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『モニター』

1 クレア・ラシール ◆XNRIGr7ri2 :2011/06/11(土) 21:52:55
そう遠くない未来、人類は肉体から霊魂を取り出し、そして入れ直すことで身体と身体、心と心を入れ替えるという技術を現実のものとしていた。
しかし、本来とは異なる肉体故に生命力が消耗することから入れ替わっていられる時間には限りがあることやその後回復するまで入れ替わることができないこと。また入れ替わりの対象者同士の肉体と魂の相性といった問題に加え、犯罪などに悪用される可能性があまりにも高いことから、霊魂交換システムはしばらくの間、国家の厳しい管理下におかれることになる。
しかし、いくつかの技術的な問題がクリアされたこともあり、また制限があるにしても、肉体を交換可能ということのメリットも多く、民間からも技術の公開あるいはシステムの利用を求める声が多く、それは無視することができないものとなったいた。
かくして政府は実用化及び一般公開化前に不特定多数の人間同士で入れ替わりが行われた場合の問題点を調査する為、国民から広く霊魂交換システムのモニターが募集されることとなった。

2 クレア・ラシール ◆XNRIGr7ri2 :2011/06/11(土) 21:53:30
モニター1
「Elementary&High」
第1話
「ね、ね、お姉ちゃん、これ応募してみない?」
高校から帰宅したばかりの敬子を出迎えたのは、妹である小学生の優子の声と一枚の書類だった。
「応募って…あ、これかあ。」
優子が差し出したのは、霊魂交換システムモニター募集のお知らせだった。
敬子の高校でもちょっと話題になっている。
技術そのものはかなり前に開発されていたはずだが、色々と制限がある上に、身体が入れ替わっていることを悪用した犯罪多発の危険性も高いと言うことで、実質的に使用禁止とされ封印同然になっていたはずだが、3年後の一般公開実用化を目指して、まず事前調査としてモニター募集が行われているとわけだ。
「でもこれって1週間程度よね。それに確か入れ替わる人間同士の相性があるから、誰でもいいってわけじゃないはずだけど。」
「うん、でも、あたしとお姉ちゃんなら、結構確率高いはずよね。」
交換可能な肉体と魂の相性は重大な問題だが、これは血縁関係の影響を強く受けるらしく、親子、あるいは兄弟姉妹であれば問題ないレベルであることが多く、同性同士なら更に相性はよくなることが判明しており、今回の募集でも、なるべく親子か兄弟あるいはイトコでの応募を呼びかけている。
「あ、入れ替わっている間って公休扱いのなるのか。これってちょっとお得かも。」
「ね、それならいいでしょ?」
「でも、未成年同士の応募の場合、保護者の承諾がいるんでしょ。お父さんかお母さんに確認した?」
「そ、それはお姉ちゃんがうんといってくれてからにしようと思って。」
「じゃ、今夜聞いてみましょ。あたしがうんといっても2人が反対したら結局ダメなんだし。」
その日の夕食の席で、おそるおそる話を切り出した優子だったが
「ふうん、霊魂交換システムのモニターか、面白そうだな。」
「お父さん、呑気なこと言わないでください。でも、面白そうなことは確かね。お母さんも応募してみようかしら。」
「おいおい、やめてくれよ。2人はまだ子供だから身体を交換してもそれほど困ることもないだろうけど、お前はれっきとした大人なんだぞ。」
「でも、こんな機会、滅多にないわけだし。今回逃したら、3年後の実用化まで待たないといけないし、実用化したからといってすぐ試せるわけでもなんだし。入れ替わっているのが1週間だけならそれほど困ることもないでしょ。」
「ああ、分かった分かった。」
「じゃあ、お母さんの敬子と優子と一緒に応募するわ。それでいいでしょ。」
「え、お母さんも?」
「それじゃあ、お姉ちゃんじゃなくてお母さんと入れ替わるかもしれないってこと?」
「まだ2人の相性がどうなるかも分かってないんでしょ。相性が悪かったらモニターに選ばれない可能性もあるんだから、お母さんと相性がいい可能性のことも考えた方がいいと思わない。」
「うーん、確かに応募するなら少しでも選ばれる可能性は高くしたいわね。」
「お母さんになるってのも楽しいかも。」
結局、敬子と優子、敬子と母親、優子と母親、という3組という形で応募することとなったのだった。

3 クレア・ラシール ◆XNRIGr7ri2 :2011/06/11(土) 21:56:58
モニター1
「Elementary&High」
第2話
結局、モニター選ばれたのは敬子と優子だった。
相性だけで言えば、優子と母親でも良かったらしいが、その辺は最終的にはクジによって選ばれることになったらしい。
「あーあ、かなり残念ね。これで後3年はおあずけか…まあ、その時になったら敬子とは入れ替われると分かっただけでもいいかな。」
「その時は今度はお母さんになれるんだ。楽しみ〜」
そして次の日曜日、2人は専門の施設で、霊魂の交換を受けることとなった。
交換そのものは10分もかからないのだが、前後の診断などで2時間近く拘束されることとなる。
事前の診断を終え、装置にかけられた敬子。
猛烈な睡魔に襲われたかのように意識を失い、そして気づいた後



そこは相変わらず装置にかけられたあの部屋。
と思いきや、装置を操作していた人が違う。
優子は隣の部屋で同じような装置にかけられているはず。
慌てて、自分の手へと視線を向ける。
ややではあるが見慣れているモノとは、小さくそして短くなった指がある。
「こ、これって…!」
思わずそう呟いてしまったその声はまだ声変わりが済んでいない、甲高さの残る子供の声。
「あ、急に動かないでくださいね。先ほどまでの身体とは色々と勝手が違うので、距離感とかの違いで転倒したりして危険ですから。」
担当医の言葉に、敬子はおそるおそる背もたれに身体を任せた。
確かに言われてみると、感覚的に、いつもと違う…違いすぎることに気づく。
何か力が入らないというか、力そのものがなくなってしまったような感触。
それに、部屋の天井も高く見えるし、部屋にある色々なものが大きく見える。
優子は6つ年下の10歳だが、学校では低い方だ。
身体が小さくなるというのはこんなものなのだろうか。
「少しは落ち着いた?大丈夫そうなら診断を済ませましょうか。」
担当医に助けられる形で床に降りた敬子は、改めて自分が優子に…10歳の身体になっていることを実感した。
床までの距離が遠い…高い上に、降りてみると、天井の高さ、そして周囲の機器そして担当医がひどく大きくみえる。
16歳とはいえ、それなりの体格に慣れた身では、子供の身体、子供の視点故の不安さを感じずいるのは難しそうだ。

4 クレア・ラシール ◆XNRIGr7ri2 :2011/06/12(日) 21:38:20
モニター1
「Elementary&High」
第3話
「あの…鏡、みさせてもらえませんか?」
「ちょっとまってくださいね。すぐ診断が終わりますから。鏡はその後で。」
聞き覚えのある声に、見覚えのある手、そしてすっかり縮んでしまった身体。
今の優子は敬子の身体になっていることはまず間違いないが、やはり鏡で今の自分の身体を確かめたいという思いは強い。
そうこうしているうちにどうにか診断も終わり、彼女の前に鏡らしきものが…上には布がかけられている。大きさからすると姿見サイズだろう…が運ばれてきた。
「あ、そのままでいてくださいね。別人になった自分に軽いショックを受けることもありますから。」
敬子がそれなりに落ち着いていることを確かめると担当医は、ゆっくりと鏡を覆っていた布地を取り去った。
「!」
分かっていたはずではあるが、実際に鏡で今の自分をみれば、衝撃を全く受けないはずもなかった。
鏡に映っていたのは、妹の姿、優子の姿、まだ小学生の小さな女の子の姿。
「こ、これって…」
敬子が小さく手を動かすと鏡の中の優子も手を動かす。
敬子が瞬きをすれば鏡の中の優子も瞬きする。
改めて、敬子は今の自分が優子になっていることを実感していた。
「大丈夫?」
担当医が、心配そうに覗き込んできた。
「だ、大丈夫です。ただやっぱりビックリしちゃって。」
「心配しないで。ビックリしているのは貴女だけじゃないし、中には失神した人もいるくらいだから。」
とはいえ、敬子が床に降りて立ちあがれるようになるまで落ち着くには5分ほどの時間が必要だった。
「さて、次は、自分自身との対面になるけど大丈夫かしら?」
「え、あ、大丈夫です…」
そう答えたものの、自分自身ということは、今は優子の魂が入っている自分の身体と出会うと言うことだ。
普通、自分の身体を自分の目で見る機会なんかあるはずもなく、そこに不安が生じるのは当然の事といえた。

5 名無しなメルモ :2012/02/15(水) 01:17:48
ここまで来て続きが無いのは酷だな・・・
続きが見たい。

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