/10/06(土) 19:15:07 ID:xfSnvHjw0
「……ってえええええええええええええええええええええええええええええ!!」
奈緒がギルガメッシュの出した物を完全に理解するのに5秒の時間を要し、理解した瞬間悲鳴を上げた。
デイパッグの中から出てきた瞬間は、それはビルの模型でしかなかった。
そのビルの模型が、ギルガメッシュの手のひらに乗ったとたんに巨大化したのだ。
「別段不思議ではなかろう。先ほどの十字架と同じ理屈でサイズ重量ともに中で減少していたのだ」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、無茶があるって!!」
頭上にあるビルに腰を抜かしそうになりながらも、腰を落とした体勢で手すりにしがみ付きながら奈緒は否定の言葉を紡ぐ。
ビルが破壊されるような事態など幾らでも経験してきた彼女でも、巨大なビルが小さなデイパッグの中から出てくるといった事態には出会ったことはない。
「っていうかあんた! 普通に持つな!」
そして、真に恐るべきはギルガメッシュであった。
平気そうな表情でビルを両手で持ち上げているのだから。流石に重いのか両手で支えてはいるが。
「ふん、世界のすべてを背負う我が、このような代物を持てぬはずがなかろう!」
真顔で理屈にもなっていないことを、ギルガメッシュは言ってのけた。
「……へ?」
奈緒はつい間抜けな声を出した。なぜかは分からないが説得力はあった。
オーファンやチャイルドですら軽く斬断できてしまう両手剣を、片手で簡単に持ててしまう男にとってはビル一つぐらいならばあるいは…
余裕がある表情も、本当はやせ我慢なのかもしれない。そう考えると意外と不思議ではないのかもしれない。
いや、やっぱりそれでも無茶がある。いや、自分たちも不思議な力を持っているのであるいは。いやいや……
奈緒は驚愕の事態に、まともに思考を働かせることができなくなりつつあった。
そんな彼女にギルガメッシュはさらに説明を続ける。
「ふん、おそらくは質量兵器として持ちいらせるために、あの男が用意したものだろう。
まあ、我らサーヴァントと人間の力には差があるからな。これぐらいの物をぶつけねば人間に勝ち目などない。
もっとも、頻発に使われては困るのか、一度出したら袋には戻せぬらしいが」
まるで、自分の玩具を自慢げに話す少年のようにギルガメッシュは説明を続けた。
7
:
王の建築
◆9yx/3mMoiE
:2007/10/06(土) 19:16:08 ID:xfSnvHjw0
「いや、そんな理由でそんな重量持ち上げちゃいけないでしょ。普通に潰れてよ」
だがやっと事態に思考が追いついてきた奈緒の脳はギルガメッシュの説明を聞くことよりも
つっこみを入れることを優先した。
そんな会話をしているときだった。奈緒の耳に異音が聞えたのは。
ピシッ、ピシッと小さいながらも足元から断続的に聞えてくる。
足元から聞えるこの異音は何だ?まるで湖に張られた氷の砕ける音のような。
奈緒は疑問に思い地面を見た。そこには、ギルガメッシュを中心とした蜘蛛の巣状のひびが入っているのが見えた。
「侮るな。この程度の重量、持ちきれなくて何が英雄か」
ギルガメッシュが不敵に笑いながらそう言う。
だがそんな言葉など奈緒には届かない。なぜなら、たちどころに鳴り続ける音の正体を既に理解していたのだから。
「ギルガメッシュ、それ捨てて!」
「我を潰したければ、この3倍は持って来い!」
奈緒が悲鳴を上げるように叫び、ギルガメッシュがそう言葉を続けた瞬間、学校の屋上が崩壊した。
いくらサーヴァントが力持ちであっても、建築物までがそうというわけでもない。
レゴブロックではないのだ。設計外の建築物を乗せた校舎では、重さに耐えられないのは必然である。
「ちょっとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
奈緒は、ビルに押しつぶされるという突然のピンチに半泣きになりながらも、手に爪のエレメントを瞬時に纏わせる。
振り向きざまに、背後にあるビルの陰の範囲外の手すりに向かって右手の爪から糸を射出。
奈緒は糸が手すりに絡まったのを確認もせず、糸を巻き取り自身の体をビルの陰から抜け出させようとした。
真上にある落下物に恐怖を感じている奈緒を手すりへと導こうと糸が引っ張る。
ビルが靴先を掠めるが、間一髪のところで奈緒の体は押しつぶされずビルの陰から抜け出た。
そのままの勢いで奈緒の体は手すりにぶつかった。
奈緒の体に痛みが走る。だが命あってのモノだねと考えれば安いものだろう。
ギルガメッシュは奈緒と違い、逃げることもできずに大穴へと落ちていったのだから。
痛む体を堪えつつ、奈緒は呆然としながらも体を半分置き上げ、ビルを見た。
ビルはまるで漫画のように轟音を立てながら一段また一段と降下していく。
おそらくは、各階を押しつぶし一階にたどり着くまでに校舎を破壊していくのだろう。
8
:
王の建築
◆9yx/3mMoiE
:2007/10/06(土) 19:16:26 ID:xfSnvHjw0
はたして、あの金ピカは無事なのだろうか?
アスリートに100キロのダンベルを持ち上げる筋力があったとしても、100キロのダンベルを腹の上に落とされれば病院直行コースだ。
ギルガメッシュも同様のことは起こっていてもおかしくはない。故に探しにいかなくてはいけない。
「たっく、めんどくさい」
奈緒はそう呟きつつ、階下へ降りるために屋上の非常口へと足を運んだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
9
:
王の建築
◆9yx/3mMoiE
:2007/10/06(土) 19:17:47 ID:xfSnvHjw0
間桐慎二はギルガメシュが職員室から出た後も、ロッカーから出られずにいた。
ガチガチと歯を震わせながら、ロッカーの中でただただ士郎を待っていた。永遠とも思える時間を待っていた。
遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い!!
早く来い早く来い早く来い早く来い早く来い早く来い早く来い早く来い早く来い早く来い!!
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!
恐怖が、焦りが、苛立ちが、まぜこぜになって間桐慎二の心を圧迫する。
そんな時だった。彼のいる部屋に変化が起こったのは。
慎二の耳に地響きが聞え、慎二の体を衝撃が揺らす。
「なっ! 地震か!?」
ロッカーの中にいるため外の様子が分からない慎二には地震と判断するしかない。
突然のことにパニックになった慎二はこのごに及んでもロッカーの中で縮こまりつつ、地震が過ぎ去るのを恐怖に怯えながらも待った。
慎二の臆病とも言える判断は正しかった。
彼が隠れているロッカーの反対側、職員室の前側といえる部分が、突如として天上から現れたコンクリートの壁に押し潰された。
慎二の全身を驚愕が走る。なんだこの壁は!? いったい何が起こっているんだ!?
現状を正しく理解することができない慎二は、轟音により金属がすれるような耳鳴りと今だ全身を揺らす恐怖に判断能力を奪われ
ロッカーの中で呆然とすることしかできない。とある見覚えのある物体を見つけるまでは。
それは始め慎二の目には、柄が瓦礫に埋まっている箒に見えた。
だがすぐにおかしいことに気が付いた。金色の毛先を持つ箒などこれまでの人生の中で見たことすらない。
ならば、あれは何なのか?
決まっている。先ほど職員室に訪れた黄金のサーヴァントの頭だ。
体は壁に埋まっており、うつ伏せに倒れているため後頭部しかこちら側からは見えないのだ。
どうやら壁に押しつぶされ動けないどころか、意識すらないらしい。
間桐慎二は悩む。埋まったサーヴァントをどうするべきかと。
普通なら見捨てるべきだ。そして一刻も早く学校から逃げ出すべきだ。
何時崩れるかも分からぬ学校にいて潰さてしまう前に逃げ出すのが賢い判断というものだ。
だがはたして、それが間桐慎二の選ぶ選択肢でいいのだろうか?
それは違うと慎二は思う。身動きのできぬあれを放っておいて逃げ出していいはずがない。
慎二は決断すると、ロッカーから抜け出しサーヴァントの元へと駆け寄った。
そして、手を首筋にあててみる。だが医者でもなく、また突然の事態に手が震えている慎二には生きているかどうかなど判別できなかった。
とはいえ、サーヴァントである以上は死ねば消え去るはずなので、存在しているということは生きているのだろう。
10
:
王の建築
◆9yx/3mMoiE
:2007/10/06(土) 19:18:08 ID:xfSnvHjw0
だが、元から慎二はギルガメッシュを生かすつもりなどなかった。
あるのは怒りだけだ。
ロッカー内にいる自分を、まるで下等生物を哀れみ蔑むかのような目を向けた黄金のサーヴァントへの怒りだけだった。
故に慎二は殺すつもりで危険を侵し、ギルガメッシュへと近づいたのだ。
だが、臆病であるゆえにこれ以上の生死の確認はしない。もし、起きられたら面倒なことになる。
慎二は手ごろな瓦礫を探す、屈辱を晴らすために頭を割って殺したかった。
自分に屈辱を与えた存在をゆるすつもりはない。
そして、慎二は見つけた。すぐ側の床に転がっている巨大な剣を。
すぐさま剣へと駆け寄り、柄を持つ。
だが剣はとても重かった。
「お、重い!?」
慎二が幾ら力を込めても、剣先をつかせたまま柄を浮かせることしかできなかった。
あきらめて普通の瓦礫で頭を割ろうか?
心の奥底でそんな声が囁いた。だが数秒後に別の声が聞えた。
“貴様はこの程度か?”
頭の中に聞いたこともない声で、黄金のサーヴァントがそう囁いた。
頭に血が上り、沸騰するかのごとく体が熱くなる。
そして、再び剣に力を込める。
「せい!」
掛け声と共に、肩に痛みが走る。そして、持ち上がった。ふらふらと頼りないながらも巨大な剣が、上段へと。
すべては怒りだ。自身に屈辱を与えたサーヴァントに対する怒りが、慎二に力を与えたのだ。
もし間桐慎二が冷静であれば、ギルガメッシュをサーヴァントとして従えようとしたのかもしれない。
もし間桐慎二がギルガメッシュと目を合わせていなければ、見過ごしたのかもしれない。
もし間桐慎二がギルガメッシュに見下されていなければ、殺意など湧かなかったのかもしれない。
だが間桐慎二の心は黄金の鎧を着たサーヴァントに対する敵愾心で満たされていた。
殺し合いの舞台に呼ばれたストレスをギルガメッシュに向けていた。
それが、責任のなすりつけだとも自覚すらせずに。
「死ね!」
なんの文学的比喩もない直感的すぎる言葉を投げかけながら、大太刀をギルガメッシュの頭へと振り落とす。
その一撃はサーヴァントを相手にするにはあまりに遅く、けれど弓道部で鍛えただけの青年にしては見事な一撃だった。
逆立った髪をした英雄の頭部が、石榴のように割れた。
11
:
王の建築
◆9yx/3mMoiE
:2007/10/06(土) 19:18:44 ID:xfSnvHjw0
【H-2 学校屋上 一日目 黎明】
【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:健康
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
[道具]:支給品一式、パニッシャー@トライガン、ランダム不明支給品x1
[思考]
基本思考:面倒なのであまり戦いたくない。ヤバくなったら真面目にやる。
1:下に落ちた金ぴかを探しに行く
2:とりあえず金ぴかと一緒に行動する
3:攻撃してくる人間を殺すのに躊躇いは無い
4:藤乃にはあまり会いたくない
5:眼帯を外したい
【H-2 校内職員室 一日目 黎明】
【間桐慎二@Fate/stay night】
[状態]:疲労、肩が痛い
[装備]:巳六@舞-HiME
[道具]:支給品一式、テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード、
[思考]
1:とりあえずなにが起こるか分からない学校から逃げる
2:死にたくない、絶対生き延びる
[備考]:
※参戦時期はアニメ12話直後、バーサーカーと遭遇した瞬間。
※名簿も地図も確認していません。
※士郎と一緒にセイバーがいると思っています。
※クリスタルをただの観賞用の水晶だと思っています。
※十字架が武器であることに気付きました、ですが手遅れです。
※ギルガメッシュの横にいた女(奈緒)をギルガメッシュのマスターだと思っています。
[補足]:H-2の学校は『マスターとドモンに蹴り上げられた廃ビル@機動武道伝Gガンダム』により五割ほど押し潰されました。
なお、このことによりH-2に廃ビルが建築されました。ただし制限が掛かっており、再びデイパッグの中には入れられません。
【ギルガメッシュ@Fate/stay night 死亡】
12
:
◆9yx/3mMoiE
:2007/10/06(土) 19:20:18 ID:xfSnvHjw0
投下終了。色々無茶がありすぎる展開。
もし、好評だったりしたら本投下狙ってみようかな?
13
:
MaterializeMysteryReportage
◆0BwdWOApVI
:2007/10/07(日) 18:24:43 ID:TBGGPWp20
風に舞う。
風に散る。
彩りも鮮やかに舞い踊るように空を行く。
それはまるで、儚くも舞い散る花びらのようで――――。
「……えっと」
勢いを失い次々と川に落下してゆくパンツを見届けながら。
衛宮士郎は目の前で項垂れる少女を、どう慰めたらいいものかと頭を悩ましていた。
女の子の扱いなど元々得意ではない上に、流石にパンツを吹き飛ばされた女の子の慰め方なんて知らない。
「ま、まあなんだ。とにかく、元気出せ、な?
ほら、あれだ、下着なんてまた買えばいいじゃないか」
「やかましい!」
怒声とともに弾丸が士郎の足元を掠める。
「あー、いや、スマン。今のはオレが無神経すぎた。
そうだ、これ貸してやろうか?
よくよく考えたら俺にはあまり必要ないし」
慰めと詫びの気持ちを込めて士郎は暗視ゴーグルをなつきに差し出す。
これも先ほどの追っかけっこの要因であるが、こんな形で渡すはめになるとは皮肉なものである。
「必要ない?」
差し出された暗視ゴーグルを手にしながら、なつきが疑問符を上げる。
「ああ。こうして、視力を強化すれば、夜でもある程度は、」
そう言って士郎は強化した目で遠くを見て、
「…………何、だ?」
雄たけびと、砂埃とともに迫りくる何かを見た。
14
:
MaterializeMysteryReportage
◆0BwdWOApVI
:2007/10/07(日) 18:25:24 ID:TBGGPWp20
「……ぉぉぉおおおおおおッ!!」
その止まることを知らぬ暴走列車の名はキングオブハート、ドモン・カッシュ。
前向き少女の甘言により、兄超え、師超えのため、問答無用の一撃を叩き込む。
「!? 投影開始(トレース・オン)――――!」
疾走する勢いのままに放たれた正拳を、衛宮士郎は咄嗟に投影した干将莫耶の腹で受け止めた。
だが、その一撃の勢いは止まらない。
受け止める士郎はそのまま地面を削りながら後方に押し滑ってゆく。
「っ、この!」
何とか踏ん張り、勢いが弱まったところで剣を払って突きつけられた拳を弾く。
受けられたドモンは素早く身を引き、体勢を整える。
先の一撃は、相手の反応や対処を見る、いわば試しの一撃。
目の前の相手は逃げずに受けた。
その力量や良し。
しからば、己が拳を持って力の善悪を計るのみ。
余談だが、ドモン本人は気付いていないが、今の一撃は一般人に反応できる速度ではなかった。
おそらく相手が反応する前に、撲殺してしまうのがオチだろう。
偶然襲った相手が、一撃に対処できるレベルにあった事はドモンにとって幸運といえた。
「――――いざッ!」
獣の早さでドモンが駆けた。
剣と拳がぶつかり合い、夜を彩るように火花が散る。
その五体をモビルスーツを撃破可能な域にまで昇華した、流派東方不敗の体術は常軌を逸している。
それを扱うドモンの猛攻は、たとえ如何な制限があろうとも常人に防げるものではない。
だが、受ける士郎とて常人ではない。
半人前とは言え、超常を操る魔術師の端くれだ。
聖杯戦争を駆け抜け、サーヴァントという常識の外にある存在と対峙した彼は、いかに相手か強大であろうとも気後れはしない。
雨粒のように隙間なく放たれるドモンの猛攻を受け捌かんと、士郎は両手に握った白黒の夫婦剣を振るう。
シュバルツに軽くいなされた干将莫耶であるが、それはあくまで攻撃においての話。
元より、干将莫耶は防御に特化した礼装である。
そして、キャスターのマスター、葛木宗一郎との戦いを経て特殊空拳相手の立ち回り方を衛宮士郎は心得ている。
曲線的でトリッキーな攻撃をしてくる葛木よりは、直線的でシンプルなドモンの攻撃は遥かに攻撃は読みやすい。
心眼に通じる読みと防御特化の礼装。
この二つを持って、防御に徹すれば捌けぬという事はない。
だが、衛宮士郎は圧倒的に押されていた。
その理由は簡単だ。
ドモンの攻撃はシンプル故に、早く、鋭く、力強い。
それはキャスターの魔術によって後押しを受けた葛木の攻撃よりもだ。
15
:
MaterializeMysteryReportage
◆0BwdWOApVI
:2007/10/07(日) 18:25:59 ID:TBGGPWp20
「くっ!」
度重なる衝突の衝撃に剣を握った手が痺れる。
そこに追撃の回し蹴りが直撃し、白い陰剣、莫耶が弾き飛ばされた。
ここに、決定的な隙が生まれる。
「させるかっ!」
その隙を狙わせまいと、なつきはドモン目掛けて弾丸を見舞う。
すでに攻撃態勢に入っていたドモンだが、超人的な反射速度で上体を反らし、横合いから放たれた弾丸を回避した。
だが、無茶な動きに、その体勢は崩れる。
士郎はその瞬間を逃さず、ドモン目掛けて干将を振るった。
それは、ドモンを持ってしてもかわすことの出来ない、絶妙なタイミングの一撃だった。
「ウオオオオオォォォオ!」
獣の雄たけびが響くと同時に、剣を振るう士郎の腕が止まる。
ドモンの選択は単純なものだった。
かわせないのなら受ける。
片手での白刃取りにより、黒い陽剣、干将の動きは完全に抑えられていた。
だが、ドモンの受けはそれだけでは留まらない。
最強の証キングオブハートの紋章が光り輝く。
握り締められた黒い刀身に白いヒビが走った。
「なっ――――!?」
士郎の驚愕も当然だろう。
複製品でランクが落ちるとはいえ、曲がりなりにも宝具である。
それを素手で握り潰すなど、出鱈目にも程がある。
干将が粉々になると同時に、間髪いれず稲妻のようなハイキックが放たれた。
防ぐ手立てを失った衛宮士郎に突き刺さるはずのそれは――――
「なにぃッ!?」
――――士郎の手にしたに干将莫耶よって防がれた。
慌ててドモンが士郎の両手を確認してみれば、そこにはしっかりと白黒対の夫婦剣が握られていた。
確かに破壊したはずのものがそこに存在する。
その現象に疑問を挟む暇もなく、なつきの銃弾がドモンを襲った。
多少不意を突かれたものの。ドモンはこれを回避し後方へ飛ぶ。
そして、着地したドモンは静かに闘気を収め、ファイティングポーズをといた。
16
:
MaterializeMysteryReportage
◆0BwdWOApVI
:2007/10/07(日) 18:26:27 ID:TBGGPWp20
「待て、こちらに争う意思はない!」
目の前の男は悪ではないと、拳で語り合いドモンは理解した。
ならば、これ以上戦う意味はない。
「何をたわけたことを、いきなり襲い掛かってきたのはお前だろうが!」
なつきの怒りは尤もである。
やはり、あの少女は間違っていたのか?
そんな疑問がドモンの脳裏をよぎる。
「まあ待てよ玖我。話くらいは聞こう。何か事情があったのかも知れないし」
そう言って、士郎はなつきの突き付ける銃口を片手で遮った。
その士郎の行為にドモンは感激を禁じえない。
やはり、直接拳を交えて生まれた友情は確かなものなのだ。
あの少女は正しかったのだ、と。ただ間違いを深めてゆく。
拳で語り合う云々以前に、命取りになる甘さを抱えた欠落者。
これが衛宮士郎なのだが、当然ドモンはそんなことは知るよしも無い。
そんな引きそうも無い士郎の態度に、なつきが折れた。
銃口こそ下ろそうとはしないもののドモンの話を聞こうと態度を和らげる。
「…………仕方あるまい、話くらいは聞いてやる。
ただし、少しでも怪しい言動があれば、私は即この引き金を引くぞ」
なつきのその言葉にドモンはハッキリと頷いた。
己にやましい所がないのなら、恐れる事など何も無い。
「まずは名を名乗ろう。オレの名はドモン・カッシュ、」
高らかと名乗り終えると同時に、ドモンの頬が裂ける。
なつきの銃口が火を吹いたのだ。
「な、なにをする!」
「そうだぞ玖我! 話くらい、」
「聞く必要はない。コイツは黒だ」
慌てて抗議する二人に向けて、玖我なつきはハッキリと断言する。
その確信めいた口調には理由があるのだろうか。
その謎解きが、今始まる。
17
:
MaterializeMysteryReportage
◆0BwdWOApVI
:2007/10/07(日) 18:27:19 ID:TBGGPWp20
「貴様、ドモン・カッシュと名乗ったな」
「ああ。その通りだ。オレの名はドモン・カッシュだ!」
ドモンの言葉を否定するようになつき頭を降る。
「だが、それはありえない。なぜなら私はすでに、ドモン・カッシュに会っているのだからな!」
『な、なんだって――――!?』
二人の驚愕の声が響く。
「それは本当なのか玖我!?」
「ああ。本物のドモンカッシュは年端も行かぬ少年だ。
偽名を名乗るなど。こちらを騙し討とうという何よりの証拠。
申し開きがあるなら言ってみろ!」
「…………ぐっ」
なつきの追求に、ドモンは言葉を詰まらせる。
そもそもドモンは偽名など名乗っていないのだから、これはまったくもって謂れのない話である。
どこぞの魔法使いのように「あんたらを試してたんや〜」などといって、この場を切り抜ける器用さをドモンは持たない。
今、ドモンの混乱は極まり、頭の中に様々な思考が入り混じっていた。
本当の自分は年端も行かない少年だったのか?
否。断じて否である。
ここにいる自分こそ間違えなくドモン・カッシュ。
このドモン・カッシュを差し置いて他にドモン・カッシュがいるなどありえない。
そのときドモンの脳髄に電撃が走る。
突然の閃きにより、ドモンはある結論に至った。
「偽者は、その少年だったんだよ!!」
ババンと犯人を指名する名探偵のように真実を叩き付ける。
だが、それに対するなつきの態度は冷ややかだった。
「……言うに事欠いてそれか。どやら反省するつもりはないらしいな。
貴様のような輩は放っておけん! この場で成敗してくれる!」
実際、ドモンの言っていることが真実なのだが、
突然襲い掛かってきた男と年端も行かぬ少年の証言。
どちらを信じるかなど考えるまでもない。
18
:
MaterializeMysteryReportage
◆0BwdWOApVI
:2007/10/07(日) 18:27:44 ID:TBGGPWp20
「止めろ、玖我!」
「なっ!? 離せ衛宮!」
士郎は今にも引き金が引かれそうななつきの腕を掴み、銃口を明後日の方向へ逸らす。
「待て! 彼の言ってることが嘘だとは限らないだろ!?」
「きさまどこまで、おめでたいのだ!?
こんな奴のいう事など嘘に決まっているだろう!」
二人のもみ合いを目の前にドモンは思考を巡らせる。
少女の誤解は深い。
ハッキリ言ってドモンにその誤解を説く器用さはない。
誤解のまま戦争する気はないのならば、ここはいったん引くがベストだろう。
決断するや否や、ドモンは走りだす。
「まて、このっ!」
士郎の静止を振りきり、なつきはドモンを追おうとするが、その早さはなつきの足で追いきれるものではない。
あ、っと言う間にドモンの姿は夜に消えていった。
19
:
MaterializeMysteryReportage
◆0BwdWOApVI
:2007/10/07(日) 18:28:04 ID:TBGGPWp20
【A-4 川岸 一日目 早朝】
【玖我なつき@舞-HiME】
[状態]:疲労(中)、チェスに軽度の不信感
[装備]:ライダースーツ@舞-HiME 、暗視ゴーグル
[道具]:支給品一式、風華学園高等部制服@舞-HiME、不明支給品2(本人確認済み)
[思考]
1:士郎と情報を交換後、チェスの元へ向かう
2:舞衣、静留、奈緒と合流する
3:この殺し合いから脱出する
[備考]
※チェスの名前をドモン・カッシュだと思っています
※ドモン・カッシュ(本物)を危険人物だと認識しました。
※なつきは以下の仮説をたてました
・今回の殺し合いは蝕の祭をモデルにした物
・テッカマンとHiMEは似たような存在
・螺旋力=高次物質化能力に近い特殊な力
・螺旋遺伝子を持った者=特殊能力者
・この殺し合いの参加者は皆、何かしらの特殊能力を持っている
※参戦時期は蝕の祭が終了した後です
【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:疲労(大) 魔力消費(小)
[装備]:デリンジャー(2/2)@トライガン
[道具]:支給品一式、デリンジャーの予備弾20
[思考]
1:殺し合いを止める。
2:イリヤの保護。
3:できる限り悪人でも救いたい(改心させたい)が、やむを得ない場合は――
※投影した剣は放っておいても30分ほどで消えます。
真名解放などをした場合は、その瞬間に消えます。
※本編終了後から参戦。
※なつきのパンティーコレクション@舞-HiMEは全て川に流されました。どこに流れ着くのかは不明。
※士郎はなつきが凄まじい銃の腕を持っていると思い込んでいます。
【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:健康。逃走中。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:己を鍛え上げつつ他の参加者と共にバトルロワイアルを阻止し、螺旋王をヒートエンド
1:一先ずこの場を離れる
2:積極的に、他の参加者にファイトを申し込む
3:ゲームに乗っている人間は(基本的に拳で)説き伏せ、弱者は保護する
※本編終了後からの参戦。
※参加者名簿に目を通していません
※正々堂々と戦闘することは悪いことだとは考えていません
20
:
MaterializeMysteryReportage
◆0BwdWOApVI
:2007/10/07(日) 18:30:27 ID:TBGGPWp20
こっそり投下
没なんで正直申しますと、Gガン知らないのでドモンのキャラが不安ってのが没の一番の理由。
私の中のドモンは、もはや完全に島本キャラになっている。
7割くらいで没が決まったので、そっから補足で書いた部分の悪ノリがすぎて、登場人物全員、真面目にバカという恐るべき事態に。
21
:
早まるなそれは孔明のワ
:早まるなそれは孔明のワ
早まるなそれは孔明のワ
22
:
名無しセカンド
:2007/10/07(日) 19:10:12 ID:Rf9f2row0
なwwwwつwwwwきwwww
ドモンのキャラは普通に大丈夫だと思いますよw
面白かったです。
23
:
名無しセカンド
:2007/10/07(日) 20:25:35 ID:3hReMi5A0
タイトルが略すとMMRwwwwwwwwwwwwwww
24
:
00(ダブルゼロ)
◆t2vl.cEw/o
:2007/10/15(月) 02:48:33 ID:fF2Wmoik0
ゼロの仮面とマントを纏った男、絶望先生こと糸色望とカレンは、工場へと続く道を歩いていた。
襲われたときに逃げ易いからという理由で森の境界を歩く二人がとある民家の横を通った時に、それは起きた。
二人の真横に突然、カランという乾いた音と共に、何かが音を立てて落ちてきた。
「ゼロ!」
咄嗟にカレンは、望を庇うように押し倒す。ぐちゃりと音を立てて潰れた何かは、甘い香りと水気の何かを、周囲に撒き散らかした。
「大丈夫ですか、ゼロ」
「え、ええまあなんとか」
起き上がりながら問うカレンに、答える望。死んでいないということは、爆発物というわけではなかったらしい。
そのことを確認して周囲を見回すと、そこに漂う匂いは果実のもので、続けて地面に落ちたその物体を見ると、そこには潰れたメロンが一個。
二階から、メロンが落ちてきたのだ。当然自然に落ちてくるはずもなく、恐らくは誰かが放り投げたのか。
それに気づいて民家の二階を見上げると、そこには夜明け間近の薄暗い空に紛れて動く何かが見えた。
その、建物の中に居る何者かに対処できるよう、油断せずに身構えるカレンと、何時でも逃げ出せるように身を低くする望。
が、第二波が来る様子もなく、時間が過ぎていく。
「私が様子を見てきます。ゼロは……ここで待っていてください」
「あ、え?ちょっと、ま……」
焦れたのか、言うが早いか、カレンは望を置き去りにして家の中へと様子を伺いに駆け込んでいく。
一人残された望は、引きとめようと伸ばした手を行く当てもなくわきわきとさせてから、がっくりと肩を落とした。
その次の瞬間、
「おおぉっ!?」
その望の体を、突然横合いから現れた誰かが、茂みに引き込んでいった。
(まったく、こんな古典的な手にひっかかってくれるとはな)
駆けて行くカレンの背中を見て、その迂闊さに今は感謝しながらルルーシュは茂みから駆け出していた。
二人の行き先から適当に先回りをして、ルルーシュは一種の仕掛けを作っていたのだ。
まず民家の二階のベランダに糸(ちなみにこれは家の中にあった裁縫セットから確保した)を結んだ空き缶を台座として置き、その上にメロンを置く
缶に結んでいないほうの糸を、電線の上を超えて茂みに落ちるように、石の錘をつけて投げ、下に下りて、その先を回収する。
二人が通りかかったところで糸を引くことで、空き缶は倒れメロンが下に落ちて、二人に二階にメロンを投げた誰かが居ると錯覚させる。
引っかかってくれればいいだろう程度の軽い仕掛けであったのだが、それにカレンはあっさり引っかかったというわけだ。
二人同時に調べに行かれる可能性もあったが、上手く『偽ゼロ』だけが残ってくれたため、ルルーシュはあっさりと『偽ゼロ』を確保できた。
「こ、殺されるーっ!!」
「安心しろ、危害を加えるつもりはない。俺はその仮面の本当の持ち主、本物のゼロだ」
ルル−シュは顔を見せないよう細心の注意を払いながら、羽交い絞めにされながらもがく『偽ゼロ』にそう囁く。
「信頼できません!それに本物(オリジナル)と名乗る偽者は世間にいくらでもいるのです!
・中国の偽○○ズ○ーランド
・ド○えもんもガ○ダムも某国発祥と主張
・賞味期限の日付が違う食品
・み○みみ○とのコピー
このように!」
「ワケの判らないことを……とにかく、それは俺のものだ、返せ!」
「お断りします!これは私の支給品なんです!」
あくまでガンとして断る雰囲気を漂わせる『偽ゼロ』
「ならば…こんな下らない事で使いたくはなかったが仕方ない!」
25
:
00(ダブルゼロ)
◆t2vl.cEw/o
:2007/10/15(月) 02:49:06 ID:fF2Wmoik0
そんな様子に、『ギアス』により強制的にマントと仮面を取り返そうと、ルルーシュが瞳の形が変わる。
そして仮面越しに二人の目が合い……そうになったところで、ふいっと『偽ゼロ』は目をそらした
「な…!?」
そのあまりにも熟練した自然な目のそらし方に、絶句するルルーシュ
「なぜ目を見ない!」
「なんか見たらヤバそうな気がしたんです!」
「見ろ、見なかったらこっちが困るんだ!」
「絶対にお断りします!」
必死で目を合わせようとするルルーシュに、あくまで目をそらし続ける『偽ゼロ』
数分間、非力な男同士の戦いが続いたあと
(……良く考えれば、こちらを見ていないならスキだらけじゃないか?)
そう気づいたルルーシュが仮面に手を伸ばし、
「あ」
あっさりと、『偽ゼロ』から仮面を剥ぎ取ることに成功する。
仮面の下にあったのは不健康そうな眼鏡の男の顔だった
「か、返しなさい!人が目を反らしてる隙に奪うなんて卑怯じゃないですか!」
「だから言っただろう。これは、元々俺のものなんだ!だいたい目をそらしたのは、そっちの勝手だ!まあいい、そのマントも返してもらうぞ!」
元『ゼロ』から奪い取った仮面を付け直し、ルルーシュはマントも奪い取ろうと手を伸ばし掴み上げる。
「イヤです!断固お断りします!」
負けじと眼鏡の男もマントの両端をつかみ、双方必死でマントを奪おうと引っ張り合い、それが続くことまた数分。
元々体力には自身のない二人の争いは、双方体力の限界間近の接戦となっていた。
「ぜぇ、ぜぇ、ならこうしよう!俺がゼロとしてお前を絶対に保護するようあの女に言う!それでどうだ!」
「はぁ、はぁ、お断りします!そんな怪しい誘いには乗れません!そう、世界は怪しい誘いに満ちている!
・アダルトサイトのワンリック詐欺
・勧誘メールを開いたらウイルス
・一週間で10kgダイエット
・卒業した元クラスメイトからの電話
・劇的ビ○ォーア○ター
・アニメ化するがゴ○ゾ
・誰でも入れる保険です
・今日は安全日
このように!ごほっ…」
そんなこんなで更に数分、男二人の体力がもうレッドゲージまで突入したころに
「ゼロ!ここにいるのですか!?ゼロ!」
様子見から戻ってきて、先ほどまでの場所にゼロがいないことに気づいたカレンが二人の気配を感じ駆け寄ってきたのだ
茂みを覗き込み、そこでカレンの目に入ってきたのは、揉み合いをするゼロの仮面をつけた男と、ゼロのマントを纏った男
(しまった!)
ルルーシュは時間をかけすぎたことを後悔するが、もう遅い。まだ完全にゼロになりきれていない自分と、もう一人の男が揉み合っている。
(カレンの性格からして、どちらかをゼロの本物だと判断し、どちらかに加勢しにくるだろう。確率は5分……いや、眼鏡の男と行動を共にしていた分だけ、こちらの方が分が悪い!)
そう判断するや否や、この劣勢の状況を打開しようと頭をフル回転させ、カレンを説得する言葉を選定する。
……が、驚愕に目を見開いたカレンが放った言葉はルルーシュの想像を絶するものだった。
「ゼ……ゼロが二人!?」
その言葉を聴いた瞬間、ルルーシュは心の底から思った。
(ダメだこいつ、早く何とかしないと…)
と。
26
:
◆t2vl.cEw/o
:2007/10/15(月) 02:51:48 ID:fF2Wmoik0
徹夜明け、酒が入って、などのハイテンション状態で書いて、寝て起きてから見てなんじゃこりゃーって思うことってありますよね?
上はそういう状態の産物です。途中まで書いて、もったいないので完成させてみました。生暖かい目でみてやってください。
27
:
名無しセカンド
:2007/10/15(月) 04:08:42 ID:dFansqdY0
絶望とルルの戦いにワラタwww
目を逸らすことに関してはプロだからなあ、先生は。
そしてアホ過ぎるカレン。
僕もルルーシュと同意見ですw
28
:
名無しセカンド
:2007/10/15(月) 16:40:47 ID:4o11kZ420
おもしろいがカレンがあほの子すぐるなwww
まあ、頑張った。楽しめた。GJ
29
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 21:57:01 ID:nF2vmm4g0
夜闇に落ちる天上に、一際眩い輝きが二つ。
一つは闇穿つ白銀の月。
月光は闇を淡く照らし、地上の姿を朧気に浮かび上がらせる。
一つは闇払う黄金の王。
その輝きは闇を払い、王の姿を鮮明に映し出す。
それは、英雄王ギルガメッシュの輝きである。
「……ねぇ。そっから、なんか見えんの?」
強風吹きつける学校の屋上。
さらにそこより一段高いフェンスの上に光り輝く黄金の馬鹿が立っていた。
何とかは高いところが好きの御多聞に漏れず
金ぴかは最も高いその場所から、そこから忌々しげに眼前に広がる闇を睨んでいた。
「…………ふん。なるほどな。
いや、思いの他よくできてるではないか」
そう吐き捨て、皮肉げに口を吊り上げる。
「なにが? なんも見えないんだけど」
屋上から見渡せど、広がるのは真っ暗闇ばかり。
町の明かり一つない世界に、見えるものなどありはしない。
「たわけ。弓の英霊の視力と貴様の視力を一緒にするな。
貴様に見えずともこの我の目には、……ん?」
何かを見つけたのか、金ぴかが視線を止める。
そして、こちらに向き直ったかと思えば、金ぴかがフェンスから降りる。
「降りるぞ」
金ぴかがそう言うや否や、あたしの足が地面から浮いた。
あたしの体は今、金ぴかの両腕にすっぽり収まり、抱えられているようだ。
甲冑があたって微妙に痛い。
「え……? って、ちょっとぉ!?」
そのまま、金ぴかはあたしを抱えて、一跳び。
安全用のフェンスも何のその。
その遥か上を飛び越え、屋上から地面へと身を投げた。
落ちる。
落ちる。落ちる。
重力に従い地面に吸い寄せられるように落下する。
「……このっ!」
咄嗟にエレメントから糸を伸ばし、近くの木の幹に巻きつける。
衝突の寸前に落下の勢いは振り子の動きに変わる。
その動きに合わせるように金ぴかは跳び、両腕にあたしを抱えたままスタリと地面に着地した。
そして、その場にあたしを降ろして一言。
「ご苦労」
「ご苦労、じゃないわよ! 何考えてんのアンタ!?」
死ぬ気か!?
てか殺す気か!?
30
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 21:57:26 ID:nF2vmm4g0
「なに。下に知った顔を見かけたのでな。
こちらのほうが手っ取り早かろう?」
まったく、反省した様子もない金ぴかさん。
いや、まあ、あたしだってジュリアが出せたころはそれくらいの無茶はした。
けど、生身で飛び降りるのはやっぱりバカだと思う。
「で、アンタの知り合いって……」
「――やあ。またおかしなのを連れているな。
お前は遠くからでもわかりやすくて助かるよ。ギルガメッシュ」
背後から声が響く。
現れたのは黒い、神父だった。
「なに。じゃじゃ馬を馴らすもまた一興よ。
貴様のほうこそ、ずいぶんとおかしな格好をしているではないか。言峰」
「ああ、これか。
まあ、気にするな。害はない」
左手についた白い粘着を気にしながら、神父はあたしに向き直る。
神父は絡みつく蛇のような目で愉しげな貌をしてこちらを見つめてきた。
「…………なによ?」
「私は言峰綺礼という。見ての通りただの神父だ。君の名は?」
見るからに怪しい雰囲気をムンムン放ち。
ギルガメッシュとはまったく種類の違う威圧感を放つこの男の、どこがただの神父なのか。
まあ、裏であくどいことやってる神父やシスターはそれなりに知ってるから、別に驚きはしないけど。
「……結城奈緒」
「ふむ。では結城奈緒。君に一つと問おう。
―――君はこの場で何を望む?」
「はぁ? なによいきなり、陳腐な説法ならお断りよ」
「なに。迷い人がいるなら正しく導くのが聖職者の務めだ。
あぁ。それと私はカトリックなのでな、生憎、説法は畑違いだ」
愉しげに神父は言う。
気に食わない。
その台詞も、見た目も、声も、雰囲気も。
この神父のどれもが生理的に受け付けない。
「別に望みもなにもないわよ、たださっさとこんなところから抜け出したいだけ」
突き放すように、言い捨てる。
だが、その言葉に神父は納得したように深く頷く。
「ふむ。生存が望みか、それもよかろう。
生への執着は人として然るべき望みだろう。
しかし欲がないな、螺旋王曰く、勝てば望みがかなうと言う話ではないか」
そんな謳い文句は、経験済みだ。
化物ども殺しあうほどの、魅力も感じられない。
別にあたしは今に満足しちゃいないけど、不満もない。
あたしにはHiMEっていう特別な力があって、それさえあればバカな男どもを騙してそれなりに面白可笑しく生きていけるんだ。
だから、無理に化け物どもを相手にしてまで、叶えたい望みなんて――――
「例えばそう――――過去のやり直しなんていうのは、どうかな?」
「――――え?」
31
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 21:57:45 ID:nF2vmm4g0
完全な不意打ちで、神父の言葉が脳天に突き刺さった。
脳裏に浮かぶ赤い光景。
死んでいる誰か。
目を覚まさない誰か。
泣いている、誰か。
「なん、で?」
声がうまく出せない。
自分でも驚くくらいに震えている。
考えたこともなかった。
そんなことが、
そんなことが本当にできるのだろうか?
「何故も何もないだろう。
人間誰しも、忘れ去りたい過去や消してしまいたい過ちがあるはずだ。
そのやり直しを望むのは、なにもおかしなことではあるまい。
君はどうだ、結城奈緒?」
忘れたい過去。
忘れられない傷跡。
誰にだってある。
あたしにだって。
「…………あたし、は」
――みんな殺された。
何の前触れもなくそれは訪れた。
わが家に押し入った強盗によって、あたしは家族を失った。
あたし以外に、生き残ったのはママ一人だけ。
生き残ったといっても意識不明の重体で、数年たった今も生死の境をさまよっている。
そんな状況に陥ったあたしに世間の風は冷たかった。
周りの大人はみんな見て見ぬフリ。
聞こえる言葉は全部、建前や偽善ばかり。
そんな言葉はもうたくさんだ。
そんな嘘はもうたくさんだ。
あたしは誰も信じないし、誰もあたしを信じてくれない。
馬鹿な男は嫌い。
偽善者は嫌い。
あたしにばかり冷たい、この世界が大嫌い。
「過ちを正し、本来得るはずだった幸福を願う。
やり直しを求めるの心を、恥じることはない。
己が幸福を望むのは、人間として正常な感情だ」
神父の声は毒のようだ。
ジワジワと体を這いずり回って侵食していく。
気分が悪い。
吐き気がする。
コイツの言葉は聞いていけない類のモノだ。
だけど耳をふさぐことはできない。
この毒に抗うすべをあたしは持たない。
毒に侵さのた打ち回るあたしを見ながら、神父は静かに愉う。
32
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 21:58:12 ID:nF2vmm4g0
「―――深い傷だ。これでは、癒されぬままでは苦しかろう」
慈悲に満ちた神父の声。
あの事件をなかったことにしてしまえと、
結城奈緒は本来与えられるはずたった幸福を得るべきだと、
天使のような言葉を、悪魔のような神父が言う。
ああ、本当にそんなことができるのならば、それはどんなに――――。
「――――そこまでにしておけ。言峰」
悪魔に囚われた意識は、酷く不愉快そうな声で現実に引き戻された。
目の前に見えるのは黄金の背中。
ギルガメッシュはあたしと神父を遮るように立ち塞がっていた。
「言峰。貴様がどのように振舞おうと勝手だが。
この女にいらぬ手出しは許さん」
そう言って、ギルガメッシュは不愉快そうな表情を隠そうともせず、神父を睨み付ける。
「……ほう。なんだ、貴様やはりそういう趣味だったのか?」
「たわけ。無礼なことを抜かすな。
我が寵愛を賜るに相応しきはセイバーだけだ。
だがな言峰。コイツは我の家臣でもある」
誰が家臣だ。
と全力で突っ込みたかったが、そんな元気もないもで放っておく。
「よいか、国も民も財宝も、所詮全ては王の所有物に過ぎん。
故に、生かすも殺すも決めうるのは王の一存のみ。
その王の許可なくそれを侵すことなど、許されるはずがあるまい?」
コイツはどうしようもなく我侭で、心底ムカつくけど、決して嘘をつかない。
ここまで馬鹿正直に生きてるやつなんて、命くらいのものだと思っていたが。
命はガキんちょだからいいとして、いい年こいてここまで馬鹿正直なやつはどうかと思う。
だから多分、怒っているのは本当だろう。
それが自分の所有物を他人に弄られたからなどという餓鬼みたいな理由なのか、それとも他の理由からかは知らないけど。
「なるほど。それは肝に免じておこう。
つい悪い癖が出てしまったようだ。許せ」
そう言って、神父はまったく悪びれる様子もなく引き下がった。
ギルガメッシュも深く追求する気はないようなので、その件はそれで終わりだ。
33
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 21:58:42 ID:nF2vmm4g0
「さて、少々話がそれたが、そろそろ本題といこう。
ギルガメッシュ、私はお前を探していた。
その理由は三つ。
まずお前がこの場でどう動いているのかの確認が一つ。
まあ、見る限りこのゲームに乗ってはいないようだな」
「当然だ。なぜこの我があんな輩の言いなりにならねばならぬのだ?
我の動きを決められるのは我だけだ」
「ああ、それを聞いて安心した。
お前に暴れられては私では手に負えんからな。大人しくしているならいい。
それならば、私とて勝てずとも生き延びるくらいは出来るだろう」
……金ぴかが脅威なのはわかる。
コイツははっきり言って規格外だ。
もし金ぴかが本気で暴れていたら、私も神父もあっという間にお陀仏だろう。
だが、金ぴかに及ばずとも、この会場には最初に殺されたコスプレ野郎みたいな化物がわらわらいるはずだ。
にもかかわらず、この神父は生き延びられると言い切った。
それが過信か自信かは知らないが、それ相応の実力がなければいえない台詞だろう。
「二つめはお前の状態の確認だ。
ギルガメッシュ今更ながら聞くが。私のことを覚えているのか、それとも識っているだけか?」
まったく意味不明な質問だった。
だけど、ギルガメッシュには通じたのか、納得したような顔でニヤリと笑った。
「なるほどな。ああ、覚えているぞ言峰。
第四次聖杯戦争から十年間の事を”記憶”として、ハッキリとな。
―――言峰。お前の推察はおそらく正しい」
悪代官みたいな悪い笑顔を浮かべながら、まったく意味のわからない会話を続ける二人。
あまりの意味のわからなさ加減に、業を煮やして口を挟む。
「……ちょっと、推察だの記憶だの、何の話よ」
神父はほんの少しだけ意外そうな顔であたしを見つめ。
「ギルガメッシュ。英霊について彼女に説明は?」
「していない。したければ勝手にしろ」
「ふむ。そうだな、先ほどの侘びもある。少し英霊について教授しよう」
そう言い、神父がこちらに向き直る。
いや、いいって。
聞いても多分わかんないし。
聞くまでもなく、その話、絶対長いし。
そんな心の叫びも虚しく、神父は切々と語り始めた。
34
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 21:59:23 ID:nF2vmm4g0
「ギルガメッシュは人間ではない。英霊と呼ばれる存在だ。英霊とは文字通り英雄の霊だ。
生前、偉大な功績を上げた者が人々に神格化され、信仰の対象となったもの。まあ、分類としては精霊に近い」
言われて、金ぴかを見つめる。
まあ、ただの人間ではないと思っていたが、精霊ねぇ。
精霊のイメージが崩れると言うかなんと言うか、ピンとこない話だ。
「英霊となったものは時間軸からはずれた”座”に収まり、有事もしくは降霊に答え、その”座”から、こちら側に召還される。
召還さるのは”座”に収まった英霊の触覚。まあ、分身のような物だ。これらは用が済めばそのまま消滅し座に帰る。
当然、消滅してしまえば召還されてからの記憶や経験は同時に消滅する。知識としての記録は”座”に送られ蓄積されるがね」
いよいよ持って頭の理解を超えてきた。
専門用語ばっか並べやがって、本当に説明する気あんのかコイツ?
まあ、要約すれば、今ここにいる金ぴかは本体のコピーみたいなものってことだろうか。
「今回の問題はそこだ。本来、再召喚されれば消えるはずの冬木での十年間の”記憶”をギルガメッシュは持っている。
それはすなわち、ここにいるのは英霊ギルガメッシュではなく、冬木の聖杯戦争におけるアーチャーのサーヴァント、ギルガメッシュであるということを表している」
「何が違うってのよ。
同じじゃないの。金ぴかは金ぴかでしょ?」
「似ているようだが大きく違う。
例えばこの場への呼び出し方だ。
英霊をサーヴァントとして召還したのならば降霊術だが。
すでに召還されているサーヴァントを呼び寄せたのならば空間転移だ。
もっとも、これほどの規模になればどちらも魔法の域だがね」
そういって苦笑をもらす神父。
いや、お願いだからわかる言葉で言ってほしい。
「で? 結局それで何がわかるわけ?」
「つまりは、螺旋王も万能ではないということだ。
恐らく奴は物理的な干渉は得意だが、霊的な干渉は得意ではないのだろう。
それが知れれば、何をしたのか、何ができるかも知れてくる」
つまりは、主催者(てき)の戦力分析ということか。
それならばわかる。
というか最初からそう言え。
「さてそれでは最後の話に移ろう。
ギルガメッシュ、現状についてお前の意見を聞きたい。
正直なところ、この事態は私にとっても予想外だ。
ハッキリ言って、自身の置かれている状況について見当もつかない。
そこでだ、彼の英雄王はこの舞台をどう見るか、その見解を聞きたい」
神父の言葉にギルガメッシュはすこし考えた後、その口を開いた。
「……そうだな。あのロージェノムとやらが何をしたいかまでは知らぬが。
なかなかどうして、この遊戯はよく出来ている。あの男は、十分に一流だろうよ」
「ほぅ……意外だな。お前があの螺旋王を認めるか?」
確かに意外だ、コイツの場合。
王様は我だけだッ。
とか言ってぶち切れそうなもんだけど。
「勘違いするな。あくまで道化として一流というだけだ。王としては論外だ。
如何に遊戯でこの我を興じさせようとも、無礼を働いた責任はとらせる。必ずな」
ギルガメッシュは凍りつくような冷たい笑みを浮かべる。
思わず寒気がした。
時々本気で忘れそうになるけど、その殺気にコイツは凄く恐ろしいヤツだった事を再認させられる。
35
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 21:59:53 ID:nF2vmm4g0
「ふ。なるほど。
して、何がそこまで英雄王の興味を引いたのかね?」
「まず、集められた人種だ。
中にはこの我ですら知らぬ力を持つ者もいくらかいるようだ。
どこからこれどの奴等をかき集めのかは知らぬが、その手腕はたいしたものだ。
そして、この舞台。
我の見る限り、この遊戯の進行にあたって魔術的な要素は一切含まれていない。
先ほど、施設の一つを汲まなく見回ったが、どこぞの魔術師が拵えた神殿とは違い、魔力は欠片も感じられなかった」
驚いた。
何が驚いたって、あの意味のない学校見学にも意味があったことに驚いた。
「あとは学校の屋上から見えた範囲で言えば、あちらとあちらに空間的な歪みが見て取れた。
おそらく結界か何かであろう。さすがに遠目からでは正確なことはわからぬが、あれも魔術の類ではないだろう。
魔術も使わず、これほどの舞台を用意しえたその手法は興味深い」
「ふむ。南と西か、地図上でみれば端に近いな。
差し詰め、雛鳥を閉じ込めるための鳥篭といったところか。
しかし、魔術ではなく技術面でのアプローチが必要というならば専門外だ。
どうやら、我々に出る幕は――――」
「――――侮るな。
作りがどうあれ、あの程度の結界、我の剣があれば跡形もなく吹き飛ばせる」
ギルガメッシュは断言する。
我の剣、ってのがどういったものかは知らないが。
それは予測や希望ではなく、確信に満ちた言葉だった。
まあ、コイツの場合いつもそうなので、その真偽は計りかねるが。
「それは頼もしいかぎりだな。
だが、肝心の乖離剣は手元にあるのか?」
「今はない。忌々しいことだがな。
だが、それはたいした問題ではなかろう。
我にしか扱えぬ我の剣だ、どのような手順を辿ろうとも、我の元に舞い戻るのは自明の理であろう?」
「流石だなギルガメッシュ。
何時もながら、その根拠のない自信には感服する」
「ふん。誉めたところでお前には何もやらぬぞ」
クックックと怪しく笑う二人。
いやいや、ぜってぇ誉めてないって。
36
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 22:00:28 ID:nF2vmm4g0
「まあ、いいだろう。乖離剣に関しては私も当たってみよう。
脱出に関してはそちらに任せる、それでいいな」
「かまわぬ、好きにするがいい。
先ほども言ったが、我の目障りにならなければ何をしようが咎めはせん」
「ああ、そうさせてもらおう。私は私で好きにやるさ。
お前はどうする、ギルガメッシュ。何か宛はあるのか?」
「そうだな。この舞台はなかなかに面白い。
しばらく見回ってみるのもいいだろう。
ああ、そういえばそれに関して、お前にひとつ聞きたいのだが」
金ぴかはリュックから取り出した、地図を広げ、その中のある一点を指差しながら。
「この温泉とは何だ?」
そんな、心底どうでもいいことを口にした。
「ふむ、温泉か。
言うなれば、日本の宝だな」
「宝か、よもや我の知らぬ財があろうとは。やはりこの舞台は面白い。
原典があるならば、是非とも我のコレクションに加えたいところだ」
「ならば行ってみるといい。
原典はないが原泉はあるだろう」
「――――ほう」
神父の言葉にギルガメッシュの目が輝く。
でもちょっと待て。
コレクションに加えるとか、コイツなんかとんでもない勘違いをしていないか?
「……ねぇ。あんた、温泉が何かわかってて言ってる?」
「国規模の至宝というのだ、おそらく剣か何かであろう?
振るとお湯が出てくるのか?」
微妙に知ってやがるなコイツ。
「……まあ、いいや」
金ぴかの温泉に対する認識は置いておいて。
温泉に行くという方針自体に不満はない。
なんか精神的に凄く疲れたので、温泉で汗を流すのもいいだろう。
太陽が昇る。
大地を覆う闇を打ち消し、光をもたらす太陽の光。
だが、その光よりも眩い輝きが地上にあった。
それは太陽よりも眩い、黄金の魂を持つ英雄王の輝き。
その輝きはいかなる闇を払うのか、それを知るものは、まだいない。
37
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 22:00:53 ID:nF2vmm4g0
【H-3 森近く 一日目 早朝】
【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:精神的に疲労、眼帯を外したい
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
[道具]:支給品一式、パニッシャー@トライガン、ランダム不明支給品x1
[思考]
基本思考:面倒なのであまり戦いたくない。ヤバくなったら真面目にやる。
1:温泉に行く。
2:とりあえず金ぴかと一緒に行動する
3:攻撃してくる人間を殺すのに躊躇いは無い
4:藤乃にはあまり会いたくない
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:巳六@舞-HiME 黄金の鎧@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、ランダム不明支給品x1
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。【乖離剣エア】【天の鎖】【王の財宝】の入手。
1:温泉に向かい、温泉をコレクションに加える。
2:宝具、それに順ずる道具を集める
3:目障りな雑種は叩き切る
4:エレメントに興味
※温泉を剣か何かの宝具だと思っています。
【H-2 学校近く 一日目 早朝】
【言峰綺礼@Fate/stay night】
[状態]:健康 左手にトリモチがへばりついてます
[装備]:ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:荷物一式 支給品0〜1(本人確認済)
[思考]
1:殺し合いに干渉しつつ乖離剣エアを探す。
2:シータに会えばパズーの伝言を伝える。
3:エアを手に入れた場合、再度ギルガメッシュを探す。
※制限に気付いています。
※ストラーダはデイパックの中です。
※ギルガメッシュとの対話により以下の考察を立てました。
・ロージェノムに魔術的な知識はない。
・ロージェノムは物理干渉に特化した技術系の能力者である
・地図上の端には何らかの結界が張られている。
・エアの出力ならば結界は破壊可能である。
38
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 22:02:29 ID:nF2vmm4g0
投下終了。
没なんで入れようと思ってたとこと端々はしょってます。
言峰の話は流し読むが吉。
39
:
名無しセカンド
:2007/10/15(月) 23:00:52 ID:McM1bRO.0
……言ってしまっていいのだろうか
なんか思いっきりプロットとか流用できそうなのばっかりじゃないか
まあ没と判断したんならしょうがないけど、出来がいいからすごいもったいない感じがする
40
:
名無しセカンド
:2007/10/15(月) 23:03:53 ID:mHQJyR1.0
普通に放送後にギル、奈緒、言峰を予約すれば書けるような……
41
:
名無しセカンド
:2007/10/15(月) 23:14:09 ID:McM1bRO.0
本編でまだ使えそうなネタは自重した方がいいんじゃないかと思う
本編でネタが出て、『あれ?これ没スレで見なかったか?』てなったらなんか悲しい
考えすぎかもしれないけど
42
:
名無しセカンド
:2007/10/15(月) 23:16:55 ID:uzxc8ivE0
ぶっちゃけこのSSなら若干放送の流れを取り入れて、第一回放送後に再投下されても問題ないと思う
てか個人的にはして欲しい
43
:
王の財宝
:2007/10/15(月) 23:55:17 ID:nF2vmm4g0
まあ、引用できる部分はあると思ったんですが。
この三人じゃないと成り立たない話という点はクリアできなくもないのですが。
ギルが盗聴警戒した時点でべらべら喋るこの話は難しいかなと。
会話だけで10k会ったからなぁ。
44
:
名無しセカンド
:2007/10/16(火) 09:51:26 ID:/eo8IAe20
途中から筆談にすればよいと思う
神父に盗聴のことを知らせても、あんまり状況変わらないだろうし
45
:
名無しセカンド
:2007/10/16(火) 19:59:10 ID:ebIt7qRc0
これは没にするにはもったいない良作
三人ともキャラ立ってるし、今後の方針も定まるし。
放送後でもちょっと肉付けすればいけそう
っていうか行ってほしい
46
:
名無しセカンド
:2007/10/16(火) 20:03:37 ID:FpVsC8O20
いまのところ、対主催者側勝利が絶望的だからな
有利なSSはどうしても欲しい
47
:
王の財宝
:2007/10/17(水) 00:04:58 ID:wurRervw0
書いたものですが。
話のほうはなんとなりそうなら何とかします。
まあ、どうなるかわかんないので
他にこのパートを書きたい人は気にせず予約なりなんなり行っちまってください。
48
:
螺旋の戦士、目覚めるとき
◆1sC7CjNPu2
:2007/10/18(木) 01:51:39 ID:QHHXX08g0
襲撃は、突然だった。
舞衣とシモンを乗せたバイクは木っ端微塵となり、二人は空中に投げ出された。
とっさに舞衣はシモンを抱きしめた。
地面に叩きつけられる衝撃からシモンを守るため……だったと思う。正直な所、舞衣自身にも理由は分からなかった。
「っ!」
「舞衣!」
着地は最悪だった。舞衣は頭から大木にぶつかった。ぬめりとした血が、額から溢れる。
――エレメント使えば無傷で済んだんじゃないかな、私?
舞衣は今更、自分の能力について思い出した。なんにしろ、後の祭りだ。
「舞衣!なんで!」
「……ほんと、なんでだろうね」
嘘だった。何かあったらシモンを庇おうと思っていて、その何かが起こったからこその行動だった。
意識が遠のく。自分にとって満足の行く最後だった。
舞衣は何の未練もなく死を受け入れようとして――
「舞衣!」
滑り込むで、未練が出来た。思い出したといった方が正しいかもしれない。
舞衣は血の足りない頭で考える。さてこの未練はどうしたものか。
舞衣は少し考え、好き勝手に喋ることにした。正直なところもう思考がまとまらない。
「シモンはさ、シモンでいいと思うよ。兄貴じゃなくてさ」
「舞衣……?」
舞衣はシモンの頭に手を乗せようとして、腕が動かないことに気がついた。
舞衣はどこを怪我したのかと考えて、止めた。どもみち、自分は死ぬ。
エレメント――勾玉がついた法輪を発動させ、動かない腕を無理矢理シモンの頭上に持っていく。
クレーンゲームみたいで、どこか面白かった。
ポンッと、シモンの頭に舞衣の手が置かれる。
「私は、いいお姉ちゃんになろうと無理してさ。本当に全部、失くしちゃったから」
まったく舞衣の人生は最悪だ。両親は死んで、弟も死んで、妹のような少女を殺した。
そこでこんな所に連れさられ、こんな所で死ぬ。
「シモンは、私にならないで。無理して兄貴にならないで、シモンになって」
せめてこの少年の人生が、舞衣と同じく最悪で終わらないように。
最後はそう思って、舞衣は息を引き取った。
49
:
螺旋の戦士、目覚めるとき
◆1sC7CjNPu2
:2007/10/18(木) 01:52:53 ID:QHHXX08g0
■
頭に置かれた舞衣の手が、力なく落ちた。
シモンには、舞衣が眠ったように見えた。そう信じたかったが、シモンはカミナが死んだ時を知っていた。
――兄貴も、眠ってるみたいだったよな。
舞衣の言葉が、頭の中で木霊する。
「……舞衣、ごめん。俺分かったよ、兄貴の言葉、やっと分かったよ」
『俺が信じるお前でもない。お前が信じる俺でもない。お前の信じる、お前になれ』
『シモンは、私にならないで。無理して兄貴にならないで、シモンになって』
「……舞衣、借りるよ」
シモンは、舞衣の腕から法輪を一つ抜き取った。
法輪を強く握り締め、振り向く。
そこには、クリーム色のスーツを着た男が立っていた。
「つまらん見世物だったよ。どれ、私が君ごとその女を真っぷt」
「黙れ」
男は、シモンに気おされた。
シモンの手にした法輪から、炎が立ち上る。
法輪はシモンの手を離れ、回転しながらシモンの頭上まで移動した。
50
:
螺旋の戦士、目覚めるとき
◆1sC7CjNPu2
:2007/10/18(木) 01:53:45 ID:QHHXX08g0
「舞衣は死んだ!もういない!だけど、俺の背中に、この胸に!一つになって生き続ける!」
法輪は激しく回転し、激しく炎を噴き上げる。
シモンはその中心に、勢い良く腕を突き上げた。
「穴を掘るなら天を衝く!墓穴掘っても掘りぬけて、突き抜けたなら俺の勝ち!」
立ち上る炎が捻れ、収束する。
荒々しくうねる炎の軌跡は、螺旋を描く。
その姿は――ドリル!
「俺を誰だと思ってやがる。カミナの兄貴じゃない、舞衣でもない。俺は俺だ!穴掘りシモンだ!」
シモンの啖呵に危険を感じたのかスーツの男は逃げようとして――自身の身体が動かないことに気がついた。
いつの間にか、男の両腕には法輪が一つずつはまっていた。
両腕は法輪から抜けず、法輪は空中で微動だにせず男を貼り付けにしていた。
「ギガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
シモンの叫びに呼応するように、炎のドリルはさらに巨大化する。
「ドリルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
スーツの男は、眼前の炎を恐怖に歪んだ顔で見つめていた。
「ンッッッッブレイクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
HiMEの力と、螺旋の力。その二つの力が二重螺旋となって交わり、奇跡を起こした。
きっかけとなった男は、炎のうねりに巻き込まれ蒸発した。
51
:
螺旋の戦士、目覚めるとき
◆1sC7CjNPu2
:2007/10/18(木) 01:54:39 ID:QHHXX08g0
■
穴を掘るのは、シモンの特技だ。
だから、舞衣の墓を掘るのは短い時間で終わった。
「舞衣、俺さ。うまく言えないけど、舞衣は舞衣だったと思う」
少し盛り上がった土の上に、小奇麗な石を置く。
そこらへんにあった石の中で、それが一番ましなものだった。
「俺を励ましてくれた舞衣は、舞衣が無理をしてたお姉ちゃんじゃない。舞衣の、そのまんまの舞衣だった」
借りていた法輪を、墓に置こうとして――法輪は、空中でぴたりと止まった。
置かれることを拒むように、法輪は動かない。
「……持って行け、てことか?」
借りたもの意外の三つの法輪は、いつの間にか消えていた。
つまりこれが、舞衣の形見ということになる。シモンは素直に受け取っておくことにした。
「ロージェノム、待っていろ。俺が風穴を空けてやる」
朝焼けが始まった。もうすぐ放送の時間だろう。
シモンは空を見上げ、言った。
「俺を、俺たちを、誰だと思ってやがる」
52
:
螺旋の戦士、目覚めるとき
◆1sC7CjNPu2
:2007/10/18(木) 01:55:23 ID:QHHXX08g0
【C-5・北/一日目/早朝】
【シモン@天元突破グレンラガン】
[状態]:疲労(小)
[装備]:舞衣のエレメント
[道具]:なし
[思考]
基本:大グレン団を結成し、螺旋王を打倒
1:兄貴も、舞衣も、いつでも一緒だ
2:豪華客船へ向かい、ニアを探す。ヨーコの事も少し気になる。
3:仲間を集める
【鴇羽舞衣@舞-HiME 死亡】
だけどもその魂はシモンと共に
【クリーム色のスーツの人@ジャイアントロボ 死亡】
本編に影響が出ないようにとサルベージ。色々とごめん。
53
:
螺旋の戦士、目覚めるとき
◆1sC7CjNPu2
:2007/10/18(木) 01:58:14 ID:QHHXX08g0
ひっそりとシモン追悼。
没プロットに没クロスネタ突っ込んでみました。
あと素晴らしい人ごめんなさい。
54
:
◆Wf0eUCE.vg
:2007/10/23(火) 21:50:20 ID:gfhKjG3U0
せっかく書ききったので投下します。
とはいえ前回のお叱りもあるので、見たい人だけ見てください。
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/clip/img/70.txt
今後の展開で似たようなのが出て萎えたとか、
つまんねーもん読まされて萎えたとか、
そこらへん自己責任で一つ。
55
:
名無しセカンド
:2007/10/24(水) 17:04:06 ID:G/qOHQ/c0
GJ!
良い作品を読ませていただいた、脱帽物の脱出と悲劇の伏線素晴らしかったです。
修正版もぜひ考えてくださいw
56
:
名無しセカンド
:2007/10/24(水) 23:29:03 ID:fYLD825s0
GJ!
今までの作品での施設の描写にもぴったり適合する考察といい、
言峰、奈緒、ギルガメッシュの絶妙な掛け合いといい、堪能させてもらいました!
没というのが惜しいですが……。
もう一度GJ!
57
:
名無しセカンド
:2007/10/25(木) 19:22:36 ID:i16d0Ds.0
もはや没投下すれが楽しみになっている俺がいるw
58
:
名無しセカンド
:2007/10/25(木) 23:50:21 ID:UxvXbA9.0
>>57
俺がいるな
現在エリオネタで没になったものを期待してるw
59
:
◆P2vcbk2T1w
:2007/10/30(火) 17:35:18 ID:FKqljW0.0
@ @ @ @ @
湾を挟んだ地形。飛行能力を持つ私が先回りするのは非常に容易かった。
そして、彼らに見つからないように、身を潜める。
今度は気付かれないように、十二分に距離をとり、注意を払った。
観察の目的は二つ。
あの二人と、敵の見極めである。
利用できそうなら使い、使えないのであれば捨てる。
その評価は極めて重要と言えるのだ。
再度立ち上る噴煙の中心地に、私はゆっくりと舞い降りる。
その爆心地は、小さなクレーターが形成されていた。
ちぎれた猫の破片が周囲に散乱している。
この爆発の中で原型を保てたというだけでも相当な強度であることは確かだ。
そういえば、自らの事をサイボーグだとか言っていた気もするが……
当人が鉄屑と成り果てた今、それはもうどうでもいいことである。
幸運なことに、猫の破片の中から、まだ利用価値の残るモノ――猫自身の首輪と、一丁の銃を発見することが出来た。
辛うじてその形をとどめてはいるが……その機能が残されているかどうかは甚だ疑問ではある。
だが、一応念のため、それらを自分の荷物の中に収めておくことにする。
そして改めて周囲を見渡すと、少し離れた場所に、金髪の男が倒れていた。
気を失っているようだが、目立った外傷はない。
爆心地――猫との距離が開いていたことが幸いしたのだろうか。
悪運の強い男だ。
だが、今はこの男のことはどうでも良い。
今は――もう一人の男の方に用がある。
その男は、しかしながら、かろうじて生きていた。
奇跡の範疇だといえるかもしれない。それほどに、その男の置かれた状況は悪かった。
爆発によるダメージもさることながら、それ以前から負っていたと思われる体中の傷、そして夥しい量の出血。
はた目にも重症と分かるその体は、先ほどまで自律歩行していた事実さえ疑いたくなる程だ。
このまま放っておけば、この男は、ものの数分の間にその生命活動の全てを止めてしまうだろう。
この男から、少しでも情報と物品を奪おうと思ってはいたが、残念ながらそれは叶わないようだ。
男はとても会話できる状態ではないし、荷物すら持っていない。
全てを、己の命さえも犠牲にして、この男は一体何のために闘っていたのだろうか?
しかしながら、その問の答は、二度と光のさすことの無い、永遠の闇の中へと沈んでゆく。
この男の命と共に。
@ @ @ @ @
※DG細胞ナシの場合のパターンです。
このままロイ死亡で、後の展開はDGアリのパターンと同じ。
後は状態表を弄るだけで対応しきれる……ハズ。
60
:
名無しセカンド
:2007/11/01(木) 20:26:21 ID:UFVtjmMo0
今エリオの支給品が偽・螺旋剣じゃなくてキャリバーだったら、な1日目深夜考えてるんだが
何かいい案はないものか
61
:
名無しセカンド
:2007/11/03(土) 10:32:46 ID:KvssjdJE0
没プロット公開でもいい?
アルに大ガマ持たせて首外させて、ジャグジー辺りにデュラハンと思い込ます展開を
やりたかった。タイトルはもちろんデュラララ
62
:
名無しセカンド
:2007/11/03(土) 16:06:08 ID:ux3YMz6Y0
なんだそりゃw
是非読みたいぜヒャッハァ
63
:
名無しセカンド
:2007/11/05(月) 10:57:33 ID:hHRk5C5c0
キンブリーとポルヴォーラの友情話とか思い浮かんだけどキンブリーが落選したので没に。
そもそもあの爆弾狂がどうやってポルと友情を結ぶのかって問題があるが。
今考えると自分じゃどう足掻いても書ける気がしない。
64
:
名無しセカンド
:2007/11/08(木) 18:12:15 ID:pKQgjAfo0
爆弾小動物と戯れる爆弾魔w
それドンナ状況だw
65
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 06:24:31 ID:gXyyx6Z.0
没プロットというか題名だけだが
『魔砲青年ブラスターエビル』
思いついて即これはないわと没った
66
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 06:53:04 ID:RTJqXswEO
これはない
一目見てそう判断できるほど名が体を表している
ある意味素晴らしい一品だ
67
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 12:57:33 ID:OwrBqQM20
だがしかし待って欲しい。
何か見たい気もするのは気のせいだろうかw
68
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 20:15:12 ID:q7SlTGrM0
ちょっともう使えない話のあらすじなどを。
ワカメ、ガッシュと出会う。役立たずだがプライドだけ高くて他の仲間から非難轟々。
だけどガッシュは気遣う。それも腹立たしいワカメ。そんなこんなで、クアットロとか外道マーダー襲来。
仲間で役割分担するが、ワカメ速攻で逃げる。だが、遠くからガッシュとマーダーの戦いが見えた。
マーダー、「あのワカメが戻ってくるはずないだろwww」それに対しガッシュ、原作一話の如く叫ぶ。
その言葉に苛立つと同時に、胸から込み上げてくるモノを感じ、戻って魔本を取る。
戦闘するが劣勢。ワカメ傷を負う。それを庇うガッシュ。それに対し、こんな自分を慕うこの子だけは死なせたくないと思う。
螺旋力覚醒。魔本が輝き、バオウ・ザケルガ発動。マーダーを打ち倒す。
「やるではないかシンジ!」とガッシュが駆け寄るが返事はない。既にワカメは息絶えていた。
だが、その死に顔は、彼の数年の中で、もっとも満ち足りた笑顔だった――
ワカメとガッシュ会わせて何話か行動させた後、やろうと妄想してた。
それと、
こなた、マーダーに襲われる。
恐怖を感じながら、「わたしにも能力があるよ!」と拳を突き出す。
すると、拳から何か力が噴出してくる。マーダー、距離を取る――その瞬間、こなたさん大逆走。
実はカートリッジを壊して、吹き出す魔力を掌で包んでただけでしたー^^
どっちもいつかやりたいと思ってたんだがなー
69
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 20:33:57 ID:6m9IDbE60
ワカメみてぇw
70
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 21:08:27 ID:OwrBqQM20
ワカメ惜しいことしたかもw
71
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 21:14:13 ID:He0fGPV.0
ワカメif話特集でもするか
72
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 21:15:55 ID:j4st8X/.0
まあ、呼ばれた位置が悪かった。
とった行動も悪かった。
せめてロッカーにこもらず、歩き回れば違う展開もあっただろうに
73
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 21:37:47 ID:OwrBqQM20
であった人間も最悪だったしなw
74
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 22:41:21 ID:pSczACc20
特集に便乗
ワカメがまだロッカー在中の頃、温泉に向かう読子組は本が沢山あること確実の学校を見つけて寄り道
そこで読子組が金ピカ組と遭遇、初めはなごやかだったが読子が金ピカの正体を知ると感激
支給品から不死の酒【不完全】を進呈(まだこのプロット組んでた時は海に落としてなかった)、金ピカなんか腹立ったんで攻撃開始でバトルスタート、
そしてワカメはロッカーの中で中途半端に会話を聞いていて、不死の酒を混乱の中で掠め取ることを決意
だが所詮はワカメ、読子に近づこうとして金ピカの攻撃の煽りを受け、読子の紙弾幕で殺されかけ、
盾にされてスパイクにぶん殴られ、ロッカーに逃げ込んだ矢先に切れた奈緒の十字架による砲撃を受ける
そんなこんなで読子はスパイクを連れて図書室の紙を紙飛行機にして脱出、金ピカは汚れたとかで温泉へ
ワカメはズタボロのロッカーの中で気絶していた
酒が海にどんぶらこの時点でお蔵入りした
75
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 22:50:56 ID:j4st8X/.0
>金ピカなんか腹立ったんで攻撃開始でバトルスタート
ここ、無理やりじゃねーかwww
それとも原作は未見だが、ギルガメッシュってこんなのか?
どっちにしてもワカメ哀れwww
76
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 23:02:36 ID:OwrBqQM20
いやどっちかと言うと酒を進呈したら『見所のあるやつ』って思いそうだが……
そういえば不死の酒とギルガメッシュって神話の時代に切っても切れない縁があったな
そこで何か読子かスパイクが空気読めない発言をしたらキレるかも
77
:
名無しセカンド
:2007/11/09(金) 23:04:38 ID:j4st8X/.0
そういえばギルガメッシュは不死を求めて得られなかった英雄だったな、伝説の方では。
78
:
名無しセカンド
:2007/11/10(土) 02:33:46 ID:HkdXVKU6O
確かあの金ぴかが命を賭けるほどの大冒険の末に、不老不死の薬を手に入れた我等がギル様。
しかし旅の帰り、薬を飲むのは体を洗ってからにしようと考え薬をそこらへんに置いて水浴びしてたら、薬を蛇に飲まれてしまいました。
以来蛇は脱皮するようになり、不死身の象徴として扱われるようになりました。
そんなうっかり伝説のおかげで大四次聖杯戦争においてギル様を呼び出すために使われた触媒は、最初に脱皮したといわれる蛇の抜け殻が使われましたとさ。
79
:
名無しセカンド
:2007/11/10(土) 02:42:23 ID:lyD/Qjns0
さすがだな慢心王。
没SSでもなんでもないが
アルの中にこなたを入れて、剣で腹刺される
⇒実は脚の方に移動していて無事でしたのネタはやりたかったなぁ
80
:
名無しセカンド
:2007/11/10(土) 03:02:05 ID:/1rnDPRA0
>>79
アルアルwww
81
:
名無しセカンド
:2007/11/10(土) 07:00:38 ID:gdzZFwIoO
Fateだと薬を蛇にくれてやったっていってるけどな。
82
:
名無しセカンド
:2007/11/10(土) 14:11:47 ID:AjpCKu7w0
>>81
何その
すごい
負け惜しみ
83
:
名無しセカンド
:2007/11/10(土) 14:18:03 ID:5HfZ437U0
不死の酒とギルの件は普通に使えそうだな
結構面白そうだ
84
:
名無しセカンド
:2007/11/10(土) 14:58:22 ID:XPH/Fg760
バカップル、高速道路を行く
「カフカの話じゃこれは高速道路っていうらしい」「ハイスピードだね!」
「高速道路、っていうくらいなんだから普通の道路とはまた違うものなんだろうなぁ」「レベルアップだね!」
「そこで俺は気づいたんだ!
きっとこの高速道路を使う時には、自分の持てる限りの速さで駆け抜けないといけないんだと!」「全力疾走だね!」
という流れで高速道路を全力で走り行くバカップル
みたいなのを思いついてた。思いつくだけで全然書きやしないんだが
85
:
◆Wf0eUCE.vg
:2007/11/10(土) 15:48:45 ID:XDgKDmOk0
ワカメでもなんでもないけどせっかくなんでオレはこの没作投下するぜ!
時間的には『不屈の心は、この胸に』の続きっぽいもの。
86
:
変な格好した二人が病院で野球っぽい事をする話
:2007/11/10(土) 15:49:11 ID:XDgKDmOk0
―――それは獣の殺気だった。
「――……なにやってんだ、テメェ」
その殺気は灼熱の業火のようでもあり、極寒の吹雪のようでもあった。
鋭い眼光は睨んだ者全てを呪い殺すかの様。
視覚できるほどのどす黒い殺意は、陽炎のようにランサーの背景を揺らめかせる。
それは百戦錬磨の戴宗ですら思わず後ずさるほどの不純物一つない殺意。
後ずさりの理由は気おされたからだけではない。
戴宗の置かれた状況はあまりにも最悪だった。
目の前には痛ましい子供の死体。
少年の心臓に突き刺さる鉄の剣。
それを手にする男の姿。
この状況がどういう誤解を生むのかなど、想像に難くない。
「待て、オレは本当に……!」
「ああ、いいや。テメエは喋んな」
必死に状況を説明しようとする戴宗の言葉を、片手を上げランサーが制止する。
その双眸に宿るのは怒りか、悲しみか。
「――――今すぐ、死ねよお前」
死の宣告と共に、ランサーの体が掻き消えた。
それは獣と呼ぶのも生ぬるい、超獣の動き。
一瞬で相手の死角へと潜り込んだランサーが稲妻の如き突きを放った。
だが、その一撃より一歩早く、戴宗はロケットのように足から気を噴出し通路へと離脱する。
それを逃がすまいと、ランサーがその後を追撃する。
瞬時に追いついたランサーから続けざまに放たれた打突は三つ。
同時と見紛うほどの速さで眉間、喉、心臓を狙い打つ、明確すぎるほどの殺すための攻撃。
突き出したものが鉄棒であるという過程はどうあれ、当たれば死ぬという結果がある以上それは間違いなく槍の一撃だろう。
その槍の散打を戴宗は尽く紙一重でかわした。
突きのような一次元的な点の動きでは、いくら雷鳴の早さとて、神行法を扱い音速で世界を駆け巡るこの男を捕らえることは叶うまい。
ここに二次元的な横への払いを織り交ぜたならば、ランサーの技量を持ってすれば戴宗を捕らえることも可能だろう。
だが、横への払いは鉄棒の強度がランサーの振るう速度に負けてしまうため放つことは許されない。
ならば、ランサーが神行太保・戴宗を捕らえることは不可能である。
そのはずだったのだが、ランサーが放った打突が30を超えた辺りで戴宗の体を槍が掠めはじめた。
ランサーの打突の速度が徐々に上がっていることに載宗は気づいた。
加速してゆく打突の速度。
その総数が50を超えるころには、その速度は神行太保・戴宗の認識を超えはじめていた。
速さにおいて、神行法を扱うこの男の右に出るものは存在しないだろう。
だが、この槍兵はその上を行く。
持続的な速さならば神行太保・戴宗が上だろうが、瞬発的な早さならばランサーが上である。
そして槍の乱打はその瞬発力がモノを言う。
なおも降り注ぐ槍の豪雨。
誤解をとく? 説得する?
笑わせる。
この槍の嵐を前にして、いったいどこにそんな隙間があるというのか?
残像さえ霞む高速の打突の中には回避の隙間すらありはしない。
87
:
変な格好した二人が病院で野球っぽい事をする話
:2007/11/10(土) 15:49:42 ID:XDgKDmOk0
槍の雨霰を避け続ける戴宗の体勢がついに崩れた。
生まれる決定的な隙。
それを逃すランサーではない。
一切の躊躇なく、正中線を穿つ突きが放たれた。
避けきれぬ速度。
避けきれぬ体勢。
この打突を避けきれぬことは攻手と守手、共通の認識である。
鳴り響く金属音。
それと同時にランサーが僅かに引いた。
その隙に戴宗は体勢を立て直す。
その右手にはゆっくりと回転する円柱の剣があった。
避けきれぬ攻撃。
それに対して戴宗が咄嗟に取り出したるは、赤い円柱の奇妙な剣だった。
避けることはできずとも、突きの軌道上に剣を置き、その打突を受け捌くことはできる。
戴宗のその対応見て、ランサーはさらにその打突の速度を速めた。
針に糸を通す精密さで的確に急所のみを狙ってくる突きの嵐。
それを戴宗は一つの例外なく赤い円剣で受け捌いてゆく。
それは目視することも叶わぬ神速の攻防。
常人では絶え間なく鳴り響く金属音を聞くことしかできないだろう。
だが、奇妙なことが一つあった。
戦闘開始から20秒余り、ひたすら繰り返される100を超える攻防の中。
一度足りともその攻守の立場が裏返ったことがないのだ。
ランサーのあまりの猛攻に戴宗が反撃の隙を見つけられないのか?
それは応であり否である。
槍撃における最大の欠点、戻り際の隙すら存在しないこの槍兵を前にして、反撃の隙がないのは事実である。
だがそれ以上に、戴宗は反撃を行うのを単純に躊躇っていた。
先ほどから戴宗は目の前の男から、ただの居合わせた殺人者に対する感情とは別次元のものを感じている。
その感情からして、この蒼い槍兵はエリオの身内に違いないだろう。
戴宗は襲い来る男の気持ちが痛いほど理解できた。
あの状況だ、誤解を受けるのは当然の事。
自分がエリオを守りきれなかったのも事実である。
それに自分とて大作が殺されたとなれば、その仇を目の前にして平静を保てる自信はない。
ならば、自分は攻撃を受けても当然なのかも知れない。
そんな懺悔にも似た感情が戴宗の中に渦巻いていた。
一方的に攻撃を続けるランサー。
だが、唐突にランサーが攻撃を中断し、後方に大きく跳び引いた。
一息で離された距離は30メートル余り。
壁の際まで退いたランサーはそこで動きを止めた。
戴宗は突然のその行動を訝しむも、ランサーの手にした獲物を見て得心がいった。
度重なる衝突に、ランサーの手にした武器はただの鉄塊と化していた。
対して、戴宗の手にしている赤い円柱には傷一つない。
武器としての強度の差は歴然。
このまま続ければどうなるかは明らかだった。
そんな状況ではこれ以上の戦闘続行は不可能。
これで落ち着いて事情を話すことができると、
そう思い、戴宗は緊張を緩めかけたが、獣のように大地に四肢をつくランサーを見てその認識を改めた。
88
:
変な格好した二人が病院で野球っぽい事をする話
:2007/11/10(土) 15:50:25 ID:XDgKDmOk0
戴宗は気付く。
ランサーは引いたのではない、距離をとったのだ。
つまり、この距離こそがランサーにとっての必殺の距離。
これほどの距離があれば、いかなる相手であろうとも神行法の使い手たる戴宗ならば十分に逃げ切れるだろう。
だが、戴宗は逃げない。
否。逃げられない。
戴宗の戦士としての経験が、否。生物としての本能が告げているのだ。
今ここでそんな隙を見せれば確実に死ぬ、と。
事実、目の前の槍兵から放たれる殺気は今までの比ではない。
地面に四肢をついたランサーの腰があがる。
その姿は、号砲を待つスプリンターのようだ。
呼吸さえ困難な緊迫の中、青い豹が駆け出した。
残像よりも早いその疾風は、こともあろうにその勢いのまま跳躍し、天井ギリギリの高さを滑空する。
宙を舞う槍兵は全身の筋肉をしなやかに捻り、もはやただの鉄塊と化したそれを振りかぶる。
それは投擲機だった。
その指は、
その腕は、
その肩は、
その足は、
その体は、
その瞬間、全身は投擲するためのモノになる。
「シッ――――――!」
渾身の力と共に鉄塊が放たれた。
空気の壁を打ち破りマッハへと迫る剛速球。
常軌を超える加熱に鉄塊は灼熱と化す。
それは音速で迫る灼熱の魔弾。
音速の弾丸を前に回避は不可能。
灼熱の弾丸を前に防御も不可能。
ならば一か八か、この剣で払い落とすしか生き残る術はない。
刹那にも満たぬ一瞬で戴宗はそう判断し、手にした円柱の剣に力を込める。
その心境は剛速球を前にしたバッターに近い。
ただ違うのは、外した時に、待ってるのがアウトか死かの違いだろう。
灼熱の弾丸が着弾する刹那、戴宗が全身の力という力を両腕の剣に込めた次の瞬間、
神行太保・戴宗の手にした乖離剣――――エアが吼えた。
三つの刃が音を上げ回転する。
その剣は風を巻き込みながら破壊を生み出す。
辺り全てを巻き込んでゆく大乱の渦。
それは音速の弾丸とて例外ではない。
その剣に引き寄せられるように鉄塊は爆ぜた。
結果として、戴宗に迫る危機は去った。
だが、エアの破壊はそれだけでは止まらない。
荒れ狂う破壊の渦は、空中のランサーへ向かう。
「くッ!」
ランサーは咄嗟に全身を庇う様に身を縮めるが、身動きのとれぬ空中での回避は不可能。
なすすべもなくゴミクズの様に吹き飛ばされる蒼い槍兵。
カマイタチに切り裂かれながら、凄まじい勢いで壁に叩き付けられ血反吐を吐く。
それでもなお、鳴り止まぬエアの咆哮。
「止まれ、このッ」
神行太保・戴宗がエアを止めようとするもエアの破壊は続く。
生みだれる真空の渦は病院内を暴れ周り。
ガラスを突き破り、石壁を打ち砕き、天井を切り裂く。
戴宗とて梁山泊九大天王、巻き込まれるほど未熟ではない。
だが、このままでは、病院ごと崩れるのも時間の問題である。
89
:
変な格好した二人が病院で野球っぽい事をする話
:2007/11/10(土) 15:50:45 ID:XDgKDmOk0
「止ぉまれつってんだろうがぁ!!」
エアの咆哮に負けぬ裂帛の叫び。
雷と噴射拳を自在に使いこなす制御力を持って、戴宗がエアの静止に全力を込める。
同時にゴトリと音を立てて病院の岩壁が崩れ落ちて砂埃が上がった。
「……とんだじゃじゃ馬だぜ、クソッ」
戴宗は肩で息を整えながらそう吐き捨てた。
その手の中では、エアが徐々に勢いを弱めていた。
何とか制御に成功したが、次があればどうなることか。
九大天王である神行太保・戴宗をもってしても扱えはすれど、使いこなせはしない。
コレを使いこなす本来の持ち主は、いったいどんな化物だろうか?
「…………グ、ガハッ」
壁にめり込んでいたランサーが血反吐を吐きながら立ち上がる。
武器を失い、蒼い全身を赤く染めたその様は誰がどう見ても満身創痍である。
それでも、獣のような殺気に衰えはない。
ランサーが歩を進める。
生きているのが不思議なほどのダメージを負いながら、その足取りは確かだった。
どれほどの傷を負おうとも、生きている限りランサーは戦闘を続行できる。
この男を止めるには完全にその息の根を止めるしか手段はないだろう。
「待ってくれ、本当に誤解なんだ!
オレはエリオを殺してなんかいねぇ!
オレはただアイツに刺さってた剣を抜こうとしただけだ、信じてくれ!」
ランサーに向けて戴宗は叫ぶ。
誤解を解く機会は今しかなかった。
だが叫び終えた戴宗の表情が曇った。
口にしてみれば、なんと都合の言い訳だろうか。
まるで自分に何一つ非がないかのような言い分に自分自身で腹が立つ。
「いや……こんな場所にけが人を一人で放置したオレにも責任があるのも確かだ……。
多分、あの子を殺した野郎を野放しにしたのもオレだ、オレがエリオの身内に恨まれて当然なのかもしれねぇ!
だが、コレだけは信じてくれ。オレはエリオを殺しちゃいねえ!
この神行太保・戴宗。子供を殺すような外道な真似は死んでもしねえ!」
そう言って戴宗は腹を決めたかのように目を瞑る。
一直線に戴宗へと進んでゆくその歩みはついに、互いの手の届く位置にまでたどり着く。
ランサーが片手を振り上げる。
「悪り、つまんねぇ早とちりしちまったみてえだ」
ランサーは少しだけばつの悪そうにそう言って、振り上げた手を戴宗の肩にポンと置いた。
戴宗の言葉はランサーに届いた。
「ま。小僧一人残しちまったことに関しちゃどちらかつうとそりゃオレのヘマだ。そっちが気に病むことじゃねえ。
で。その小僧を殺した野郎ってのは、どいつだ?」
緩みかけたランサーの殺気が再燃する。
相変わらずの鋭い殺意に息を呑みながらも戴宗が口を開いた。
そうして、戴宗はムスカに関して自分の知りうる経緯と、その外見的特徴をランサーに説明した。
自身が一度倒したムスカを始末せず、拘束しただけで放置したことも包み隠さず。
90
:
変な格好した二人が病院で野球っぽい事をする話
:2007/11/10(土) 15:51:04 ID:XDgKDmOk0
「なるほどな。そのムスカって野郎が小僧を殺った可能性が高いって訳か。
お前には迷惑かけちまったな、悪い。
あぁ。あと迷惑ついでに、あの小僧、無事だったら手厚く葬ってやってくれ」
そういってランサーは瓦礫を指差す。
エアの破壊により見る影もないが確かエリオの眠っている一室のあったあたりだろう。
「……なんでオレに言うんだ。自分でやればいいじゃねぇか」
「悪りぃな。オレはやることがあんだ。小僧を頼む」
半ば予想通りの返答。
その意味を悟りながらも戴宗はランサーに問いかける。
「…………行くつもりかよ、その傷で」
「なに、気にすんな。生き汚いのが取り柄でね。そう簡単にゃくたばりゃしねえよ」
軽い口調でそう言いながら、ヒラヒラと後ろ手を振ってランサーは病院の出口へと向かう。
去ってゆく蒼い背を見つめ、止められぬことを悟った戴宗はその背に叫んだ。
「オレは国際警察機構梁山泊九大天王、神行太保・戴宗!」
戴宗の名乗りを受けたランサーは足を止め、二つある名のどちらを名乗るか少しだけ悩んで口を開いた。
「ランサー。敵を刺し穿つただの槍だ。今はそれでいい」
【D-6/病院内の一室/1日目/午前】
【神行太保・戴宗@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
[状態]:疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-[握り飯、3日分])
エリオの治療用の氷
アサシンナイフ@さよなら絶望先生×11本、乖離剣・エア@Fate/stay night
『涼宮ハルヒの憂鬱』全巻セット@らき☆すた(『分裂』まで。『憂鬱』が抜けています)
不明支給品1〜2個(確認済み)
[思考]: 基本:不義は見逃さず。悪は成敗する
1.エリオを弔った後、全力で殺し合いを止める。
2.どこかで酒を調達したい。
3.菫川ねねねを捜し、少女(アニタ)との関連性を探ってみる。
4.死んでいた少年(エド)の身内や仲間を探してみる。
最終:螺旋王ロージェノムを打倒し、元の世界へと帰還する
※空になった虎柄の水筒が病室に転がっています
【ランサー@Fate/stay night】
[状態]:疲労(大)ダメージ(大)戦闘可能
[装備]:なし
[道具]:デイバック、支給品一式(-地図、-名簿)、ヴァッシュの手配書、不明支給品0〜2個(槍・デバイスは無い)
エリオの治療用の氷と包帯
[思考]
基本:このゲームに乗ったもの、そして管理している者との戦いを愉しませてもらう
1.ムスカを探しだして始末する
2.戦闘準備を整える(体力の回復、まともな槍の調達)
3.言峰、ギルガメッシュ、ヴァッシュと出会えば、それぞれに借りを返す
言峰とギルガメッシュは殺す。ヴァッシュに対してはまだ未定
4.ゲームに乗っていなくとも、強者とは手合わせしたい
※まともな槍が博物館にあるかも知れないと考えています
91
:
◆Wf0eUCE.vg
:2007/11/10(土) 15:51:24 ID:XDgKDmOk0
周りの迷惑になるので病院で野球なんてしないように。
よい子のみんなお兄さんとの約束だぞ!
病院内でエアなんて発動しないように。病院崩れっから。
よい子も悪い子もお兄さんとの約束だぞ!
遊園地で僕と握手!
はい、というわけで没なわけですが。
後半の描写の適当さ加減は異常。
所詮バトルが書きたかっただけなのか。
そして攻防が神速すぎて時間が経過しない罠。
この話、戦闘時間総合しても1分以下を想定しております。
本投下してたらタイトルはたぶん『Lancer(ランサー)』
うん、なんて死亡フラグ臭いタイトル。
たぶん、ランサーはこの次の話があったら死んでます。
92
:
名無しセカンド
:2007/11/11(日) 18:58:24 ID:TfFyzhnY0
なつきが死ななければ書いてただろうものをプロットだけ落としてみる。
衝撃のアルベルトの介入により、辛うじてウルフウッドを退けたなつきと士郎。
右腕を撃ち抜かれ、左脇から下胸にかけて負傷し流血しているなつきの手当を急がなければならない。
そんなところを男に触らせたくないなつきだったが、このままでは死んでしまうし、自分での手当が不可能であることは百も承知。
士郎に身体をゆだねて「さっさと済ませろ!」と赤面。二人とも照れ照れしながら治療を開始。
「な…何か話せ」「なにかって?」「なんでもいいっ…話せ!」
士郎は言われるがまま、身の上話を始める。
殺し合いに参加させられているイリヤの話から始まって、遠坂のこと、大河のこと、桜のこと、セイバーのこと…
そして、なつきはふと違和感を感じて突っ込んでしまう。
「家族はどうした、その…母とか、父とか」
士郎は別段隠すこともなく、十年前の大火災で父も母も失ってしまっていることを話す。
そして、そこから助け出してくれた魔術師を父と呼び、その背中に憧れて正義の味方を夢見たことも。
話を聞きながらなつきは今までの士郎の行動を思い起こし、彼のいびつさになんとなく気づき始める。
(こいつ、自分の命はどうでもいいのか?)
なつきは復讐以外頭になかったかつての自分を士郎に重ねた。
話を聞けばおまえにも、支えてくれる人間はいくらでもいるだろうに…と。
むしろいないわけがないのだ。これほどまでのお人好しに。
だが、ここにはいない。この殺し合いの舞台には。
「親父が言ったんだ。誰かを助けることは、誰かを助けないことなんだって」
「おまえは私を助けてくれただろう? 私には、おまえは正義の味方だよ」
仕方ない、今しばらくはそのぶん私が支えてやろう。
(…ここにいる間だけだからな? 私しかいないからだぞ?)
治療を終え、しばらくはなつきを休ませるべくおぶった士郎は、今度こそドモンの後を追う。
…そしてぶぶ漬けとの再会を期待したかった。
93
:
名無しセカンド
:2007/11/11(日) 20:22:01 ID:6c4BGks.0
ウルフウッド襲われているシーンで士郎が弾を防いで気絶しなかった場合のプロット一部
銃口がこちらに向く、鈍い光を伴って向けられた銃口からは自らを殺すべく弾が発射されるだろう。
だが、ここで自分が死ねば久我はどうなるのだろうか。
既に久我は負傷して倒れている。急いで治療をしなければそれこそ死んでしまうだろう。
治療ができなくとも自分が死ねば目の前の男は確実に久我に止めをさす。
――――だめだ
瞬時に投影の工程をなぞる
男の腕に僅かな力がこもる
――――だめだ
両手に二刀の柄が出現するのと同時に男の引き金が引かれ
――――だめだ!!
僅かに背筋をそらすと同時に剣を振り上げ銃弾を弾く
「……死ねない、死なせない」
男は不機嫌そうに目を細めた後舌打ちをした
「俺が死んだら、あいつを守れない」
二刀――干将・莫耶を構え、眼前の男を睨む
「だから、お前を倒す」
男は気だるそうなため息をすると、呆れたような顔をして
「そんなに必死にならでもええやん」
再び銃を構えなおし
「直ぐに一緒のとこに送ったるさかい」
引き金を引いた
しかし放たれた銃弾は士郎を捕らえることは無かった
直前に四肢に強化を施して身体能力を向上していたのだ
男――ウルフウッドは特に慌てることなく士郎に向けてさらに三発銃弾を放つ
「ぐぁっ…!!」
一撃目は回避、二撃目は弾いた、しかし三撃目は足に命中していた
「くっそぉ!!」
倒れこむ体を捻るようにして干将を投合する。
しかし、数歩横に動いたウルフウッドを捕らえることなく干将は後方に飛んで行った
「なんやもうおしまいか、そこの嬢ちゃんを守るんと違ったんか?それとも立派なのは威勢だけか?」
失望した、そう言いながら倒れる士郎に再度銃を向ける。
狙いは頭部、確実に脳を打ち抜いて命を奪うために
「……いや、これでいいんだ」
ふと、痛みに顔をしかめながら呟く士郎の言葉が気にかかった
「なにが―――」
瞬間、微かな音と共に振り返り
目の前に陽剣・干将が迫っているのを確認した
「な、にぃ!?」
とっさの射撃、碌に狙いもつけなかったもののそれは干将に当たった
しかし軌道を僅かに変えただけに過ぎず、銃を持つ腕を切り落とされた。
「ぐ、ぁ!!」
何故だ、確かにあの剣は後ろに飛んでいったはずなのに
激痛と突然の事態に混乱する
後ろでは自らの手に舞い戻ってきた干将を握り締める士郎の姿がある
ウルフウッドは知らない
彼の剣こそ夫婦剣と称され、互いに引き合う二本で一つの剣であることを
「ちぃ、くそが・・・!」
いくら相手は足を撃たれていると言えど自分は右腕を失っている
さらに向こうはおかしな剣を持っている
形勢は、逆転した
94
:
93
:2007/11/11(日) 20:24:06 ID:6c4BGks.0
はい、描写足りない上に中途半端すぎる
ほんとはなつき死亡確認後にソルテッカマンマイと戦うシーン士郎を書いてみたかったが、技量足りない(泣
95
:
◆DNdG5hiFT6
:2007/11/11(日) 23:56:09 ID:Zk1gmciY0
便乗して没プロット。
なつきが死ななかった場合、なつきの右腕、士郎の左腕を犠牲に窮地を脱出。
(詳しい方法は考えてなかった)
二人とも弱さを自覚し、それでも前に進みたいと願う。
「私がお前の左腕になる」
「俺がお前の右腕になる」
「「死ぬときは一緒だ」」
という懐かしの聖龍伝説もどきの誓いをかわすというもの。
タイトルは「ガン×ソード」で。
96
:
名無しセカンド
:2007/11/12(月) 01:39:24 ID:lixOzNt.0
話の種だけだが
舞衣になつきを殺させてさらにドン底に叩き落そうとしてた
死ぬ前になっきーが舞衣を立ち直らせて、二人で頑張ろうみたいな雰囲気のなか
舞衣が負わせた怪我でなっきーが死亡
狂いたくてもなつきの影響で狂えない、無常感溢れる舞衣を書きたかった
97
:
名無しセカンド
:2007/11/12(月) 10:01:01 ID:U/NGMp2M0
やってみたかったこんな展開。
シャマルさんが隠し持っていたのは短くした如意棒。
隠し持っていた場所は体の内側。
98
:
名無しセカンド
:2007/11/22(木) 17:27:07 ID:mJBoKPOI0
ロイvsヒィッツも考えてた。
やってる本人は真剣、しかし見てる側からは異様な光景にしか見えない、指ぱっちん対決
99
:
名無しセカンド
:2007/11/23(金) 02:26:35 ID:Im7m/tRs0
さらに王の財宝を手に入れたギルが加わり、ドモンがガンダムを召還するわけだな?
100
:
名無しセカンド
:2007/11/24(土) 00:51:33 ID:m3tPzLB.0
きっちりで不死者を殺すプロットがあったのだが、
今殺すと吸い取り殺すっていう手段が無くなると思って躊躇してたら死んじゃったぜorz
流用できるような狂気的な奴、どっかにいねーかなー
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