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中・長編SS投稿スレ その2

546earth:2011/06/09(木) 00:08:00
何故か書けてしまったので掲載します。
短めですが第6話です。


 未来人の多元世界見聞録 第6話


 西暦1999年2月11日、火星での謎の発光現象に関するニュースが世間をにぎわせていた。
 かつて一瞬でハイヴが掃討されたことを見ている人類は、同じことが火星でも起こったのではないかと考えた。
 特に京都防衛戦の最中に、ハイヴが掃討された日本帝国では神風が吹いたと歓喜する人間さえ居る。だがハイヴが
消えたと考えて喜ぶ人間がいる傍らで、謎の勢力が太陽系で活動していることを懸念する声も挙がった。

「太陽系にBETAと別の異星人がいることは明らかだ。BETA大戦の二の舞を避けるために宇宙軍を強化する必要がある!」

 米国の国連大使が国連安全保障理事会でそう力説する。これに対して他国の大使達は一定の理解を示すが、全面的に米国の
主張を認めることはなかった。

「確かに宇宙軍の強化は必要でしょう」
「ですが我が国にはそのような余力はありません。国土の復興こそが第一です」
「それに対異星人を名目にして新兵器、G弾を宇宙に配備するというのは感心できませんな。まして貴国は移民船団を改造した
 宇宙艦隊の編成を進めている。これだけでも十分ではありませんか?」

 最後のソ連大使からの言葉に米国大使は反論する。

「地球や火星のハイヴを、我々が探知しえぬ方法で一瞬で消滅させた異星人が相手でもですか?」 

 対BETA戦争のために人類は宇宙観測を重視していた。この技術によって火星周辺で行動する耕平の艦隊を捉えることに
成功したのだ。だがそうかと言って喜んでいられるほど彼らは、特に米国は能天気ではなかった。 
 むしろ太陽系内を自由自在に動き回る多数の宇宙船(それも信じがたいほどの速度で航行する)を確認した米政府は、この
宇宙船を所有する勢力が地球に押し寄せることを恐れていた。
 勿論、他の国も大なり小なり警戒や恐れは抱いている。だが、かといって謎の異星人対策と称して宇宙軍を拡張し、新型爆弾を 
自分達の頭上に配備しようとする米国の行動を全面的に是認するつもりはなかった。

(((異星人対策の名目で、我々の喉元にナイフを突きつけるつもりなのでは?)))

 BETA大戦終了後、アメリカは世界の盟主として君臨していた。
 横暴な大国であったが、アメリカによる秩序は確かに必要だった。しかし必要だからと言って大人しくアメリカの属国に
なる気は各国にはさらさらなかった。特にソ連はかつて世界を二分した超大国としての地位を取り戻すべく躍起になっていた。
 こうして各国は虚虚実実の駆け引きを繰り広げることになる。異星人対策など実は無意味だとも知らずに。




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