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避難所用SS投下スレ11冊目

1 名無しさん :2014/02/18(火) 02:41:49 ID:0ZzKXktk
このスレは
・ゼロ魔キャラが逆召喚される等、微妙に本スレの趣旨と外れてしまう場合。
・エロゲ原作とかエログロだったりする為に本スレに投下しづらい
などの場合に、SSや小ネタを投下する為の掲示板です。

なお、規制で本スレに書き込めない場合は以下に投下してください

【代理用】投下スレ【練習用】6
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1279437349/

【前スレ】
避難所用SS投下スレ10冊目
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/9616/1288025939/
避難所用SS投下スレ9冊目
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1242311197/
避難所用SS投下スレ8冊目
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1223714491/
避難所用SS投下スレ7冊目
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1212839699/
避難所用SS投下スレ6冊目
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1205553774/
避難所用SS投下スレ5冊目
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1196722042/
避難所用SS投下スレ4冊目
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1192896674/
避難所用SS投下スレ3冊目
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1190024934/
避難所用SS投下スレ2冊目
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1186423993/
避難所用SS投下スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1184432868/

792 ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo :2017/05/31(水) 21:42:11 ID:WZ82hnBc
「その様子だと、アンタもあのガキどもを捕まえられなかったようね」
「…言わないでよ。私だって追いかけようとしたけど、結局藁束から抜け出すので一苦労だったわ」
 自分の傍まで来ながら昨日の事を聞いてくる巫女さんに、ルイズはやや自棄的に言ってからサンドイッチの欠片を口の中に放り込む。
 魔理沙もルイズの様子を見て何となく察したのか、参ったな〜と言いたげな表情をして頬を掻いている。

「そういえば貴方たち、昨日お金をメイジの子供に盗まれたのよねぇ〜そりゃ落ち込みもするわよぉ」
「あーそいやそうだったねぇー。まぁここら辺では盗み自体は珍しくないけど…まぁツイテないというべきか…」
 そんな三人の事情を昨夜ルイズに聞いていたスカロンとジェシカも、彼女たちの傍へと来て同情してくれた。
 ルイズとしては本当に同情してくれてるスカロンはともかく、「ツイテない」は余計なジェシカにムッとしたいものの、
 それをする気力も出ない程に落ち込んでいたので、コップの水を飲みながら悔しさのあまりう〜う〜唸るほかなかった。
「そう唸っても仕方がないわよ。それでお金が戻って来るならワケないし」
「じゃあ何?アンタは悔しくなんか…無いワケないわよね?」
「当り前じゃない。とりあえずあの脳天に拳骨でも喰らわたくてうずうずしてるわ」
 霊夢も霊夢で決して諦めているワケではなく、むしろ今にも探しに行きたいほどである。
 しかし、一泊させてくれたスカロンたちに礼を言わずにここを出ていくのは気が引けるし、何よりお腹が空いていた。
 人探しには自信がある霊夢だが、自分の空腹が限界を感じるまでにあの子供を探せるという保証はないのである。
 それにタダ…かもしれない朝食を食わせてくれるのだ、それを頂かないというというのは勿体ない。

「んじゃ、私は厨房でアンタ達の朝メシ用意してくるから」
「ワザワザお邪魔しといて朝ごはんまで用意してくれるとは、嬉しいけどその後が怖いな〜」
 一通りの挨拶を済ましてから厨房へと向かうジェシカに礼を述べる魔理沙。
 そんな彼女がここに来るまで…というよりも昨夜は何をしていたのか気になった霊夢はその事を聞いてみる事にした。
「魔理沙、アンタ吹っ飛ばされた後はどこで何してたのよ?さっきスカロンに連れて来られてたけど…」
「それは気になるわね。私は藁束から出た後で道端で気絶してた霊夢を見つけてたけど、アンタの姿は見てないわ」
「あぁ、あの後不覚にも風で飛ばされて…まぁ情けない話だが気絶してしまってな…」
 黙々と食べていたルイズもそれが気になり、魔理沙の話に耳を傾けつつサンドイッチを口の中ら運んでいく。
 彼女が説明するには、ルイズが箒から落ちた後で少し離れた空き地に不時着してしまった殿だという。
 その時に頭を何処かで打ったのか、靴裏が地面を激しく擦った直後に気を失い、デルフの声で気が付いた時には既に夜明けだったらしい。
 慌てて箒とデルフを手に吹き飛ばされる前の場所へ戻ったが案の定霊夢たちの姿は付近に無く、当初はどうすればいいか困惑したのだとか。
 何せ気を失って数時間も経っているのだ、あの後何が起こったのか知らない魔理沙からしてみればどこを探せば良いのか分からない。

『いやぁー、あれは流石のオレっちでもちょっとは慌てたね』 
「だよな?…それでデルフととりあえず何処へ行こうかって相談してた時に、用事で外に出てたスカロンとばったり出会って…」
「で、私達が『魅惑の妖精亭』で寝かされているのを知ってついてきたってワケね」
 デルフと魔理沙から話を聞いて、偶然ってのは身近なものだと思いつつルイズはミニトマトを口の中にパクリと入れた。
 トマトの甘味部分を濃くしたような味を堪能しながら咀嚼するのを横目に、霊夢も「なるほどねぇ」と頷いている。
 しかしその表情は決して穏やかではなく、むしろこれから自分はどう動こうかと
 ひとまずは魔理沙が王都を徘徊せずに済んだものの、今の彼女たちの状況が改善できたワケではない。
 ルイズがアンリエッタから頼まれた任務をこなす為に必要なお金と、ついで二人のお小遣いは盗まれたままなのだ。
 しかも賭博場で荒稼ぎして増やした金額分もそっくり盗られているときた。これは到底許せるものではない。
 だが探し出して捕まえようにも、こうも探す場所が広すぎてはローラー作戦のような虱潰しは不可能だ。
 
 そんな事を考えているのを表情で読み取られたのか、魔理沙が霊夢の顔を覗き込みながら話しかけてくる。
「…で、お前さんのその顔を見るに昨日の借りを是非とも返したいらしいな」
「ん、まぁね。とはいえ…ここの土地は広すぎでどこ調べたら良いかまだ分からないし、正直今の状態じゃあお手上げね」
「でも…お手上げだろうが何だろうが、盗ませたままにさせておくのは私としては許しがたいわ!」

793 ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo :2017/05/31(水) 21:44:19 ID:WZ82hnBc
 肩を竦めながらも、如何ともし難いと言いたげな表情の霊夢にミニトマトの蔕を皿に置いたルイズが反応する。
 盗まれた時の事を思い出したのだろうか、それまで落ち込んでいたにも関わらず腰を上げた彼女の表情は静かな怒りが垣間見えていた。
 席から立つ際に大きな音を立ててしまったのか、厨房にいたジェシカやスカロンが何事かと三人の方を思わず見遣ってしまう。
 自分の言葉で眠っていたルイズの怒りの目を覚まさせてしまった事に、彼女はため息をつきつつもルイズに話しかける。
「まぁアンタのご立腹っぷりも納得できるけど、とはいえ情報が少なすぎるわ」
「スカロンも言ってたな…最近子供が容疑者のスリが相次いで発生してるらしいが、まだ身元と居場所が分かってないって…」
 思い出したように魔理沙も話に加わると、その二人とルイズは自然にこれからどうしようかという相談になっていく。
 やれ衛士隊に通報しようだの、お金の出所が出所だけに通報は出来ない。じゃあ自分たちで探すにしても調べようがない等…
 金を奪われた持たざる者達が再び持っている者達となる為の話し合いを、ジェシカは面白いモノを見る様な目で見つめている。

 彼女自身は幼い頃からこの店で色々な人を見てきたせいで、人を見る目というモノがある程度備わっていた。
 その人の仕草や酒の飲み方、店の女の子に対する扱いを見ただけでその人の性格というモノがある程度分かってしまうのである。
 特に相手が元貴族という肩書をもっているなら、例え平民に扮していたとしてもすぐに見分ける事が出来る。
 父親であるスカロンもまた同じであり、だからこそこの『魅惑の妖精亭』を末永く続けていられるのだ。
「いやぁー、あんなにちっこい貴族様や見かけない身なりしてても…同じ人間なんだなーって思い知らされるねぇ」
「そうよねぇ。ルイズちゃんは詳しい事情までは教えてくれなかったけど、お金ってのは大切な物だから気持ちは分かるわ」
「そーそー!お金は人の助けにもなり、そして時には最も恐ろしい怪物と化す……ってのをどこぞのお客さんが言ってたっけ」
 そんな他愛もない会話をしつつもジェシカはテキパキと二人分のサンドイッチを作り、皿に盛っていく。
 スカロンはスカロンで厨房の隅に置かれた箱などを動かして、今日の昼ごろには運ばれてくる食材の置き場所を確保している。
 その時であった、厨房と店の裏手にある路地を繋ぐドアが音を立てて開かれたのは。
 
 扉の近くに立っていたジェシカが誰かと思って訝しみつつ顔を上げると、パッとその表情が明るくなる。
 店に入ってきたのは色々とワケあってここで働いている短い金髪が眩しい女性であった。
 昨夜、ルイズと共に霊夢をこの店を運んできだ旅人さん゙とは、彼女の事である。
「おぉ、おかえり!店閉めてからの間、ドコで何してたのさ?みんな心配してたよー」
「ただいま。いやぁ何、ちょっとしたヤボ用でね?…それより、向こうの様子を見るに三人とも揃ってる様だな」
 ジェシカの出迎えに右手を小さく上げながら応えると、厨房のカウンター越しに見える三人の少女へと視線を向ける。
 相変わらず三人は盗まれたお金の事でやいのやいのと騒いでおり、聞こえてくる内容はどれも歳不相応だ。
 もう少し近くで聞いてみようかな…そう思った時、いつの間にかすぐ横にいたスカロンが不意打ちの如く話しかけてきた。
「あらぁー、お帰りなさい!もぉー今までどこほっつき歩いてたのよ!流石のミ・マドモワゼルも心配しちゃうじゃないのぉ〜!」
「うわ…っと!あ、あぁスカロン店長もただいま。…すいません、もう少し早めに帰れると思ってたんですが…」
 体をくねらせながら迫るスカロンに流石の彼女のたじろぎつつ、両手を前に出して彼が迫りくるのを何とか防いでいる。
 その光景がおかしいのかジェシカはクスクスと小さく笑った後で、ヒマさえできればしょっちゅう姿を消すに女性に話しかけた。

「まぁ私達もあんまり詮索はしないけどさぁ、あんなに小さい娘もいるんだからヒマな時ぐらいは一緒にいてあげなって」
「そうよねぇ。あの娘も貴女の事随分と慕ってるし尊敬もしてるから、偶には可愛がってあげないとだめよ?」
「…はは、そうですよね。昔から大丈夫とは言ってますが、偶には一緒にあげなきゃダメ…ですよね」
 ジェシカだけではなく、くねるのをやめたスカロンもそれに加わると流石の女性も頷くほかなかった。

794 ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo :2017/05/31(水) 21:46:12 ID:WZ82hnBc
 彼女の付き人であるという年下の少女は、女性が店を離れていても何も言わずにいつも帰ってくるのを待っている。
 時には五日間も店を休んで何処かへ行っていた時もあったが、それでも尚少女は怒らずに待っていた。
 少女も少女でこの店の手伝いをしてくれてるし、女性はこの店のシェフとして貴重な戦力の一人となってくれている。
 休みを取る時もあらかじめ事前に教えてくれているし、この店の掟で余計な詮索はしない事になっていた。
 それでも、どうしても気になってしまうのだ。この女性は何者で、あの少女と共に一体どこから来たのだろかと。
 本人たちは東のロバ・アル・カリイエの生まれだと自称しているが、それが真実かどうかは分からない。

(…とはいえ、別に怪しい事をしてるってワケじゃないから詮索しようも無いけれど)
 心の中でそんな事を呟きつつ、肩をすくめて見せたジェシカが出来上がった二人分のサンドイッチを運ぼうとしたとき、
「あぁ、待ってくれ。…そのサンドイッチ、あの二人に渡すんだろ?なら私が持っていくよ」
 と、突然呼びとめてきた女性にジェシカは思わず足を止めてしまい顔だけを女性の方へと振り向かせる。
 突然の事にキョトンとした表情がハッキリと浮かび上がっており、目も若干丸くなっていた。
「え?いいの?別にコレ持ってくだけだからすぐに終わるんだけど…」
「いや何、あの一風変わった二人と話がしてみたくなってね。別に良いだろ?」
「う〜ん?まぁ…別にそれぐらいなら」
 女性が打ち明けてくれた理由にジェシカは数秒ほど考え込む素振りを見せた後、コクリと頷いて見せた。
 直後、女性の表情を灯りを点けたかのようにパッと明るい物になり、軽く両手を叩き長良彼女に礼を述べる。

「ありがとう。それじゃあ、あの三人が食べ終えたお皿も片付けておくからな?」
「ん!ありがとね。私とパパは今やってる仕事が終わったら先に寝るから、アンタも今夜に備えて寝なさいよね」
 ジェシカからサンドイッチを乗せた皿を受け取った女性は、彼女の言葉にあぁ!と爽やかな返事をしつつ厨房を出て行こうとする。
 霊夢達へ向かって歩いていく女性の後姿を見つめていたジェシカも、視線をサッと手元に戻して止まっていた仕事を再開させた。
 彼女よりも前に仕事に戻っていたスカロンの視線からも見えなくなった直後、霊夢達へ向かって歩く女性はポツリ…と一言つぶやいた。

「全く…あれ程バカ騒ぎするなと紫様に釘を刺されていたというのに。…何やっているんだ博麗霊夢、それに霧雨魔理沙」
 先程までジェシカたちと気さくな会話をしていた女性とは思えぬ程にその声は冷たく、静かな怒りに満ち溢れている。
 そしてその表情も、先ほどまで彼女たちに向けていた笑顔とは全く違う、人間味があまり感じられないものへと変貌していた。 
 まるで獲物を見つけた獣が、林の中でジッと息をひそめているかのような、そんな雰囲気が。


「…?―――――…ッ!これは…」
 最初にその気配に気が付いたのは、他でもない霊夢であった。
 魔理沙やルイズ達とこれからの事をあーだこーだと話している最中、ふと懐かしい気配が背後からドッと押し寄せてきたのである。
「んぅ?…あ…これってまさか…か?」
『……ッ!?』
 ある種の不意を突かれた彼女が口を噤んだことに気が付いた魔理沙も、霊夢の感じた気配に気づいて驚いた表情を見せた。
 テーブルの下に置かれてそれまで楽しげに三人の会話を聞いていたデルフの態度も一変し、驚きのあまりかガチャリと鞘ごと刀身を揺らす。
 唯一その気配を感じられなかったルイズであったが、この時三人の急な反応で何かが起こったのだと理解した。

795 ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo :2017/05/31(水) 21:48:09 ID:WZ82hnBc
「ちょ…ちょっと、どうしたのよアンタ達?一体何が起こったのよ」
 朝食を食べ終えて水で一服していたところで不意を突かれた彼女からの言葉に、魔理沙が首を傾げなからも応える
「いや、゙起こっだというよりかは…゙感じだと言えばいいのかな」
『あぁ…感じたな。それも物凄く近いところからだ』
 彼女の言葉にデルフも続いてそう言うと、丁度厨房に背を向けていた霊夢もコクリと頷いて口を開いた。
「近いなんてモンじゃないわよ……多分これ、私達のすぐ後ろにまで来てるわよ」
 切羽詰まった様な表情を浮かべている霊夢の言葉にギョッとしたルイズが、咄嗟に後ろを振り向こうとしたとき……゙彼女゙は口を開いた。


「やぁ、見ない間に随分と彼女との仲が良くなったじゃあないか。…博麗霊夢」
 冷たく鋭い刃物のようなその声色に覚えがあったルイズが、ハッとした表情を浮かべて後ろを振り返る。
 そこに立っていたのは、黒いロングスカートに白いブラウスと言う昨日の霊夢と似たような出で立ちをした金髪の女性が立っていた。
 厨房へと続く入口の傍に立ち、こちらを睨み付けている彼女は、昨日気絶して路上に倒れていた霊夢を一緒にここまで運んできてくれた人である。
 気を失って倒れていた彼女をどうしようかと悩んでいた時に、突如助けてくれてこの店で一晩過ごせるようにとスカロン店長に頼み込んでくれたのだ。
 そんな優しい人…というイメージを持ちかけていたルイズには、彼女が自分たちを睨んでくるという事に困惑せざるを得なかった。
 
 ここは、どう対応すればいいのか?鋭い眼光に口を開けずにいたルイズを制するように最初に彼女へ話しかけたのは霊夢であった。
「何処にいるかと思ったら、案外身近なところで潜伏していたようね」
「まぁな。お前たちが散々ここで大騒ぎしなければ私だって静かに自分の仕事だけをこなせてたんだがな」
「…え?え?」
 初対面の筈だと言うのに、女性と霊夢はまるで知り合いの様な会話をしている。
 これには流石の霊夢も理解が追いつかず、素っ頓狂な声を上げて霊夢と女性の双方を交互に見比べてしまう。
 そんなルイズを見て女性は彼女の内心を察したのか、二人分のサンドイッチを乗せた皿をテーブルの置いてから、サッと自己紹介をしてみせた。


「お初にお目にかかかります、私の名前は八雲藍。幻想郷の大妖怪八雲紫の式にして九尾の狐でございます」
 右手を胸に当てて名乗った女性―――藍は、眩しい程の金髪からピョコリ!と獣耳を出して見せる。
 ルイズの記憶が正しければ、それは間違いなく狐の耳であった。

796 ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo :2017/05/31(水) 21:50:42 ID:WZ82hnBc
以上で83話の投稿を終わります。
もうそろそろ暑くなってきましたね。
では、今よりもっと熱くなってるであろう来月末にまたお会いしましょう。ノシ

797 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/04(日) 18:11:04 ID:i7FNJALY
無重力巫女さんの人、乙です。私も投下します。
開始は18:13からで。

798 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/04(日) 18:13:45 ID:i7FNJALY
ウルトラマンゼロの使い魔
第百四十三話「六冊目『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(その1)」
海獣キングゲスラ
邪心王黒い影法師 登場

 『古き本』に奪い取られたルイズの記憶を取り戻すために、本の世界を旅している才人とゼロ。
五冊目の世界はウルトラマンマックスが守った地球を舞台とした本であり、地上人と地底人の
存亡という地球の運命を懸けた戦いに二人は身を投じた。同じ惑星の文明同士という、本来は
ウルトラ戦士が立ち入ることの出来ない非常に困難な問題であったが、最後まで未来をあきらめない
人間の行動が地底人デロスの心を動かし、二種族の対立は解決された。そして最後の障害たる
バーサークシステムも停止させることに成功し、地球は未来を掴み取ることが出来たのだった。
 そして遂に残された本は一冊のみとなった。リーヴルの話が真実であるならば、これを
完結させればルイズは元に戻るはずだ。……しかし、最後の本の旅が始まる前に、才人たちは
密かに集まって相談を行っていた……。

「『古き本』もいよいよ後一冊で最後だ。その攻略を始める前に……ガラQ、リーヴルについて
何か分かったことはないか?」
 才人、タバサ、シルフィード、シエスタはリーヴルに内緒で連れてきたガラQから話を
聞いているところだった。三冊目の攻略を始める前に、ガラQにリーヴルの内偵を頼んで
いたが、その結果を尋ねているのだ。
 ガラQは才人たちに、次のように報告した。
「リーヴル、夜中に誰かと会ってるみたい」
「誰か……?」
 才人たちは互いに目を合わせた。彼らは、一連の事件がリーヴル単独で起こされたものでは
ないと推理していたが、やはりリーヴルの背後には才人たちの知らない何者かがいるのか。
「そいつの正体は分からないか? どんな姿をしてるかってだけでもいいんだ」
 質問する才人だが、ガラQは残念そうに首(はないので身体ごと)を振った。
「分かんない。姿も、ぼんやりした靄みたいでよく分かんなかった」
「靄みたい……そもそもの始まりの話にあった、幽霊みたいですね」
 つぶやくシエスタ。図書館の幽霊の話は、あながち間違いではなかったのだ。
『俺はそんな奴の気配は感じなかった。やっぱり、一筋縄じゃいかねぇような奴みたいだな……』
 ガラQからの情報にそう判断するゼロだが、同時に難しい声を出す。
『しかもそんだけじゃあ、正体を特定するのはまず無理だな。それにここまで来てそれくらいしか
尻尾を掴ませないからには、相当用心深い奴みたいだ。今の段階で、正体を探り当てるってのは
不可能か……』
「むー……リーヴルに直接聞いてみたらいいんじゃないのね?」
 眉間に皺を寄せたシルフィードが提案したが、タバサに却下される。
「下手な手を打ったら、ルイズがどうなるか分かったものじゃない。ルイズは人質のような
ものだから」
「そっか……難しいのね……」
 お手上げとばかりにシルフィードは肩をすくめた。ここでシエスタが疑問を呈する。
「わたしたち、いえサイトさんはこれまでミス・リーヴルの言う通りに『古き本』の完結を
進めてきましたが……このまま最後の本も完結させていいんでしょうか?」
「それってどういうことだ?」
 聞き返す才人。
「ミス・リーヴルと、その正体の知れない誰かの目的は全く分かりませんけど、それに必要な
過程が『古き本』の完結だというのは間違いないことだと思います」
 もっともな話だ。ルイズの記憶喪失が人為的なものであるならば、こんな回りくどいことを
何の意味もなくさせるはずがない。
「だったら、全ての『古き本』を完結させたら、ミス・ヴァリエールの記憶が戻る以外の何かが
起こってしまうんじゃないでしょうか。それが何かというのは、見当がつきませんが……」

799 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/04(日) 18:15:46 ID:i7FNJALY
「洞窟を照らしてトロールを出す……」
 ハルケギニアの格言を口にするタバサ。「藪をつついて蛇を出す」と同等の意味だ。
「全ての本を完結させたら、悪いことが起きるかもしれない。そもそも、ルイズが本当に
治るという保証もない。相手の思惑に乗るのは、危険かも……」
「パムー……」
 ハネジローが困惑したように目を伏せた。
 警戒をするタバサだが、才人はこのように言い返す。
「けど、それ以外に方法が見当たらない。動かないことには、ルイズはいつまで経っても
元に戻らないんだ。だったら危険でも、やる他はないさ……!」
『それからどうするかは、本の完結が済んでからだな。ホントにルイズの記憶が戻るんなら
それでよし、もし戻らないようだったら……ブラックホールに飛び込むつもりでリーヴルに
アタックしてみようぜ』
 ウルトラの星の格言を口にするゼロ。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と同等の意味だ。

 そうして最後の『古き本』への旅が始まる時刻となった。
「今日で本への旅も最後となりましたね、サイトさん。最後の本も、無事に完結してくれる
ことを祈ってます」
 才人らが自分を疑っていることを知ってか知らずか、リーヴルは相変わらず淡々とした
調子で語った。
「それではサイトさん、本の前に立って下さい」
「ああ……」
 もう慣れたもので、才人が最後に残された『古き本』の前に立つと、リーヴルが魔法を掛ける。
「それでは最後の旅も、どうか良きものになりますよう……」
 リーヴルがはなむけの言葉を寄せ、才人は本の世界へと入っていく……。

   ‐大決戦!超ウルトラ8兄弟‐

 昭和四十一年七月十七日、夕陽が町をオレンジ色に染める中、虫取り網と虫かごを持った
三人の子供たちが駄菓子屋に駆け込んできた。
「くーださーいなー!」
「はははは! 何にするかな?」
「ラムネ!」
「僕も!」
「俺もー!」
「よーしよしよし!」
 駄菓子屋の店主は快活に笑いながら少年たちにラムネを渡す。ラムネに舌鼓を打つ少年たちだが、
ふと一人があることに気がついた。
「あッ! おじさん、今何時?」
「んー……六時、ちょい過ぎ」
「大変だー!!」
 時刻を知った三人は声をそろえて、慌てて帰路につき始めた。それに面食らう駄菓子屋の店主。
「どうした? そんなに急いで」
 振り返った子供たちは、次の通り答えた。
「今日から、『ウルトラマン』が始まるんだ」
「早くはやく!」
 何とか七時前に少年の一人の家に帰ってきた三人は、カレーの食卓の席で始まるテレビ番組に
目を奪われる。
『武田武田武田〜♪ 武田武田武田〜♪ 武田た〜け〜だ〜♪』
 提供の紹介後――特撮番組『ウルトラマン』が始まり、少年たちは歓声を上げた。
「始まったー!!」
 三人は巨大ヒーロー「ウルトラマン」と怪獣「ベムラー」の対決に夢中となる。

800 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/04(日) 18:18:22 ID:i7FNJALY
『M78星雲の宇宙人からその命を託されたハヤタ隊員は、ベーターカプセルで宇宙人に変身した! 
マッハ5のスピードで空を飛び、強力なエネルギーであらゆる敵を粉砕する不死身の男となった。
それゆけ、我らのヒーロー!』
「すっげー……!」
「かっこいー!」
 ――特撮番組に夢中になる小さな少年も、月日の流れとともに大人になる。そして、そんな
日々の中で、『それ』は起こったのである……。

 ……才人は気がつくと、見知らぬ建物の中にいた。
「あれ……? 本の世界の中に入ったのか?」
 キョロキョロと周りを見回す才人。しかし周囲には誰の姿もない。
「随分静かな始まり方だな……。今までは、ウルトラ戦士が怪獣と戦ってるところから入ってたのに」
 とりあえず、初めに何をすればいいのかと考えていると……正面の階段の中ほどに、白い洋服の
小さな少女が背を向いて立っている姿が目に飛び込んできた。
「……赤い靴の女の子?」
 その少女は、履いている赤い靴が妙に印象的であった。
 赤い靴の少女は、背を向けたまま才人に呼びかける。
「ある世界が、侵略者に狙われている」
「え?」
「急いで。その世界には、ウルトラマンはいない。七人の勇者を目覚めさせ、ともに、
侵略者を倒して……!」
 少女は才人に頼みながら、階段を上がって去っていく。
「あッ、ちょっと待って! 詳しい話を……!」
 追いかけようと階段に足を掛けた才人だったが、すぐに視界がグルグル回転し、止まったかと
思った時には外にいることに気がついた。
「ここは……?」
 目の前に見える光景には、赤いレンガの建物がある。才人はそれが何かに気がつく。
「赤レンガ倉庫……。ってことは、ここは横浜か……? でも相変わらず人の姿がないな……」
 横浜ほどの都市なら、どこにいようとも人の姿くらいはあるだろうに、と思っていたところに、
倉庫の向こう側から怒濤の水しぶきが起こり、巨大怪獣がのっそりと姿を現した!
「ウアァァァッ!」
「わぁッ! あいつは……!」
 即座に端末から情報を引き出す才人。
「ゲスラ……いや、強化版のキングゲスラだッ!」
 怪獣キングゲスラは猛然と暴れて赤レンガ倉庫を破壊し出す。それを見てゼロが才人に告げた。
『才人、ここはメビウスが迷い込んだっていうレベル3バースの地球だ!』
「メビウスが迷い込んだって!?」
『メビウスに聞いたことがある。あいつがまだ地球で戦ってた時に、ウルトラ戦士のいない
平行世界に入ってそこを狙う宇宙人どもと戦ったってことをな。この本の世界は、それを
綴った物語だったか……!』
 飛んでくる瓦礫から逃れた才人は、キングゲスラの近くに一人だけスーツ姿の青年がいる
ことに目を留めた。
「あんなところに人が!」
『確か、メビウスはここで平行世界で最初に変身したそうだ。ってことはもうじきメビウスが
出てくるはずだ……』
 と言うゼロだが、待てど暮らせどウルトラマンメビウスが出てくるような気配は微塵もなかった。
そうこうしている内に、キングゲスラが腰を抜かしている青年に接近していく。
「ゼロ! 話が違うぞ! あの人が危ないじゃんか!」
『おかしいな……。メビウス、何をぐずぐずしてんだ……?』
 戸惑うゼロだったが、先ほどの赤い靴の少女のことを思い返し、ハッと気がついた。
『違うッ! あの人を助けるのは、才人、俺たちだッ!』
「えッ!?」

801 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/04(日) 18:20:09 ID:i7FNJALY
『早く変身だッ!』
 ゼロに促されて、才人は慌ててウルトラゼロアイを装着!
「デュワッ!」
 才人の肉体が光とともにぐんぐん巨大化し、たちまちウルトラマンゼロとなってキングゲスラの
前に立った!
『よぉし、行くぜッ!』
 ゼロは早速ゲスラに飛び掛かり、脳天に鋭いチョップをお見舞いした。
「ウアァァァッ!」
「デヤッ!」
 ゲスラが衝撃でその場に伏せると、首を掴んでひねり投げる。才人は困惑しながら戦う
ゼロに問いかけた。
『ゼロ、どういうことだ? メビウスが出てくるんじゃ……』
『詳しい話は後だ! 先にこいつをやっつけるぜ!』
 才人に答えたゼロは起き上がったゲスラの突進をかわし、回し蹴りで迎撃する。
「ハァァッ!」
 俊敏な宇宙空手の技でゲスラを追い込んでいくゼロ。しかしゲスラの首筋に手を掛けたところで、
ゲスラに生えている細かいトゲが皮膚を突き破った。
『うわッ! しまった、毒針か……!』
 ゲスラには毒針があることを失念していた。しかもキングゲスラの毒は通常のゲスラの
ものよりも強力だ。ゼロはたちまち腕が痺れて思うように動けなくなる。
「ウアァァァッ!」
 その隙を突いて反撃してきたゲスラにゼロは突き飛ばされて、倒れたところをゲスラが
覆い被さってきた。
「ウアァァァッ!」
『ぐッ……!』
 ゼロを押さえつけながら張り手を何度も振り下ろしてくるゲスラ。ゼロはじわりじわりと
苦しめられる。この状態ではストロングコロナへの変身も出来ない。
『何か奴の弱点はねぇか……!?』
『えぇっと、ゲスラの弱点は……!』
 才人がそれを告げるより早く、地上から声が聞こえた。
「その怪獣の弱点は、背びれだッ!」
『あの人は……!』
 先ほどキングゲスラに襲われていた青年だ。ゼロは彼にうなずいて、弱点を教えてくれた
ことへの反応を表す。
「デェアッ!」
 力と精神を集中し、ゲスラの腹に足を当てて思い切り蹴り飛ばす。
「ウアァァァッ!」
「セイヤァッ!」
 立ち上がると素早く相手の背後に回り込んで、生えている背びれを力の限り引っこ抜いた!
「キャアア――――――!!」
 たちまちゲスラは悲鳴を上げて、見るからに動きが鈍った。青年の教えてくれた情報が
正しかったのだ。
『よし、今だッ!』
 ゼロはゲスラをむんずと掴んでウルトラ投げを決めると、額からエメリウムスラッシュを発射。
「シェアッ!」
「ウアァァァッ!!」
 緑色のレーザーがキングゲスラを貫き、瞬時に爆発させた。ゼロの勝利だ!
 キングゲスラを倒して変身を解くと、才人は改めてゼロに尋ねかけた。
「ゼロ、つまり俺たちがウルトラマンメビウスの代わりをした……いや、するってこと?」
『そのようだな。この本は、書き進められてた部分が一番少なかった。だから、本来の異邦人たる
メビウスの役割に俺たちがすっぽり収まったのかもしれねぇ』

802 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/04(日) 18:22:01 ID:i7FNJALY
「なるほど……さっきの人は?」
 才人が青年の元へ向かうと、彼は傷一つないままでその場にたたずんでいた。青年の無事を
知って才人は安堵し、彼に呼びかけた。
「さっきはありがとうございます。お陰で助かりました」
「君は……?」
 不思議そうに見つめてくる青年に、才人は自己紹介する。
「平賀才人……ウルトラマンゼロです!」
 と言ったところで風景が揺らぎ、彼らの周囲に大勢の人間が現れた。同時に、壊されたはずの
赤レンガ倉庫も元の状態に変化する。
「これは……?」
『今までは、一時的に違う世界にいたみたいだな。位相のズレた世界とでも言うべきか……』
 突っ立っている才人に、近くの子供たちがわらわらと集まってくる。
「ねぇお兄さん、今どっから出てきたの?」
「どっからともなくいきなり出てこなかった!? すげー!」
「手品師か何か!?」
 どうやら、周りから見たら自分が唐突に出現したように見えるらしい。子供に囲まれ、
才人はどうしたらいいか困る。
「あッ、いや、それはね……!」
 そこに先ほどの青年が、連れている外国人たちを置いて才人の元に駆け寄ってきた。
「ごめんね! ちょっとごめんね!」
 そうして半ば強引に才人を、人のいないところまで連れていった。
 落ち着いた場所で、ベンチに腰掛けた二人は話を始める。
「何だかすいません。仕事中みたいだったのに……」
 青年はツアーのガイドのようであった。その仕事を邪魔する形になったと才人は申し訳なく
思うが、青年は首を振った。
「いいんだ。それよりさっきのことを詳しく聞きたい。……とても不思議な出来事だった。
実際に怪獣がいて、ウルトラマンがいて……」
「ウルトラマンがいて?」
 青年の言葉に違和感を持った才人に、ゼロがひそひそと教える。
『この世界にウルトラ戦士はいねぇが、ウルトラマンが架空の存在としては存在してるんだ。
テレビのヒーローって形でな』
『テレビのヒーロー! そういう世界もあるのか!』
 驚いた才人は、ここでふと青年に問いかける。
「そういえば、まだ名前を伺ってなかったですね」
「ああごめん。申し遅れたね」
 青年は才人に向かって、自分の名前を教えた。
「僕はマドカ・ダイゴと言うんだ。よろしく」
 マドカ・ダイゴ……。かつて『ウルトラマン』に夢中になっていた三人の少年の一人であり、
彼こそがこの物語の世界の主人公なのであった。

『……』
 そしてダイゴと会話する才人の様子を、はるか遠くから、真っ黒いローブで姿を隠したような
怪しい存在……この物語の悪役たる「黒い影法師」が観察していた……。

803 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/04(日) 18:23:03 ID:i7FNJALY
今回はここまでです。
大決戦!超ウルトラ8兄弟(誤りなし)

804 ウルトラ5番目の使い魔 ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 11:41:14 ID:9ZOoAC8I
ウルゼロの人、乙です。では私もまいります

805 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (1/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 11:43:20 ID:9ZOoAC8I
 第59話
 予期せぬ刺客
 
 UFO怪獣 アブドラールス
 円盤生物 サタンモア 登場!
 
 
「さて皆さん、ここで質問です。あるスポーツで、とても強いチームと戦わねばならないとします。まともに試合をしてはとても敵いません。さて、あなたならどうしますか?」
 
「ふむふむ、『あきらめない』『必死に練習をする』。ノンノン、そんなことじゃとても敵わない相手です。たとえばあなた、ウルトラ兄弟を全員いっぺんに相手にして勝てますか? 無理でしょう」
 
「では、『反則をする』『審判を買収する』『相手チームに妨害をかける』。なるほどなるほど、よくある手段ですが、発想が貧困ですねぇ」
 
「いいですか? 本当の強者は、もっとエレガンツな方法で勝利を掴むものなのですよ。それをこれからお見せいたしましょう」
 
「んん? 私が誰かって? それはしばらくヒ・ミ・ツです。ウフフフ……」
 
 
 間幕が終わり、また新たな舞台の幕が上がる。
 
 
 ハルケギニア全土を震撼させたトリスタニア攻防戦、そして始祖ブリミルの降臨による戦争終結から早くも数日の時が流れた。
 その間、世界中で起きた混乱も少しずつ終息に向かい、民の間にも安らぎが戻ってきている。
 もちろん、裏では教皇が実は侵略者だったことに尾を引く動乱は、ブリミル教徒の中では枚挙の暇もなく続いていた。ただそれも、始祖ブリミル直々のお言葉という鶴の一声のおかげで、少なくとも善良な神父や神官については無事に済んでおり、今日も朝から街や村でのお祈りの声が途切れることはない。
「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかなる糧を我に与えたもうたことを感謝いたします」
 戦火の中心であったトリスタニアでも、今では料理のための煙が空にたなびき、復興のためのノコギリやトンカチの音が軽快に響いている。

806 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (2/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 11:45:33 ID:9ZOoAC8I
 やっと戻ってきた平和。そして、長い間陽光をさえぎって世界を闇に包んでいたドビシの暗雲が消えたことで、ようやく人々に安息の笑顔が蘇り、元通りの日常を取り戻すという希望が街中に満ち溢れていた。
 瓦礫は取り除かれ、道には資材を積んだ荷馬車が行き来する。昨年にベロクロンによって灰燼に帰したトリスタニアを復興した経験のある人々は、あれに比べたらマシだと汗を光らせて仕事に精を出す。
 戦火を逃れて避難していた町民たちも自分の家や店に戻ってきつつあり、中央広場では止められていた噴水が再び水を噴き始め、その周りでは子供たちが遊んでいる。
 そうなると、商売っ気を出してくるのが人の常だ。すでに一部の店舗は営業を再開しつつあり、魅惑の妖精亭でも本業への復帰の盛り上がりを見せていた。
「さあ妖精さんたち、戦争も終わってこれからはお金がものを言う時代よ。みんなで必死で守ったこのお店で、修理代なんか吹っ飛ばすくらい稼いじゃいましょう! いいことーっ!」
「がんばりましょう! ミ・マドモアゼル!」
「トレビアーン! みんな元気でミ・マドモアゼルったら涙が出ちゃう。そんなみんなに嬉しいお知らせよ。みんな無事でこうして集ってくれたお礼に、なんと一日交代で全員に我が魅惑の妖精亭の家宝である魅惑の妖精のビスチェを着用させてあげるわ」
「最高です! ミ・マドモアゼル!」
「うーん、みんな張り切ってるわねえ。さあ、お客さんが待っているわよ。まずは元気よく、魅惑の妖精のお約束! ア〜〜〜ンッ!」
 スカロンのなまめかしくもおぞましいポージングに合わせて、ジェシカをはじめとする少女たちが半壊した店で明るく声をあげていった。
 あの戦いの終わった後で、魅惑の妖精亭でもいろいろなことがあった。新たな出会い、再会、それらの舞台となった大切なこの店は、これからもずっと繁盛させていかないといけない。
 
 賑わう店、だがこれはここだけのことではない。
 戦争が終わったことで、タルブ村やラ・ロシェールのような辺境。アルビオンのような他国でも、同じように活気は戻ってきつつある。
 人は不幸があっても、それを乗り越えて前へ進む。それが人の強みだ。
 
 けれど、平和が完全に戻るためにはまだ大きな障害が残っている。
 トリステイン魔法学院の校長室から、オスマン学院長が無人の学院を見下ろして寂しそうにつぶやいた。
「魔法学院の休校は無期限継続か。いったいいつになったら学び舎に子供たちが帰ってこれるのかのう……」
 戦争は終わったけれども、トリステインの戦時体制は解除されていない。あれだけ大規模であった戦争は、その後始末にも膨大な手間を要し、教員や生徒であっても貴族には仕事は山のようにあり、トリステインが猫の手も借りたい状況は終わっていなかったのである。

807 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (3/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 11:46:58 ID:9ZOoAC8I
 学院が休校になった後、校舎には警備と保全のための最低限の人間のみで、教員で残っているのは高齢を理由に参戦を控えたオスマンのみ。しかしそれでも、いつでも学院を再開できるように待ち続けており、貴族はいなくても厨房ではマルトーやリュリュたちが火を消さずにいる。
 
 
 平和は一度失うと、取り戻すための代償は大きい。しかし、現世は戦わなければ大切なものを得ることのできない修羅界でもある。
 だが、勝利の余韻が過ぎ去った後に、戦士たちに戻ってくるのが闘志とは限らない。忘れてはならないが、才人は元々はただの高校生、ルイズたちにしても、貴族として国のために命を捧げる覚悟は詰んできたものの、まだ十代の少年少女に過ぎない。
 そんな彼らに、戦争には必ず潜んでいるが、これまで大きく現れることのなかった魔物が、音もなく侵食しはじめてきていたのだ。
 
 
 確かにロマリアが主体となった戦争は終わり、聖戦は回避された。けれども、凶王ジョゼフのガリアがまだ残っている。鉄火なくしてこれを倒せると思っている人間はひとりもいなかった。
 また、次の戦争が始まる……対すべき敵はガリア王ジョゼフ。教皇と手を組み、世界を我が物にせんと企んでいたと目される無能王と、ガリア王家の正等後継者として帰って来たシャルロット王女との全面対決はもはや必至と誰もが思っていた。
 そして戦争の中心にいた才人やルイズたちも、ブリミルとの別れから、再会や出会いを経て、新たな戦いへ向けての準備を始めている。しかし彼らは、これが正しいことと理解しながらも一抹の寂しさを覚えていた。
「なんかタバサのやつ、ずいぶん遠くに行っちまった気がするな」
 才人は、ガリアの女王としてガリア兵士の前でふるまうタバサを見るたびにそう思うのだった。正確にはまだ正式に即位していないので女王というのは自称に過ぎないのだが、トリステインに投降したガリア兵をはじめ、ほとんどの人間がいまやシャルロット女王こそガリアの正統なる統治者だと認識していた。
 これはシャルロット王女が始祖ブリミルの直接の祝福を受けたことが最大の理由ではあるが、単純に、タバサの父であったオルレアン公の人気の高さと、ジョゼフの人望のなさが反映されたというのも大きい。
 オルレアン公が暗殺されたのは四年前。ルイズたちもまだまだ子供の頃で、しかも外国のことであるので当時は詳しくなかったのだが、まさか自分たちのクラスメイトがその渦中の人になるとは想像もできなかった。
「すんなりアンリエッタ女王に決まったトリステインは幸運だったのかもしれないわね。たったひとつの王の椅子を巡って家族で争う、ね……タバサ……でも、それがあの子の選んだ道なのよ。むしろ、これまで友人でいられたことのほうがおかしかったのよ」

808 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (4/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 11:49:37 ID:9ZOoAC8I
 ルイズも、もしもカトレアやエレオノールと争うことになっていたらと思うとぞっとした。自分は貴族の責務を背負っていることを自覚してきたが、王族の責務からしたら軽いものだ。
 今ではタバサにまともに話しかける機会さえなかなかない。しかしそんなわずかな機会に話した中でも、タバサはガリアのために女王となることに迷いを見せてはいなかった。
「本来はわたし一人であの男と決着をつけるつもりだった。でも、もうこれ以上わたしの私情で対決を引き伸ばして世界中に迷惑をかけるわけにはいかない。わたしはガリアの女王になる、これはもう決めたことだから」
 タバサにはっきりとそう告げられ、ルイズたちはそれ以上なにも言うことはできなかった。
「タバサもきっと、わたしたちと同じように異世界でいろんな経験をしてきたのよ。寂しいけど、きっとそれがガリアにとってもタバサ自身にとってもきっと一番いいことなんだわ」
「そうだよな、おれたちはタバサの意思を尊重しなくちゃいけない……ってのはわかってんだけど、もう学院に戻れてもタバサはいないんだぜ。やっぱり寂しいぜ」
「サイト、もうわたしたちの感情でどうこうできるレベルの話じゃないのよ。それに、寂しいっていうならキュルケが我慢してるのに、わたしたちが愚痴を言うわけにはいかないわよ」
 ふたりとも、タバサにはこれまで多くの借りがあった。それを返したい気持ちも多々あるが、ルイズの言うとおり、一国の運命がかかっているというのに自分たちの私情でタバサに迷惑をかけることはできなかった。
 ガリア王国がタバサの手に渡るか、それともジョゼフの手にあり続けるか。それによってガリアだけでも何十万人もの生死に関わってくることと言われれば、才人も返す言葉がなかった。こればかりはウルトラマンたちがいようとどうすることもできない。
 コルベールやギーシュたちも、タバサが実はガリアの王女だったと知って驚いたものの、今ではできるだけ彼女を支えるべく行動している。彼らはルイズと同じく、貴族や王族の責務というものを心得ていて、才人はギーシュたちのそんな切り替えの速さを見ながら、やはり自分はこの世界の人間とは異質な存在なんだなと心の片隅で思っていた。
「なあルイズ、確か学院の予定だったら、もうすぐ全校校外実習……要するに遠足だろ? せめてそれくらい」
「サイト! 今はそんなこと言ってる場合じゃないって何度言えばわかるのよ。今タバサがガリアを統治できたらハルケギニアはようやく安定できるわ。それが、一番多くの人のためになることで、それはタバサにしかできないことだって、これ以上言わせると承知しないわよ!」
「ご、ごめん。でも、どうしても釈然としなくてさ。やっと教皇を倒してホッとできると思ったらまた戦争だぜ。これで本当に平和が来るのかと思ってさ」
 才人の暗い表情に、ルイズも気分が悪いのは同調していた。
 もしもガリアをタバサが統治できれば、アルビオン・トリステイン・ガリアで強固な連帯が組まれてハルケギニアは安定する。そして三国が協調すればゲルマニアも追従せざるを得なくなる。ロマリアは勢力が大幅に減退してしまっており問題にならず、実質的にハルケギニアに平和が訪れるということになるのだ。
 もちろん、完全な平和とはいかないが、平和とは地球でも均衡の上に成り立つものだ。そもそも世界中の人間が心から仲良く、などとなれば『国』というものがいらなくなる。残念ながら、それが実現するのは遠い遠い未来のお話であろう。
 うかない気分をぬぐいきれずに、次の戦いの準備を進める才人たち。その様子を、ウルトラマンたちも複雑な心境で見守っていた。

809 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (5/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 11:56:30 ID:9ZOoAC8I
「長引きすぎる戦いに、皆が疲れ始めているようだ。しかし、我々にはどうすることもできない」
 再び旅立ったモロボシ・ダンが言い残した言葉である。彼をはじめ、どの世界のウルトラマンもこの戦争には関与できない。もしもジョゼフが怪獣を投入してきた場合は別だが、それ以外では静観するしかないのだ。
 この戦争は、あくまでハルケギニアの人間同士の勢力争いである。宇宙警備隊の範疇ではなく、我夢やアスカらにしても直接関わるのははばかられた。彼らは戦争中にヤプールや他の侵略者が介入してこないかを見張ってくれている。
 だが、彼らは外部からの侵略者よりも、この世界での友人たちの内面が受ける心配をしていた。特にウルトラマンアグルこと、藤宮博也はこの世界の状況を見て我夢にこう言っている。
「人間は、自分が”狙われている”という状況にいつまでも耐えられるほど強くはない。この世界の人間たちも、俺たちの世界の人間たちと同じ過ちを犯しかねない状況になっている」
 我夢や藤宮のいた世界では、いつ終わるともわからない破滅招来体との戦いの中で人間たちは焦り、地底貫通弾による地底怪獣の早期抹殺や、ワープミサイルでの怪獣惑星の爆破などといった強攻策を浅慮に選んで手痛い目に何度も会っている。M78世界でも、防衛軍内を騒然とさせた超兵器R1号計画の推移も、度重なる宇宙からの侵略に地球人たちが「いいかげんにしろ」としびれを切らせた気持ちがあったことをダンは理解している。戦いに疲れ果て、もう戦うのは嫌だという気持ちが人に正気を失わせてしまうのだ。
 今のハルケギニアは、長引く戦いで疲れが溜まりきってしまっている。このまま開戦すれば、決着を焦った人々によって何が起こるかわからない。ウルトラマンたちはそれを懸念していた。
 けれど、戦いを避けるという選択肢が実質ないことも皆が理解していた。当初、アンリエッタらは圧倒的戦力差を背景にしてジョゼフに生命の保証を条件に降伏を迫ろうと提案したが、タバサがジョゼフの異常性を主張して断念させた。
「忘れないでほしい。あの男は、王になるために自分の弟を殺した男だということを。そして、王でなくなったあの男を受け入れるところなんて世界中のどこにもない、ガリアの民がそれを許さないということを」
 一切の反論を封じる、タバサの氷のような視線が残酷な現実を突きつけていた。
 ジョゼフの積み上げてきた業は、もう生きて清算できるようなものではない憎悪をガリアの民から買っている。ガリアの民は、ジョゼフの支配が完全な形で終わることを望んでいた。
 
 トリステインでは、前の戦争で攻め込んできたガリア軍がそのままシャルロット女王の軍となり、ガリア解放のために動く準備を日々整えている。
 開戦の日は近い。才人たちは、あくまでもタバサに個人的に協力するという立場で、ひとつの街ほどの規模のあるガリア軍の宿営地で手伝いを続けていた。
 
 
 だが、戦いの火蓋は感情や理屈を無視して、文字通り災厄のように切って落とされた。

810 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (6/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 11:58:00 ID:9ZOoAC8I
「おわぁぁぁっ! なんだ、敵襲かぁ?」
 ガリア軍の宿営地に火の手があがった。同時に爆発音が鳴り、砂塵が舞い上がって悲鳴がこだまする。
 兵士たちの仮の寝床であるテントが次々と吹き飛ばされ、武器を持つ間もなく飛び出したガリア兵たちが右往左往と走り回る。
 それを引き起こしている元凶。それは、この一分ほど前、宿営地を襲った激震を前兆として現れた。
「地震か! おい、みんな外へ出ろ!」
 そのとき、テントの中では才人やルイズがギーシュたち水精霊騎士隊と休息をとっていた。しかし、突然の地震に驚き、とにかく外へと飛び出たとき、彼らは地中から空へと躍り出る信じられないものを目の当たりにしたのだ。
「サイト! あの円盤は」
「あれは! なんであれがまた!?」
 地中から現れて、宿営地を見下ろすように空に浮かんでいる光り輝くUFOの姿にルイズと才人は愕然とした。
 白色に輝くあのUFOは、一年前の雨の夜、リッシュモンが操ってトリスタニアを襲撃したものとまったく同じだったのだ。
 だがあれは確かに破壊したはず。それがなぜまた現れる!? 同じ型のUFOがまだあったのか? だがUFOは困惑する才人たちを尻目に、破壊光線を乱射して宿営地を攻撃し始めた。あまりに突然の襲撃に、宿営地は完全に秩序を失った混乱に陥っている。
「くそっ、考えてる暇はねえか。ルイズ、あいててて!」
「遅いわよバカ犬。このままじゃガリア軍はすぐ全滅しちゃうわ、戦えるのはわたしたちしかいない。行くわよ」
 ルイズは才人の耳を引っ張りながら連れ出そうとした。完全にふいを打たれたガリア軍に邀撃する術はなく、トリステインから援軍が来るのを待っている余裕もない。
 いや、迎え撃つ余裕があったとしても、竜騎士の力程度ではあのUFOに対抗する術はない。なにより、今ここを襲撃してくるのはジョゼフの息のかかったものに違いない。ここには全軍を統率する立場としてタバサもいる。タバサがやられたらガリアは完全におしまいだ。
「あんなのが出てきたなら、こっちだって遠慮する必要はないわ。わたしのエクスプロージョンで叩き落してあげる、それでダメならわかってるんでしょバカ犬!」
「わかったわかった! わかったからもうやめろってご主人様」
 UFOが相手ならウルトラマンAも遠慮する必要はない。ともかく、ギーシュたちの目の届かない場所に移動するのが先決だ。幸い連中もあたふたしていて、今ふたりが姿を消したとしても気づかれない。
 だが、UFOはふたりが行動を起こすよりも早く、下部からリング状の光線を放射して地上にあの怪獣を出現させた。黒光りするヌメヌメとした体表に、黄色い目を持ち、体から無数の触手を生やしたグロテスクなあの怪獣は。

811 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (7/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 11:59:15 ID:9ZOoAC8I
「アブドラールス! くそっ、あいつも前に倒したはずなのに。どっからまた出てきやがった!」
 才人が毒づく前で、アブドラールスはさっそく目から破壊光線を放って宿営地を破壊し始めた。その圧倒的な猛威の前には、ガリア軍は文字通り成すすべもない。
 もう躊躇している場合ではない。ここにいるウルトラマンはエースだけ、才人とルイズは急いで変身をしようと踵を返しかけた、だがその瞬間。
「うわっ! なんだこの突風は!?」
 猛烈な風が吹いて、才人は飛ばされそうになったルイズを抱きとめてかがんだ。
 うっすらと目を開けて見れば、さっきまでいたテントが突風にあおられて飛んでいき、ギーシュたちも手近なものに掴まってこらえている。
 あのUFOかアブドラールスの仕業か? だがどちらも突風を起こすような攻撃は持っていなかったはず、なのにと才人が考えたとき、空を見上げたルイズが引きつった声で才人に言った。
「サ、サイト、空を見て!」
「な、なんだよ……そんな……そんなことってあるかよ!」
 才人は自分の目が信じられなかった。空を飛びまわる船ほどもある巨大な鳥、それは以前にアルビオンで戦って倒したはずのあの怪獣。
「円盤生物サタンモア! どうなってんだ、なんでまた倒したはずの奴が」
 奴は確かにアルビオンで葬ったはず。しかし、驚くべきことはそれだけではなかった。サタンモアの背中に人影が現れ、才人とルイズにとって聞き覚えのある声で呼びかけてきたのだ。
「久しぶりだねルイズ、それに使い魔の少年!」
「その声、そんな……そんな、ありえない!」
「てめえ! なんでここにいやがる。てめえ、てめえは確かにあのときに」
 ルイズと才人にとっての忌むべき敵のひとり。トリステインの貴族の衣装をまとい、レイピア状の杖を向けてくるつば広の帽子をかぶった男。

812 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (8/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 12:00:56 ID:9ZOoAC8I
 だが、こいつはとうにこの世からいないはずだ。それが何故ここに? 才人とルイズの頭に怒りを上回る困惑が湧いてくる。
 混乱を増していく戦場。いったいなにが起こって、いや起ころうとしているのだろうか? これもジョゼフの策略なのだろうか?
 
 
 だが、混沌の元凶はジョゼフではなかった。それは、ジョゼフさえも観客として、自分が作り出したこの惨劇を遠くガリアのヴィルサルテイル宮殿から眺めている。
「さあ、楽しいショーが始まりましたよ。王様、とくとご覧ください。そうすれば私の言ったことが本当だとおわかりになるでしょう。そうしたら、私のお願い、かなえてくれますよね? ウフフフ」
「……」
 遠くトリステインの状況を映し出しているモニターを、ジョゼフが無言で見つめている。その表情にはいつもの自分を含めたすべてをあざ笑っているような余裕はなく、この男には似つかわしくはない緊張が張り付いていた。
 この部屋には、そんな様子を怒りをかみ殺しながら見守っているシェフィールドと、もうひとり人間ならざる者が宙にぷかぷか浮きながら楽しそうな笑い声を漏らしている。
 
 教皇に対してさえ平常を崩さなかったジョゼフに態度を変えさせる、こいつはいったい何者なのであろうか?
 それはむろん、ハルケギニアの者ではない。人間たちの思惑などは完全に無視して、戦争の気配が再度高まるハルケギニアに、誰一人として予想していなかった第三者が介入を計ろうとしていたのだ。
 
 それはこのほんの数時間前のこと。そいつは誰にも気づかれずに時空を超えてハルケギニアにやってくると、楽しそうに笑いながらガリアに向かった。
「ここが、ふふーん……なかなか良さそうな星じゃありませんか。ウフフフ」
 それは痛烈な皮肉であったかもしれない。今のガリアは王政府が混乱の巷にあり、貴族や役人たちが不毛な議論に時間を浪費し続けていた。もっともジョゼフはそんなことには何らの興味も持たず、タバサとの最後のゲームに向けて、機が熟するのを暇を持て余しながら気ままに待っていた。
 ジョゼフのいるのはグラン・トロワの最奥の王族の居住区。豪奢な寝室のテラスからは広大な庭園が一望でき、太陽の戻ってきた空の下で花や草が生き生きと美しく輝いている。それに対して、グラン・トロワの大会議室では大臣たちがシャルロット王女の立脚に対して、王政府はどう出ようかと紛糾しているのだが、ここには飽きもせず続いている罵詈雑言の嵐も届きはしない。
「まったく変なものだ。命が惜しければ、さっさと領地に逃げもどるなり、シャルロットに頭を下げるなりすればいいものを。いつまで宮殿に張り付いて、決まりもしない大義とやらを探し求めているのやら」

813 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (9/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 12:02:31 ID:9ZOoAC8I
「ジョゼフ様、彼らはせっかく手に入れた地位を奪われるのが怖いのですわよ。シャルロット姫が帰ってくれば、彼らは確実に失脚します。命は助けられたとしても、一生を閑職で過ごすことになるのは明白。他人を見下すことに慣れた人間は、自分が見下されるようになるのが我慢できないのですわ」
 傍らに控えるシェフィールドが疑問に答えると、ジョゼフは理解できないというふうに首を振った。
「人を見下すというものが、そんなにいいものなのか余にはわからぬな。余は王族だが、すべてにおいて弟に劣る兄として侍従にまで見下されて育ったものよ。増して、今は世界中の人間が余を無能王と呼んでいる。そんな無能王の家来が、いったい誰を見下せるのか? 大臣たちはそんなこともわからんと見える」
 心底あきれ果てた様子で笑うジョゼフに、シェフィールドはうやうやしく頭を下げた。
「まったくそのとおりです。やがてシャルロット姫は軍勢を率いてここに攻めてくるでしょう。彼らにはそのとき、適当な捨て駒になってもらいましょう」
「はっはは、捨て駒にしても誰も惜しまなさ過ぎてつまらんな。今やガリアの名のある者は続々とシャルロットの下に集っている。対して余にはゴミばかり……フフ、これだけ絶望的な状況でゲームを組み立てるのもまた一興。シャルロット、早く来い! ここは退屈で退屈でかなわん。俺の首ならくれてやるから、代わりに俺はガリアの燃える姿を見せてやる。そのときのお前の顔を見て、俺の心は震えるのか? 今の俺にはそれだけが楽しみなのだ」
 空に向かって吼えるジョゼフ。その顔には追い詰められた暴君が死刑台に怯える気配は微塵も無く、最後に己の城に火を放って全てを道連れにしようとする城主をもしのぐ、すべてに愛着を捨てた虚無の残り火だけがくすぶり続けていた。
 
 すでにジョゼフの胸中には、これから起こるであろう戦争をいかに凄惨な惨劇にしようかという試案がいくつも浮かんでいる。数万、数十万、うまくいけば数百万の人命を地獄の業火に巻き込む腹案さえもある。
 だが、シェフィールドに酌をさせながら思案をめぐらせるジョゼフの下に、突如どこからともなく聞きなれない笑い声が響いてきた。
「おっほっほほ、これはまた聞きしに勝るきょーおーっぷりですねえ。人の上に立つ者とは思えないその投げ槍っぷり、わざわざ足を運んだかいがあったというものです」
 わざと音程に抑揚をつけて、聞く相手を不快にさせるためにしゃべっているような声に、真っ先に反応したのは当然シェフィールドだった。「何者!」と叫び、声のした方向に立ちふさがってジョゼフを守ろうとする。
 そして声の主は、自分の存在を誇示するように堂々とふたりの前に現れた。
「どぉーも、はじめまして王様。本日はお日柄もよく、たいへんご機嫌うるわしく存じます。ううぅーん? この世界のお辞儀って、これでよかったですかね」
 敬語まじりではあっても明らかに相手を小ばかにした物言い。ジョゼフたちの前に現れたそいつは、身の丈こそ人間と同じくらいではあるものの、ハルケギニアのいかなる種族とも似ていないいかつい姿をしていた。

814 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (10/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 12:04:17 ID:9ZOoAC8I
 ”宇宙人か?” すでにムザン星人やレイビーク星人などの宇宙人をいくらか見知っていたシェフィールドはそう推測したが、そいつはシェフィールドの知っているいずれの星人とも似ていなかった。また、シェフィールドは自身の情報力で、ハルケギニアに現れたほかの宇宙人の情報も可能な限り調べ、その容姿も頭に入れていたが、やはりそのどれとも該当しない。仮にここに才人がいたとしても「知らない」と言うだろう。
 シェフィールドは長い黒髪の下の瞳を鋭く切り上げて、ほんの数メイル先で無遠慮に立っている宇宙人の悪魔にも似た姿を睨みつける。いざとなれば、その額にミョズニトニルンのルーンを輝かせ、隠し持った魔道具で八つ裂きにするつもりだ。
 だがジョゼフはシェフィールドを悠然と制し、目の前の宇宙人にのんびりと話しかけた。
「まあ待てミューズよ。余に害を成すつもりならば、頭にカビの生えた騎士でもなければさっさとふいをつけばいいだけであろう。はっはっはっ、ロマリアの奴といい、悪党はノックをせずに入ってくるのが世界的なマナーらしいな」
「あら? 私としたことが誰かの二番煎じでしたか。これは恥ずかしい、次からは花束でも持参で来ることにいたしましょう。あっと、申し送れました。私、こういう者で、この方の紹介で参りました」
 わざとらしい仕草でジョゼフのジョークに答えると、宇宙人は二枚の名刺を取り出してシェフィールドに手渡した。
 ご丁寧にガリア語で書いてある名刺の一枚はその宇宙人の名前が、もう一枚にはジョゼフとシェフィールドのよく知っているあいつの名前が書かれていた。
「チャリジャ……」
「ほう? あいつの名前も久しぶりに聞いたな。なるほど、あいつの知り合いか」
 シェフィールドは面倒そうに、ジョゼフは口元に笑みを浮かべながらつぶやいた。
 宇宙魔人チャリジャ、別名怪獣バイヤー。過去に、ふとしたことからハルケギニアを訪れ、この世界で怪獣を収集するかたわらジョゼフにも色々と怪獣や異世界の珍しいものを提供してくれた。商人らしく、やるべきことが済むとハルケギニアから去っていってしまったが、小太りで白塗りの顔におどけた態度は忘れようも無く覚えている。
 まさかチャリジャの名前をまた聞くことになるとは思わなかった。異世界のことは自分たちには知る方法もないが、どうやら元気に商売にせいを出しているらしい。それでと、ジョゼフが視線を向けるとそいつは楽しそうにチャリジャとの関係を話し出した。
「ええ、私もいろいろなところを歩き回ることの多いもので、彼とはある時に偶然出会って意気投合しましてねえ。それで、とある怪獣のお話になったところで、彼からあなたとこの世界のことを聞きまして。私の目的にベリーフィット! ということなのではるばるやってきた次第です」
「それはまたご苦労なことだな。で? お前は余に何の用があるというのだ? 余は退屈してたところだ、少し前まで多少は楽しいゲームを提供してくれていた奴がいたのだが、勝手に負けていなくなってしまってな。この世界が欲しいというなら手を貸してやらんでもないぞ? うん?」
 やや嫌味っぽく言うジョゼフは、その態度で相手を計ろうとしていた。これまで自分に興味を持って利用しようと接触してきた奴はいろいろいたが、いずれも途中で脱落していった。ましてやこれから始めるゲームは、シャルロットとの最後の対戦になることは確実なのだ、三下を入れてつまらなくはしたくない。

815 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (11/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 12:05:12 ID:9ZOoAC8I
 しかし、宇宙人はジョゼフの嫌味に気分を害した風もなく、むしろ肩を揺らして笑いながら言った。
「いえいえ、侵略などとんでもない。ウルトラマンがこれだけ守ってるところに侵略をかけるなんて、やるならもっと強いお方と組みますとも。実は私、同胞がちょっと面白そうなことを計画していましてね。その手伝いをできないかと考えていたのですが、あなたを利用するのが一番手っ取り早いと……おっと、私ったら余計なことまで言っちゃいました。気にしないでください」
 その言い返しにシェフィールドは唇を歪めた。間接的にジョゼフを馬鹿にされただけでなく、おどけた口調の中でもこちらを見下す態度を隠そうともしていない。話しているときの不快度ではチャリジャやロマリアの連中以上かもしれない。
 だがジョゼフは相変わらず気にもせずに薄ら笑いを続けている。元より傷つけられて困るプライドがないせいもあり、何事も他人事を言っているようにも聞こえる不快な態度をとるのは彼も似たようなものである。
「ははは、よいよい、悪党は悪党らしくせねばな。それで、余にどうしろというのだ? 悪事の片棒を担ぐのはやぶさかではないが、余もそこまで暇ではない。利用されるかいがあるような、それなりに立派な目的なのかな、それは?」
 つまらない理由なら盛大に笑ってやるつもりでジョゼフはいた。宇宙人を相手にしてはミョズニトニルンや自分の虚無の魔法でもかなわない公算が高いが、かといって惜しい命も持ち合わせてはいない。
 宇宙人は、その手を顔に当てて大仰に笑った仕草をとった。どうやらジョゼフの物怖じしない態度が気に入ったらしい。そいつは、ジョゼフに自分の目的を語って聞かせると、さらに得意げに言った。
「……と、いうわけでご協力をいただきたいのですよ。どうです? 王様に損はないでしょう。それに、王様と王女様のゲームとしても存分に楽しめると思いますよ。なにより、私も見てて面白そうですしねえ」
「なるほど、確かに一石二鳥で、しかも余から見てさえ悪趣味なことこの上無いゲームだな……だが、貴様はひとつ忘れているぞ。そのゲーム、余はともかくとしてシャルロットが乗ってこなければ話になるまい。あの娘がこんな舞台に乗ってくるとは思えんがな」
「だぁいじょうぶですとも! チャリジャさんからそのあたりの事情はよーく聞き及んでおります。ですから、あなた方に是非とも参加いただけるほどの、素敵な景品をプレゼントさせていただきますよ。ゲームが終わった暁には、王様へのお礼もかねて、
なな、なんと特別に!」
 宇宙人は高らかに、ジョゼフに向かって『豪華プレゼント』の中身を暴露した。
 その内容に、シェフィールドは戦慄し、そしてジョゼフも。
「な、んだと……?」
 なんと、ジョゼフの表情に狼狽が浮かんでいた。あの、自分を含めた世界のすべてに対して唾を吐きかけて踏みにじってなお、眉ひとつ動かさないほどにこの世に冷め切っているジョゼフがである。

816 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (12/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 12:05:59 ID:9ZOoAC8I
 あの日以来、何年ぶりかになる脂汗がジョゼフの額に浮かんでくる。だが宇宙人は、ジョゼフとシェフィールドが怒声を上げるより早く、勝ち誇るように宣言してみせた。
「おやおや、ご信用いただけない様子? では、お近づきの挨拶もかねて軽いデモンストレーションをいたしましょう。それできっと、私の言うことが本当だと信じていただけるでしょう。フフ、アーッハッハハ!」
 狂気さえにじませる宇宙人の笑い声がグラン・トロワに響き渡った。
 この日を境に、ジョゼフとタバサの最後の決闘となるはずだった歴史は、いたずらな第三者の介入によって狂い始める。その魔の手によって混沌と化していく未来が、魔女の顔をして幕から姿を現そうとしている。
 
 
 所は移り変わってトリステイン。時間を今に戻して、燃え盛る宿営地に二匹の怪獣が暴れ周り、人とも物ともつかぬものが舞い上げられていく。
 その頃、タバサは北花壇騎士として培った経験からすぐに衝撃から立ち直り、杖を持って飛び出していた。そしてすぐにトリステインに連絡をとり、援軍を要請するよう指示を出すとともに混乱する軍をまとめるために声をあげる。そこには戦士としてのタバサではなく、指導者としてのタバサがいた。
 タバサは、この襲撃がジョゼフによるものであることを確信していた。戦争が始まる前に、反抗勢力ごと自分を抹殺するつもりなのか? だけど、わたしはあなたの首をとるまでは死ぬつもりはない。
 だがタバサといえども、これがそんな常識的な判断によるものではなく、よりひねくれた、より壮大且つ宇宙全体に対して巨大な影響を与えるほどの計画の前哨であることを知る由もなかった。
 そして、これがタバサとジョゼフの最後の対決を、まったく誰も予測していなかった方向へ導くことも、ハルケギニア全体に壮大な悲喜劇を撒き散らすことも誰も知らない。
 
 それでも、運命の歯車は無慈悲に回り続けている。
 空を飛ぶサタンモアの背に立つ男から、ウィンドブレイクの魔法が地上の才人めがけて撃ちかけられてきた!

817 ウルトラ5番目の使い魔 59話 (13/13) ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 12:07:11 ID:9ZOoAC8I
「相棒、俺を使え!」
「わかったぜ!」
 才人は背中に手を伸ばし、再生デルフリンガーを抜き放った。
「でやぁぁぁっ!」
 魔法の風が刀身に吸い込まれ、才人とルイズには傷一つつけられずに消滅した。しかし、男はむしろ楽しそうにあざ笑う。
「どうやら腕は落ちていないようだね使い魔の少年、そうこなくては面白くない。以前の借りをルイズともどもまとめて返させてもらおうか」
「てめえこそ、どうやら幽霊じゃねえみたいだな。いったいどうやって戻ってきやがった、ワルド!」
 
 倒したはずの怪獣、死んだはずの人間。それが現れてくる理解不能な現実。
 常識は非常識に塗り替えられ、前の編の総括すらすまないまま、新たな幕開けは嵐のようにやってきた。
 役者はまだ舞台に上がりきってすらいない。しかし、客席から乱入してきた飛び入りによってカーテンコールは強要され、悲劇の幕開けは笑劇へと変えられた。
 それでも運命という支配人は残酷な歯車を回し続ける。舞台セットや奈落が勝手に動き回る狂乱の舞台が、ここに始まった。
 
 
 続く

818 ウルトラ5番目の使い魔 あとがき ◆213pT8BiCc :2017/06/07(水) 12:11:59 ID:9ZOoAC8I
今回はここまでです。新章初、お楽しみいただけたでしょうか。
最初ですので勢いとインパクト重視でいきました。そのせいでハルケギニアに来たアスカや我夢たちがどうしたのかということを楽しみにしていただいていた方にはすみませんが、それらも順を追って書いていきますのでお待ちください。

819 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/08(木) 03:39:36 ID:hRNpquWg
5番目の人、乙です。続く形で投下します。
開始は3:42からで。

820 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/08(木) 03:43:02 ID:hRNpquWg
ウルトラマンゼロの使い魔
第百四十四話「六冊目『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(その2)」
双頭怪獣キングパンドン
地獄星人スーパーヒッポリト星人
剛力怪獣キングシルバゴン
超力怪獣キングゴルドラス
風ノ魔王獣マガバッサー
土ノ魔王獣マガグランドキング
水ノ魔王獣マガジャッパ
火ノ魔王獣マガパンドン 登場

 ルイズの魔力を奪った『古き本』も遂に最後の一冊となった。最後の本は、かつてウルトラマン
メビウスが赤い靴の少女に導かれて迷い込んだパラレルワールドの地球。そこにはウルトラ戦士は
いないのだが、そんな世界を侵略者が狙っている。才人とゼロは位相のずれた空間で、キングゲスラに
襲われる青年を発見するが、何故かメビウスが現れない。その時ゼロは気がついた。この物語では、
自分たちがメビウスの役割を果たすのだと! キングゲスラを撃退したゼロたちは、青年――
マドカ・ダイゴと邂逅を果たす。

 ダイゴに赤い靴の少女から聞かされた、「七人の勇者」のことを話した才人は、それらしい
人たちに心当たりがあるというダイゴに導かれて、ある四人のところへ行った。
「おお、ダイゴ君。そちらは?」
 その四人とは、自転車屋のハヤタ、ハワイアンレストラン店主のモロボシ・ダン、自動車
整備工場の郷秀樹、パン屋の北斗星司。……ゼロがよく知っている、ウルトラマン、セブン、
ジャック、エースの地球人としての姿そのままであった。ダイゴは彼らがウルトラ戦士に
変身するのを幻視したのだという。
 だがこの世界での彼らは、ウルトラ戦士ではない普通の地球人であった。ウルトラ戦士に
変身する力を秘めているのはまず間違いないであろうが、それはどうやったら目覚めさせる
ことが出来るのだろうか……。
『ゼロ、ウルトラマンメビウスから方法とか聞いてないのか?』
『いや……詳しいこと聞いた訳じゃねぇからなぁ……』
 才人が困っているのを見て取って、ダイゴが励ますように告げた。
「まだ、あきらめることないよ。だって……あの四人は、この世界でもヒーローだから。
いくつになっても夢を忘れないって言うか、カッコよくて、小さい頃と同じように
憧れられる、特別な人たち……。だから、きっと思い出すと思うんだ! 自分たちが、
別の世界ではウルトラマンだったってこと!」
「そうですね……俺も信じます!」
 ダイゴの呼びかけに才人が固くうなずくと、ダイゴはふとつぶやいた。
「でも、残る三人の勇者は誰なんだろう。この街のどこかにいるのかな」
 すると才人が告げる。
「その内の一人は、ダイゴさんだと俺は思います!」
「えぇッ!? 俺!?」
 仰天して目を丸くしたダイゴは、ぶんぶん首を振って否定した。
「そ、それはないよ! 僕なんかは、ハヤタさんたちとは全然違うから……夢も途中で
あきらめてしまったし……僕にウルトラマンになる資格なんてないよ」
 自嘲するダイゴに、才人は熱心に述べる。
「いいえ。ダイゴさんには強い勇気があるじゃないですか。俺たちが危ない時に、危険に
飛び込んで助言をくれました」
「あ、あの程度のこと、別に普通さ……」
「いえ、勇気があってこそです」
 ダイゴに己のことを語る才人。
「俺も初めは、特に取り柄のない普通の人間でした。だけど勇気を持ったから、今でも
ウルトラマンゼロなんです。勇気を持つ人は……誰でもウルトラマンになれます!」
「才人君……」

821 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/08(木) 03:45:00 ID:hRNpquWg
 熱を込めて呼び掛けていた才人だったが、その時にゼロが警戒の声を発する。
『才人ッ! やばいのが近づいてきたぜ!』
「ッ!」
 バッと振り返った才人の視線の先では、海から怪しい竜巻が沿岸の工場地区にまっすぐ
上陸してきた。その竜巻が消え去ると、真っ赤な双頭の怪獣が中から姿を現す!
「キイイイイイイイイ! キュイイイイイイ!」
「怪獣!?」
 才人は工場区で暴れ始める怪獣に酷似したものを二度見覚えがあった。
「あいつは、パンドン!」
 パンドンが強化改造されて生み出された、キングパンドンだ! ダイゴは現実に現れた
怪獣の姿に驚愕する。
「でも、どうして!? 僕の住む世界に、本物の怪獣はいないはずなのに……!」
「誰かが呼び寄せたんです! それが、少女の言った勇者が必要な理由……!」
 キングパンドンは火炎弾を吐いて街への攻撃を始める。こうしてはいられない。
「ダイゴさん!」
「……行くんだね……戦いに……!」
 うなずいた才人は前に飛び出し、ゼロアイを取り出す。
「デュワッ!」
 才人はすぐさまウルトラマンゼロに変身を遂げ、パンドンの前に立ちはだかった! パンドンは
即座に敵意をゼロに向ける。
『さぁ……これ以上の暴挙は二万年早いぜ!』
 下唇をぬぐったゼロに、パンドンは火炎弾を連射して先制攻撃を仕掛ける。
「キイイイイイイイイ! キュイイイイイイ!」
『だぁッ!』
 だがゼロは相手の出方を読み、素手で火炎弾を全て空に弾いていく。
『行くぜッ!』
 頃合いを見て飛び出し、パンドンに飛び掛かろうとするも、その瞬間パンドンは双頭から
赤と青の二色の破壊光線を発射した!
 反射的に腕を交差してガードしたゼロだが、光線は防御の上からゼロを押してはね飛ばす。
『うおあッ! 何つぅ圧力だ……!』
 キングパンドンは極限まで戦闘に特化された個体。そのパワーは通常種のパンドン、
ネオパンドンをも上回るのだ。
「キイイイイイイイイ! キュイイイイイイ!」
 仰向けに倒れたゼロに対し、パンドンは破壊光線を吐き続けて執拗に追撃する。
『ぐわあああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
 ゼロの姿が爆炎の中に呑み込まれる。
「キイイイイイイイイ! キュイイイイイイ!」
 高々と勝ち誇ったパンドンは、今度は街を手当たり次第に破壊しようとするが……その二つの
脳天に手の平が覆い被さった!
『なんてな!』
「!!?」
 ゼロが器用に、パンドンの首を支えにして逆立ちしたのだ!
「キイイイイイイイイ! キュイイイイイイ!」
『自分の攻撃で自分の視界をさえぎってちゃ世話ねぇな! はぁッ!』
 ゼロはグルリと回ってパンドンの後頭部に強烈なキックを炸裂した。蹴り飛ばされたパンドンだが
反転して再度火炎弾を連射する。
『そいつは見切ったぜ!』
 しかしゼロはゼロスラッガーを飛ばして全弾切り落とし、更にパンドンの胴体も斬りつける。
「キイイイイイイイイ!!」
『行くぜッ! フィニッシュだぁッ!』
 左腕を横に伸ばし、ワイドゼロショット! 必殺光線がキングパンドンに命中して、瞬時に
爆散させた!

822 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/08(木) 03:47:45 ID:hRNpquWg
「やったッ!」
 短く歓声を発したダイゴに、ゼロはサムズアップを向ける。ダイゴもサムズアップで応えるが……。
『ッ!』
 ゼロの周囲にいきなり透明なカプセルが現れる! ――その寸前に、ゼロは側転でカプセルを
回避した。
『危ねぇッ!』
 ぎりぎりでカプセルに閉じ込められるのを逃れたゼロの前に、空から怪しい黒い煙が渦を
巻いて降ってくる。
『ほぉう……よく今のをかわしたものだな。完全な不意打ちのはずだったが……』
『へッ……似たようなことがあったからな』
 黒い煙が実体化して出現したのは、ヒッポリト星人に酷似した宇宙人……より頭身が上がり、
力もまた増したスーパーヒッポリト星人だ! 今のはヒッポリトカプセル……捕まっていたら
間違いなくアウトであった。
 十八番のカプセルを避けられたヒッポリト星人だが、その態度に余裕の色は消えない。
『だが、お前のエネルギーは既に消耗している。どの道貴様はこのヒッポリト星人に倒される
運命にあるのだ!』
 ヒッポリト星人の指摘通り、ゼロのカラータイマーはキングパンドン戦で既に赤く点滅していた。
さすがにダメージをもらいすぎたか。
『ほざきな。テメェをぶっ倒す分には、何ら問題はねぇぜ!』
 それでもひるまないゼロであったが、ヒッポリト星人は嘲笑を向ける。
『馬鹿め。怪獣があれで終わりだとでも思ったかッ!』
 ヒッポリト星人が片腕を上げると、地面が突如陥没、また空間の一部が歪み、この場に
新たな怪獣が二体も出現する!
「グルウウウウゥゥゥゥ!」
「ギュルウウウウゥゥゥゥ!」
 キングゲスラやキングパンドンと同様に、強化改造を施されたキングシルバゴンとキング
ゴルドラスだ! 新たな怪獣の出現に舌打ちするゼロ。
『くッ、まだいやがったか。だが三対一だって俺は負けな……!』
 言いかけたところで、空から黒い煙が四か所、ゼロの四方を取り囲むように降り注いだ!
『何!?』
 黒い煙はヒッポリト星人の時のように、それぞれが怪獣の姿になる。
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
「グワアアアァァァァァ! ジャパッパッ!」
「ガガァッ! ガガァッ!」
 鳥のような怪獣、グランドキングに酷似したもの、魚と獣を足し合わせたような怪物、
またパンドンに酷似した個体の四種類。それらは皆額に赤く禍々しい色彩のクリスタルが
埋め込まれていた。
『な、何だこいつらは……!』
 この四種は、あるモンスター銀河から生まれた「魔王獣」という種類の怪獣たち。風ノ魔王獣
マガバッサー、土ノ魔王獣マガグランドキング、水ノ魔王獣マガジャッパ、火ノ魔王獣マガパンドン。
内の一体を、現実世界のあるレベル3バースにて封印することになるということを、今のゼロは
まだ知らない。
 それより今はこの現状だ。さすがのゼロも、カラータイマーが点滅している状態で七体もの
敵に囲まれるのは厳しいと言わざるを得ない!
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
 しかし怪獣たちは情け容赦なく攻撃を開始する。まずはマガバッサーが大きく翼を羽ばたかせて
猛烈な突風を作り出し、ゼロに叩きつける。
『うおぉッ!』
「ガガァッ! ガガァッ!」
 身体のバランスが崩れたゼロに、マガパンドンが火炎弾を集中させる。
『ぐあぁぁぁッ!』
 灼熱の攻撃をゼロはまともに食らってしまった。更にキングシルバゴンも青い火炎弾を吐いて
ゼロを狙い撃ちにする。

823 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/08(木) 03:49:39 ID:hRNpquWg
「グルウウウウゥゥゥゥ!」
『がぁぁッ! くッ、このぉッ!』
 瞬く間に追いつめられるゼロだが、それでもただやられるだけではいられないとばかりに
エメリウムスラッシュを放った。
 しかしキングゴルドラスの張ったバリヤーにより、呆気なく防がれてしまう。
「ギュルウウウウゥゥゥゥ!」
 ゴルドラスはカウンター気味に角から電撃光線を照射してきた。ゼロはそれを食らって、
更なるダメージを受ける。
『あぐあぁぁッ! くっそぉッ……!』
 それでもあきらめることのないゼロ。光線が駄目ならと、頭部のゼロスラッガーに手を掛けたが、
「グワアアアァァァァァ! ジャパッパッ!」
 そこにマガジャッパがラッパ状の鼻から猛烈な臭気ガスを噴き出す。
『うわあぁぁぁッ!? くっせぇッ!!』
 考えられないレベルの悪臭に、ゼロも我慢がならずに悶絶してしまった。その隙を突いて、
スーパーヒッポリト星人が胸部からの破壊光線をぶちかましてきた。
『うっぐわぁぁぁぁぁぁぁッ!』
 逆転の糸口を掴めず、一方的にやられるままのゼロ。ヒッポリト星人は無情にもとどめを宣告する。
『そこだ! やれぇッ!』
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
 マガグランドキングの腹部から超威力の破壊光線が発射され、ゼロの身体を貫く!
『が――!?』
 ゼロもとうとう巨体を維持することが叶わなくなり、肉体が光の粒子に分散して消滅してしまった。
「なッ!? さ、才人君ッ!」
 ダイゴは大慌てでゼロの消えた地点へと走り出す。一方でゼロを排除したヒッポリト星人は
高々と大笑いした。
『ウワッハッハッハッ! ウルトラマンはこのヒッポリト星人が倒した! これで邪魔者はいない! 
人間どもよ、絶望しろぉぉ――――!』
「グルウウウウゥゥゥゥ!」
「ギュルウウウウゥゥゥゥ!」
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
「グワアアアァァァァァ! ジャパッパッ!」
「ガガァッ! ガガァッ!」
 ヒッポリト星人の命令により、怪獣たちは思いのままに街を破壊し始める。巨体が街中を蹂躙し、
竜巻が街の中心を襲い、ビルが次々地中に沈んでいき、悪臭が広がり、火が街全体を焼いていく。
地獄絵図が展開され始めたのだ。
 そんな中でもダイゴは懸命に走り、ゼロの変身が解けた才人が倒れているのを発見した。
すぐに才人の上半身を抱えて起こすダイゴ。
「大丈夫か!? しっかりしてくれ!」
「うぅ……」
 才人はひどい重傷であった。ゼロの時にあまりにも重いダメージを受けてしまったのが、
彼の身体にも響いているのだ。
 息も絶え絶えの才人であったが、最後に残った力を振り絞って、己を介抱するダイゴの
手を握って告げる。
「あ、後のことはどうか……七人の勇者を見つけて……そして……」
 うっすら目を開いて、視界がかすれながらもダイゴの顔をまっすぐ見つめる。
「ダイゴさん……この世界を、救って下さい……!」
「そ、そんな! だから俺は勇者なんて……おい!?」
 困惑するダイゴだが、才人はそれを最後に意識の糸が切れた。
「しっかりするんだ! おーいッ!!」

824 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/08(木) 03:51:54 ID:hRNpquWg
 ダイゴの必死の呼びかけが徐々に遠のいていき、才人の意識は闇に沈んでいった……。

「……はッ!?」
 次に目が覚めた時に視界に飛び込んできたのは、真っ白い天井だった。
 バッと身体を起こして周囲に目を走らせると、病院の病室であることが分かった。身体には
何本ものチューブがつながれている。あの状況で救急車がまともに機能しているとは思えない。
ダイゴがここまで担ぎ込んでくれたのだろう。
 しばし呆然としていた才人だったが、遠くから怪獣の雄叫びと破壊の轟音、人々の悲鳴が
耳に入ったことで我に返る。
「あれからどれくらい時間が経ったんだ!? こうしちゃいられない! 早く行かないと……うッ!」
 チューブを無理矢理引き抜いてベッドから離れようとする才人だが、その途端よろめいた。
いくらウルトラマンと融合して超回復力を得たとしても、さすがに無理がある。
『無茶だ才人! その身体じゃ!』
 ゼロが制止するのも、才人は聞かない。
「けど、俺が行かなきゃこの世界が……! ルイズも……!」
 ここまで来たのだ。最後の最後で失敗したなんてことは、才人には耐えられなかった。
傷ついた身体を押して、才人は病室から飛び出す。
 病院は至るところ、数え切れないほどの怪我人でごった返していた。それほどまでの被害が
出てしまったことの証明だ。才人は下唇を噛み締めた。
 怪我人たちをかき分けてどうにか病院の外に出て、遠景を見やると、夜の闇に覆われた
横浜の街の中でヒッポリト星人と怪獣たちがなおも大暴れを続けていた。あちこちから
火の手が上がり、まるで地獄が地の底から這い出てきたかのようだ。
「くッ……これ以上はやらせねぇぜ……!」
 人の姿のないところへと駆け込んで、再度ゼロアイで変身しようとするが……それを
ゼロに呼び止められた。
『待て才人! あれを見ろッ!』
 ゼロが叫んだその瞬間、街の間から突然光の柱が立ち上った!
「あの光は……!?」
 才人はその光がどういう種類のものかをよく知っていた。いつもその身で体感しているからだ。
 果たして、光の中から現れたのは……銀と赤と紫の体色をした巨人! 胸にはカラータイマーが
蒼く燦然と輝いている!
 ゼロがその戦士の名を口にした。
『ウルトラマンティガだッ!』
 才人はひと目で、あのティガが誰の変身したものかということを見抜いた。
 ダイゴが……勇者として、ウルトラマンティガとして目覚めたのだ!

825 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/08(木) 03:52:54 ID:hRNpquWg
今回はここまでです。
改造パンドンを除けば、パンドン種コンプリート。

826 名無しさん :2017/06/12(月) 01:39:19 ID:Hb7VX43o
ウルトラの人達乙です。
ウルトラ5番目の新キャラ、誰だ・・・?
ティガかダイナにこんな奴いたっけ?

827 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/15(木) 23:51:22 ID:KySqBsyk
こんばんは、焼き鮭です。続きの投下を行います。
開始は23:53からで。

828 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/15(木) 23:54:22 ID:KySqBsyk
ウルトラマンゼロの使い魔
第百四十五話「六冊目『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(その3)」
地獄星人スーパーヒッポリト星人
剛力怪獣キングシルバゴン
超力怪獣キングゴルドラス
風ノ魔王獣マガバッサー
土ノ魔王獣マガグランドキング
水ノ魔王獣マガジャッパ
火ノ魔王獣マガパンドン
究極合体怪獣ギガキマイラ
巨大暗黒卿巨大影法師 登場

 最後の本の世界への冒険に挑む才人とゼロ。最後の世界は、メビウスが不思議な赤い靴の少女に
導かれて入り込んだもう一つの地球の世界。ここで才人たちはメビウスの代わりに、侵略者に立ち向かう
七人の勇者を探すことに。しかしまだ一人も見つけられていない内に、怪獣キングパンドンが
襲撃してきた! それはゼロが倒したのだが、直後に怪獣を操るスーパーヒッポリト星人が出現し、
キングシルバゴンとキングゴルドラス、更には四体の魔王獣をけしかけてくる。さしものゼロも
この急襲には耐え切れず、とうとう倒れてしまった。どうにかダイゴに救われた才人だが、重傷にも
関わらず再度変身しようとする。だがその時、暴れる怪獣たちの前にウルトラマンティガが立ち上がった。
勇者として目覚めたダイゴが変身したのだ!

「ヂャッ!」
 我が物顔に横浜の街を蹂躙する邪悪なヒッポリト星人率いる怪獣軍団の前に敢然と立ち
はだかったのは、ダイゴの変身したウルトラマンティガ。その勇姿を目の当たりにした
人々は、それまでの疲弊と絶望の淵にあった表情が一変して、希望溢れるものに変わった。
「ウルトラマンだ……!」
「ウルトラマンが来てくれた……!」
「頑張れ! ウルトラマーン!!」
 街の至るところでウルトラマンティガを応援する声が巻き起こる。そして才人も、感動を
顔に浮かべてティガを見つめていた。
「ダイゴさん……変身できたのか……!」
『ああ……! この物語も、ハッピーエンドの糸口が見えてきたな!』
 ヒッポリト星人はティガに対してキングシルバゴン、キングゴルドラスをけしかける。
しかしティガは空高く飛び上がって二体の突進をかわすと、空に輝く月をバックにフライング
パンチをシルバゴンに決めた。
「グルウウウウゥゥゥゥ!」
 ティガの全身の体重と飛行の勢いを乗せた拳にシルバゴンは大きく吹っ飛ばされた。ゴルドラスは
ティガに背後から襲いかかるが、すかさず振り返ったティガはヒラリと身を翻して回避しながら
ゴルドラスのうなじにカウンターチョップをお見舞いする。
「ギュルウウウウゥゥゥゥ!」
 魔王獣たちも続いてティガに押し寄せていくが、ティガはその間を縫うように駆け抜けながら
互角以上の立ち回りを見せつけた。
「いいぞ! ティガーッ!」
 才人は興奮してティガの奮闘ぶりに歓声を上げた。……しかし、所詮は多勢に無勢。やはり
一対七は限界があり、ヒッポリト星人の放った光線が直撃して勢いが止まってしまう。
「ウワァッ!」
「あぁッ! ティガがッ!」
 ティガの攻勢が途絶えた隙を突き、怪獣たちは彼を袋叩きにする。挙句にティガはヒッポリト
カプセルに閉じ込められてしまった!
「まずい!」
 ヒッポリトカプセルが中からは破れない、必殺の兵器であることを才人たちは身を持って
体験している。才人はティガを救おうとゼロアイを手に握った。
「ゼロ、行こう! ティガを助けるんだ!」
『よぉしッ!』

829 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/15(木) 23:56:41 ID:KySqBsyk
 今度はゼロも止めなかった。
 が、しかし、才人がゼロアイを身につけるより早く、夜の横浜に更なる二つの輝きが生じる。
「! あれは、まさか……!」
『二人目と三人目の勇者か……!』
 ティガに続くように街の真ん中に立った銀、赤、青の巨人はウルトラマンダイナ! そして
土砂を巻き上げながら着地した赤と銀の巨人はウルトラマンガイアだ!
「ジュワッ!」
「デュワッ!」
 並び立ったダイナとガイアは同時に邪悪な力を消し去る光線、ウルトラパリフィーを放って
ヒッポリトカプセルを破壊し、ティガを解放した。助け出されたティガの元へダイナ、ガイアが
駆け寄る。
 三人のウルトラマンが並び立ち、ヒッポリト星人の軍勢に勇ましく立ち向かっていく!
「ダイナとガイアが、ティガのために立ち上がってくれたのか……!」
 感服で若干呆けながら、三人の健闘を見つめる才人。
 ティガはヒッポリト星人、ダイナはシルバゴン、ガイアはゴルドラスに飛び掛かっていく。
一方で四体の魔王獣は卑怯にも三人を背後から狙い撃ちにしようとするが、その前には四つの
光が立ちはだかった。
「ヘアッ!」
「デュワッ!」
「ジュワッ!」
「トアァーッ!」
 才人もゼロもよく知るウルトラ兄弟の次男から五男までの戦士、ウルトラマン、ウルトラセブン、
ウルトラマンジャック、そしてウルトラマンエース! この世界のハヤタたちが変身したものに違いない。
「七人のウルトラマンが出そろった!」
『勇者全員が覚醒したってことだな……!』
 ウルトラマンたちはそれぞれマガグランドキング、マガパンドン、マガジャッパ、マガバッサーに
ぶつかっていき、相手をする。これで頭数はそろい、各一対一の形式となった。
 七人の勇者が邪悪の軍勢相手に奮闘している様をながめ、才人はポツリとゼロに話しかける。
「なぁ、ゼロ……俺はさっきまで、俺たちが頑張らないとこの世界は救われないって、そう思ってた。
俺たちが物語を導いていくんだって」
『ん?』
「でも違ったな。ダイゴさんは、俺たちが倒れてる間に自分の力で変身することが出来た。
他の人たちも……。思えば、これまでの物語の主人公たちも、みんな強い光の意志を持ってた。
俺たちはそれを後押ししてただけだったな」
 と語った才人は、次の言葉で締めくくる。
「たとえ本の中の世界でも、人は自分の力で光になれるんだな」
『ああ、違いねぇな……』
 才人とゼロが語り合っている間に、ウルトラ戦士対怪獣軍団の決着が次々ついていこうと
していた。
「ヘアッ!」
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
 空を飛んで上空から竜巻を起こそうとするマガバッサーに、エースがウルトラスラッシュを
投げつけた。光輪は見事マガバッサーの片側の翼を断ち切り、バランスを崩したマガバッサーは
空から転落。
「デッ!」
 エースは落下してきたマガバッサーに照準を合わせ、虹色のタイマーショットを発射。
その一撃でマガバッサーを粉砕した。
「シェアッ!」
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

830 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/16(金) 00:00:15 ID:uyQASVdY
 ウルトラマンは非常に強固な装甲を持つマガグランドキングに、両手の平から渦巻き状の
光線を浴びせた。するとマガグランドキングの動きが止まり、ウルトラマンの指の動きに
合わせてその巨体が宙に浮かび上がる。これぞウルトラマンのとっておきの切り札、ウルトラ
念力の極み、ウルトラサイコキネシスだ!
「ヘェアッ!」
 ウルトラマンがマガグランドキングをはるか遠くまで飛ばすと、その先で豪快な爆発が発生。
マガグランドキングは撃破されたのだった。
「ヘアァッ!」
 ジャックは左手首のウルトラブレスレットに手を掛け、ウルトラスパークに変えて投擲。
空を切り裂く刃はマガジャッパのラッパ状の鼻も切り落とす。
「グワアアアァァァァァ!? ジャパッパッ!」
「ヘッ!」
 鼻と悪臭の元を失って大慌てするマガジャッパに、ジャックはウルトラショットを発射。
一直線に飛んでいく光線はマガジャッパに命中し、たちまち爆散させた。
「ジュワーッ!」
「ガガァッ! ガガァッ!」
 セブンはマガパンドンの火球の嵐を、ウルトラVバリヤーで凌ぐと、手裏剣光線で連射し返して
マガパンドンを大きくひるませる。
「ジュワッ!」
 その隙にセブンはアイスラッガーを投擲して、マガパンドンの双頭を綺麗に切断した。
 魔王獣は元祖ウルトラ兄弟に全て倒された。そしれティガたちの方も、いよいよ怪獣たちとの
決着をつけようとしている。
「ダァーッ!」
 ダイナのソルジェント光線がキングシルバゴンに炸裂! オレンジ色の光輪が広がり、
シルバゴンはその場に倒れて爆発した。
「アアアアア……デヤァーッ!」
 ガイアは頭部から光のムチ、フォトンエッジを発してキングゴルドラスに叩き込む。光子が
ゴルドラスに纏わりついて全身を切り裂き、ゴルドラスもたちまち爆散した。
 最後に残されたスーパーヒッポリト星人は口吻から火炎弾を発射して悪あがきするが、
ダイナとガイアにはね返されてよろめいたところに、ティガが空中で両の腕を横に開いて
必殺のゼペリオン光線を繰り出した!
「テヤァッ!」
『ぐわああああぁぁぁぁぁぁぁ――――――――ッ!!』
 それが決まり手となり、ヒッポリト星人もまた激しいスパークとともに大爆発を起こして消滅。
怪獣軍団はウルトラ戦士たちの活躍により撃滅されたのであった!
「やったッ!」
『ああ。……だが、戦いはこれで終わりじゃないはずだぜ。まだ真の黒幕が残ってるはずだ……!』
 ゼロがメビウスの話を思い出して、深刻そうにつぶやく。
 果たして、ウルトラ戦士の勝利で喜びに沸く人々に水を差すように、どこからともなく
おどろおどろしい声が響いてきた。
『恐れよ……恐れよ……』
 それとともに街の至るところから幽鬼のようなエネルギー体が無数に噴出して空を漂い、
更に倒したキングゴルドラス、キングシルバゴン、キングパンドン、キングゲスラ、
スーパーヒッポリト星人の霊も出現して空の一点に集結。全てのエネルギー体も取り込んで、
巨大な黒い靄に変わる。
 その靄の中から……ウルトラ戦士の何十倍もある超巨体の怪物が現れた! 首はキング
シルバゴンとキングゴルドラスの双頭、尾はキングパンドンの首、腹部はキングゲスラの
頭部、胴体はスーパーヒッポリト星人の顔面で出来上がっている、自然の生物ではあり得ない
ような異形ぶりだ!
 これぞ闇の力が怪獣軍団の怨念を利用して生み出した究極合体怪獣ギガキマイラである!
「グルウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
 空に陣取るギガキマイラは身体に生えた四本の触手から、一発一発がウルトラ戦士並みの
サイズの光弾を雨あられのようにティガたち七人に向けて撃ち始めた。
「ウワァァァーッ!」

831 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/16(金) 00:02:59 ID:uyQASVdY
 ギガキマイラの怒濤の猛攻に、七人は纏めて苦しめられる。これを見て、才人は改めて
ゼロアイを握り締めた。
「遅くなったが、いよいよ俺たちの出番だ!」
『おうよ! 八人目の勇者の出陣だな!』
 勇みながら、才人はこの世界での三度目の変身を行う。
「デュワッ!」
 瞬時に変身を遂げたウルトラマンゼロは、ゼロスラッガーを飛ばしてギガキマイラの光弾を
切り裂いて七人を助ける。ティガがゼロへ顔を向けた。
『ウルトラマンゼロ!』
『待たせたな、ダイゴ! 一緒にあのデカブツをぶっ飛ばそうぜ!』
『ああ、もちろんだ! これで僕たちは、超ウルトラ8兄弟だ!!』
 ギガキマイラはなおも稲妻を放って超ウルトラ8兄弟を丸ごと呑み込むような大爆炎を
起こしたが、ゼロたちは炎を突き抜けて飛び出し、ギガキマイラへとまっすぐに接近していく!
「行けぇー!」
「頑張れぇー!」
 巨大な敵を相手に、それでも勇気が衰えることなく立ち向かっていくウルトラ戦士の飛翔
する様を、地上の大勢の人々が声の出る限り応援している。
「頑張ってぇーッ! ウルトラマン!」
 その中には、北斗の娘の役に当てはめられているルイズの姿もあった。
『ルイズ……!』
 才人はルイズの姿を認めると更に勇気が湧き上がり、ゼロに力を与えるのだ。
「セアッ!」
「デヤァッ!」
 八人のウルトラ戦士はそれぞれの光線で牽制しながらギガキマイラに肉薄。ゼロ、ティガ、
ダイナ、ガイアが肉弾で注意を引きつけている間に、マン、セブン、ジャック、エースが
各所に攻撃を加える。
「シェアッ!」
 ウルトラマンは大口を開けたキングゲスラの首に、スペシウム光線を放ちながら自ら飛び込む。
ゲスラの口が閉ざされるが、スペシウム光線の熱量に口内を焼かれてすぐに吐き出した。
「テェェーイッ!」
 エースはキングゴルドラスの首が吐く稲妻をかわすとバーチカルギロチンを飛ばし、その角を
ばっさりと切断した。
「テアァッ!」
 ジャックはキングシルバゴンの首の火炎弾を宙返りでかわしつつ、ブレスレットチョップで
角を真っ二つにする。
「ジュワッ!」
 キングパンドンの首にエメリウム光線を浴びせたセブンに火炎弾が降り注ぐが、海面すれすれを
飛ぶセブンには一発も命中しなかった。
『へへッ! 全身頭なのに、おつむが足りてねぇんじゃねぇか!?』
 ウルトラ戦士のチームワークに翻弄されるギガキマイラを高々と挑発するゼロ。彼を中心に、
八人が空中で集結する。
「グルウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……!!」
 するとギガキマイラは業を煮やしたかのように、全身のエネルギーを一点に集めて極太の
破壊光線を発射し出した! 光線は莫大な熱によって海をドロドロに炎上させ、横浜ベイ
ブリッジを一瞬にして両断させながらゼロたちに迫っていく。
「シェアッ!!」
 しかしそんなものを悠長に待っている八人ではなかった。全員が各光線を同時に発射する
合体技、スペリオルストライクでギガキマイラの胸部を撃ち抜き、破壊光線を途切れさせる。
「デヤァッ!!」
 煮えたぎった海面には全員の力を合わせた再生光線エクセレント・リフレクションを当て、
バリアで包んで修復させる。

832 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/16(金) 00:06:27 ID:uyQASVdY
 その隙にギガキマイラが再度破壊光線を放ってきた。今度はまっすぐに飛んでくるが、
すかさずウルトラグランドウォールを展開することで光線をそのままギガキマイラにはね返す。
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
 己の肉体がえぐれてしまったギガキマイラは、勝ち目なしと見たか宇宙空間へ向けて逃走を
開始した。だがそれを許すようなゼロたちではない。
『逃がすかよぉッ!』
 その後を追いかけて急上昇していく八人。大気圏を突き抜けたところでギガキマイラの
背中が見えた。
「テヤーッ!」
「シェアッ!」
 セブンとゼロはそれぞれのスラッガーを投擲。それらに八人が光線を当てると、エネルギーを
吸収したスラッガーはミラクルゼロスラッガー以上の数に分裂。イリュージョニックスラッガーと
なってギガキマイラの全身をズタズタに切り裂き、足止めをした。
「ジェアッ!!」
 とうとう追いついたウルトラ戦士たちは同時に必殺光線を発射し、光線同士を重ね合わせる。
そうすることで何十倍もの威力と化したウルトラスペリオルが、ギガキマイラに突き刺さる!
「グギャアアアアアアァァァァァァァァァ――――――――――――――ッッ!!」
 ギガキマイラが耐えられるはずもなく、跡形もなく炸裂。超巨体が余すところなく宇宙の
藻屑となったのであった。
 見事ギガキマイラを討ち取った勇者たちは、人々の大歓声に迎えられながら横浜の空に
帰ってくる。
『やりました……! この世界を守りましたよ!』
『……いや、まだ敵さんはおしまいじゃないみたいだぜ』
 喜ぶティガだが、ゼロは邪な気配が途絶えてないのを感じて警告した。実際に、彼らの
前におぼろな姿の実体を持たない怪人の巨体が浮かび上がった。
 それこそが人間の負の感情が形となって生じた邪悪の存在であり、真に怪獣軍団を操っていた
黒幕である、黒い影法師。それら全てが融合した巨大影法師であった!
『我らは消えはせぬ……。我らは何度でも強い怪獣を呼び寄せ、人の心を絶望の闇に包み込む……。
全ての平行世界から、ウルトラマンを消し去ってくれる……!!』
 それが影法師の目的であった。心の闇から生まれた影法師は、闇を広げることだけが存在の
全てなのだ。
 しかし、そんなことを栄光の超ウルトラ8兄弟が許すはずがない!
『無駄だ! 絶望の中でも、人の心から、光が消え去ることはないッ!』
 見事に言い切ったティガの身体が黄金に光り輝き、グリッターバージョンとなってゼペリオン
光線を発射した! 他のウルトラ戦士もグリッターバージョンとなって、スペシウム光線、
ワイドショット、スペシウム光線、メタリウム光線、ソルジェント光線、クァンタム
ストリームを撃つ!
『俺も行くぜぇッ! はぁぁッ!』
 ゼロもまたグリッターバージョンとなり、ワイドゼロショットを繰り出した! 八人の
必殺光線は一つに重なり合うと、集束した光のほとばしり、スペリオルマイスフラッシャーと
なって巨大影法師の闇を照らしていく!
『わ、我らはぁ……!!』
 巨大影法師は光の中に呑まれて消えていき、闇の力も完全に浄化されていった。
 地上に喜びと笑顔が戻り、そして夜が明けて朝を迎える。昇る朝日を見つめながら、ティガが
ゼロに呼びかける。
『ウルトラマンゼロ、本当にありがとう! この世界が救われたのは、君たちのお陰だ……!』
『何を言うんだ。お前はお前自身の力で自分を、世界を救ったんだぜ』
『いや……君たちの後押しがあったからさ。感謝してもし切れない……。この恩は必ず返す
からね! 必ずだよ!』
 そのティガの言葉を最後に、ゼロの視界が朝の日差しとともに真っ白になっていく……。

 遂に六冊、全ての本を完結させることに成功した。才人はその足でルイズの元まで駆け込む。
「ルイズッ!」

833 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/16(金) 00:08:03 ID:uyQASVdY
 ルイズのベッドの周りには、タバサ、シエスタ、シルフィードらが既に集まっていた。
皆固唾を呑んで、ルイズの様子を見守っている。
 ルイズは今のところ、ぼんやりとしているだけで、傍目からは変化が起きたかどうかは
分からない。
「……どうだ、ルイズ? 何か思い出せることはあるか?」
 恐る恐る尋ねかける才人。するとルイズが、ぽつりとつぶやいた。
「……わたしは、ルイズ……。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……!」
「!!」
 今の言葉に、才人たちは一気に喜色満面となった。ルイズのフルネームは、ここに来てから
誰も口にしていないからだ。それをルイズがスラスラと唱えたということは……。
「そうよ! わたしはヴァリエール公爵家の三女、ルイズ・フランソワーズだわ!」
「ミス・ヴァリエール! 記憶が戻ったのですね!」
 感極まってルイズに抱きつくシエスタ。ルイズは驚きながらも苦笑を浮かべる。
「ちょっとやめてよシエスタ。そう、あなたはシエスタよ。学院のメイドの」
「ルイズ……記憶が戻った」
「タバサ! 学院でのクラスメイト!」
「よかったのねー! 色々心配してたけど、ちゃんと元に戻ったのね!」
「パムー!」
「シルフィード、ハネジローも!」
 仲間の名前を次々言い当てるルイズの様子に、才人は深く深く安堵した。あれほど怪しい
状況の中にあって、本当にルイズの記憶が戻ったというのはいささか拍子抜けでもあるが、
ルイズが治ったならそれに越したことはない。
「よかったな、ルイズ。これで学院に帰れるな!」
 満面の笑顔で呼びかける才人。
 ……だが、彼に顔を向けたルイズが、途端に固まってしまった。
「ん? どうしたんだ、その顔」
 才人たちが呆気にとられると……ルイズは、信じられないことを口にした。
「……あなたは、誰?」
「………………え?」
「あなたの名前が……出てこない。誰だったのか……全然思い出せないッ!」
 そのルイズの言葉に、シエスタたちは声にならないほどのショックを受けた。
「う、嘘ですよね、ミス・ヴァリエール!? よりによってサイトさんのことが思い出せない
なんて……あなたに限ってそんなことあるはずがないです!」
「明らかにおかしい……不自然……」
「変な冗談はよすのね、桃髪娘! 全っ然笑えないのね!」
 シルフィードは思わず怒鳴りつけたが、ルイズ自身わなわなと震えていた。
「本当なの……! 本当に、何一つ思い出せないの……! あるはずの思い出が……わたしの
中にない……!」
 ルイズが自分だけを思い出せないことに、才人はどんな反応をしたらいいのかさえ分からずに
ただ立ち尽くしていた。

「……」
 混乱に陥るゲストルームの様子を、扉の陰からリーヴルがじっと観察していた。

834 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/16(金) 00:09:14 ID:uyQASVdY
以上です。
いよいよ迷子の終止符〜編も終わりが見えてきました。

835 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/22(木) 05:16:09 ID:TNP.Dkrk
おはようございます、焼き鮭です。今回の投下を行います。
開始は5:18からで。

836 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/22(木) 05:19:20 ID:TNP.Dkrk
ウルトラマンゼロの使い魔
第百四十六話「七冊目の世界」
ペットロボット ガラQ 登場

 六冊の『古き本』に記憶を奪い取られてしまったルイズ。才人とゼロはルイズを元に戻すため、
未完であった『古き本』を完結させる本の世界の旅を続けてきた。そして遂に六冊全ての本を
完結させ、ルイズもまた記憶を取り戻したのだった。……そう見えたのもつかの間、才人のこと
だけがルイズの記憶からすっぽりと抜け落ちていることが判明した。よりによって才人を思い
出せないのは明らかにおかしい……いよいよ我慢がならなくなった才人たちはリーヴルに
隠していること全てを聞き出すために、彼女を捜し始めたのだが……。

「お姉さま、駄目なのね〜! あの眼鏡女、全っ然見つからないのね〜!」
「パムー……」
 夜の薄暗い図書館の中を、才人たち一行はリーヴルの姿を求めて捜し回っているのだが、
杳として見つからなかった。シエスタが困惑する。
「いくら広い国立図書館とはいえ、これだけ捜して見つからないというのは変です……!」
『しかし、図書館の人の出入りはずっと監視していたのだが、リーヴルが外に出たところは
確認できなかった。だからまだ館内にいる可能性が高いのだが……』
 と報告したのはジャンボット。彼の言うことなら信用できる。
『見つからないとなると、意図的に隠れていると考えていいだろう。そうなると、やはり
リーヴルは重大な何かを秘匿している可能性が大だ』
『やっぱ、今回の件には裏があるってことだな……』
 ゼロがつぶやいたその時、一旦ルイズの様子を見に行ったタバサが額に冷や汗を浮かべて
戻ってきた。
「ルイズがいない……!」
「何だって!?」
 才人たちの間に衝撃と動揺が走る。
「ど、どういうことでしょうか……!? ミス・ヴァリエール、勝手に出歩いてしまうような
状態ではありませんでしたのに……!」
『ルイズの自発的行動ではなく、何らかの外的要因の可能性が高いだろう。……やはり、
この事件はまだ終わりを迎えてなどいなかったのだ』
 ジャンボットが深刻に述べる。
「ひとまず、図書館の中をもう一度捜そう! どこかにいるかもしれない!」
 才人の提案により、一行は手分けして館内の捜索を再開した。才人は背にしているデルフリンガーの
柄を握り締めて、いつ何が起こっても対処できるようにガンダールヴの力を発動している状態にする。
 やがて才人とデルフリンガーは、館の片隅から人の話し声が聞こえてくるのを耳に留めた。
「ふふッ、そうなの? すごく面白いお話しなのね」
「! 相棒、今の娘っ子の声じゃなかったか?」
「間違いない! 行くぞ、デルフ!」
 すぐにそちらへ駆けつける才人。彼が目にした光景は、ルイズが何者かと向かい合って
談笑しているというものだった。ルイズの相手をしている者の手には、開かれた本がある。
「もっと楽しいお話しが聞きたいわ。お願い出来るかしら?」
「もちろんだよ。君の望みとあらば、ボクは何だって聞かせてあげるよ」
 一見すると少年のようであるが、ふと見れば落ち着いた青年のようにも、また年季の入った
老人のようにも見える、何だか不確かな雰囲気を纏った怪しい人物が、ルイズに本の読み聞かせを
しているようであった。才人はすぐにその怪人物に怒鳴りつける。
「誰だお前は! ルイズから離れろッ!」
 すると怪人物は、至って涼しい表情で才人の方へ顔を上げた。
「おやおや、困るね。図書館では静かにするのがマナー。それくらい常識だろう?」
「ふざけてるんじゃねぇ! 何者だッ! 宇宙人か!?」
 いつでもデルフリンガーを引き抜けるように身構えながら詰問する才人。それと対照的に
余裕に構えている怪人物が名乗る。

837 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/22(木) 05:22:30 ID:TNP.Dkrk
「ボクの名前はダンプリメ。君はボクのことを知らないだろうけど、ボクは君のことをずっと
観察させてもらってたよ。サイト……そして君の中のもう一人、ウルトラマンゼロ」
「!!」
『どうやら、こいつがリーヴルの後ろにいる黒幕の正体みたいだな……』
 ゼロのことを簡単に言い当てたダンプリメなる男に対して、ゼロが警戒を深めた。才人は
ルイズに呼びかける。
「ルイズ、そこは危険だ! 早くこっちに来い!」
 だがルイズは才人に顔も向けない。
「ねぇ、早く次の話を聞かせて。わたし、もっとあなたのお話しが聞きたいの」
「ルイズ……?」
『才人、お前のことを思い出せないばかりか、今はお前のことが見えてすらいないみてぇだぜ……!』
 ルイズの反応を分析したゼロが、ダンプリメに向かって言い放つ。
『お前がルイズの記憶をいじってんだな。一体何者で、目的は何だッ!』
「質問が多いなぁ……。まぁこっちばかりが君たちのことを知っているというのも不公平だ。
今度はボクのことを色々と教えてあげようじゃないか。始まりから、現在に至るまでね」
 おどけるように、ダンプリメが己のことを語り始める。
「始まりは、もう二千年も前になるかな。その当時、この図書館にあった本の中で、様々な人の
魔力に晒されて、意志を持った本が生まれた。いや、己が意志を持っていることを自覚したと
いった方が正しいかな」
「意志を持った本……? 生きた本ってことか?」
「俺のようなインテリジェンスソードみてえな話だな」
 才人の手の中のデルフリンガーが独白した。
「それとは少しばかり経緯が異なるものだけどね。インテリジェンスソードは人が恣意的に
作ったものだけど、その本は自然発生したんだから。そして本は、己に触れる人の手の感触、
己を読む人の視線に関心を持ち、徐々に人のことを理解していくようになった。本は成長
するとともに、人に対する関心も大きくなり、それは人を知りたいという欲求に変化して
いった。やがては魔力の影響を受け続けた末に、人の形を取ることに成功するまでになった。
人を知るには、同じ形になるのが最適だからね」
『なるほど……それが今のテメェだってことだな』
 ゼロが先んじて、ダンプリメの話の結論を口にした。
「ご明察。すまないね、回りくどい言い方をして。ボクが本なせいか、自分のことでも他人の
ように話してしまうことがあるんだ」
「お前の正体が本だってことは分かった。けどそれとルイズにどんな関係があるんだ」
 才人はダンプリメへの警戒を一時も緩めないようにしながら、ダンプリメの挙動を監視する。
もしルイズに何か妙なことをしようものなら、即座に飛び出す態勢だ。
「本、つまりボクは人を知る内に、どんどんと人に惹かれていった。もっと人のことを知りたい、
人と交わりを持ちたい……そんな欲求は、遂には人と結ばれたいという想いになったんだ」
「人と結ばれる? 本と人が結婚するってか? そんな馬鹿な」
「まぁ普通はそう思うだろうね。だけどボクは本気さ。この想いは、馬鹿なことであきらめられる
ものじゃないんだ」
 と語るダンプリメに、才人はあることに思い至って息を呑んだ。
「……まさか、それでルイズを!?」
「如何にも。ボクは仲間といえるこの図書館の本の内容も理解する内に、この図書館そのものと
いっていい存在にまでなった。当館に保管される書籍、資料はどんなものであろうと、ボクの
知識になる」
 それはつまり、ダンプリメはトリステインの国家機密にまで精通しているということになる。
王政府の文書の数々も、この図書館に保管されるのだ。
「その中でルイズの存在を知り、生まれて一番の関心と興味を持った。そして彼女がここに
やってきた時に、その類稀なる魔力に関心は最高潮となった。そしてボクは感じた。ルイズ
こそが、ボクの伴侶として最も相応しいとね」
 このダンプリメの言葉に、才人は激怒。

838 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/22(木) 05:25:17 ID:TNP.Dkrk
「ふざけんな! ルイズの意志はどうなる! お前が人だろうと本だろうと関係ねぇ、自分の
勝手でルイズの心を好きにいじくり回そうっていうのなら……容赦はしねぇぞッ!」
 相当の怒気を向けたが、ダンプリメは相変わらず態度を崩さなかった。
「勇ましいね。流石は正義の味方のウルトラマンゼロだ。……だけど、やめろと言われて
じゃあやめますと撤回するようだったら、初めからこんなことはしないんだよ」
 不敵な笑みを張りつけているダンプリメの顔面に、やおら迫力が宿った。
「ボクは何としてでもルイズを手に入れてみせる。君が何者であろうとも、邪魔をすることは
許さないよ」
 ダンプリメがサッと一冊の本を取り出すと、その瞬間にダンプリメ自身と、ルイズの身体が
強く発光する。
「うわッ!?」
『まずいぜ才人! 止めろッ!』
 ゼロが忠告したが、その時にはもう遅かった。ダンプリメとルイズの姿は閃光とともに
忽然と消え、後に残されていたのはダンプリメが持っていた本だけであった。
「ル、ルイズッ!!」
『やられた……連れ去られちまったな……』
 床に放置された本へと駆け寄って拾い上げる才人。
「まさか、ルイズはこの中に!?」
『奴が生きた本だっていうのなら、リーヴルがやってたのと同じことが出来ても何ら不思議
じゃねぇだろうな』
「く、くそう……!」
 才人はまんまとルイズを奪い取られたことを悔しんで唇を噛み締めた。そこに騒ぎを聞きつけた
タバサたちが集まって来たので、落胆している才人に代わってゼロとデルフリンガーが経緯と現状を
説明したのであった。

 ひとまず、才人たちはゲストルームに戻って今後の対応を講じることとした。才人らは
テーブルに置いた本を囲んで、話し合いを行う。
『簡潔に言うと、そのダンプリメが今回の件について裏から糸を引いてた輩だ。こいつを
どうにかしないことには、ルイズは取り戻せないと考えていい』
「娘っ子に直接危害を加えるつもりはねえってのが不幸中の幸いだが、どちらにせよ早いとこ
娘っ子を奪い返さねえと色々とまずいだろうな」
 と言うデルフリンガーであるが、するとシルフィードが意見する。
「だけど、本の中に引っ込まれたらここにいるシルフィたちだけじゃどうしようもないのね」
「少なくとも、ミス・リーヴルの手助けがなければいけませんね……」
 シエスタがつぶやくと、才人はリーヴルのことを思い出して顔を上げた。
「そのリーヴルは結局どこに……」
「みんなー」
 と発した直後、才人たちの元にガラQがひょこひょこと現れた。しかも、後ろにリーヴルを
連れている!
「ミス・リーヴル!」
「ガラQ、お前と一緒にいたのか!」
「うん。説得してた」
 リーヴルは皆の視線を受けて気まずそうにしていたが、やがて観念したかのように口を開いた。
「話はガラQより伺いました……。遂にダンプリメが行動を起こしたのですね」
「……全て話してくれる?」
 タバサの問いかけにうなずくリーヴル。才人が一番に彼女に尋ねる。
「まず初めに聞いておきたい。この図書館で起きた事件の初めから終わりまで……リーヴル、
あんたがあのダンプリメという奴に指示されて仕組んだことなのか?」
 その質問に、リーヴルは変にごまかさずに肯定した。
「はい、幽霊騒ぎの件から『古き本』をルイズさんが手に取るように設置するまで、ダンプリメに
言われた通りに……。ですが、それらは図書館を守るために必要なことだったのです」
「図書館を守るために? どういうことなのね?」
「パム?」

839 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/22(木) 05:28:08 ID:TNP.Dkrk
 シルフィードとハネジローが首をひねった。リーヴルは答える。
「……ルイズさんを本の世界に取り込む計画を持ちかけられた私は、初めは当然断りました。
そんなことは出来ないと。ですが……ダンプリメは、協力しなければ図書館の本を全て消して
しまうと言ったのです」
「え? 図書館の本を……?」
 呆気にとられる才人たち。
「ダンプリメは本に関しては万能といっていいほどの力を持っています。当館には、他にはない
貴重な図書もいくつもあります。それを盾にされたら、どうしようもなく……」
「ま、待って下さい。いくら貴重だからって……本のために、ミス・ヴァリエールを犠牲に
したってことですか!?」
 いくらか憤りを見せるシエスタであったが、リーヴルははっきりと返した。
「他の人にとってはたかだか本という認識でしょう。ですが、早々に親を亡くし、親戚の元でも
冷遇され、頼る人のいなかった私にとって、この図書館は何より守るべきものなのです」
 リーヴルの身辺を洗っても何も出てこないはずだ、とタバサは思った。本が人質など、
常人の感性では理解できるものではない。
「私も、どうにか説得しようと試みました。ですがダンプリメの意志は強く……」
「押し切られたって訳か」
 静かにうなずくリーヴル。才人は腕を組んでしばし沈黙を保ったが、やがて口を開く。
「事情は分かった。話してくれてありがとう」
「どんな事情にせよ、私がダンプリメの片棒を担いだのは紛れもない事実です。サイトさんに
どう罰せられようとも、異論はありません」
「いや、今リーヴルを責めたってルイズが戻ってくる訳じゃない。それより、ダンプリメ自身の
方をどうにかしないと」
 と言って、才人はリーヴルの顔をまっすぐ見つめて告げた。
「リーヴル、俺をもう一度本の中に送り込んでくれ。ルイズを助けに行ってくる!」
 決意を口にする才人だが、リーヴルは聞き返してくる。
「本気ですか……? 一応、もう一度言いますが、ダンプリメは本に関しては万能です。
特に本の中では、神に等しい能力を発揮できます。そこに乗り込んでいくのは、今までの
六冊の旅よりも危険であることは必至です」
 その警告も、才人にとっては無意味なものであった。
「相手が神だろうが何だろうが、そんなのは関係ない。俺はやる前からあきらめるようなことは
したくないんだ!」
 才人の強い働きかけに、リーヴルも応じたようであった。
「考えは変わらないみたいですね……。分かりました。では少しだけ時間を下さい。準備をします」
「頼む」
「その前に一つだけ、訂正することがあります。最初、私の魔法では本に送り込める人数は
一人だと言いましたが、それは虚偽です。あなたを可能な限り不利な状況に置くようにと、
ダンプリメに指示されましたので」
「そうだったか……。まぁ今更それにとやかく言ってもしょうがない。それよりもこれからのことだ」
 リーヴルが魔法の準備をする間、ジャンボットが才人とゼロに申し出た。
『複数人が本の中に入れるのならば、私たちもともに行こう。皆で力を合わせれば、きっと
ルイズを取り戻せる!』
 ジャンボットの言葉に才人は苦笑を浮かべた。
「ありがとう。……だけど、それは遠慮するよ」
『ああ。ダンプリメも、俺たちがそうしてくるのは予想済みだろうからな。奴が本当に本の中では
万能だってのなら、人数を増やすのは逆に首を絞めることになっちまうかもしれねぇ』
 ダンプリメの能力の範囲はまだまだ未知数。いたずらに複数で挑んだら、最悪同士討ち
させられる恐れもある。

840 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/22(木) 05:29:21 ID:TNP.Dkrk
『みんなは外の世界で応援しててくれ。なぁに、心配はいらねぇぜ。俺たちは、あらゆる死線を
突破してきたウルトラマンゼロなんだからな! 本の中の引きこもりぐらい訳ねぇぜ!』
 おどけるゼロの言葉にシエスタたちは苦笑した。
「ええ。それではお帰りをお待ちしています、サイトさん。必ず、ミス・ヴァリエールと
ともに戻ってきて下さい」
「頑張って」
「シルフィ、あなたの勝ちを信じてるのね! きゅいきゅい!」
「パムー!」
 もうここには、才人たちを引き止める者はいない。そんなことをしても意味はないことを
十分理解しているし、何より才人たちを強く信頼しているのだ。
「相棒、俺は持っていきな。正直ずっと置いてけぼりで退屈だったぜ」
「ああ、分かった。頼りにしてるぜ、デルフ」
 才人がデルフリンガーを担ぎ直したところで、彼らの元にリーヴルが戻ってきた。
「お待たせしました。いつでも本の世界へ入れます」
「ありがとう。もちろん今すぐに行くぜ!」
 才人が魔法陣の真ん中に立ち、仲間たちに見守られる中リーヴルに魔法を掛けられる。
向かう先は、ダンプリメが待ち受けているであろう七冊目の世界。
(待ってろよ、ルイズ。すぐに助けに行くぜ!)
 固い意志を胸に秘めて、才人とゼロは今度こそルイズを取り返す戦いに挑んでいくのだった……!

841 ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc :2017/06/22(木) 05:30:15 ID:TNP.Dkrk
今回はここまでです。
いよいよあと二回。あと二回です。


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