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中・長編SS投稿スレ

468earth:2011/02/16(水) 23:55:22
 そんな帝国政府に対して黒旗軍は食糧、医薬品、さらに化石燃料を含めた資源の援助を行う準備が完了した
ことを告げた。
 黒旗軍からすれば帝国政府へ与える飴程度の感覚だったのだが、帝国政府はこれを黒旗軍が帝国に突きつけた
リトマス試験紙と見做した。
 つまり「こちらを信用して援助を受けるか、それとも信用せずに独力で歩むかを決めろ」という意図があると
思ったのだ。朝倉たちからすればトンでもない誤解なのだが、当時の政府は本気でそう考えた。
 勿論、帝国政府はいくらBETAを駆逐してくれた存在とは言え、食料や医薬品を供給されるというのは些か
抵抗があった。
 政府の一部では資源の援助だけに留めるべきだとの意見もあったが、ここで政威大将軍である煌武院悠陽は
援助を受ける決断を下した。
 さらに自身が食糧や医薬品の安全性を確かめるとまで言い放つ。

「殿下! 危険です!!」

 忠臣である月詠真耶はそういって主を諌めたが、彼女は首を横に振る。

「すでに帝国は一度、彼らとの約束を事実上反古にしています。その状況で色々と注文をつければ、我々は
 かの存在の機嫌を損なうことは間違いないでしょう」

 この言葉に月詠真耶は言葉を詰まらせる。彼我の実力差は天と地ほど開いており、まともにやりあうことは
到底不可能。相手はその気になればいつでも人類を絶滅させられると言っても過言ではないのだ。

「香月博士の分析では、上位存在とやらは人類とは全く異なる種族のようです。そんな存在が怒ればどれ程の
 禍が帝国に降り注ぐが検討もつきません」
「でしたら、私めが!」
「いえ、私がすることに意味があるのです。私自身が安全性を確認し、それを臣民に公表すれば誰もが黒旗軍の
 援助を受け取れるでしょう」
「殿下……」
「これ以上、臣民を苦しめるわけにはいきません」
 
 気高い意思をもって決断を下す悠陽。
 かくして帝国政府は覚悟をもって黒旗軍の支援を受けることをカナーバに伝えることになる。
 支援をする側からすれば、コントといっても過言ではないやり取りの末に。




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