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中・長編SS投稿スレ

467earth:2011/02/16(水) 23:54:46
 勿論、そんな人類の悩みを長門達が知らないはずが無かった。
 黒旗軍の技術力をもってすればこの世界の人類の通信などただ漏れであり、たとえ暗号化されていたと
してもすぐに解けるレベルのものだった。
 故に彼女達は各国が自分達に正面から敵対するつもりはないものの、真の目的を話していないと思い
警戒していることを知る。
 これを知った朝倉は「ああ、もう何もかも面倒だわ」とばかりに不平と不満を漏らし、長門も些か
呆れた顔をした。
 暫く頭を抱えていた朝倉は、何とか精神を立て直すと決断する。
 
「こうなったら、こちらが本気で地球環境を回復させるつもりでいることを、連中に知らしめましょう。
 それで少なくともこちら側へ協力すれば利益があると思わせておけば、少しはマシになるわ」

 かくして彼女達はトラクタービームを使って月の移動を開始させると、その旨を各国に伝えた。
 これに驚いた各国政府は慌てて月の軌道を確認する。すると確かに月が元の軌道に戻りつつあること
確認された。月がこの短期間でほぼ元の形状(地上から見る限り)になっていることだけでも驚きなのに
天体の運行(それも地球に悪影響を出すことなく)まで行うその力に各国は震え上がった。
 特に帝国政府はそれが顕著だった。何しろ先の交渉の結果、彼らは本土からかけ離れた辺鄙な小島に
黒旗軍を押し込んだようなものだった。

「お前が反対したから!」
「何だと、お前だって乗り気じゃなかったじゃないか!!」
「何?!」

 政府内は揉めに揉めた。いくら相手があっさり引き下がったのが原因とは言え、黒旗軍をそうさせた
のは他ならぬ自分達であることは彼らもよく承知していた。
 故に彼らは責任の擦り付け合いを行った。結局、この混乱を収拾するために元総理でありながら政財界に
強い影響力を持つ前総理大臣榊是親が出張ることになった。
 尤も本人はこの現状に強い危機感を抱く。 

「このままでは帝国は滅んでしまう」

 内憂外患とはまさにこのことだった。北海道や日本海沿岸での旧ソ連軍や韓国軍、北朝鮮軍残党との
消耗戦。友好的とは言え、いつ豹変するかわからない第二のBETAと言っても過言ではない異星人。
このような状況下に置かれても内輪もめを止められない帝国政府。それでいて刻一刻と悪化していく国内事情。
 このままいけば帝国は崩壊するのは間違いない。




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