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没作品投下スレ

37 ◆cAkzNuGcZQ :2011/01/30(日) 17:45:49 ID:mxG9llTU
「衝裂破ッ!」

アルベルは剣で地面を削り、自らを中心とした半円を描きだした。
その半円から噴き出す様に放たれた衝撃波がアシュトンに襲い掛かる。
成す術も無く直撃を受けたアシュトンは、まるで水面に投げ込まれた小石の様に地面の上で弾き飛ばされ、
加速した勢いのまま軌道上に生えていた樹に横腹から叩きつけられた。

「うぐぁっ……はぁ…………!」

脇腹と胸に同時に激痛が走った。今の衝撃で斬りつけられた胸の傷が広がったようだ。
そのままうつ伏せに倒れこむアシュトンの耳に、駄目押しの言葉が届いた。

「空破斬ッ!」

アシュトンも良く知る衝撃波の名称だ。
まずい、避けなきゃ。そう思うも痛む身体が言う事を聞いてくれない。
避ける事は無理。ならばガードだ。せめてガードする程度にはまだ動ける筈。いや、動かなくては。
アシュトンは頭を抱え込む様に両手を交差し、痛みを堪えて必死で身体を丸めた。

「………………………?」

しかし、いくら待っても覚悟した衝撃は来なかった。
アルベルは確かに叫んだ。それなのに、何も起こらない。
疑問に思ったアシュトンは恐る恐る顔を上げる。
衝撃波など何処にも見当たらなかった。代わりに視界に入ったのは追撃の来なかった理由。
アルベルは今、アシュトンには背を向けている。その向こうに居るのはクロードだ。
どうやらクロードがアルベルの追撃を止めてくれたらしい。

「ぷはぁ、はぁ……はぁ……はぁ…………はぁ…………」

緊張が解け、無意識に止めていた息を吐き出した。
一つ息が出て行く度に強打した脇腹が痛み、全身から力が抜けていく。しかし、寝込んではいられない。
アヴクールを杖代わりに使って立ち上がろうと考えたが、いつの間にかまた手放してしまっていた事に気が付いた。
地面を見回すと、少々離れた場所に落ちているアヴクールが目に入る。手を伸ばしても届きそうには無い。
已む無く、肘と膝を地面に立てて身体を起こそうとした。
だが四つん這いの体勢を取ったところで、手足の筋肉が体重を支える事を拒否するかの様に震え出した。

(あ、あれ……?)

左腕が内側に滑り、肩から地面に倒れ込んでしまった。
視界がぼやけていた。眼筋に力が入らず、焦点が合わせられない。
ダメージのせいだろうか。いや、無論ダメージも原因の一つでは有るが、それだけではない。
主立った原因は、疲労の方だ。
受けたダメージが呼び水となり、チェスター達への怒りで消えたかの様に感じていた今までの疲労が一気に噴き出していたのだ。

(ま、まずいよ……)

最悪だった。
追撃こそ免れたが、4人もの敵が居ると言うのに疲労困憊で言う事を聞かない身体。
いつレオンが自分の事をクロードにばらしてもおかしくないこの状況。
そして何より、アシュトン自身にもこの場の打開策が何も思いつかないという展開。
全てが最悪だった。

自分が激突した樹を支えに、アシュトンはどうにか上半身を起こし、もたれかかった。
もたれかかる背中に違和感が有った。
背中で触れている樹の硬い感触に、ある種の心地悪さを感じた。
背中で直に触れてしまえる事の“慣れなさ”には、心地悪さと心細さが入り混じっていた。

(……ギョロ……ウルルン……)

ぼやける暗い森の中に浮かんだのは、二人の親友の顔。
幾度となく共に窮地を凌いできた、親友達の顔。
縋(すが)る思いで、アシュトンは二人の顔に問いかけた。

(……僕は…………どうしたら…………)

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