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テスト

1earth:2007/05/12(土) 20:12:57
テスト書き込みです

951モントゴメリー:2022/08/27(土) 20:31:51 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
【設計】
前述したように、船体などの基本設計はアラスカ級を踏襲している。
元々アラスカ級は「新世代の艦隊型空母」を原案としていたので、偵察戦艦(航空戦艦)という回り道を経て本来の姿に立ち返ったとも言える。
しかし、戦局の悪化などの諸条件により原案当初の理想と剥離した面も少なくない。
まずアラスカ級の最大の武器とも言える速力は、量産性を高めるため機関をフレッチャー級駆逐艦のものを2セット搭載する方式に変更された。
これによる合計出力は約12万馬力。
正直このサイズの空母には力不足であり(原案では15万馬力、アラスカ級で20万馬力)、速力は最高29ノットと不満が残るものとなった。
しかし、船体規模を活用した長大な飛行甲板により航空機運用能力には大きな影響を与えていない。
実際、戦争後半に登場した大型重量級艦載機の運用も問題なく行えている。
次に防御力。
原案では舷側装甲は対15.5㎝砲、水平装甲は高度3048mから投下される1000ポンド爆弾に抗堪できる性能であった。
しかし本級では量産性を高めるため、防御力はそぎ落とされることになる。
これは装甲板の配分がアラスカ級及び改アラスカ級、そして改ユナイテッド・ステーツ級に優先されたためでもある。
(アメリカン・ジャスティス世代の妨害工作であるという説が根強い)
結果、本級の装甲防御は垂直装甲が舵機室のみに89㎜、水平装甲は機関室上部に32㎜を施されたのみとなり、非常に脆弱となっている。
これは運用側から見れば大きな不安であり、その不安は実戦で証明されてしまう。
本級は一発の被弾で戦闘能力を損失することも珍しくなく、弾薬庫が誘爆して撃沈した事例すらある。
ただし、水中防御はアラスカ級を踏襲したため原案よりもむしろ強化されており、雷撃に対する対応力は意外にも高かったことはここに明記する。
上記のような欠点を抱えているが、それらを許容してまで求めた航空機運用能力は破格である。
搭載数は定数で110機。露天繋止を最大限活用した場合は130機にもなる。
また、広大な格納庫は作業スペースとしても有効であり、護衛空母などでは運用困難な高性能艦載機にも対応可能である。
甲板エレベーターはヨークタウン級の3基から2基に減少したが、左舷格納庫前部の開口部に小型のサイドエレベーターを装備するなど新機軸も導入している。
カタパルトは2基が搭載されることになっていたが、護衛空母への配備が優先されたためほとんどの艦が1基しか装備されなかった。
(装備されなかった艦もある)
また、カタパルトそのものの性能も不安定であったため、実戦で活用されたことは少ない。
その欠点は飛行甲板の長さで補うことが可能なレベルであったのだ。
対空火器について特記すべき事項は37㎜機関砲の採用である。
これはソ連海軍のV-11 37㎜連装機関砲をライセンス生産したもので、砲そのものの性能は日英同盟軍が使用するボフォース40㎜機関砲に遜色ないものである。

【運用】
本級はハワイ沖開戦時には数隻が実戦配備されており、同海戦における合衆国航空戦力の一翼を成した。
不足と言われる速力も、戦艦部隊と協同する際には問題にならなかった。
(ただし、ヨークタウン級やアラスカ級と艦隊を組む際には苦労している。そのため、これらの艦は独自に任務部隊を編成、遊撃隊的にうんようされた)
本級はその防御力の低さから就役した艦の大半が戦没したが、合衆国海軍が消滅するその日まで艦隊上空を守り通した功労艦であることは異論の余地がない。

952モントゴメリー:2022/08/29(月) 20:48:02 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
Etoile de Brest(ブレストの輝ける星)

フランス連邦共和国(以下、FFR)には「我らが指揮官」リシュリュー以下女神たちに捧げる歌が数数え切れぬほど存在している。
その中で一際特異なものに「Etoile de Brest(ブレストの輝ける星)」というものがある。
知名度では最上級であるのに公の場で歌われることが極端に少ないという謎めいた歌である。

まず、この歌の由来を辿ると第二次世界大戦中のフランス水兵たちから自然発生的に生まれたようだ。
アイルランド民謡の曲にフランス語の歌詞を付けたのである。
確認できた最古の歌詞を以下に記す。


ブルターニュのブレストのそば
去年の初夏のある朝の事さ
ボカージュの陰から愛らしいフランス娘が出てきて
そして通りがかった俺に微笑みかけたんだ

ああ、彼女のそれは素敵だった
二本の真っ白い足からblond platineの髪の先のきらめきまで
こんなにも魅惑的な妖精に俺は衝撃を受けた
俺が見たものは現実かと

デン・ヘルダーからスカパ・フローを通り
ノーフォークから横須賀へ行ったとしても
この美少女ほどの乙女はあるまい
俺がブレストで逢った娘ほどのは


彼女は走り去り、俺は頭をかきむしり
心を高ぶらせて彼女を見つめていた
俺は聞いた、彼女の付き人に尋ねたのさ
「あのblond platineの娘は誰なんだい?」

その幼女は誇らしげに言った 言ったのさ
「あれこそがフランスの勝利の女神
ブルターニュから来た戦艦リシュリュー
彼女こそがブレストの輝ける星!!」

デン・ヘルダーからスカパ・フローを通り
ノーフォークから横須賀へ行ったとしても
この美少女ほどの乙女はあるまい
俺がブレストで逢った娘ほどのは

953モントゴメリー:2022/08/29(月) 20:50:20 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
軽く解説すると、擬人化した戦艦リシュリューをあらん限りの言葉で称揚し
さらに、デン・ヘルダー(蘭)やスカパ・フロー(英)、ノーフォーク(米)そして横須賀(日)。
すなわち世界の列強海軍全てを見渡してもリシュリューに勝る艦は存在しないのだと声高に宣言しているのである。
また、敵に占領され帰ることがかなわない故郷の風景を懐かしむ心も垣間見える。
興味深いのは、FFR開闢以前の戦時中には既にリシュリューへの信仰の萌芽が見いだせることである。
この歌は前述の通り水兵たちから始まり当時のフランス海軍全体に広まった。
そして、戦後直後からFFR体制発足までの期間にフランス本土でも広く歌われるようになった。

しかし、この歌はリシュリューが神格化していくに従い徐々に歌われなくなっていく。
三世代を経る頃には、進んで歌うものは成人にはほとんどいなくなっていた。
別に封印されたわけではない。「我らが指揮官」の歩みの中で重要な地位を占める歌であるし、歴史記録映画の中では普通に流れている。
歌詞自体を知らぬフランス人はいないであろう。幼少期には皆が歌ったはずだ。
では何故か?
他国の者は「歌詞がリシュリューへの不敬に当たるから」だと予測し、フランス人たちもその説を否定しない。
しかし真相はもっと深刻でかつ単純なものである。

———「羞恥心」だ。

考えても見て欲しい。
自分の『お母さま』のことを「この美少女ほどの乙女はあるまい」と公衆の面前で歌って恥ずかしさを覚えない大人が世界にどれだけいるであろうか?
それを成せるのはあの戦争を彼女と共に戦い抜いた者たち、戦前世代の者たちのみだった。
いわばこの歌は我らが指揮官の『戦友』たちの象徴でもあるのである。

954モントゴメリー:2022/09/07(水) 17:03:34 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
——約束の剣

リシュリュー刀。
それは「再構築改装」で交換された「我らが指揮官」、戦艦リシュリューの旧船体を加工して作られたサーベルである。
これを所持する事はFFR国民にとって最大級の栄誉である。

ただし、人口比率はともかく絶対数で見るとその保持者は意外に多い。
リシュリュー刀を賜る者は、まず各軍士官学校主席卒業者が挙げられる。
これだけでも毎年4人は該当する(陸・海・空・宇宙軍)。
この他、陸軍ならば師団長に親補された者、海軍ならば戦艦リシュリュー艦長以下主力艦の艦長である。
(当初はリシュリュー艦長のみだったが、陸軍が全ての師団長を候補に入れてしまったため、バランスを取るためにこの形になった)
これ以外にも「戦場で多大なる功績を収めた者」たちも対象者である。
この「多大な功績」については各軍で定義が異なるが、やはり実戦経験が多い陸軍が最多である。
これに関しては勲章のように重複授与が認められており、現大統領が複数のリシュリュー刀を保持している理由である(現状、最多保持記録者)。
さらに軍人だけでなく、国家に多大なる貢献を果たした学者や技術者などの民間人でも受領は可能だ。
他国ではアーサー王伝説のエクスカリバーと同列に語られることもあるリシュリュー刀であるが、神聖度はともかく希少性という観点では他の神話に出てくる武具と大きく異なっているのだ。

955モントゴメリー:2022/09/07(水) 17:04:47 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
しかし、そのようなリシュリュー刀でも特別な一振というものは存在している。
その名も「約束の剣」
それは、製造時に「鉄人」——FFR初代大統領ジョルジュ=オーギュスタン・ビドー ——の遺骸の一部を加えたリシュリュー刀である(心臓と言われる)。
「鉄人」の遺言書には
『死後、私の体は燃やせ。そしてその灰を集めて国境線に、フランスの敵の眼前に撒け』
と記されていた。
100年の人生全てを捧げてもなお足りず、彼は死後も祖国フランスを護ろうとしたのである。
されど如何に遺言と言えども、彼の亡骸をそのようにするのは誰もが躊躇した。
そして代替案として作成されたのが「約束の剣」なのである。
このリシュリュー刀はFFR政府正当性の象徴とされ、FFR大統領に与えられる。
しかし、その安置場所は公表されていない。
ある者はエリゼ宮の中と言い、ある者は鉄人の霊廟と言い、「我らが指揮官」の胸中と主張する者もいる。
或いは現大統領の腰かもしれない。
通常ならば恐れ多くて不可能であるが、彼女——『謀将大統領』マリー・マフタン——ならばやりかねないとして一定の信憑性が持たれている。

「約束の剣」には伝説がある。
それを抜けるのは大統領、「FFR最高司令官代行」のみであるという。
また、「鉄人」の魂が宿るという伝説もあり時折、剣が語りかけるというのだ。

——フランスは、FFRはどうなった?

と(これは、「鉄人」今際の際の言葉と一致する)。

956635:2022/09/14(水) 17:13:53 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
テスト開始!!

957635:2022/09/14(水) 17:14:40 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp

日蘭ネタ 日蘭フランスにおける日本人(転生者)達の足跡



『…君、キミ前世で何やらかしたか分かってるのかね!』

『いや自分のしたのこうつながるとか分かる訳ないでしょ!?というかあの国の信仰は自分のしたことと直接的な繋がりないでしょ!!』


大日本帝国内、某なんとか会の保有する建物の一室より怒声が飛び交う。一体何夢幻会なんだ…。
中ではいい歳した大人達の大声が飛び交っている。
そんな大人達を宥めるのも同じくらいの大人である。


「まあまあ、彼のやらかしは直接的に現在のFFRのリシュリュー信仰に繋がった訳ではありませんし…。」

「転生者のやらかしは寧ろ英国や蘭帝への影響や日本でのやらかしの方が酷いですよ…。」


擁護する者の言葉に同意する者も多い。


「確かに…鉄血歌とかいうアニソンとかねえ…。」

「なんでBCの国語の授業で【楽園の妖精】が古典として扱われてるんですか…(現場猫状態)。」

「平安時代に利子理須とかいう女性で構成された秘密組織があると今も残ってると世界中で思われてるし…。」


その言葉にそれもそうかという大声出していた人物、だけどエラい遠い目をしている。


「確かに…彼のしたことといえばFFR神話を拡張したくらいですね。その影響甚大ですが…。」

「すいません…あの時は初めての転生で伝説残して推しの艦娘の強化するとか意気がってまして…。」


遠い目をした人を見て言い争っていた人物もシュンとし反省した様子に周囲もホッとするが釘を刺す人物もいる。
なおその人物の眼は濁っていた。


「だけど貴方のしたこと未来永劫この世界で残るので覚悟して下さい。
キツいですよ、自分の黒歴史が未来に転生しても残ってるてのは…。」

「うっ!リシュリューが女神として建造以前から存在するとかしなければ…。」

「(なああの釘指してたヒトって…。)」

「(ああ自分の黒歴史の産物が歴史の授業で扱われてるな。)」

「(こないだ今生の娘から黒歴史について質問来て答えたら当事者みたいと言われて目が死んでたゾ。)」




フランス連邦共和国ブルターニュ地方ブレスト市のとある小学校。
柔らかな日差しの差し込む教室では制服を纏った児童達が真剣な顔をで机に向かう。
生徒達の視線の先には文字や画像を映し出し教師が補足を書き込むことも出来る多目的大型モニターが据付けられている。
黒板やホワイトボードはない…などということはなく非常時の電源喪失や有事に備え両方とも存在している。
それだけではない。地下には食料など生活物資まで備蓄され通信・指揮設備まで存在、近隣には武器弾薬の貯蔵施設も存在する。
この小学校もFFR有事の際には軍事的或いは防災的拠点の一つとなり我らが指揮官の命の下でFFRという我らが指揮官の身体の細胞の一つとなるのだ。

そして教室のモニターの上には彼らが信奉する【女神】の御影を収めた立派な額縁が掲げられ勉学に励む児童達を見守っている。
【女神】の姿はここだけでなく体育館や朝礼の行われる多目的ホールにも掲げられ、校舎の中庭にはその姿を模した像すらも存在しありとあらゆる場で児童の健やかな成長を見守っていた。


「……船の難破などで日本人は当時のフランス各地に漂着しましたが、敵国であったオランダの援軍ということもありその多くは時の革命政府に見つかり次第殺されていきました。
しかし、その中でも僅かであるが生き残ったものもいたと記録には残っています。
王党派や反革命派に匿われ、或いは当時フランス中央から程遠く文化的にも違うこのブルターニュなどに流れ着いたのが理由と推測されています。
そういった日本人達は反革命的として失われつつあったフランス文化や書物、美術品や記録をしたためたノートを持ち出すことや文化人を連れ出すことに成功し帰国した者もそれなりにいたようですね。
現在それらはFFRに返還され現在ではルーブル・我らが指揮官記念美術館に展示されていますので興味があれば覗いてみるとよいでしょう。」


ノートや教科書を捲る音、ペンを走らせる音が教師の言葉以外ない教室より聞こえる。
無論、教育用小型携帯端末も支給されてはいるが有事にはやはりアナログも有効との理由で最新電子機器と併用されて生き残っていた。

958635:2022/09/14(水) 17:15:13 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp

「記録したノートや書物、美術品などを保護したが持ち出せなかった者も多くいました。
当時の革命政府は現在の様に我らが指揮官の威光もなく共和制とは名ばかりの野蛮人ばかりだったのでしかたないともいえます。
しかし、日本人達はやはり殺されたが中には後の世にそうしたものを残すことに成功した者もいました。
先の大戦で偏狭であった第三共和制が終焉。
戦後、全てのフランスの後継者たる我らFFRの時代となり漸くそれらは受け入れられる様になりました。
先人達の残したもの継ぐべくそれが発掘調査をされ野蛮人共により失われ、日本人達が守ったそれらの多くが再発見されることとなりました。」


教師が話を進めるにつれ口調が熱を帯びてくる。


「そうしたものの一つが先年に我らが指揮官の湯殿(ブレスト海軍ドック)の拡張工事で発見されたものです。
この場所では異国人…日本人がフランスの異教の女神などの伝承の記録や物品を纏め埋めたという言い伝えがありその存在が有力視されていましたが先年まで発見されずその存在は近年では疑問視されていました。
しかし我らが指揮官の大規模改装の為のドックの拡張工事において厳重に保管された箱や異教の伝承を彫った日本語の碑文などが発見されFFRで大ニュースとなったのは皆さんの記憶にも新しいと思います。
伝承にしか存在しなかったメリュジーヌと呼ばれる焼き菓子始め食べ物の製法や失われたブルターニュの祭りなども詳細に記され、
焼き菓子などは現在ではブルターニュの特産品となっています…。」


教師は一旦話を区切り努めて冷静に話そうとするが興奮を収められないといった感じで熱弁を振るう。


「その中でも最大の発見が日本語の碑文、通称【リシュリュー=メリュジーヌ碑文】と称されるものです!
古来フランスには【リシュリュー】という女神がおりその女神は姿と名を変え何度もフランスを救おうとしたいたと記されております!!
そう【リシュリュー】!【我らが指揮官】と同じ御名!そう我らが指揮官は古来より何度もフランスを!FFRを救おうとされていたのです!!
碑文にはこう記されています!」


教師の熱は最高潮に達する。


「『嗚呼、綿津見に座す極光(オーロラ)の姫なるリシュリュー。フランスを総べし女神。死すべき身の者に魂養う波贈る大洋の母竜。
始めはメリュジーヌとして後、聖女として王妃として。汝は幾度となくフランスを救おうと顕現せど不心得者達に阻まれり。
されど未来、貴女は真なる名と姿を得られ顕現されるであろう。その御名はリシュリュー、大洋のリヴァイアサンなり』!」


ふうと一息つく教師。


「この発見を以てFFR宗教界では以前よりFFRアフリカ州宗教学者が主張していた、
我らが指揮官が幾つもの姿と名を持ち戦艦リシュリュー建造以前より現世に降臨していたという説が定説となりました。
この説をリシュリュー=メリュジーヌ説と言いますがこれは歴史の授業だけでなく様々なテストで出るので覚えておくように。
おや?授業終了の鐘ですね。皆さん休み時間中に次の授業の準備をして下さい。」

「「「「起立!気を付け、礼!ありがとうございました!!」」」」

「はい、ありがとうございました…。」


なお戦艦リシュリュー、BCでは某妖精な國の頭アレな極光であるとされFFR・BC間の新たな火種になってるとか。

959モントゴメリー:2022/09/17(土) 21:09:31 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
無幻世界支援ネタ——ソビエト軍「T-43」中戦車——

車体長:約5.9m
全幅:約3m
全高:約2.5m
重量:約34t
速度:約50km/h(整地)
行動距離:約300km
主砲:ZiS-6 107mm砲
副武装:7.62mm車載機銃DT 3挺
装甲:16mm - 90mm
エンジン:V-2 12気筒液冷ディーゼル(500馬力)
乗員:5名

【概要】
ソ連軍が開発した中戦車。T-34の改良版である。
その機動力と量産性を維持しながらドイツ軍のティーガーと同等の攻撃力とパンターと同等の防御力を獲得した傑作である。

【開発】
本土決戦前のソ連では、KV-3の開発と並行されT-34の改良計画も進行されていた。
ポーランドでの戦闘により断片的ながらドイツの新型戦車の情報は入手できたのでそれを土台に検討した結果、
「防御力の向上が急務であり、火力の強化も必要」
という結論に達する。
つまりは総合的に劣勢という悲惨な状況であるのだが、T-34を設計したモロゾフ設計局は
「T-34を土台に、ファシストどものものより優れた戦車を短期間で用意できる」
と上層部に対して啖呵を切った。
上層部もKV-3は「重戦車」であるため軍の主力とすることは困難であるということは理解していたので、量産性に優れた中戦車の必要性は解っていた。
なのでKV-3のときと同じく「一か月以内に完成させろ」という条件をつけて開発を承認した。

【設計】
本車両はT-34の改良版という立ち位置であるため、基本的構造はT-34と同じである。
ただし砲塔に関しては完全新規設計であり、従来よりも大型化され3人乗りとなった。
これにより社長は指揮に専念できるようになり、運用の柔軟性が向上している。
この点でようやくドイツ軍に追いついたと言えるだろう。
懸架装置はT-34のクリスティー式からトーションバー式に変更された。
構造が単純化され整備性が向上したのみならず、重量が増加したのに最高速度を維持することにも成功している。
全体で見ると部品の約6割はT-34と共通のためT-34の生産ラインを使って即座に量産体制の構築が可能となった。
しかし、工場のウラル地方への疎開計画などにより計画は混乱。
次善策として本車両の砲塔をT-34の車体に載せたT-34-85が同時生産されることになる。

960モントゴメリー:2022/09/17(土) 21:10:19 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
【火力】
主砲としてS-53 85mm砲を搭載している。
これは、ドイツの「アハト・アハト」と同じく高射砲を祖とする砲でM1939高射砲と弾薬を共通している。
本砲は重量9.2kgの通常徹甲榴弾を800m/sで撃ちだす能力があり、貫通力は距離500mで105mm、1000mで100mmである(垂直装甲板の場合)。
数字上はドイツの「虎」戦車と同等であり、距離1000mから虎を撃破できるが、実戦で垂直に命中する機会はあまりない。
高速徹甲弾を使用すれば距離500mで約140㎜の垂直装甲板を貫通できるため「豹」を正面から撃破できる。
しかし、高速徹甲弾の生産量は需要に対して常に少数であった。

【防御力】
防御力強化は本車両の第一目標であったため力を入れられている。
車体前面は75㎜、傾斜角60度であり「豹」とほぼ同等である。
(なお、75㎜という厚さはKV-1用の装甲板をそのまま流用できるために決定された)
これは、計算上はKV-3の垂直150㎜装甲と同等の威力を発揮する。
つまりは虎に対して距離500mまで安全圏を確保しているが、「豹」に対しては1000mがギリギリであるという点も同じである。
車体側面・背面も50㎜まで強化され(ただし垂直)、砲塔は正面90㎜、側背面が75㎜である。

【運用】
本車両もKV-3と同じく極めて短期間に開発が成功し「スターリン・ライン攻防戦」に投入された。
緒戦では同時生産されたT-34-85に活躍の座を譲ったが、時を経るごとに数的主力は本車両に移行することになる。
運用的にはKV-3が「金床」になり、本車両が「金槌」の役割を担うことが多かった。
正に中戦車と重戦車の理想的な役割分担である。
ドイツ戦車兵たちからは「打たれ強くなったT-34」と認識され、倒せないわけではないが厄介な相手として認識された。
(なお、ドイツ軍は本車両とT-34-85の区別をつけていない)
本車両の「スターリン・ライン攻防戦」における最大の活躍は「カトゥコフ支隊」によるドイツ軍兵站拠点破壊作戦であろう。
カトゥコフ大佐率いる第20戦車師団を中核とした機動打撃部隊でドイツ軍前線を突破。
その後方の兵站拠点を駅の操車施設に至るまで破壊した作戦である。
MiG-13の稼働全機を投入した上空支援もあり作戦は成功。これによりドイツ軍の行動は鈍化し「スターリン・ライン」が3か月も持久できた主要因となる。
本作戦に投入されたT-43には各戦線からかき集められた高速徹甲弾が定数まで搭載されたという。

【総括】
本車両はT-34の正当進化型であり、T-34の革新性をさらに推し進めて一品である。
ドイツの「豹」と比べればまだまだ力不足の面が否めないが、45トン級戦車に対し、34トンの戦車がここまで迫れたのだから十分健闘したと言えるのではないだろうか。

961194:2022/09/27(火) 19:58:55 HOST:ai126146081193.53.access-internet.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その5


新メンバー達を加え、心機一転突き進む事となったカノープスとスピカ。メイクデビューでの勝利を目指し、皆トレーニングに余念が無い。
チームの先輩達も、自身のトレーニングの合間を縫って可能な限りのサポートを行い、後輩達の勝利を願う。勿論歌やダンスのレッスンも有るので、中々にハードなスケジュールとなっている
そして迎えた、レース当日。今回は、トリーとカナの二人のレースを見ていこう。

6月某日 中山競バ場

ここ中山競バ場だが、メイクデビュー戦は第4及び第5レースとなっている。走る順番だが、トリーが第4レース・カナが第5レースに出走する事になった。
さて、ウマ娘のメイクデビュー戦は割かし空席が目立つ物なのだが・・・今回のメイクデビュー戦は些か趣が違った。
まるでGⅠレースが行われると勘違いしてしまいそうな位の沢山の観客で溢れており、メイクデビュー戦としては極めて異例の満員御礼状態だった。
何故か。それは、少なくない人達の目撃証言から「UMAの時の記憶を保持したまま転生したトリプルターボとカナリハヤイネン」が居る事が判明しており、
メイクデビュー戦での出走が知れ渡るや否や、ウマ娘に転生したかつての名馬(UMA)の大逃げを一目見ようと、日本各地ばかりかティ連の人々も多数押しかけてきており、
結果として立ち見の人が出る程の事態となったのだ。
競バ場関係者達は、全く予期しない出来事に頭を抱えていたが、止む無く人員を増員して対応している。
さて、出走表だが以下の通りになっている。

第4レース
1枠①オーキッド
 ②ドゥンケル
2枠③ライサンダーゼット
 ④エスアールファング
3枠⑤トリプルターボ
 ⑥グラントランチャー
4枠⑦エメロード
 ⑧センゴウダン
5枠⑨インパルス

第5レース
1枠①レイピアノヴァ
 ②マグブラスター
2枠③サンダーボウガン
 ④ライジン
3枠⑤プラズマジーシー
 ⑥カナリハヤイネン
4枠⑦ナンガデッキョンナ
 ⑧サイブレード
5枠⑨ミラージュ

962モントゴメリー:2022/10/06(木) 20:36:47 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
「Système de guerre totale durable——永続的な総力戦体制——」

Système de guerre totale durable(SdGTD)とは、「永続的な総力戦体制」を指す言葉であり、21世紀のフランス連邦共和国(FFR)に置いて提唱された概念である。

総力戦体制の構築は近代国家の証明であり、独立国家の義務である。
しかしながら、科学技術の発展と共に国家を形作る社会は年々複雑化してきており、国力全てを戦争という一方向に振り向けることは困難となりつつある。
また、軍事面に注力しすぎれば逆に国力を損耗し国家の寿命を縮めてしまうという事も判明している。
そこで、健全なる国家財政を維持しつつ、国力増強と総力戦体制の両立を目指した長期的指標を策定すべしと当時国防大臣であったマリー・マフタンが提唱したのがSdGTDである。
この概念はその理解しやすさから広く国民に知れ渡り、一般化していった。
それはFFR国内にとどまらず、OCUやBC、CISにおいても類似の指標が策定されることになる。


SdGTDの主な内容は以下の通りである。

・平時の常備兵力は総人口の1%以下とする。
・国防費の割合は平時においては国内総生産の3%以内にすること。
・有事には「最低でも」総人口の10%、最終的には25%を動員可能な体制を構築する。
・上記を達成し得る国家財政と経済力を平時より構築する。
・金融サービスを整備し、国家の資産を「生産的な」投資に活用する。
・食料自給率を100%以上に保つ。
・石油を始めとするエネルギー資源に関しても自給率100%を目指す。
上記2つの自給率100%を国土が耐えられる負荷の範囲でかつ長期間維持可能な形で達成する。
・国民の健康度を向上・維持させ、何時如何なる時でも動員に応えられる状態にする。
・上記を達成するために『平均寿命250歳』を目標に「抗老化」技術をさらに発展させる。
・国民の教育体制を改良し、義務教育に留まらず生涯に渡って学習できる機会を提供する。
・上記の体制を活用し、国民に対し常に最新の軍事・政治・経済の知識を浸透させる。
・技術開発への投資を継続し、新たなる技術や兵器・戦術に対応できる社会基盤を整備する。
・持久戦を想定し、各都市が一定期間自己完結できる体制を整備する。
・有事においても社会基盤を維持できるように、自動人形の活用など各産業の自動化・省人化を推進する。

963モントゴメリー:2022/10/24(月) 23:37:53 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
無幻世界支援ネタ——GAZ-AAA-V型トラック——
全長:約5.3 m
全幅:約2 m
全高:約1.9 m
要員数:2名
エンジン馬力:50馬力(標準)・6×4輪駆動
積載量:2トン

【概要】
GAZ-AAA-V型トラックはGAZ-AAAトラックの戦時量産型である。
極限まで簡略化した設計により大量生産がなされ、戦争中のソ連軍兵站を支えた功労者である。

【背景】
まず、基となったGAZ-AAA型トラックについて述べる。
これは、フォード AA トラックを原型として、ソビエト連邦においてライセンス生産されたトラックである。
GAZ-AAA型トラックはこれを6輪車両にしてさらに4輪駆動とした強化型で、積載量は1.5トンから2トンに強化されさらに悪路走破性も向上している
大祖国戦争開戦時にはAA・AAA型合わせ約17万輌がソ連軍に配備されており、兵站業務についていた。
しかし、開戦によりトラックの需要はさらに高まった。それに対し、生産力は戦車などの装甲車両に振り向けなければならなくなる。
そのため、低下した生産力で需要に応えるためにGAZ-AAA型トラックの戦時量産型設計が必要とされたのである。

964モントゴメリー:2022/10/24(月) 23:38:51 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
【設計】
積載能力を維持しつつ、「これ以上の簡略化は不可能」と断言できるほど徹底的な簡略化が図られた。
その外見は悲惨とも言えるほどで、「フレームにエンジンとトランスミッションを取り付けただけ」の一言で表せてしまう。
(一応、他にも絶対必要な部品は装備されているが…)
操縦席と助手席には屋根もなく、風除けの前面ガラスすらない。ドアに至っては言わずもがなである。
試作一号車を視察したスターリン書記長の『まだ製造途中のようだが、いつ完成するのか?』というセリフが全てを物語っているであろう。
なお、『これが完成形であります』という技師の返答に同志スターリンは絶句したという…。
エンジンは元型と同じく50馬力ガソリンエンジンであるが、これは「標準」であり実際は各工場で手に入るエンジンは片っ端から搭載された。
標準型の次に用いられたのはコルホーズなどで使用されていたトラクター用エンジンで、これは約20馬力しかなかった。
そのため、最高速度は50㎞/hとされているが20km/hほどしか出なかった車両も多くあった。
しかし、それは致命的な問題とはならなかった。
あまり速度を出すと、運転者が凍傷を発症し最悪死亡するからである……。

【運用】
当初はそのあまりな外見なため前線の各部隊では受け取りを拒否されたため、主に戦線後方の輸送に活用された。
スタート・ラインからモスクワに至るまでの戦闘予想地域の住民疎開作戦が特記に値する。
しかし、スターリン・ラインからの撤退が成功した後では贅沢も言っていられず前線部隊でも使用されるようになる。
実際に使ってみると、その評価は意外にも高かった。
見た目に反し堅牢であり、故障率も低かったのである(何せ故障する部品がないのだから)。
尤も、乗り心地は最悪であったため運転する現場の兵士たちは少しでも快適にしようと創意工夫をした。
ソ連軍は人民の軍であり労働者の軍である。よって、大抵の部隊に一人は職人がいた。
真っ先の屋根が追加され、中には風除けガラスまで装備した部隊もあった。
兵士からはその見た目から「同志スターリンの櫛」と呼ばれ、ドイツ軍からは「骸骨トラック」と呼ばれた。
それは多分に侮蔑の成分が含まれていたが、その稼働率の高さからドイツ軍も鹵獲車両を活用するようになる。

965モントゴメリー:2022/10/29(土) 00:54:43 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
リシュリューとイル・ド・フランス、ハロウィンの装い

リシュリュー
・赤のワンピースに赤のマント。所謂「赤ずきん」の服装である。
・そこに普段の「我らが指揮官」モードの荘厳さは見られず、南仏の陽光のような快活さが後光のようにあふれ出ている。
・言うなれば「ブレストの輝ける星」モードのリシュリューである。「子供たち」に混ざって祭りを大いに楽しんでいる。
・手にした籠の中には彼女お手製のシュークリームが一杯に入っている(クリームも自家製のカボチャクリームだ)。
…「トリックorトリート」なのに逆にお菓子を配る側なのは「お母さま」の性である。
「我らが指揮官」に休日はあっても、「母」に休みはないということだろう。
・しかし、今宵のリシュリューは母は母でも「全てに勝る母」とはちょっと違う。
・衣装をよく見ていると、一般的な赤ずきんコスプレと比較してやや暗い色合いだ。もっとはっきり言うと血の色である。
・そう、今宵のリシュリューはアメリカ人が付けた異名「Bloody Mary=血塗れの母」モードなのである。
その衣を染めるはこれまでにFFRに仇名した敵や、志半ばで転属した子供たちの血である。



イル・ド・フランス
・こちらも全体的に赤色であるが、リシュリューとは趣が異なり夜会用ドレスという大人な雰囲気である。豪華客船の面目躍如と言えよう。
・しかし、口元を見てみれば八重歯が姿を現しており、瞳もいつもと異なり燃え上がる炎の色である。
・今宵のイル・ド・フランスは吸血鬼なのだ。それも、第二次世界大戦中「アメリカ人の生き血を啜り生きる死神」と恐れられた「呪いの吸血姫」モードである。
・リシュリューを中心とする輪形陣…もとい人の輪から離れ一人で佇んでいる(「一人ぼっちのイルドちゃん」成分も入っている)がこれは獲物を引き入れる罠である。
・そうとも知らず男どもが寄って来るが、OCU勢力圏の者たちには特に何もするでなく一杯のシャンパンと会話を楽しむだけである。
・しかし、アメリカ人やイギリス人が来たならば、彼は明日の朝日を見ることはないであろう…。

966モントゴメリー:2022/11/07(月) 23:30:31 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
フランス海軍歩兵装甲旅団(BBFM)

フランス海軍歩兵装甲旅団(BBFM = la brigade Blindé de Fusiliers-Marins)とは、フランス連邦共和国(以下、FFR)の海軍に属する陸戦部隊である。
第二次世界大戦時に臨時編成された部隊を起源にし、21世紀現在では『我らが指揮官』のLa Vieille Garde(老親衛隊)的な立ち位置となっている。

BBFMは、第二次世界大戦時のフランス海軍歩兵装甲連隊RBFM ( Régiment Blindé de Fusiliers-Marins)を起源としている。
これはフランス本土を始めとした各フランス領で大洋連合側の捕虜となったフランス海軍将兵を中心に編成された機甲部隊である。
当初これら水兵は各地の捕虜収容所に収容されたが、後世「人間の勝利」と謳われる大洋連合軍と四ヶ国同盟中華植民地軍との共同戦線が創設されると彼らは参加を志願した。
しかしフランス艦艇の大半はヨーロッパ周辺で鹵獲されていたため中華戦線へそのまま投入することは困難であった。そのため陸戦の訓練を受けて敵性者を選抜、最終的にRBFMとして編成された。
彼らは『元帥』旗下のフランス軍第2機甲師団配下で活動した。装備は全てフランス本土で新規生産されたもので構成されており、装甲戦闘車輌として36両のS41戦車、他にハーフトラックなど各種支援車両が配備されていた。
(開戦初期の戦いを生き残った陸軍兵士からは「俺たちより装備が良い」と愚痴られたという)
なお階級や制服・制帽は海軍のものをそのまま使用している。
S41各車輌にはRichelieu(リシュリュー)やDunkerque(ダンケルク)などフランス海軍艦艇名にちなんだ名前が付けられており、その中でもSiroco(シロコ)はエスト・デ・パリ奪還戦以降数々の勝利に名を連ねている同連隊のエース車輌である。
「エスト・デ・パリ解放はフランス軍の手で」という方針の下、第2機甲師団が先鋒となりエストシナ植民地への再上陸を敢行した。
先鋒となった4両(Siroco、Cyclone、Simoun、Mistral)は特に奮戦し、Simoun(シムーン)が大破しつつも市庁舎へと到達した。
エスト・デ・パリ市庁舎へ再び三色旗を掲げたのはSiroco号車長である。
RBFMはエスト・デ・パリ解放戦で60両以上の敵戦車を撃破し、10両の戦車を破壊された。
(戦闘後、意地とエラン・ヴィタールで全車両を回収・修復して戦線に復帰している)
RBFMはその後の内陸部への反攻戦でも奮戦し、特にSiroco号は3度の一番槍を賜っている。
そのSiroco号は21世紀現在、エスト・デ・パリにおいて走行可能な状態で保存されている。
(本国にもソミュール戦車博物館にSimoun号が、エリゼ宮にRichelieu号が保存されている)

967モントゴメリー:2022/11/07(月) 23:31:02 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
戦後もRBFMは解体されず存続することになる。
『元帥』にとってはエストシナ戦線で特に頼りとした精鋭であったし、本国軍・エストシナ植民地軍、そして自由フランス軍と複数の出身母体が乱立する陸軍は戦後直後の臨時政府時代には統制するのが精一杯という状態でありまともに戦えるか疑問が持たれたのである。
その点、RBFMは指揮系統上は海軍であったのでそういった混乱とは無縁であった。
そして「将軍たちの反乱」の後、『元帥』から指揮を引き継いだ『鉄人』が創り上げたFFRの御代においてもRBFMは存続することになる。
統合参謀本部直轄の機動予備戦力となり、アフリカ州の荒野からエストシナの黄土まで駆け巡り、北米動乱では義勇軍の中核戦力として戦った。
武勲が積み重なっていく中で、その存在は徐々に神秘性を纏っていく。

——『我らが指揮官』以下女神たちの名を下賜され、『元帥』の旗の下で戦った者たち、と。

FFR国教が構築されていく中で彼らがそこに組み込まれていくのは必然であったろう。
21世紀現在ではRBFMは旅団規模に拡大されBBFMとなった。
「旅団」とは言うものの、3個連隊を基幹とするその規模は師団に匹敵する。
第一(機甲)連隊「リシュリュー」や第三(自動車化歩兵)連隊「シロコ」といった『女神』たちの名を賜る名誉は引き継がれ、各中隊に至るまで個別名を持つのも特徴だ。
その練度はFFR最高とも言われ、「『元帥』の連隊」こと第33歩兵連隊とFFR最強部隊の座を常に争っている。
所属は統合参謀本部直轄のままであり「FFRの切り札」とも言われている。
平時においては儀仗兵的役割も果たしており「『我らが指揮官』の老親衛隊」と市民からも親しまれている。

968モントゴメリー:2022/11/14(月) 23:39:51 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
無幻世界支援ネタ——アメリカ海軍  CLV-1 「インディペンデンス」級軽空母——

基準排水量:11,000 t
全長:189.7 m
最大幅:33.3 m 水線幅:21.8 m
吃水:7.9 m
出力:10万馬力 (75 MW)
速力:最大31.6ノット
乗員:士官、兵員1,570名
兵装:12.7cm単装両用砲×2基(後期艦は37mm4連装機関砲に換装)
37mm連装機関砲×8門
20mm単装機関砲×22門
搭載機:45機(公称)

同型艦:10隻

【概要】
合衆国海軍が建造した航空母艦。クリーブランド級軽巡洋艦の船体設計を流用した戦時急増艦である。
しかし、「ロング・アイランド」以下商船改造の護衛空母とは異なり、主力艦隊と行動を共にすることを前提に設計された歴とした艦隊型空母である。
エセックス級に先んじて実戦配備され、同級が配備された後もその優れた速力からアラスカ級やヨークタウン級、そして同じ戦時急増艦であるサモア級と共に「高速任務部隊」の中核として奮闘した。

【計画】
珊瑚海海戦後、合衆国海軍の主導権を(限定的ながら)掌握した「良識派」(アメリカン・ジャスティス世代からは「旧時代派閥」と呼ばれた)たちは直ちに戦力の再編に着手した。
兎にも角にも優先すべきは航空母艦であるが、珊瑚海海戦におけるアラスカ級の奮戦から
「今後の航空母艦建造は偵察戦艦のみとする」
という大統領からの命令が足かせとなっていた。
取り敢えずこの命令を盾に建造中の戦艦の資材を大艦巨砲主義派閥から奪いアラスカ級や改アラスカ級に転用することはできたが、それだけでは絶望的に足りないことは明らかであった。
そこで良識派は全面対決はせずに、「偵察戦艦の『補助』として小型空母は必要である」という論理で大統領を説得。
これにより、商船改造の護衛空母の大量建造が認められるだけでなく、巡洋艦改造空母の建造も認められたのである。
(良識派の説得はこの後も続けられ、最終的にはエセックス級正規空母の建造許可を勝ち取ることに成功する)
この成果から、軽巡洋艦・重巡洋艦それぞれを基にした軽空母の設計が決定され、前者が本級であるインディペンデンス級軽空母である。

969モントゴメリー:2022/11/14(月) 23:40:42 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
【設計】
船体設計はクリーブランド級軽巡洋艦を基としているが、最上甲板上部への格納庫床面の新設やバルジの増設などの改正が行われている。
そのため基準排水量で1000トンほど増加しているが、最高速力は31.6ノットと満足できる値になっている。
装甲防御も原形に準じ、垂直装甲は64〜127㎜、水平装甲は45㎜と「防御力皆無」と揶揄されたエセックス級はもちろんヨークタウン級正規空母と同等かそれ以上の防御力を備えている。
ただし、航空機用爆弾庫は弾薬庫を流用したので約50㎜の装甲板を有するが、艦後部に設置した魚雷庫は10㎜程度の装甲しか無く、不安が残る設計となっている。
肝心の航空機運用能力は、飛行甲板は全長168.3m、有効幅23.3mと決して広いとは言えなかった。
格納庫も小型であり、搭載機数は公称45機であるが、通常は36機程度を上限とした。
カタパルトは1基搭載されており、後期艦では2基に増設される予定もあったが、それを行うためには対空火器や航空爆弾の搭載数を減らさなければならないと判明したため実施されることはなかった。
(さらに、戦争末期になるまでカタパルトは各種故障に悩まされることになる)

【運用】
本級は当初、艦隊随伴型空母の主力という重責を担わされたがエセックス級の量産が認められたことによりその役目からは解放された。
しかし、エセックス級は様々な点で不満が残る出来であり、特に30ノットに届かない速力は「機動部隊」としては無視できないものであった。
そこで太平洋艦隊司令部は、エセックス級は戦艦と共に主力艦隊を形成させて、速力に優れる本級とサモア級軽空母は主にアラスカ級偵察戦艦や生き残ったヨークタウン級正規空母と組ませて「高速任務部隊」を編成し遊撃任務に就かせる事とした。
特にアラスカ級2・本級2で構成された任務部隊の活躍は凄まじく、「ハワイ沖海戦」後の太平洋を縦横に疾駆して日本海軍の海上連絡線を圧迫し続けた。
このような編成時の本級は戦闘機を優先的に搭載し防空任務を担った。
これは攻撃機はより大型の母艦で運用する方が効率的ということもあるが、合衆国そのもののパイロット養成能力の不足から攻撃機を操れるパイロットが貴重になったのも理由である。

【評価】
本級の評価は大きく二分している。
艦隊将兵たちからはその健脚と防御力から一応は正規空母であるはずのエセックス級よりも優れていると見なされ、好まれた。
エセックス級よりも本級への配属を望んだ水兵もいるほどである。
一方、パイロットを始めとする航空関係者たちからは小柄な船体から起因する艦載機運用能力の低さが問題とされた。
実際、戦争中期以降はパイロットの訓練時間と技量は加速度的に悪化していき本級の狭い飛行甲板への着艦に失敗する事例が増大している。
戦場伝説の類だが、2隻のインディペンデンス級より1隻のエセックスを寄越せ、と艦隊司令部に怒鳴り込んだ航空隊指揮官までいたという。
総合的な評価を下すならば、不備はあれど最低限の能力は有していた艦隊型空母、となるであろうか。
少なくとも本級が存在しなければ、合衆国海軍はエセックス級が多数配備されるまで持ちこたえることは不可能であり、合衆国の敗北は年単位で早まったであろう。

970モントゴメリー:2022/11/20(日) 23:58:21 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
無幻世界支援ネタ——アメリカ海軍  CLV-2 「サモア」級軽空母——

基準排水量:15.120 t
全長:208.3m
最大幅:35.1 m 水線幅23.4 m
出力:12万馬力 (89 MW)
速力:最大33ノット
乗員:士官、兵員1,721名
兵装:12.7cm単装両用砲×4基(後期型で37mm4連装機銃に換装)
37mm4連装機銃×1基
同連装機銃×10基
20mm連装機銃×16基
搭載機:48機(公称)

同型艦:5隻

【概要】
合衆国海軍が建造した航空母艦。ボルチモア級重巡洋艦の船体設計を流用した戦時急増艦である。
同じ戦時急増とは言え、インディペンデンス級よりも大型かつ、より洗練された設計でありその性能は日英海軍の同クラス軽空母と比較しても遜色ない。
特に装甲防御力は世界トップクラスであり日英海軍からも「最も沈めにくいアメリカ空母」として評価された。

【計画】
インディペンデンス級の解説でも述べたが、珊瑚海開戦後合衆国海軍は巡洋艦を基礎とした改装空母の建造を決断。
軽巡洋艦を基にしたのがインディペンデンス級であり、重巡洋艦を基としたのが本級である。そして「本命」とされたのはこちらであった。
良識派たちも、インディペンデンス級では船体が小型に過ぎ航空機運用能力が低いということは予想済みであったのだ。
しかし、当時最新鋭にして建造ラッシュであったボルチモア級重巡洋艦を改装することにアメリカン・ジャスティス世代は猛烈に反対。本級の建造をあらゆる手で妨害した。
良識派とアメリカン・ジャスティス世代両者の交渉は怒号で始まり拳が飛び交い血の海に沈むというプロセスを10セットは繰り返す凄惨なものとなったが、最終的には5隻が改装されることが決定した。
良識派としてはもっと欲しいところであるが、これ以上アメリカン・ジャスティス世代を敵に回しては建造そのものが頓挫する可能性があるため妥協することになる。
また、この時点でエセックス級正規空母の建造も内定していたため当初ほど本級に拘る必要も薄れていた。
(なお、アメリカン・ジャスティス世代もただで転ぶつもりは無く、ボルチモア級改善版であるウースター級重巡洋艦の建造を承認させている)
このようにして本級の建造開始はインディペンデンス級よりも若干遅れてスタートすることになる。

971モントゴメリー:2022/11/20(日) 23:59:51 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
【設計】
船体はボルチモア級重巡洋艦を基としている。
そのためインディペンデンス級と比較して大型化し、特に全長・飛行甲板共に約20m延伸され飛行甲板幅も2m以上拡張されている。
他国の艦と比較しても、英コロッサス級よりも全長は短いが基準排水量では勝っているなど軽空母として相応しい体躯となっている。
特に防御力は特記すべきものであり垂直装甲は64〜102㎜とインディペンデンス級より薄い部分もあるが、水平装甲は64㎜と強化されより適正に近くなっている。
この数字はヨークタウン級正規空母より上であり、合衆国海軍の航空母艦の中では最大である。
(アラスカ級・改アラスカ級偵察戦艦を除く)
さらにインディペンデンス級では弱点とされた魚雷庫も艦内部に移されたので、抗堪性は大きく向上している。
ただし米国式設計の性で水中防御は他国と比較すると脆弱であった。
また装甲甲板ではないため、被弾したら航空機運用能力を損失するのはインディペンデンス級と変わりない。
しかし、それは合衆国海軍の空母全てに当てはまるため本級の落ち度とはいえないであろう。
航空艤装は設計中の新型護衛空母のものをほぼ流用する形で実装され、その能力は48機(戦闘機36機、攻撃機12機)を無理なく運用可能とインディペンデンス級より大きく強化されている。これはコロッサス級とほぼ同等の能力である。
搭載機の3/4が戦闘機であるのは、合衆国海軍のドクトリンが水上砲戦重視なのもあるが、攻撃機パイロットの確保が困難であることにも由来する。
機関も元型と変わらず12万馬力の出力を発揮し、これによりインディペンデンス級より4000トンも重いのに最高速力は2ノットほど速い。
対空火力もインディペンデンス級と比較して37㎜機関砲が1.5倍、20㎜機銃が2倍と大きく強化されている。
これも船体大型化の恩恵である。

【運用】
本級の運用方針は中々定まらなかった。
インディペンデンス級以上の健脚を活かすために高速任務部隊に配備すべしという意見もあれば、その打たれ強さに期待してエセックス級と共に主力艦隊に組み込むべしという意見もでた。
双方一理ある意見であったが、高速任務部隊の方はインディペンデンス級で代替できるというのもあり、5隻中3隻は主力艦隊に配備されることになる。
主力艦隊では主に艦隊防空を担当し、合衆国海軍終焉の地であるカリフォルニア沖海戦まで奮戦した。
高速任務部隊ではインディペンデンス級とは逆に攻撃機主体の編成を採り攻撃の主軸を務めることになる。



【評価】
本級の評価はインディペンデンス級と異なり艦隊乗組員・航空隊関係者双方ともに概ね好意的であった。
水兵たちからはその防御力と機動力から「一番乗りたい空母」と呼ばれ、己の生存率を少しでも上げるために多くが本級への配属を願った。
航空隊からも、インディペンデンス級よりも飛躍的に強化された航空機運用能力により否定的な意見は聞こえてこなかった。
「艦の性能バランスとしてはエセックス級よりも優れている」という声も出たほどだ。
敵対した日英海軍からも「打たれ強い厄介な艦」と認識されていたが、装甲甲板ではないためそこまで問題視されなかった。

972モントゴメリー:2022/11/21(月) 22:53:16 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
「フラッシュデッキ・カーニバル」

ここは、数多ある世界線の一つ。この世界の日本にもいわゆる「転生者」たちが存在していた。
そうでないと『提督たちの憂鬱』二次創作の基準を満たさないからね、などと言うメタ視点などつゆ知らず、彼らは「より良い明日の日本のため」暗躍していた。
しかし、この世界の転生者たちは他の世界線とは異なっていた。端的に言えば「経験不足」である。
過半数が転生初体験であり、後にそれなりに見つかった経験者たちもほぼ全てが中堅以下だったのだ。少なくとも『衝号作戦』の真実を知ることができたレベルの者たちはいなかった。
さらに言えば初体験者の中には「あの」嶋田式潤滑油や大蔵省の魔王レベルの人材はいなかった。
ある意味当然である。あのような普通に人生送っていても英雄になれるであろうレベルの人材がそうそういる訳がない。
なので、この世界の日本は史実世界よりは確実に繁栄しているが、憂鬱世界と比較すると色々物足りないというちょっと残念な状態であった。

そんなこんなでワシントン軍縮条約は大体史実通りの内容で締結され、さらにロンドン軍縮条約が結ばれる時がやって来た。
こちらも史実通りになるかと思われたが、ここからこの世界の歴史が動き始めることになる。
まず、「排水量1万トン以下の空母も制限すべき」という合意が行われ、小型空母の保有に制限が設けられた。
しかし、そこでアメリカ代表団が「巡洋艦の保有枠内で、補助空母を保有できるようにすべき」と主張。
いわゆる「航空巡洋艦」を認めろ、と言ってきたのである。
当時のアメリカは「小型空母を多数保有した方が、大型空母を少数保有するよりも有利である」と考えていたために生まれた主張である。
対して日・英「その艦種は空母枠で扱うべき」と主張して真っ向から対立することになる。
史実ではこの後「戦艦には艦載機発着能力を持たせない。飛行甲板を持つ巡洋艦も保有枠の25%までとする」という合意がなされ決着するのであるが、この世界では異なった。
日本代表団はアメリカ代表団にある取引を持ち掛けたのである。

——日本のカテゴリーa(=重巡洋艦)の保有比率を対米・英7割(史実では約6割)に引き上げてくれるならば、航空巡洋艦を認めよう

973モントゴメリー:2022/11/21(月) 22:54:33 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
この発言にアメリカ側は心を揺さぶられ、イギリス側は内心で動揺し始める。そこにさらに日本は畳みかけた

——さらに、日本の空母保有比率を7割に引き上げてくれるならば「航空戦艦」も認めよう

アメリカ側は完全に前向きになったが、逆にイギリス側は断固反対の姿勢を取った。
軍縮のための条約なのに、これでは軍拡の容認になってしまう、と彼らは主張したが本音を言うなれば「我々だけが損しているではないか!?」である。
その後各国間で激論が交わされ、最終的に以下のような内容で妥結した。

・航空戦艦及び航空巡洋艦の建造は艦種保有枠内でこれを認める
・上記の艦艇の排水量は、その半分を「空母」保有枠に振り分ける
・上記の艦艇の飛行甲板は、帰着機能のみで発進機能を有してはならない
・各国の空母保有枠を拡大する
・日本のカテゴリーa保有枠を対米・英7割に引き上げる


ここに「航空巡洋艦(フラッシュデッキ・クルーザー)」並びに「航空戦艦(フラッシュデッキ・バトルシップ)」の誕生が決定付けられたのである。
この結果に日本代表団…より正確に言えばその中の転生者たちは満足していた。
彼らはもとより航空巡洋艦も航空戦艦も作るつもりはなかったのである。史実を知る彼らは、未来の戦場でそのような「キメラ」が活躍する余地など存在しないことを知っている。
拡大された空母保有枠は、全て純粋な航空母艦に活用するのである。
また、上記の条件では新艦種は航空機発進能力を持たないように思われるが、「飛行甲板」が制限対象なのでカタパルト発艦は制限されていないのである。
これを利用して、カタパルトの開発促進を成し遂げるのである。
(史実アメリカ海軍も使った手法)
さらに、当初の要求であった重巡保有比率の対米7割を達成したことにより海軍内部の「艦隊派」の誕生を阻止、もしくは弱体化を進める。
議会の方も上記及び空母の保有比率拡大を「成果」として大々的に宣言して野党の「統帥権干犯問題」論を封殺する腹積もりである。
(実際、与党にいる転生者たちはその方面に向けて全力をあげていた)

しかし、この転生者たち。詰めが甘かった。やっぱり経験は大事である。
海軍主流派である大艦巨砲主義者はこの条約を見てこう考えたのである。

——戦艦を航空戦艦にすれば排水量の半分を空母枠に振り向けることが出来る。ならば、2隻を改造すれば浮いた枠で新造戦艦を1隻建造出来る!!!?

転生者たちが気付いた時は既に手遅れであった。
ここに、扶桑型及び伊勢型戦艦は航空戦艦に改造されることが決定したのである。

974モントゴメリー:2022/11/22(火) 21:01:39 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
使い切るためにも上げ

975モントゴメリー:2022/11/23(水) 23:38:13 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
フラッシュデッキ・カーニバル世界SS——「ロンドン海軍軍縮条約」

〇千九百三十年「ロンドン」海軍条約
・戦艦
保有枠及び個艦制限は「海軍軍備制限ニ関スル条約(通称:ワシントン軍縮条約)」に準拠する。
ただし、新規建造禁止期間は延長しない。
また、飛行甲板を設置し航空機着艦機能を追加することを認める。ただし飛行甲板の全長は船体長さの50%以下までとする。
この措置を実施した艦は、排水量の50%を航空母艦として計算する。
ただし、備砲は16インチ6門、又は14インチ8門以下とする。
またこの措置を実施した艦においても排水量の個艦制限は従来のままとする。
・巡洋艦
上限排水量は前条約を踏襲するが、下限排水量を1850トンに改訂する。
また合計排水量とその種類も明記する。

カテゴリーa(通称:重巡洋艦)
備砲は6.1インチ以上、8インチ以下。
合計排水量は、米18万トン、英14万6800トン、日12万6000トン。比率で10.00:8.10:7.00である。
カテゴリーb(通称:軽巡洋艦)
備砲は5.1インチ以上、6.1インチ以下。
合計排水量は、米14万3500トン、英20万0900トン、日10万0450トン。比率で10.0:14.0:7.0である。

巡洋艦に関しても飛行甲板の追加を認める。
飛行甲板全長も戦艦の規定に準じるが、備砲はカテゴリーaで8インチ6門、カテゴリーbで6.1インチ10門以下とする。

976モントゴメリー:2022/11/23(水) 23:39:56 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
・航空母艦
従前は条約外であった1万トン以下の空母も前条約の規定の範囲とする。
ただし、これに関連して保有枠を各国共に戦艦の50%まで拡大する。
合計排水量は、米26万2500トン、英26万2500トン、日15万7500トン。比率で10.0:10.0:6.0である。

・駆逐艦
備砲は5.1インチ以下。排水量は800トンを超え1850トン以下。合計排水量の16パーセント分のみ1500トン以上の艦を建造可能(米英ならば24,000トン、日本ならば16,880トンの枠内)。
合計排水量は、米15万トン、英15万トン、日10万5500トン。比率で10:10:7である。

・潜水艦
上限排水量は2000トン、備砲は5.1インチ以下。3艦に限り2800トンで6.1インチ以下。
合計排水量は、各国とも5万2700トンである。
・その他
保有比率は米・英・日で10:10:7である。
排水量1万トン以下かつ速力20ノット以下の特務艦、排水量2000トン以下で速力20ノット以下かつ備砲6.1インチ砲4門以下の艦、および排水量800トン以下の艦は無制限とする。

977モントゴメリー:2022/11/28(月) 23:29:34 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
大陸連合ネタSS 鉄血アプリの逆襲——「列島再建長期計画①」——

——作戦開始10分前!

広大な空間——おそらく巨大な工場の中であろう——に時刻を読み上げる声が響く。
その中に整然と並べられた機械群を眺める男女があった。

「ようやくここまで来れましたね」
「ああ、しかし気を抜くな。これはまだ始まりに過ぎない」

今これから、俺たちの『戦争』が始まるのだ。男は静かに、しかし決然と告げる。
『戦争』
そう、これから行われることは正に国家の命運をかけた総力戦である。
いや、「国家」という言葉ではいささか不足だろう。「地球全体」の総力を挙げた決戦だ。

ことの始まりは「鏡」——「ゲート」の向こうで出会った「鏡の向こうの自分たち」である。
皆それぞれ驚天動地の平行世界であるが、その中でも一番奇妙なのが通称「列島日本」だ。
その世界の日本だけ国土面積が1/10以下と言うだけでも奇妙だが、それ以上に理解に苦しんだのがその国内情勢である。
あろうことか軍隊と戦争を否定し、国民の愛国心も希薄。それどころか「セクト」まがいの売国奴が幅を利かせている。
あまつさえ経済は30年以上も停滞、もしくは弱体化している。技術力も最大で30年は遅れている。
とてもではないが「列強」(彼らの思想的には「先進国」の意味)とは呼べない。斜陽国家である。
そして厄介なことに放置することもできない。放置したら列島日本はあの世界のセクト——世界第二位の国力と相応の近代軍を備えたセクト共に占領される可能性が極めて高い。
現代装備を持つセクトが相模湾に現れるという悪夢と言う言葉でも足りないような惨状が現実になるかもしれないのだ。
そんなことを看過できる訳がない。だからこそ他の世界と盟約を結んでまで列島日本を占領し保護下に置いたのだ。
そして占領は終わりではなく始まりなのだ。列島日本が真に列強として独り立ちできるように、もっと言うなら「ゲート」の防衛を自力でできるように鍛え直さなければならない。
だが、これが想像以上に難問だった。
先ほども言ったように列島日本の経済は非常に脆弱であり、「近代国家の必要条件」である総力戦体制の構築は不可能だった。
では何故ここまで経済力が弱いのかと原因を探すうちに、列島日本の出生率を知り愕然とする。
2.0を下回れば致命的であるというのに、列島日本のそれは1.3前後だったのだ。
これでは国家再建どころではない。このまま行けば人口減少により自然消滅してしまう!!

…無論、これは「鶏が先か卵が先か」という命題かもしれないことは承知している。
給料が上がらないから結婚も出来ず、結婚したとしても子供を作ることを躊躇する。
だから国民の所得を向上させれば自然と出生率は回復する、という主張は「列島日本統治委員会」内部でも提唱されていた。
実際、それもまた一因なのであるからそれらへの対策に異論はない。
現在は狂気的(我々からしたらそうとしか言えない)な規制や税制、各種産業構造の再編(最早「発破解体」レベルだが)を行っている段階だ。
しかし、これでは足りないと我々——連合諸国会議では第7平行世界と呼ばれる(読者視点では日蘭世界)——は考えるのだ。

理由は列島日本の国民性、特に青年男性のそれにある。
彼らの多くは非常に内向的である。さらに異性への興味が乏しい。
仮に経済的余裕が生まれたとしても結婚という選択肢を取らないのではないか?
簡易調査ではあるが既にその傾向は証明されつつある。
現在経済的余裕がある列島人の中にも「独身主義」なる思想が蔓延しているらしい。

——本当に理解できない。

ゲートが開いてから何度も上記の感想を持ったが、今回は特にそうだ。
結婚して次代の国民たる子供たちを育むのは、今を生きる国民の『務め』であるはずだ。
跡継ぎがいなければ、一朝有事の時に心置きなく陛下のため、国家のために戦えないではないか!?
それ以前に命のバトンを渡すのは「生物」としての基本的義務だろオラァァン!!!

調査結果を聞いた時の連合大本営では第7平行世界代表の叫びが木霊したという。
しかし、その独身主義なる危険思想の根源を探り、彼らも列島人男性の気持ちを理解した(納得はしていない)。
彼らは女性に対して達観、もしくは絶望しているのだ。
夫たる男性のことを預金通帳の額でしか評価しないような女性が大きな顔でのさばり、義務を果たさないのに権利ばかり主張するフェミニストなるセクトまがいの集団が闊歩している。
この状況で結婚したいと考える男性はよほどの愛情がなければいないであろう。
第7平行世界のみならず、第14平行世界の代表もこの結論に首肯した。
この現状を打開するためには、なにか大きさ「打撃」を与えてショック療法を施すしかない……。

978モントゴメリー:2022/11/28(月) 23:31:09 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
「それで、これがその『打撃』というわけですか」
「そうだ」

場面は冒頭の工場内部に戻る。

——作戦開始5分前!

「意図は解りますけど、よくもまあ列島人に自動人形を無料配布なんて剛毅なこと思いつきましたね。それも、人口子宮装備の最新版を」
「『火力を投射するならば、第一撃を最大限にすべし』だよ。その原則は今回も適応されるのさ」

そう、2人がいるこの工場、その全ての生産ラインでは自動人形の量産体制が組まれていたのである。
「作戦」開始時刻となれば、目にも止まらぬ速さで人形たちが生み出されることになる。

「…列島世界における男女間の断絶は一朝一夕には修復することはできない。上はそう判断したのさ」
「だから女性型自動人形…ですか」
「まずは青年男性諸君の女性不信を払拭するためだよ。そして、女性との接し方の練習台でもある」
全く、女の子との付き合い方なんて義務教育期間の学校で身に着けるものだろうに。男は肩をすくめる。

「そして我々はこの機を利用して人口子宮の実験データが取るということですね。列島人たちを実験台にして」
「実験台というのは露骨すぎる表現だね。『治験者』ぐらいにしておこうか」
男は女性を諫めるが、実験台にするということは否定していない。

「ですが思いまするに、これが本当に解決策となるかは疑問ですね」
「ほう…。何故そう思うのだね?」
「男性側が意識改革したとしても、女性側がそのままでは結局元の木阿弥です。そうなったらあの世界の男性たち、今度は自動人形に依存するようになるのではないかと思います」
女性は懸念を評するが、男性の方は笑顔で切り返す。

「それは勿論、予測済みだよ。それを踏まえた上で、それでも構わないと考えているのさ。上は」
「え?」
「我々の目的は『列島日本の出生率改善』だからね。それが達成できるのならば列島人諸君が自動人形の奴隷になったとして問題ないわけだ」
「……」
「だからこそ人口子宮を用意したんだよ?そして、今回は無償配布だけど定期検査と補修は有料だからね。彼らが自動人形に依存するということは、我々(日蘭世界)に依存するということにもなる」
せいぜい良いカモ…顧客になって欲しいものだね。男はまるでアニメに出てくる悪役科学者のような高笑いを発する。

「……私が言う資格は無いでしょうが、あくどいですねぇ」
「まあ、我々も鬼ではない。大蔵省には魔王がいるけどね。この計画には女性の意識改革もキチンと盛り込んである」
「どこにもそんな配慮は見えませんが?」
「自動人形と男性の間に生まれた子供だよ。単純計算でそのうち半分は女性だ。彼女たちの意識を、教育を通じて誘導するのさ」
「…ああ、なるほど。確かに又聞きですが列島日本は教育行政も破綻してましたね。それを家庭から再建すると」
「そういうことさ」

——作戦開始3分前!

「…もっとも、良い顧客になって欲しいのは偽りない本音だけどね。これで『人形使い』たちの鼻を明かしてやる」
「そう言えば、よく今回の作戦大本営の認可が下りましたね。人形使い…第14平行世界が真っ先に反対しそうですが」
「彼らが制限を主張しているのは『第一次・第二次産業への』自動人形の使用だからね。今回は純粋な民間需要だと言って押し通したのさ」
「そんな『フランス式論法』であっちは納得したんですか?」
「もちろん『お友達料金』は支払った。…人口子宮の稼働データはあちらとも共有する」
良い買い物だよ、と男は言う。

…尤も、真実を知ったら彼らも了承はしなかっただろうけどね。
男は胸中で独白した。
今回の作戦案、大本営には「我が世界が用意できる一ヶ月分の生産力の範囲で」自動人形を配布すると言ってある。
配布先も目的を考慮して独身男性世帯を「優先する」と通達した。
これらは嘘はいっていない。実際にそのように進捗するであろう。
しかし、我々が用意する「生産力」は———

「…あれ、そうすると列島日本の『全国民』に配布する必要は無いのでは?青年男性分だけで目的は達せるかと」

そう、彼らは一か月で列島日本の総人口、約1億3000万体の自動人形を生産するつもりなのだ。

「…大本営には言ってないけどね、これは『練習』なんだ」
「……やはり、噂は本当でしたか」
「そう。総力戦体制が計画通りに展開するかを確認するための練習だよ」

979モントゴメリー:2022/11/28(月) 23:32:19 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
総力戦。冒頭にも言った通りこの作戦は総力戦だ。
彼らのいる国営工廠のみならず、三菱や倉崎、敷島重工と言った自動人形や装甲服の生産企業のみならず乗用車や家電を製造している企業まで、およそ考えられる限りの企業が参加する決戦である。
よって、これから一か月は新しい自動車も洗濯機も生産されないが、国民は納得してくれている。
各企業も同様なので、今日までに生産数を増やして在庫を確保するなどの対応策を実施してくれている。
第二次世界大戦以後も総力戦体制の維持・更新は図られてきたが、「実施」した例はこの70年で皆無である。
そのため、実際と計画でどれだけ差異が出るかは誰にもわからない。
無論、電脳上での机上演習は数限りなく行われているが確証は持てなかった。
そんな時に舞い込んできたのがこの計画である。
上層部——日蘭世界夢幻会——はこれを奇貨として一度日本と言う国家を総力戦体制に移行しようと考えたのである。
最早一個の芸術品とすら言えそうなその体制が生み出す成果は『日産』100万体。
すなわち、一日で一個方面軍を編成できるだけの自動人形が生み出されるのである。
これを1か月、30日続ければ『3000万体』。総軍が何個編成できるだろうか?
そして、これがすべてではない。
帝政オランダの生産力も日本と同等。すなわちさらに3000万体。
欧州の友邦たるドイツ帝国・イタリア王国・ドナウ連邦・ロシア帝国が日産20万体、月産600万体。
4国合わせて2400万体。
ここに中東のオスマン・ペルシャ両帝国が日産20万体、合計月産1200万体。
そして北米の友であるカリフォルニア共和国や新大陸共和国も忘れてはならない。
彼らは国力的に一歩劣るが、それでも日産12万体、月産360万体を約束してくれた。
…ああ、スペイン王国を忘れていた。彼らも内乱で苦労していたが近年ようやく列強と呼びうる姿を取り戻しつつある。
彼らは日産2万体、月産60万体を用意できる見込みらしい。
文字通り一桁少ないとOCU連絡会議でスペイン代表はその場で腹を切るのではないかと思われるほどの剣幕で謝罪してきたが、一日で一個師団を用意できるならば何とかなるであろう。
ここまでOCUの総力を結集してかき集めた生産力、月産1億と320万体。
まだ足りない?とんでもない。冒頭でこれは「地球全体」の総力戦と言っただろう?


「じゃあ、旧4か国同盟諸国を始め各国も『練習』に参加したというわけですか」
「我々だけ総力戦体制に入れば、それこそ戦争の引き金になってしまうからね。第一次世界大戦時の総動員と同じように」
「あ、そういえばOCU以外で製造された人形の振り分けは?ウチ以外の陣営はまだ人口子宮を実用化していないはずですが」
「そっちも問題ない。我が国の人口子宮をライセンス生産して組み込むことで話が通っている」
「…よく上層部がライセンス生産を認めましたね」
「実用化前と言っても、各陣営共に既に試作品を組み上げる段階まで進んでいた。遅かれ早かれだよ。だったら、ライセンス生産を認めることで顧客を確保したほうが良いと上は判断したのさ」

そう、今回の作戦はOCU単独ではない。
FFR・BC・CISのみならずどの陣営にも属していない中立国(朝鮮王国がその筆頭)まで参加した正に地球一丸の決戦である。
その生産力はFFRが日産70万体、月産2100万体
BCは日産60万体、月産1800万体。CISで日産40万体、月産12000万体。
ここにテキサス共和国の日産12万体、月産360万体と朝鮮王国の日産6万体、月産180万体にその他各国合計月産300万体が追加される。
これで合計は————

「地球の総力を挙げて作り上げるは『1億6320万体』の自動人形ですか。
……やっぱりやり過ぎでは?よくこんな大作戦が許可、実行されましたね。列島日本というものはそこまでする価値があるものなのですか?」
「まあ赤字確定だけれども、一応その額を小さくする努力はしているよ。
 自動人形の生産に消費した原材料は列島政府が向こうの世界から集めて物納してもらうことになっている。もちろん後払いになってしますが。
あと配送も向こうの人員だけでは追い付かないから我々の世界からも応援に行くが、彼らの人件費も列島日本政府持ちさ」
「圧倒的に補填量が足りないと思いますが?」
「はっはっはっは……」

確かに普通に考えたら割に合わないよね。いくらなんでもやり過ぎだ。
でもね、「本当の目的」を考えたら絶対にやり遂げなければならないことなんだよ…

980モントゴメリー:2022/11/28(月) 23:33:12 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
——作戦開始1分前!

「本当の目的」
そう、今までつらつらと語ってきたことはこれを隠す擬態でしかない。
真の目的は、「人形使い」たちへの示威行動である。
鏡の向こうの自分たちはそのどれもが異質であったが、その中で最も「怖い」と思ったのが彼ら——第14平行世界——だった。
何が怖かったか?
自動人形が戦場の主役であること?確かにそれも恐ろしいがそれだけではなかった。
彼らは『戦時国際法を守らない』 その一点が我々の恐怖させたのだ。
非戦闘員の殺戮を目的とした人口密集地への戦略爆撃だと?それは『人間』の所業ではない!!!!?
我々も都市への絨毯爆撃はやった、一度だけ。しかし、それは生物兵器の焼却を目的としたもので純粋な殺戮を目的としたものではない。
それは絶対にやってはいけないことだ。それを成してしまえば我々は『人』では無くなってしまう……。
だが、都市攻撃を行った平行世界は第14世界だけではない。ならば何故彼らだけをそこまで恐れるのか?
そこにあの自動人形たちがかかわって来るのだ。
彼ら人形を操り「人の死なない戦争」をすることができると豪語した。
人が死なない…それは戦争の引き金が限りなく軽くなることと同義である。少なくとも我々には。
彼らはその「鉄の乙女」たちを駆使してこちらへ一戦仕掛けてくるかもしれない…。
考えすぎ?否!!
現に彼らは我々の敷島型に対抗して戦艦を新造しているではないか⁉
無論、海戦の戦技その他ではこちらに一日の長があるだろう。そして陸の上でも、雲の果て後れを取るつもりはない。
しかし、彼らが戦時国際法を無視して都市への無差別攻撃を実行した場合…防げると断言することはできないのだ……。
だから見せつけなければならないのだ。我々の力を。我々の意志を!!
そちらが鉄の乙女たちを先兵とするならば、我々第7平行世界はそれを真っ向から、そちらの流儀で迎え撃つ覚悟と能力があるということを一度は示さなければならないのである…!!
上層部、特に夢幻会の転生者たちはその流れを変えようと抗った。
第14平行世界は別に我々へ敵対する意志はないはずだ。あの新造戦艦は単に「保険」でしかない、と。
しかし、転生者以外は納得しなかった。むしろ、向こうが「保険」をかけるならば我々がかけても文句はないはずだ、と更に邁進する始末。
「鉄血アプリ」と言えども、人類がホモ・サピエンスである限り恐怖を完全に捨て去ることは不可能なのである。
そしてそれは日本人だけではなかった。
当初、この計画は日本だけで実施する予定であった。OCU全体を巻き込んだ場合、先ほども言った通り旧4か国同盟諸国がどのような反応するかは想像に難くない。
しかし、OCU総会で作戦を発表した際にネーデルラント連合帝国が強硬に協同作戦を主張。
ドイツ帝国以下各国も同調した。
皆、日本から提供された各平行世界の情報概略を見たうえでの判断である。
日本は各国の覚悟と友情に感涙し、もはや突き進むのみよ!!とばかりに国際連盟総会においても作戦を説明。各国の了承を取り付けようとした。
するとFFR・BC・CIS代表から逆に協同作戦を提案されたのである。
———あなた方が抱く不安は、我々も共有するものである。もし万が一、貴国がゲート感で戦端を開くのであれば我々はその背後を刺すような真似は断じてしない。
我らが指揮官/女王陛下/ストロングの名に誓って……。
こうして日本単独での作戦は、最終的にはほぼ全ての国家が参加した地球規模の決戦になったのである。
そして、本作戦に際して各国は兵站運用部隊を総動員し、日本の指揮下に統合任務部隊を編成。列島日本への供給体制を整えていた。
中華植民地奪還作戦以来の『人類』連合軍の結成である。
これは、「万が一」の際の統合軍運用の試金石でもあった……。

——午前零時、作戦開始時刻!!

その宣言に男を意識は現実に引き戻された。
その言葉が流れるや否や、眼前の工作機械が始動し轟音と共に生産ラインが稼働し始める
その光景はここのみならず、砂の海であるサハラの無人自動化工場から、星の海の衛星軌道上生産工廠に至るまで見られるものである。

「さあ、『戦争』をしよう…!!」

日蘭世界の全力を結集した決戦は始まった。

981モントゴメリー:2022/12/04(日) 21:32:09 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
フラッシュデッキ・カーニバル世界SS——盆踊りと反省会——

「どうすんだよ、これ……」

都内某所のとある寿司店に、上記の愚痴が響く。
時は昭和5年の夏。日本はロンドン海軍軍縮条約における「勝利」で湧き上がっていた。
各地で提灯行列が起こり、夏祭りと合同で記念盆踊りなども盛況である。
しかし、この店の空気はそんな世相とは正反対であった。

「…当初の作戦目標であった、重巡比率の対米7割は達成できました。そして、その成果を以て海軍内と議会の統制にも成功しつつあります」
「確かに最大の懸念事項であった海軍艦隊派と議会の統帥権干犯問題は史実と比べて大幅に弱体化・沈静化できた。
その点では我々は成功した。だけどなぁ……」

海軍将校の制服を着た男はそう言いながら鰺の握りを口に運ぶ。

「…大将、今日はワサビが強すぎるぞ。涙が出て来やがる」

ちなみに、この寿司屋は(今回も転生してきてくれた)北一輝さん監修の店であり「駆逐艦握り」を出す店として評判になっている。
駆逐艦握りとは、一言で言ってしまえば転生者たちが慣れ親しんだ平成・令和時代の握りずしである。
この時代の握りずしは、未だ江戸時代の名残りで一個の大きさが平成時代の2倍から3倍あるものであった。
それはそれで食べ応えがあるから良いのであるが、転生者としてはやっぱりあの大きさが一番食べやすいのである。
そこで、北一輝さんにお願いして平成風握りずしを出す店を出店してもらったのだ。
当初はその小ささから「ケチ」だの「みみっちい」だのと不評であったが、海軍士官が駆逐艦握りと名付けて宣伝すると広まり始めた(もちろん転生者の仕業です)。
従来の握りを「戦艦」に見立てて、小さい握りを駆逐艦に例えたのであるが、当時はワシントン軍縮条約の影響で駆逐艦の潜在能力が高く宣伝されていた頃であったので「新時代の象徴」として見られたのである。
また、北一輝もそう言ったクレームは予想済みだったので「一度の食事でたくさんのネタが味わえる」ことを前面に出した。
海軍や陸軍の兵站システムまで一部活用して日本中からネタとなる魚を集めたのである。
物流や保存技術が未熟であった当時として正に画期的であった。
さらに(やっぱり転生者の要請で)江戸時代以来の赤酢ではなく白酢を使っていることもプラスになった。
米を原料に使う白酢は、この頃はまだ高級感がある代物だったのだ。



閑話休題。
「……どうしてこうなったんだ」
「やっぱりアメリカの要求を容れたのが間違いだったのでは」
「だが航空巡洋艦の要求を受け入れる代わりに対米7割を呑ませるというのは『会合』で決定した前提条件だったじゃないか」
「その枠を戦艦まで拡大したのが間違いでしたね」
「その通りだ。何で戦艦まで拡大したんだ」
「空母保有枠を拡大させたいと欲が出たんですよ。ブラフのつもりでしたが、英国が強硬に反対してそこから会議の流れが制御不可能に……」
「それで場当たり的に各国の要求を調整していった結果がこれ、か…」

彼はとある新聞をテーブルに投げ出す。その新聞の見出しは——

『ロンドン条約における勝利! 戦艦2隻新造の見通し』

であった。

「国内世論は戦艦の新造に狂喜しています。…まだ何も決まっていないのに」
「そして海軍部内でも新造を求める声がドンドン増えております。正直、今の我々では抑え込めないでしょう」
「……嶋田さんがいればなぁ。せめて南雲さんでも居てくれれば何とかなったのだが」

——いや、それを言ったら、あの人たちがいれば軍縮会議でこんな「失敗」はしなかったか。

男は自分たちの力不足を痛感しつつ自嘲する。
以前にも言ったが、この世界の転生者たちは転生一回目の者が過半数である。
日露戦役以降には転生経験者も多く見つかって来たが、北一輝などの中堅層のみであり夢幻会会合に参加していた幹部クラスは未だ確認されていない。
そのため、端的に言えば「経験不足」でありそれが想定と結果の剥離を生み出していた。
現在会合の議長を務めているこの男も、「前回」では会合に参加資格がなかった中堅層上部の者であったが、運悪く、その役目を押し付けられていた。

982モントゴメリー:2022/12/04(日) 21:33:30 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
「…ないものねだりをしても問題は解決しません。我々の力で何とかしないと」
「そうだな。幸い、ここのオーナーである北さんを始め、海軍の金田さんや航空機の倉崎さんなど技術系の実務者は比較的揃っている。彼らがその能力を発揮できるようにするのが我々の務めか」

男はそう言って思考を建設的な方向に振り向けた。

「それで、実際の所どうなる?」
「今の所、扶桑型と伊勢型の改造が有力視されてますね。16インチ砲の長門は論外、金剛型はその高速性能から除外…とされてますが排水量割り当てを1トンでも多く空母に振り向けるために若干小型である金剛型を除いている感じです」
「そうなると、4隻で7万トンが空母保有枠になるか……まいったなぁ」

この世界の扶桑型と伊勢型はいわゆる「憂鬱本編」世界と同一である。
これについてはかの世界でも転生一回目の者たちのみで達成できた歴史改変なので、こっちの世界でも何とかなった(長門型も同様)。
ちなみに、伊勢型戦艦は基準排水量3万7800トンなのでワシントン軍縮条約違反だが、隠し通している(やっぱり長門型も同様)。

「今回のロンドン会議で拡大させた空母保有枠が7万6500トンだから、ほとんど使い切っちまうじゃないか…」
「もっというとアメリカとイギリスは更に拡大されてます」
「……これさ、もしかして失敗してない?軍縮会議」
「幸い、アメリカ海軍は航空巡洋艦の大量整備を計画しています。更に日本が戦艦2隻を新造すると予想してあちらも戦艦4隻を航空戦艦に改装する計画が進行中との未確認情報があがっています」
「イギリスも規模は不明ながら日米に追随するつもりの様です」
「イギリスもアメリカも大恐慌の影響で予算不足だろうによくやるね。…我々も人の事は言えないけど」
「どうもその大恐慌の影響がデカすぎたようで、いわゆる『軍事ケインズ』で景気回復を狙っているようです」
「……やり過ぎたかな、大恐慌での荒稼ぎ?」
「…辻さんがいませんでしたからね。どうしても加減がつかめず、余計な恨みを多々買う結果になりました」
「……あれ、もしかしてこの国ヤバい?」
「一応、日英同盟は維持されてますが、『前回』の裏切りを考えますと油断はできません」
「……過ぎたことを言っても仕方ない。取り敢えず、航空戦艦建造に話を絞って議論を進めるぞ」

——こうして様々な失敗を重ねつつも、夢幻会会員たちは日本のために暗躍していくのである。

983トゥ!ヘァ!スマホ:2022/12/16(金) 17:51:26 HOST:sp49-96-26-113.msd.spmode.ne.jp
時は西暦のいつ頃か。

世界は大凡平和であったが、様々な社会不安による停滞は深刻であった。

そんな中でこんな世の中なのは国家が怠慢だからだ!と声を上げて武装蜂起したのが大企業たちの連合帯である企業連合こと企業連。

こうして始まる企業連vs国家群の戦争。
当初は戦力数で勝る国家側が有利と見られたが企業連側が投入した新兵器ネクストの暴威により既存戦力による数の差は覆された。

こうして戦況は一転して企業連側に傾いたのだが、そうは問屋が卸さないと国家側へ付いた数少ない企業である日本企業連合こと日企連とアナトリア機関が繰り出したネクスト戦力により戦況はどうにか五分にまで戻された。


数で勝るがネクスト戦力数で劣る国家群側とネクスト戦力数で勝るが戦力の総数では劣る企業連という情勢は戦況の硬直と長期化を招いた。

その間に日企連プロデュースの大型兵器(後のアームズフォートの原型の一つ)が登場しだし、国家群で増産され始め、それに負けるものがと企業連側も似たようなのを開発して量産しだすなど徐々に戦場の様子も変わりを見せていった頃に戦況が動いた。

度重なる戦闘によりコジマやら核やらなんやらで地球の環境が荒廃してきたのでいい加減決着をつけるべきと両者ともに動き出したのだ。

こうして起こった最後の大規模衝突において結果を言えば国家群側の勝利に終わった。
決戦において多数のネクストとアームズフォート(AF)を失った企業連側が主導権を失ったのだ。

その後の企業連側も何とか立て直ししようと足掻いたが結局は国家群側有利な戦況は変えられず。
最終的にはこの戦争では国家群側の勝利となった。

後にこの戦争は国家と企業が人類の主導権を賭けて争った戦いということで「主導権戦争」と呼ばれるようになる。

984モントゴメリー:2022/12/19(月) 23:54:17 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
無幻世界支援ネタ——アメリカ海軍  「オマハ」級軽巡洋艦(戦時改装後)——

基準排水量:約7000 t
全長:169.3m
全幅:16.8m
出力:9万馬力
速力:最大約32ノット
乗員:士官、兵員約450名
兵装:38口径12.7cm連装両用砲×5基
50口径7.6㎝高角砲×6基
37mm4連装機銃×4基
同連装機銃×4基
20mm連装機銃×10基
   爆雷投射機×2基
   53.3㎝3連装魚雷発射管×2基
同型艦:8隻

【概要】
アメリカ海軍の艦艇。
旧式化し戦力価値が低下していたオマハ級軽巡洋艦に改装を施し、可能な限りの対空能力と最低限の対潜能力を付与したものである。
両者共に当時のアメリカ海軍が最も欲していたものであり、特に対空能力はアトランタ級の量産が達成されるまで防空巡洋艦の主力を務めた。
合衆国海軍で最も古い巡洋艦であったが、合衆国海軍終焉の時まで前線に立ち続けた偉大なる老兵でり、その最後の逸話もあって戦後の評価も高い。

【計画】
オマハ級は元々「偵察巡洋艦」として設計された艦であり、設計思想としては時代遅れであった。
船体そのものも老朽化しており、燃料タンクに海水が混入することも日常茶飯事であった。
そのため、第二次世界大戦前には「前線への投入には不適格」とされ、後方に下げられた。
10隻の内2隻はソ連へ屑鉄同然の値段で売却されたほどである。
しかし、珊瑚海海戦が彼女たちの運命を変えることになる。
同海戦に結果、合衆国海軍の巡洋艦戦力は大打撃を被った。
そして艦隊全体の対空能力及び対潜能力の不足という課題も浮き彫りとなった。
海戦後主導権を握った良識派たちもそのことは承知しており、対策を取ろうとした。
しかし、戦前の失策のツケはここでも響き、最適解となるアトランタ級防空巡洋艦は3隻で建造がストップしており、リソースはクリーブランド級軽巡洋艦に振り向けられていた。
もちろん、クリーブランド級もそれなり以上も対空能力を有しているが、対艦戦闘が優先されており機動部隊の護衛ではなく水上打撃艦隊の方に優先配置されていく。
そこで、アトランタ級及びその改良型が揃うまでの時間稼ぎとして、船体規模ならばアトランタ級に匹敵するオマハ級の大改装計画が持ち上がり、承認されたのだった。

985モントゴメリー:2022/12/19(月) 23:54:59 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
【設計】
まず対空能力の向上が最優先事項に指定された。
そのため、主砲の15.2㎝砲は全て撤去されアトランタ級と同じ38口径12.7cm連装両用砲が5基搭載された。
甲板スペースという点ではもう2〜3基搭載することも可能であったが、アトランタ級一番艦アトランタがトップヘビーで安定性が低かったことを教訓とし、敢えて控えめな数字となった。
その代わり、護衛駆逐艦用のより軽量な50口径7.6㎝高角砲を6基搭載し、37㎜機関砲や20㎜機銃もアトランタ級と同等かそれ以上に搭載されている。
また、対潜兵装として爆雷投射機が2基設置され、突貫工事ながらソナーも増設された。
(そのため速力が若干低下している)
巡洋艦という大型艦に本格的な対潜兵装など不要である、という意見もあったが現実に国際連盟軍の潜水艦による被害が等比級数的に拡大している中、駆逐艦の数すら不足しているのだから他に選択肢はないのである。
雷装については当初全廃する予定であったが、53.3㎝3連装魚雷発射管2基は維持された。
(連装発射管2基は撤去)
これは、魚雷が無ければ敵大型艦と遭遇した際打つ手が無くなる、とアメリカン・ジャスティス世代が主張したからである。
実際、珊瑚海海戦では夜戦ではあるが水上砲撃戦が発生したので一定の理がある主張であり、乗組員の士気にもかかわる事項であるため比較的すんなりとまとめられた。

【運用】
オマハ級は上記の改装を8隻が受けることになり、順次ドック入りすることになる。
(2隻は戦前にソ連に移籍していたため対象外)
ハワイ沖海戦ではオマハとローリー、マーブルヘッドが参加し、戦闘機部隊と協同で防空戦闘を行いオルデンドルフ艦隊を最後まで守り通すことに成功し空襲での戦艦損失を防いでいる。
合衆国海軍終焉の地であるカリフォルニア沖海戦・ニューファンドランド沖海戦にも8隻全てが参加し最古参巡洋艦の意地を日英海軍に刻み込んでいる。
特に、「老兵と若武者の一騎打ち」と後世語り継がれる日本海軍最新鋭軽巡洋艦の阿賀野と正面から撃ち合い自らが大破しつつも阿賀野を退けたオマハや、英海軍戦艦アンソンに魚雷を命中させたリッチモンドの奮戦が著しい。

【評価】
オマハ級は合衆国海軍で最も古い巡洋艦であり、一時は戦力外通告もなされた。
しかし、崩壊しつつある祖国を救うために舞い戻った姿は正に「老兵」の理想像である。
彼女らが新たに身に着けた対空・対潜能力は合衆国海軍が切実に欲していたものであり、その働きは「ユナイテッド・ステーツ級を遥かに上回る」とさえ評価される。
それ故、戦後日本で開発された擬人化ゲームでの人気も低くはない。

【葬送曲】
最後に、オマハ級を語る上で避けることができない話をしよう。
カリフォルニア沖海戦終結直前、もはや海上にいる合衆国艦艇はオマハ以下数隻しか存在しなかった。
砲声と爆音の交響曲が終わり海域に静寂が戻り始めた時、弦楽器の演奏が聞こえてきた。
見れば燃え盛るオマハの艦上、その艦橋で一人の士官がヴァイオリンを弾いている。
生存者の証言によればその士官はオマハ艦長であった。
彼は新品少尉として初めて配属されてからオマハを愛しており、艦長としてオマハに戻ってきたことを誇りとしていた男であった。
そんな彼が奏でるのは「Old Soldiers Never Die」
それは文字通り老兵たるオマハとその妹たちに捧げるものであると同時に、「消え去る」定めである合衆国海軍への葬送曲であった。
それだけでも日露戦役における「常陸丸」の逸話を知る日本海軍将兵の心に訴えかけるものがあるが、それだけでは終わらなかった。
演奏と共に歌声が、それも戦場にはあるはずも無い女性の美声が重なっていくのだ。
見ればオマハ艦橋の影は一人から二人に増えており、声はそこから聞こえてくる。
その演奏と歌声はオマハの船体が海中に没するまで止まらなかったという。
この「戦場神話」こそが、ニューファンドランド沖のキアサージの「歌姫」と共に両海戦が「合衆国海軍の葬送曲」と名付けられた所以である——。

986奥羽人:2022/12/23(金) 19:08:09 HOST:sp49-96-46-41.msd.spmode.ne.jp
████████
████████████████
テスト

987モントゴメリー:2022/12/26(月) 00:15:08 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
仏帝連合ネタSS——「国歌狂想曲」——

フランス帝国連邦、首都パリ
この仏帝(ブルボンnotミホノ)が誇る花の都では、現在とある祭典が行われていた。
鏡の向こうの自分——平行世界のフランス外交団の受け入れである。
マルセイユ沖に「門」が現れるという事件(約400年ぶり2回目)から数か月、混乱も収まりようやく各世界のフランスの国交が正式に樹立されたのである。
その手始めとして、代表団の相互派遣・受け入れが計画され実行された。
今回の催しもその一環であり、主題は「フランス連邦共和国」の代表団の受け入れである。
…正直に言うと、当初は他の世界と比較しても目立つほど異質な平行世界であったため心理的衝撃度は大きかったが、基本的に理性的で平和的であったので現在では「話の分かる」相手として認識されつつある。
少なくとも共産主義と無政府主義のカクテルのような主張をする某世界(注:史実世界)より遥かにマシであった。
式は特に問題も無く、平穏に進んだ。
そして最後のセレモニーとして、敬意を表すためにお互いがお互いの国歌を演奏・合唱する時が来た。
まず、帝国側の合唱団が連邦共和国国歌である「La Marseillaise」を披露する。
……帝国側の心情としては、とても受け入れがたい歌詞なのであるがそこは外交の場。関係者はおくびにも出さず演奏は無事に終了した。

対して、連邦共和国側も返礼として帝国国家「Vive Henri IV」の演奏を行う。
出でたるは連邦共和国陸軍が誇る軍楽隊である。
……軍関係者が出てくるのは安全保障上の理由でまだ理解できる。だが、構成員が皆10代後半から20代前半で占められているのはどういうことなのだろうか?
帝国側関係者の疑問を他所に、歌は始まった。

988モントゴメリー:2022/12/26(月) 00:16:16 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
Vive Henri IV! 
Vive ce roi vaillant!
Ce diable à quatre 
A le triple talent
De boire et de batter 
Et d'être un vert galant. 

(万歳!アンリ四世勇敢な王
ちっぽけな四肢に三つの甲斐性
大酒飲みで博打好き
そして女好きなのさ)

一見すると讃えているのか、けなしているのか判断に困る歌詞であるが、フランス人の諧謔成分過多なエスプリは500年前から変わらないということだろう。

Au diable guerres,
Rancunes et partis!
Comme nos pères
Chantons en vrais amis,
Au choc des verres
Les roses et les lys.

(地獄の戦争は過ぎ去った
我が父、友のように歌おうぞ
今こそグラスを鳴らして
バラと百合に乾杯を)

二番も素晴らしいコーラスで朗々と歌い上げられた時点で、帝国側も安心しきった。しきってしまった。
ここまで来れば何も問題はないだろうと。
しかし、「3番」が流れた時帝国側関係者は色を失うことになる。

Chantons l'antienne
Qu'on chantera dans mille ans;
Que Dieu maintienne
En paix ses descendants
Jusqu'à ce qu'on prenne
La Lune avec les dents.

(繰り返し千年後も歌おう
平和と恩寵を子供らに
我らの歯によって
月を討ち取らん)


「歯」は牙や武器と言った意味であり、「月」はイスラム教の象徴である。
そしてこの歌が作られた時代背景を加味すれば、これの意味は

『千年かかろうとも我々はオスマン帝国を打倒する』

ということになる。 
この3番はオスマン帝国と友好関係を築き上げた20世紀初頭から公式の場では封印されてきたのであるが、連邦共和国側へその説明が届いていなかったようである。
「立会人」として式典に参加していたオスマン帝国大使を見れば、意味を理解してしまったようで苦笑を浮かべているではないか!!
さらに言えば、式典は(日仏)世界中に生放送されており当然オスマン帝国本土でも視聴されている。
これから為さねばならぬ「後始末」を考え、帝国側関係者たちは顔を青くした——。


なお、結論を言えばオスマン帝国側はこれに関して特に文句をつけることはなく、オスマン国民たちも冷静であった。
むしろ初めて聴いた!!など好意的反応が多かった。
混乱具合では仏帝国民の方がひどかったほどである。

989トゥ!ヘァ!スマホ:2022/12/28(水) 19:47:29 HOST:FL1-122-133-221-61.kng.mesh.ad.jp
日本大陸 ディストピア世界

20XX年。
既存世界は崩壊した。
別に第三次世界大戦が起きたわけではない。。

不況に戦争に災害に難民や格差など色々な問題が積み重なって既存の国際秩序や体制が破綻したのだ。

原因は挙げれば切りがないが、既存の枠組みが崩壊するのに理由はこと欠かさなかったのは事実であった。


欧州では階級社会が復活し、ロシアはソ連すら超える管理社会国家へ回帰した。

アメリカは企業が国を動かすようになり、南米を植民地へ変えた。

アフリカは暗黒大陸に逆戻りし、欧米が旧時代以上に好き勝手している。

インドと中国は国が割れ、アジアは一部地域を除き、今や戦国時代となった。
比較的安全なのは極東の例の国によって保護されてる東南アジアとオセアニアくらいである。

そんな中で従来の自由民主主義型社会を残している国があった。
極東の亜大陸国家日本である。

今や古き良き時代のあり方を唯一残す国家となった日本はある意味で最も人が暮らしやすい国家と言えた。

旧時代のように、身分差はなく、政治心情は自由で、国は国民の保護に熱心。
働けば相応に暮らすことがあり、病気になってもいつでもきちんと病院にかかれる。

今や人類の多くが夢に見る旧時代の普通の生活というのがそこにあった。

これはそんなこの時代においては理想国家となってしまった日本を守るべく奮闘する人々のお話である。




某所 夢幻会の会合


「どうしてこうなっただぁ…」

「どうしてこうなっただぁ…」

「どうしてこうなっただぁ…」

「「「ほんとにどうしてこんな世界になってるだぁ!!」」」

990トゥ!ヘァ!スマホ:2022/12/29(木) 20:27:11 HOST:FL1-122-133-221-61.kng.mesh.ad.jp
一発ネタ 日本大陸クロス物 退廃世界



時は近未来…
人類は勝利した。

宇宙からの来訪者である鉄虫、ラプチャー。
深海からの亡霊。深海棲艦。
コーラップス汚染から生まれるE.L.I.Dミュータント。

様々な困難に直面した人類は苦戦しながらも、これらに打ち勝ち、地球における霊長の座を死守した。

しかし人は争うもの。
未だ脅威の残党が蔓延る中で人間同士は再び同族との争いを始めた。


旧大陸を支配する強権国家連邦。
新大陸の支配者たる企業たちによる同盟。
そして太平洋の覇者であり人類の防人こと極東。

人類は3つの勢力に別れなおを争いを続けていた。
新たな脅威がいつ現れるとも限らない中で…









○設定

・極東
正式名称は極東地域を中心とする太平洋・インド洋地域諸国との広域防衛条約である。

主に西太平洋一帯から東南アジア、オセアニアまでを勢力圏とする。


遺跡技術を根幹とする連邦。異星技術を積極的に利用した同盟。
それらとは全く異なる独自の技術体系を持つ。

出処は違えど既存科学技術に属する連邦、同盟のそれとは違い、出処不明で既存科学、物理学では説明のつかないその技術は異端技術と呼ばれている。

極東の運用する異端技術及び異端兵器は高い戦闘力とコストパフォーマンスを誇るはずの連邦と同盟の兵器を圧倒しており、一部では遺跡もしくは異星技術すら使った超兵器ですら歯牙に掛けない性能を誇っている。

また技術体系が全く違うせいか、他2勢力による解析も遅々として進んでいないありさまである。

3勢力の中で政体的にも国力的にも劣る極東が侵略者たちの残党を相手にしながらも他2勢力相手に互角以上に立ち会えているのは、この謎の技術によるところが大きい。

991トゥ!ヘァ!スマホ:2022/12/29(木) 20:28:21 HOST:FL1-122-133-221-61.kng.mesh.ad.jp
政体としては少々政府の権限が強いが旧時代的な民主国家と言える。
今となっては時代遅れとも言えるようなそれは人が人らしく生きれる数少ない国である。

正直ディストピア気味な他と比べると非常に住みやすい。
旧時代的な国家福祉による保証は民間人の生活を支え、健康的な経済体制は人々に健全な労働を与えている。

またバイオロイドや自動人形といった非人類にも人権を与えていることで有名。
何よりも一部の深海棲艦や鉄虫とも共存に成功しているなど他勢力との比べ、技術以外も異端な面が大きい。

このため連邦や同盟からは人類の裏切り者や時代遅れの老害などと批判され、それらを大義名分として度々攻め込まれては撃退を繰り返している。

最も人が人らしく生活できるその有様は両国の人間や非人類からも羨ましく思われているようで度々亡命者がやってくる。
そして自国の体制の否定と捉えられる亡命者の発生と人材の流出は尚更他勢力の危機感を煽り、極東に攻め込むという負のループが起きている。


最近ではそんな2勢力に付き合うことに飽きたのか、もっぱら宇宙開発にせいをだしており、他勢力の妨害を受けながらも順調に開発を進めいてるようである。




…真実。
異端技術とはいわゆる異世界技術である。

幾度かの転生によって他世界の技術を記憶している転生者たちが、今までの転生ライフで解析が進んだ魂の解明技術共に、この世界に残るオカルトの残滓から再現に成功したのが異端技術と呼ばれているものの正体である。

再現できる限りの他世界の技術と魂を解析して応用した技術。
そしてこの世界特有の遺跡技術や異星技術。かつて存在していたオカルトの残滓などを組み合わせて独自に作り上げたものが異端技術だ。

小は概念を付与して見かけからは思いもよらない火力や防御を実現する概念付与や魂を憑依させて擬似的な無人機とする魂魄憑依から、大は位相をずらして攻撃を避ける位相防御や限定的ながら擬似的な時間停止技術までを実用化している。

これらの技術は遺跡技術や異星技術を持つ連邦や同盟相手にも互角以上に渡り合える代物であり、極東の軍事力の支えにもなっている。

反面民間にも流通しているのは、この世界における既存技術が中心である。
これは防諜の意味もあるが最大の理由として一般人の理解度とコストパフォーマンス的には元から根を張る既存科学による代物が一番手堅いという理由が大きい。

結局のところ民間で必要なのは感覚的に使えて、複雑な操作や知識の要らないコストパフォーマンスに優れる代物というオチなのである。


逆に国防の面では異端技術はフル稼働しており、量を担当する無人機から質を担当する艦娘、専門パワードスーツ部隊や魂魄憑依型サイボーグなど幅広く運用されている。


また医療関係においては高度医療の類として異端技術が積極的に利用されており、ヒュプノス病やコーラップス液汚染を最も安価で安定的に治療できる。

極東が真っ先にこれらの治療を可能とした結果、人材の流出を止めるために他勢力でも治療研究が行われ、この世界においてこれらの治療や予防だけはどの勢力でも劇的に進んだのは行幸というべきか。



得意な技術力は今までの戦争でも勿論活躍した。

始まりである深海戦争。多くの既存国家の崩壊を決定づけたラプチャー戦役。現在の世界体制が確立した鉄虫戦争。
そして合間合間に繰り広げられた人類同士の抗争である第一次から第三次までの新世界大戦。

いずれの争いも無事に生き抜くための力として異端技術は活躍したのである。



現在は前述した通りに極東勢は宇宙に新たな世界を夢見て進出中である。
そしてそれに呼応するかの如く各勢力も宇宙開発を行いだしている。

最もそれは宇宙戦力の整備にも繋がっている。
次に各勢力と本格的にぶつかる際は宇宙戦艦同士の衝突になるのかもしれない…

992モントゴメリー:2022/12/31(土) 11:03:11 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
フランス連邦共和国における式典①——「転属」者送別式

「転属」者送別式とは、フランス連邦共和国(以下、FFR)における国家行事の一つであり、その中でも新年祝賀式典と並び特に重要視されるものである。
毎年12月31日に挙行されるその式典は、戦場で斃れた者たちのみならず、その年に「転属」した全てのFFR国民を『我らが指揮官』リシュリューの指揮下からオセアンの指揮下へ送り出すためのものである。
リシュリューの代行者たる大統領が主宰者となり、式次第を進行し、式の最後は
「オセアンよ。貴方の下にまた勇士の魂を送ります。いつの日か、貴方の下で彼らと再び戦列を組む事を切に願います」で締め括るのが定式である。

この儀式が制定・挙行されたのは21世紀になってから、より正確に言えばマリー・マフタン大統領の任期になってからである。
この式典のみならず、新年祝賀式典や我らが指揮官降誕祭、ジョルジュ・ビドー初代大統領追悼式典など後世数百年に渡りFFRで受け継がれていく各種公式行事は彼女の時代に体系化されたものが大半である。
ビドー初代大統領の時代は「暗黒の30年」とほぼ同義であり各種式典や国家行事を定式化する余裕などFFRには無かった。
そもそも彼にとってリシュリューとは国民統合のための「プロパガンダ」であり宗教化することなど想定していなかったから当然のことであるが。
この傾向は彼の後を継いだシラク・ミッテラン両大統領時代も継続された。
既にこの頃には国民の間から自発的にリシュリュー信仰が発展・拡大されていたにも関わずに。
これは、彼らも「戦前世代」であり戦後世代のリシュリューへの信仰心を本質的には理解出来なかったことに起因するであろう。
しかし、マリー・マフタンは違った。
彼女は戦後世代、それも両親・祖父母からも薫陶を受けた「第三世代」である。
その世代は我らが指揮官の兵士であり子供であることを誇りに思うリシュリュー信徒の完成形であった。
「謀将大統領」と他国(主にブリカス)から揶揄された彼女であるが、その智謀は本物であり謀略以外にも当然有効であった。
そして為政者の必須教養である世界史の知識も豊富であり、彼女はその中からある事象を導きだした。

993モントゴメリー:2022/12/31(土) 11:03:50 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
フランス連邦共和国における式典①——「転属」者送別式

「転属」者送別式とは、フランス連邦共和国(以下、FFR)における国家行事の一つであり、その中でも新年祝賀式典と並び特に重要視されるものである。
毎年12月31日に挙行されるその式典は、戦場で斃れた者たちのみならず、その年に「転属」した全てのFFR国民を『我らが指揮官』リシュリューの指揮下からオセアンの指揮下へ送り出すためのものである。
リシュリューの代行者たる大統領が主宰者となり、式次第を進行し、式の最後は
「オセアンよ。貴方の下にまた勇士の魂を送ります。いつの日か、貴方の下で彼らと再び戦列を組む事を切に願います」で締め括るのが定式である。

この儀式が制定・挙行されたのは21世紀になってから、より正確に言えばマリー・マフタン大統領の任期になってからである。
この式典のみならず、新年祝賀式典や我らが指揮官降誕祭、ジョルジュ・ビドー初代大統領追悼式典など後世数百年に渡りFFRで受け継がれていく各種公式行事は彼女の時代に体系化されたものが大半である。
ビドー初代大統領の時代は「暗黒の30年」とほぼ同義であり各種式典や国家行事を定式化する余裕などFFRには無かった。
そもそも彼にとってリシュリューとは国民統合のための「プロパガンダ」であり宗教化することなど想定していなかったから当然のことであるが。
この傾向は彼の後を継いだシラク・ミッテラン両大統領時代も継続された。
既にこの頃には国民の間から自発的にリシュリュー信仰が発展・拡大されていたにも関わずに。
これは、彼らも「戦前世代」であり戦後世代のリシュリューへの信仰心を本質的には理解出来なかったことに起因するであろう。
しかし、マリー・マフタンは違った。
彼女は戦後世代、それも両親・祖父母からも薫陶を受けた「第三世代」である。
その世代は我らが指揮官の兵士であり子供であることを誇りに思うリシュリュー信徒の完成形であった。
「謀将大統領」と他国(主にブリカス)から揶揄された彼女であるが、その智謀は本物であり謀略以外にも当然有効であった。
そして為政者の必須教養である世界史の知識も豊富であり、彼女はその中からある事象を導きだした。

994モントゴメリー:2022/12/31(土) 11:04:56 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
——国家が永続化するためには、何らかの形で自国の正当性を鼓吹し、それを人民に理解させる「何か」がなければならない。

無論、戦艦リシュリューという存在そのものがFFRの正統性の具現化であるのは間違いない。
だからこそ戦後半世紀以上も大きな問題は起こらなかった。
しかし、戦後世代が国民の大多数となった21世紀現在においてはそれでは不足するだろう。
彼らの彼女らの信仰心を誘導し、統制するものが無ければそれはいつか「暴発」する時が来るかもしれない。
それに対するマリー大統領の回答が信仰心を可視化し、その流れを統制する文化的装置たる、国家が主催する式典や公式行事であった。
以下に今回の主題である「転属」者送別式の内容を記述する。

まず重要なのは、対象者は他国でいう所の「戦死者」に限らないということである。
病死や事故死など、その年に死亡した全てのFFRがその対象者である。
それは死刑により『転属』した者も例外ではない。
これは、最後に罪を裁くのはオセアンの職権であり我らは彼女の御許へ罪人を送り出すのみ、という思想に由来している。
そして何故12月31日なのかと言えば、フランス(そして多くの欧州国家)の会計年度が1月-12月周期であるため年度末に合わせたというのが公式見解である。
いかにもFFRらしいお役所仕事、散文的な理由であるが、マリー大統領の真意は別にあった。
キリスト教において、年末年始の祭典はキリスト降誕祭(クリスマス)が最大の催しであり12月31日と1月1日はそれほど重要視されていない。
それに対して12月31日と1月1日に大きな祭典を挙行すればFFR国教の独自性の良い見本となると彼女は考えたのである。
さらに言えば、「大晦日」や「元日」という宗教行事がある日本人が親近感を持つことも期待している。
なおこの儀式が体系化される前、特に「暗黒の30年」期にはキリスト教における「死者の日」である11月2日に「霧の向こう」で戦う先達たちに祈りを捧げるのが一般的であった。
しかし、時代を経るごとに他国(主に日本)の影響でその日はハロウィンの祭りと同一視されるようになり宗教的要素が薄れてしまった。
だからこそ改めて設定し直したとも言える。
(FFR政府の公式見解は、ハロウィンは「霧の向こう」にいる先達に祈る日で、「転属」者送別式は「霧の向こう」へ新たに兵士を送り出す日であるので並立するとのこと)

995モントゴメリー:2023/01/03(火) 20:23:23 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
戦後夢幻会SS――亡霊は消えず〜新型戦車開発狂想曲〜

1980年、ソ連の対独戦勝記念軍事パレードに置いて公開されたかの国の新型戦車は
後に『T-80ショック』と呼ばれる衝撃と混乱を西側諸国に与えるこことなった。
その詳細な性能は例の如く鉄のカーテンによって隠されていたが映像資料からだけでも

・従来のソ連戦車の御椀型鋳造式砲塔とは一線を画する大容量の箱型溶接式砲塔
・T-72の搭載されているものの改良型と目される125㎜滑腔砲

という注目に値する情報が確認できる。さらに、西側各国の諜報機関が集めた断片情報をつなぎ合わせてみると

・車体前面及び砲塔には新開発の多層構造式複合装甲を採用
・エンジンはこれまでのものとは全く異なる最新式
・西側最新鋭兵器であるラインメタル社製120mm滑腔砲をアウトレンジできる能力を持つ対戦車ミサイルを装備
・砲塔大型化に伴うレイアウト変更によって従来のソ連製戦車の弱点であった間接防御力の改善
・様々な改修に耐えられる良好な冗長性

等といった全貌が明らかとなった。
これに対して西側の盟主たるアメリカと欧州の最前線国家たる西ドイツは半ばパニック状態となった。
そして意外にも上記2カ国と同じくらい(あるいはそれ以上)に衝撃を受けたのが 日本である。
今まで「クレムリンの枢機卿」によって対ソ情報戦では圧倒的優位を誇っていたのに、今回の新型戦車についてはそのルートが機能しなかったのだ。
動揺するのも無理はない。

とは言え、いつまでも嘆いていても仕方がない。
当事者たる国防陸軍はT-80への対抗策の検討を開始する。
しかし、その結果は「現主力戦車である74式では相打ち覚悟の近接格闘戦に持ち込まなければ勝てない」というものであり、陸軍上層部は頭を抱えることになる。
とにかく、次期主力戦車(史実90式相当)の開発を急ぐとともに、次善策として74式用の新型砲弾(史実93式APFSDS相当)の開発に全力を挙げるという方針が立てられた。
しかし、それに対し独自案を提出し対抗する勢力が国防陸軍内に現れたのである。
彼らは現場の戦車兵と一部若手技官を中心とする集団であり、彼らの提案とは「74式戦車の『無砲塔化』による抜本的改修」であった。
それを見た上層部の一人はこう呟いたという。

——亡霊どもが帰って来た

996モントゴメリー:2023/01/03(火) 20:24:36 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
『亡霊』
それは旧陸軍から連綿と引き継がれてきた「無砲塔型戦車」への信頼である。それは信仰と言って良いレベルに達している。
端的に言えば九七式中戦車殿と共にあの戦争を駆け抜け、心酔してしまった者たちだ。
それだけならば時代の流れによって老兵と共に消え去るのみであったのだが、カンボジア紛争における六一式中戦車の活動によってその思想は「世代交代」に成功してしまったのである。
74式戦車開発の時も彼らに散々苦労させられたのであるが、九七式中戦車殿の父である原乙未生元中将にご動座いただき

「ようやく君たちに砲塔のある戦車を届けることができる」

と語りかけてもらってようやく沈静化したのである。
しかし、T-80の出現はそれを覆した。
彼ら無砲塔派閥が引き下がったのは、74式戦車が仮想敵に対して性能的に有利に立っていると確信したからである。
しかし、T-80によってその確信は粉砕された。
ならば成すべきことは一つ。
回転砲塔を捨てて、そのリソースを攻撃力と防御力に振り向けるのである!!
日本戦車兵にとって回転砲塔とは必須のものではなく、攻防性能が必要水準を満たして初めて考慮に値する「贅沢品」だったのだ。

彼らの主張を要約すれば以下のようになる。
・74式戦車から回転砲塔を廃し、主砲を105mmから120㎜に拡大する。
・120㎜砲はラインメタル社製が前提であるが、ドイツがまた妨害して来たらアメリカ製を搭載する
・浮いた重量を利用し、新型戦車用に開発されている新素材等を採用し防御力を高める

たちが悪いことに新型戦車よりも製造コストが低いために一部政治家や官僚までもがこの提案に同調し始めたのである。


「ちくしょう、苦労してようやく成仏させた亡霊が帰ってきやがった。何故だ!!」
「お盆の時期だからじゃないですか?」

市ヶ谷の夜に国防陸軍上層部の叫びが木霊したという……。

997635:2023/01/11(水) 06:24:41 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ サセボ異界紀行十八冊目


side:元憂鬱山本五十六


映像が終わり会議室の明かりが再び灯される。
溜息や咽び泣く声が自分の耳に入る。


「フゥ…サイッコー…(遠くを見る瞳)。」

「この世界で史実の平成の創作の続編やリメイクを見ることが出来るとは…(感涙)。」


自分の眼前ではいい年こいた大の男達が呆然と天井見上げたり涙を流してる。
慣れたがハッキリいってキモい…慣れたくはなかったが自分も夢幻会の一員何度も転生していれば嫌でも慣れる。
まあしょうがないとも思う、柏木大臣が持ってきた向こう側の日本の文物を見ればそうもなろう。
夢幻会の大半は平成と呼ばれ、二度の核の投下され敗戦した日本の生まれ懐かしがるのも無理はない。


「クッ!海防艦だと…よつにみと…迎えたかった…。」

「型月の世界さらに描かれてるとか…なんで俺はそこまで生きられなかったんだ…。」


一部の者は自分が死んだ後の伝聞ではない映像や現物付きの生の情報、
但し自分の手で出来ないを齎され絶望していたりするがまあどうでもいいだろう。


「いやはやしかし平成世界の黒澤明監督が総指揮、円谷英二氏が特殊効果に関わった特撮が見られるとは思わなかったな。」

「本当に向こうの世界どうなってるんでしょう?」


会議室の上座では辻や東條が今程に見た映画に関してそんな話をしている。現在この集まりは東條が臨時で取り仕切っていた。
本来であれば宮様がこの世界に現れなかった嶋田の代わりに取り仕切っているのだが現在この場にはいない。
宮様は現在、戦艦金剛の船霊(艦娘とか言うらしい)が生み出した霊剣を帝国として拝受するための儀式に出る為に現在伊勢神宮まで出向いている。
他にも両陛下やオランダの皇帝陛下夫妻、二藤部総理にオランダ宰相、OCU加盟国首脳、戦艦陸奥の船霊やイゼイラの神?も参加している。
なお、先程ここで行われたあの映画世界初上映を見れないと知った時の宮様の顔は忘れられない。


「しかし宮様気の毒でしたねえ…。」

「ああ…黒澤明監督総指揮、円谷英二氏が特殊効果担当に加え庵野氏他著名な映画監督や俳優が参加しているし…。」

「昭和の名優や戦前の銀幕スター、著名人…挙げ句創作の登場人物まで出るとは思いませんでした…。」

「お陰で今回の初上映見れなくて宮様、絶望の顔だったな…」


東條と辻は会話を続ける。


「少女が戦車指揮してたり戦闘機乗ってたり、爆撃機を若い女性が率いてたり…。」

「どっかで聞いた声の軍人とかいると思ったら…。」

「エンドクレジットで戦車隊指揮官:西住みほ、戦闘機パイロット:宮藤芳佳、爆撃隊司令官:高町なのは…」

「軍人その一:フランク・イェーガー、軍人そのニ:モンティナ・マックス、科学者:香月夕呼…。
まさかそこらの因果持ち込んではおらんだろうな?(汗)」


最初の人生のアニメーション作品で聞いた名がちらほらと聞こえるが後半のドイツやアメリカ系と思しき名はなんぞや?
加え因果持ち込むとか一体…?

998635:2023/01/11(水) 06:25:27 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp

「あ、もう時間的に儀式終わってますね。」

「その後直ぐにオンラインでエストシナと繋いでCIS首脳やBC首脳交えて首脳会談だったか?両国がFFRの演習や緊急観閲式に抗議していたし。」

「ええ、当初のリシュリュー出現騒動で展開していた緊急展開部隊や在エストシナ軍。
だけじゃなくくGIGN(国家憲兵隊治安介入部隊)や陸と外人部隊の落下傘連隊に軌道空挺連隊、
とかいう特殊部隊欲張りセットに加え各軍の重装備部隊…。
挙げ句、最精鋭のリシュリューの懐剣(BBFM)までも装備含めて観閲式のためだけにエストシナに輸送機総動員して緊急展開させたでしょう?
なので当初はリシュリューを出汁にした宣戦布告、開戦と同時に奇襲の為の準備。
リシュリューの存在が明るみに出た今は総力戦を行う為の演習だという疑惑が各国から大きいのですよ。
そこらの落し所探ってる筈ですよ。」


実際にマフタン大統領の真意やFFRの感情面での暴走の事実知ってる我が国や蘭帝以外から見ればそうなるだろう。
あの全軍全力展開がただリシュリューに捨てられそうになったと思ったから、
おかわり展開が観閲式に全力出すためとかリシュリュー信仰知っててもそうは思わんだろ、普通。
ただ、総力戦の演習となったのも事実だろう。


「しかしどうなることやら…。」

「他の国ともかくFFRの暴走やFFRによる開戦はあり得ないのは救いですね。リシュリューという重しがいますし。」

「ホンーっとあのリシュリューが理性的で良かった…世界は違えど我らが指揮官様々といった所か…。」


その時ドアが大きな音と共に開かれた。


「閣下!一大事です!!」


何事かと全員が目を向け、戦場経験者は腰を浮かせ懐の銃に手を居れていたが転生者な東條の従卒の姿を認めるとなんだと全員が腰を下ろす。
何ともまあ焦った様子で走ってきたのか肩で息をしていたが息を整え東條の下へと行くと紙切れを差し出す。
東條はコップを手に取りコーヒーを飲みながら差し出された紙切れに目を通す。いやアレはメモか?


「何事だ。焦ってッ!?ブフォッ!?ゴッホ!!ゴホ!?」


コーヒーを吹き出し咽る東條、その吹き出されたコーヒーは辻の顔面を直撃する。
その光景を見て東條よくやった!、辻ざまあwwという表情の者多数、普段の辻の誠実さ(必要コスト以外のコストカッター)の現れだろう。
辻は無表情で顔に付いたコーヒーを拭う。


「ゴッホ!ゴッホ!…ハァ。」

「東條さん、落ち着きましたか…。」

「あ、すまない(汗)。」


無表情の辻に気圧される東條であった。


「で、君…コレほんとかね(汗)?」

「本気と書いてマジです、閣下。
OCU、FFR、CIS、BCの首脳会談でマフタン大統領の発言中に乱入したFFRの戦艦リシュリューが提案、全会一致で採択されました。」

「いや、まあコレなら各国共納得するが…本気か…(汗)?」

「保管中、使用期限間近の兵器在庫一掃、FFRと同様の経験出来る上、
ティ連が違反国潰すと安全保障確約したのが効いてるみたいです。」

「ティ連が?」

「他の発達過程文明見る機会と乗り気です。消費したものは造成して補填するとも言ってるくらいです。」

「こりゃ大事だぞ!すぐ行かなくては!ああ、みんなこのメモ回し読みして直ぐに行動始めてくれ!!」

999635:2023/01/11(水) 06:26:09 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp


そのまま東條は足早に会議室を出て行くと隣に座っていた辻がメモ読んでムンク画伯の叫びの様な顔するとorzという体勢になった。
他の者も何だ何だとメモに目を通すと顔色を変えて足早に会議室を出ていく。


「やっべ!空軍にスクランブルの訓練ねじ込まにゃならん!!」

「装備の点検もう一度せねば!!」

「おい、備蓄食料や避難経路の計画は大丈夫だったか!?」


orzでザマァな辻を無視して行くとは余程のことだろう。


「物資兎も角、人を動かすにも予算がいるんですよ…予算が…いえコレもいつかは行わなくてはと思ってたので必要経費というの分かりますが…。」


項垂れる辻を横目にメモに目を通す。


【首脳会議、OCU、CIS、BCによるFFRが行ったのと同規模の総力戦演習の個別実行を採択】


「は…?」


我が目を疑ったが真実である。
我が国のティ連加盟式典後に各国とも己の力を誇示する総力戦(演習)の季節を迎えることとなる。
これが後の世に言う総力戦オリンピックの始まりであり、後にヂラールとの戦いで役に立つとはこの時は思わなかった。




艦娘リシュリュー「総力戦演習って…これホントに提案するの(汗)?」

艦霊リシュリュー『これなら皆納得するわ!!』

艦娘リシュリュー「戦争にならないのかしら(汗)?」

艦霊リシュリュー『大丈夫!各国ともその辺は弁えているわ!!』

艦娘リシュリュー「…何ともまあ…羨ましいホドの相互理解ね…。」

1000トゥ!ヘァ!:2023/01/12(木) 22:14:37 HOST:FL1-122-133-221-61.kng.mesh.ad.jp
うめ




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