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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその64
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wiki掲載オケです
甘くはないですよ
やっぱり返さないと情けない
でも分からないものは分からない
「ここに来んのも久しぶりだわー」
ツンツンに逆立てた茶髪に攻撃的なつり上がり気味な、目付きの悪いすらっとした男は、連れ立って来た短髪黒髪の普通体型な同年代の男に聞かせるよう空に向かって独り言を吐き出した
ツンツン茶髪の男ハンドルネーム『名無しのバーテン』は、日本帝都東京内の某所に佇む飲食店の店員だ
給金は月25〜30万とそれなり
色々と入り用な帝都でも彼くらいの稼ぎがあればなんとか生活が出来る程度には頑張っていた
「よくここで沈んだりハイになったりしたもんだ」
夢は官僚か政治家か
国を動かす立場に立ちたかった男は夢破れて今を生き昔を懐かしむ
日ごと報道を賑わせる国会の場にもしかしたら立っていただろう自分を幻視して
「この公園に思い入れでもあるの?」
彼の心中預かり知らぬバーテンの連れ
ハンドルネーム『名無しの無職』は、何かを思い出している彼を見て問いかけていた
「特別な場所に聞こえたんだけど」
「んーまぁ、思い入れっつーか、今の人間関係が出来る元になった場所なんだよ。夢とか何とか考えたり、クララと出会ったのもここ。このベンチでさ。V.V.のおっさんやマリーベルと出会ったのもここなんだ」
「へぇ、さしずめ人生の交差点か」
「んな大袈裟なもんでもねーけどな」
失敗人生始まりの地でもあると、バーテンは自嘲気味にからから笑いながら手に持つ缶ビールを仰ぎ飲んだ
「失敗人生ねぇ、俺にはそうは思えないよ」
「なんでよ? 俺ってば最終学歴三流高校なんだぜ。大学受験なんて全部失敗だしさ。成功人生とはとても思えねー」
「大学行ったからって成功するとは限らないよ。俺を見ろよ。いま無職で親からの仕送りに頼って生きてるんだぞ? どうだい成功してるよーに見える?」
「いや、そりゃなあ、まあ」
バーテンの自嘲に無職は自嘲で返礼をした
「バーテンはさ、成功はしてなくても失敗はしてないよ」
「そっかなぁ」
「そうだよ」
バーテンは彼自身が知らないだけで、築き上げていた人間関係についてだけを見てみれば、無職の知る人間の中では最も大成していると断言できてしまう男なのだ
彼を思いやる人たちに彼は囲まれている
彼を心配する人たちに彼は囲まれている
彼を愛する女性からは海よりも深い愛情を寄せられている
それだけを以てしてもバーテンは誰よりも成功者なのだと無職は思った
人間関係を構築するのは一朝一夕でどうにかなるものじゃない
長い時間が必要だ
家に籠りきりだった自分にはただ無為に過ごしてきた時間しかないのだと無職は考えていた
「俺なんて家族との付き合いはない、友達いない、知り合いなんてネットの中だけだったんだ。最近になって生まれた交遊関係だっておまえを通じてのものじゃないか。おまえは俺よりもずっといい環境にいるよ」
それにバーテンは無職ではない。飲食店店員といった平社員だがランペルージグループの末端社員でもある
大人しく今を享受しながら真っ当に生きてさえいれば順風満帆な日々を送れるのだ
「それなのに失敗なんて言ってたら殴りたくなる」
得てして恵まれた環境に身を置く者は、自分が如何に恵まれているのかに気づかない
知らないだけで羨まわれる場所に彼はいるのだ
バーテンには分からずとも無職には分かること
彼との交遊関係を築いたことでそのおこぼれを与っているのは誰あろう無職自身だという事だった
「殴んのはやめてくれマジに。こないだあの糞ジジイに殴られたばっかしなんだから勘弁だぜ」
糞ジジイ
バーテンがそう呼ぶ人は世界も視野も共に狭しな彼の中では一人しかいない
おっさん、ジジイ、爺さん、ガキみたいな年寄り
まるで悪口の羅列とも受け取れよう罵りを吐かれているその人は確かに年輩の人で
見た目だけなら小学生そのものな、色素の薄い色の金髪を踵まで伸ばした不思議な雰囲気を持つ人物だった
名無しの無職はその人とも面識がある
何度となく見舞いに訪れていた病院で顔を合わせた、バーテンの東京での身元引き受け人の人であった
その正体はバーテンに好意を寄せている二人の女性、その人の実子クララ・ランフランクという可憐な美少女と、ブリタニア帝国の戦姫、第88皇女マリーベル・メル・ブリタニアの実の伯父なのだ
ブリタニア帝国皇帝の兄
皇籍を返上しているらしいとはいえ、ブリタニアの皇兄殿下であった
となれば実子クララ・ランフランクも世が世なら姫殿下となる
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