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避難所用SS投下スレ11冊目

968ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc:2017/08/06(日) 21:50:03 ID:dXWvJpSI
 サーシャの肩が震えたかと思うと、とんでもない大声がその華奢な喉から飛び出た。
「この! 蛮人が――――――――ッ!」
 そのままサーシャは男に飛び掛かり、こめかみの辺りに見事なハイキックをかました。
「ぼぎゃ!」
 男は派手に回転しながら地面に転がった。サーシャは倒れた男の上にどすんと腰掛ける。
「ねぇ。あなた、わたしに何て約束したっけ?」
「えっと……その……」
 サーシャは再び男の頭を殴りつけた。
「ぼぎゃ!」
「もう、魔法の実験にわたしを使わないって、そう約束したでしょ?」
「した。けど……他に頼める人がいなくって……。それに仕方ないじゃないか! 今は大変な
時なんだ」
 サーシャは男の言い分を受けつけない。
「大体ねぇ、あなたねぇ、生物としての敬意が足りないのよ。あなたは蛮人。わたしは高貴なる
種族であるところのエルフ。それをこんな風に使い魔とやらに出来たんだから、もっと敬意を
払って然るべきでしょ? それを何よ。やれ、記憶が消える魔法をちょっと試していいかい? 
だの、遠くに行ける扉を開いてみたよ、くぐってみてくれ、だの……」
「仕方ないじゃないか! あの強くって乱暴なヴァリヤーグに対抗するためには、この奇跡の力
“魔法”が必要なんだ! ぼくたちを助けてくれる光の巨人を援護するためにも、この力をより
使いこなせるように練習を……」
 男をマウントポジションから叩きのめすサーシャに怯えながらも、関係性は逆ながら俺と
ルイズみたいだなぁ……と思っていた才人だが、男の言った「光の巨人」という単語に思わず
飛び上がった。
「ち、ちょっと待って下さい! 光の巨人って……ウルトラマンを知ってるんですか!?」
 才人が割って入ったことで、サーシャは暴力を振るう手を止めた。サーシャの下敷きの男は
才人を見上げる。
「ウルトラマン? あの巨人たちはそんな名前なのかい? と言うかきみは誰だい?」
「才人って言います。平賀才人。妙な名前ですいません」
「そうそう。この人も、わたしと同じ文字が手の甲に……」
「何だって? きみ! それを見せてくれ!」
 跳ね起きた男が才人の左手の甲に飛びついた。
「ガンダールヴじゃないか! ほらサーシャ! 言った通りじゃないか! ぼくたちの他にも、
この“変わった系統”を使える人間がいたんだ! それってすごいことだよ!」
 才人の手を強く握り、顔を近づける男。
「お願いだ! きみの主人に会わせてくれ!」
「そう出来ればいいんですけど。一体、どうして自分がこんな場所にいるのかも分かんなくって……」
 そうか、と男はちょっとがっかりしたが、にっこりと微笑んだ。
「おっと! 自己紹介がまだだったね。ぼくの名前は、ニダベリールのブリミル」
 才人の身体が固まった。
「も、もも、もう一度名前を言ってくれませんか?」
「ニダベリールのブリミル。ブリミル・ル・ルミル・ニダベリール」
 ブリミル? その名前を、才人はハルケギニアにいる間、散々耳にしていた。ルイズたちが
事ある毎に拝み、良いことがあると感謝を捧げる相手……。
「始祖ブリミルの名前?」
「始祖? 始祖って何だ。人違いじゃないのかい?」
 男はきょとんとして、才人を見つめた。対する才人は必死に考えを巡らせる。
 “虚無”の担い手が、始祖ブリミルを知らないはずがない。ということは短なる同名の
人物ではない。ということは……。
 そんな。そんな馬鹿なことが……。
 いや、「それ」の実例は何度か耳にしている。TACの隊員が超獣ダイダラホーシによって
奈良時代に飛ばされてしまったことがあったそうだし、時間を超える怪獣もエアロヴァイパーや
クロノームといったものが存在している。何より、ジャンボットが「そう」だった。今の自分が
「そう」ではないと何故言い切れる?


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