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中・長編SS投稿スレ

270earth:2011/02/13(日) 01:19:42
 一方で帝国側は、うまく交渉の仲介を担うことで黒旗軍と他の国々の両方に恩を売れると思っていた。
 曲がりなりにも正面から戦うことができない以上、帝国としては外交でポイントを稼ぐ必要があるのだ。
 さらに言えば何とか黒旗軍の歓心を買っておき、他の国よりも優遇してもらいたいとの思いもあった。

「それと各国と交渉するにいたって、必要となるものがあります」
「……大使館ですね?」
「はい」

 外務大臣は頷いた。

「我が国、そして他の人類国家と交渉するにしても出先機関というものが必要です。
 我々としましては、その大使館を提供する用意があります」

 外務大臣は大使館を日本に置くことで、日本と黒旗軍との関係をより強固なものにしようと考えていた。
 地球環境が回復した際に、黒旗軍と特別な関係にあるということは、それだけ大きな発言力を有すること
にもなる……彼らはそう考えた。
 実際、オルタネイティブ7を成功させ、地球人類の再建に貢献したことも考慮すれば、米国を抜いて日本が
世界の頂点に立つことさえ不可能ではない。
 だがそんな目論見を朝倉と長門は見抜いていた。  

(人間の業と言うのは度し難いわね……)

 半ば呆れる朝倉だった。しかしここで面白い提案をすることを思いつく。
 朝倉は長門に秘匿通信回線をつなげてそのことを伝える。すると長門はそれに同意する。
 同時に彼女は自分でそのことを帝国側に告げることを朝倉に伝える。 
 朝倉はそれに同意すると、まずは先ほどの大使館の件について回答する。

「それではお願いします。大使館に派遣するインターフェースのアンドロイドは後ほど
 決めさせていただきます」

 これを聞いて帝国側交渉団は安堵した。しかしこのあと長門がトンでもない提案をする。

「我々としてはこれから地上での活動を活発化させるが、そのための拠点を必要。
 可能であれば、必要な土地を提供していただきたい」
「と、土地の租借ですか。それはこの場で即答するのは」
「不可能ならば、移動が可能な人工島を建造する。ただ多少手間がかかる」

 この提案を聞いた夕呼は即座に質問する。




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