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中・長編SS投稿スレ その2

496earth:2011/03/06(日) 00:45:23
 一般人の多くが黒旗軍の神格化を容認しつつある中、夕呼のように黒旗軍が神を偽って人類を支配しようとしている
と考える者もいた。特に政治家たちは、黒旗軍によって物質的にも、精神的にも支配されることを恐れた。

「たとえ復興できたとしても、黒旗軍によって物心両面で支配されるかもしれない」

 今でも十分支配されているが、相手が異星人ということで最低限の警戒感は誰もが持っていた。
 しかし異星人が実は自分達が奉っていた神であったとなっては、誰もが警戒感を解いてしまう。まぁ仮に警戒して
いても相手が本気になればどうにもならないほどの実力差があるが、それでも最低限の警戒心を持ち、自立心を持ち
続けるのと、相手に物心両面で隷属してしまうのでは大きな差がある。  

「……彼らが何のために、あのようなことをしたのか、問い質す必要がある」

 榊はカナーバに直接会って黒旗軍の真意を尋ねた。
 これに対してカナーバはあっさりと答える。

「リサーチの結果です。武装勢力の抗戦意欲を根本から打ち砕き、かつ犠牲を最小限にするには今回の作戦のような
 行動をするのが望ましいとの判断がなされました」
「つまり、あくまでも武装勢力の士気を砕くためだと? ですが我がほうの通信回線にも賛美歌が流れましたが」
「それはこちらのミスです。申し訳ございません。こちらとしては可能な限り周辺に影響がないように努力したの
 ですが、このような小規模な電子戦というのは中々なかったので出力の調整がうまくいかなかったのです」

 地球各地の77箇所の拠点すべてに同時に電子戦を仕掛けることを《小規模》と言い切るカナーバに榊は
絶句する。彼女の言葉を信じるなら、黒旗軍からすれば通常の電子戦というのは複数の惑星に跨るか、それとも
恒星系そのものに対して仕掛けるものと判断できるからだ。

(宇宙での戦いというのは、それほどまでに大規模なものなのか)

 榊はスケールの違いに息を呑む。
 そんな榊を見つつ、カナーバは話を続ける。

「貴方方が言う天使は武装勢力の救助のためのユニットです。宗教的な意味はありません」
「ユニットですか?」
「はい。複数のユニットがありますが、武装勢力が安心して救助を受けれるようにするには、天使型のユニットが
 望ましいと判断されました」
「……今回の判断は上位存在が?」
「いえ。今回の作戦を主導されたのは朝倉少将です。それに上位存在は地球復興について細かく口出しはされません」
(上位存在はこの件に関しては無関係だというのか? いやそれどころか上位存在は地球そのものに対して関心を
 抱いていないということか?)

 榊はここで思い切って上位存在の正体について尋ねる。

「教えていただきたい。上位存在《総司令官》は、人類が考えてきたような神なのですか?」
「上位存在がいかなる存在か、それをお答えする権限は私にはありません。長門中将から直接お聞きください」

 かくして榊は後日、黒旗軍の大使館の通信回線を使って、戦艦《長門》にいる長門と面談することになる。




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