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避難所用SS投下スレ11冊目

806ウルトラ5番目の使い魔 59話 (2/13) ◆213pT8BiCc:2017/06/07(水) 11:45:33 ID:9ZOoAC8I
 やっと戻ってきた平和。そして、長い間陽光をさえぎって世界を闇に包んでいたドビシの暗雲が消えたことで、ようやく人々に安息の笑顔が蘇り、元通りの日常を取り戻すという希望が街中に満ち溢れていた。
 瓦礫は取り除かれ、道には資材を積んだ荷馬車が行き来する。昨年にベロクロンによって灰燼に帰したトリスタニアを復興した経験のある人々は、あれに比べたらマシだと汗を光らせて仕事に精を出す。
 戦火を逃れて避難していた町民たちも自分の家や店に戻ってきつつあり、中央広場では止められていた噴水が再び水を噴き始め、その周りでは子供たちが遊んでいる。
 そうなると、商売っ気を出してくるのが人の常だ。すでに一部の店舗は営業を再開しつつあり、魅惑の妖精亭でも本業への復帰の盛り上がりを見せていた。
「さあ妖精さんたち、戦争も終わってこれからはお金がものを言う時代よ。みんなで必死で守ったこのお店で、修理代なんか吹っ飛ばすくらい稼いじゃいましょう! いいことーっ!」
「がんばりましょう! ミ・マドモアゼル!」
「トレビアーン! みんな元気でミ・マドモアゼルったら涙が出ちゃう。そんなみんなに嬉しいお知らせよ。みんな無事でこうして集ってくれたお礼に、なんと一日交代で全員に我が魅惑の妖精亭の家宝である魅惑の妖精のビスチェを着用させてあげるわ」
「最高です! ミ・マドモアゼル!」
「うーん、みんな張り切ってるわねえ。さあ、お客さんが待っているわよ。まずは元気よく、魅惑の妖精のお約束! ア〜〜〜ンッ!」
 スカロンのなまめかしくもおぞましいポージングに合わせて、ジェシカをはじめとする少女たちが半壊した店で明るく声をあげていった。
 あの戦いの終わった後で、魅惑の妖精亭でもいろいろなことがあった。新たな出会い、再会、それらの舞台となった大切なこの店は、これからもずっと繁盛させていかないといけない。
 
 賑わう店、だがこれはここだけのことではない。
 戦争が終わったことで、タルブ村やラ・ロシェールのような辺境。アルビオンのような他国でも、同じように活気は戻ってきつつある。
 人は不幸があっても、それを乗り越えて前へ進む。それが人の強みだ。
 
 けれど、平和が完全に戻るためにはまだ大きな障害が残っている。
 トリステイン魔法学院の校長室から、オスマン学院長が無人の学院を見下ろして寂しそうにつぶやいた。
「魔法学院の休校は無期限継続か。いったいいつになったら学び舎に子供たちが帰ってこれるのかのう……」
 戦争は終わったけれども、トリステインの戦時体制は解除されていない。あれだけ大規模であった戦争は、その後始末にも膨大な手間を要し、教員や生徒であっても貴族には仕事は山のようにあり、トリステインが猫の手も借りたい状況は終わっていなかったのである。


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