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避難所用SS投下スレ11冊目

750ウルトラ5番目の使い魔 58話 (22/24) ◆213pT8BiCc:2017/05/16(火) 11:35:33 ID:qB1md0Gc
「時空嵐が収まるまで数百年はゆうにかかってしまうだろう。だが僕は、近づかなくても世界扉の魔法がまだ聖地で動き続けてることを感じた。このまま次元の特異点となっている場所をほうっておいたら、なにが起こるかわからない。けれど聖地にたどり着ける様になる頃には、僕もとても生きてはいられない。だから、僕は子孫たちに託そうと思ったんだ。聖地を刺激することなく管理してほしい。そしてできるなら……」
 ブリミルの言葉に、ルイズは合点したように毅然と答えた。
「わかりました。わたしたち虚無の担い手の誰かが聖地にたどり着けたら、そこで魔法解除の虚無魔法『ディスペル』を使ってほしい。そういうことですね?」
「そう、ディスペルは僕が使ったのを君も見てたね。世界扉をディスペルで解除すれば、聖地のゲートは少なくとも小規模化して安定してくれるだろう。ほんとはこの時代にまで来た以上、僕がやるのが筋なんだろうけれど……」
 しかしルイズは首を横に振った。
「いいえ、この時代のことはこの時代の人間でカタをつけるべきだと思います。そうですわよね、姫様、みんな」
「もちろんですわ。もしも聖地がなかったとしても、ヤプールは別のところを狙っただけでしょう。なにより、自分の身にかかる火の粉を自分で払えないようでは、わたくしたちは子孫に自分たちの歴史を誇れません。苦労は、わたくしたちの世代で解決いたしましょう、皆さん」
 アンリエッタが振り向くと、他の皆もそうだというふうにうなづいている。
 ブリミルは、子孫たちのそうした力強さに、黙って静かに頭を下げた。
 時空の特異点と化している聖地。それを鎮めることが、おそらくは虚無の担い手の最終目標になるのだろう。聖地のゲートの規模が縮小すれば、ハルケギニアに異世界から様々な異物が飛び込んでくることも少なくなる。
 虚無の担い手としての使命を肩に感じて、ルイズは手のひらににじんだ汗を握り締めた。
「わたしはきっと、これをするために生まれてきたんだわ」
 これまで、虚無の担い手であることはルイズにとって、形の無い誇りであり重荷でもあった。しかし、虚無の担い手である自分だからこそできる、一生をかけてもしなければいけない仕事ができた。聖地を鎮めること、ハルケギニアのためにこれほど誇りを持って挑める仕事はほかにないではないか。
 しかし、それはルイズがこれから起こる聖地争奪戦の渦中から逃れようもなくなるということを意味してもいる。アンリエッタやキュルケは口には出さないものの、張り切るルイズの様子を心配そうに見つめ、カリーヌは無表情の底から何かを娘に投げかけていた。
 ルイズはよく言えば責任感が強く、悪く言えば思い込みがすぎる。それを察して、軽口でルイズの肩を叩いたのはやはり才人だった。
「気負うなよルイズ、人生は長ーいんだ。明日や明後日に聖地に行けるわけじゃないだろ、てか聖地を取り戻したらディスペルひとつでパーッと終わるんだから、難しく考えるなよ」
「あんたは……せっかく人が世紀の偉業に燃えてたところによくも水を差してくれるわね。わたしがハルケギニアの歴史に名を残す偉大なメイジになれなくてもいいの?」


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