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中・長編SS投稿スレ その2

561earth:2011/06/11(土) 01:08:03
 連休が明け、耕平がログアウトしてマブラヴ人類への干渉が等閑になったころ、地球の様子はさらに緊迫した
ものとなった。
 西暦2000年1月、コーカサスに建設されていたソ連のG元素関連施設が突然大爆発を引き起こしたのだ。 
それも通常の爆発ではなく、ムアコック・レヒテ機関が暴走したときのもの、つまり超臨界反応による爆発だった。
 この大爆発によって広範囲に重力異常が発生することになる。
 だが問題はそれではなかった。ソ連政府が威信をもって進めていたG元素の研究が文字通り水泡と帰したのだ。
折角、着陸ユニットから採取した貴重なサンプルも、ソ連最高の科学者、技術者も何もかもが消滅したのだ。
 これはソ連政府にとって致命的とも言える大打撃であった。そしてソ連政府は自分達への責任追求を回避するために
この研究施設の爆発を、アメリカの陰謀だと主張した。

「忌々しい帝国主義者は、我々の研究施設へ破壊工作を仕掛けた。これを見過ごすことはできない!」

 真犯人扱いされたアメリカ政府は勿論、激怒した。

「こんな横暴な間借り人は見たことが無い!」

 米国議会ではアラスカの即時返還を求める動きが加速した。BETAがいなくなった今、共産主義者を領内に
留めておく理由は何一つない。
 まして恩人であるはずの米国に濡れ衣を被せてくるような輩に手加減は無用……そんな意見が米国を支配した。
 ホワイトハウスでは連日、この問題にどう対処するかで会議が開かれていた。  

「この爆発に我が国の情報員は関与していないのだな?」

 大統領の言葉に、CIAとDIAの責任者達は一様に頷く。
 実際、彼らは情報収集は行っていたが、破壊工作までは現状ではするつもりはなかった。現場が暴走した可能性は
否定できなかったが……何もかも吹き飛んだ今、それを知ることはできない。

「やはり事故なのでは?」
「ふん。ロシア人にムアコック・レヒテ機関ができるわけがない。我々だってG弾を開発するのにどれだけの手間と
 時間が掛かったことか」

 ソ連を嘲笑する男達。 

「だがこれでソ連の優位は消えました。反米の国々も旗頭を失い失速するでしょう」
「そうだな。これで我が国主導の世界が構築できる。万が一の備えとして宇宙艦隊の編成も進んでいる。今回の
 ように着陸ユニットの落着を許すこともないだろう」
「あとは、例の謎の異星人Xですな」
「今のところは大人しい。だが万が一への備えは必要だ。G弾さえ比較にならない大破壊兵器を無警告で地上に
 撃ち込む連中だからな」

 BETAを排除してくれたのは確かに有難かった。だが無警告で一方的に宙対地爆撃をしかけた存在を米国は
信用できなかった。故に宇宙軍の強化も欠かせなかった。
 勿論、宇宙軍の強化を行う事で地上を威圧し、仮初の平和を維持することで米国主導の秩序と米国兵士の命を
守ろうとも考えていたが。

「何はともあれ、我が国の時代だな」

 しかし、彼らの余裕はすぐに打ち崩されることになる。




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