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昨日の女の人

1名無しの魔術師:2008/10/14(火) 10:14:19 ID:lA3YFv8s
めっちゃ強引な人やってさぁ
乳首とティンコと耳を同時に責められて、俺、一瞬で逝っちゃったww
本来はもっと楽しませてあげたいけど、それでじゅうぶん楽しんでくれてるみたいだし
まぁバランス良いのかな??ww

そのサイト
http:\/0053%2E0X000F4%2E0051%2E000333/houkei/tYWprdX/

243サンチェリー:2014/04/20(日) 04:02:08 ID:Cz8cdu02
>>242
「ほんとに?だったら黙ってずかずか入ってくるような真似しないでよね
 本当は私たちが危険で野蛮な奴らだからそういう事して構わないとか思っているんでしょ」

溜め息を吐きながらやれやれのポーズ

「見た目が怖くて中身もそんなだとみんなから怖がられるよ?だからもうちょっと明るく笑ってみるとかさ
 それが駄目なら……ほら、その鎧とか物々しいから脱いじゃいなさいよ。見た目も大事だよ、見た目も
 その鎧の下に第三の眼が封じられてるとかじゃないんでしょ?」

244リタ・ウォルシュ:2014/04/20(日) 13:35:25 ID:sPGLPOIk
>>243
「あの時点では、君が敵である可能性が十分あった。
 奇襲攻撃を行うほど確実視していたわけではないが、万が一に備えて可能な限り虚を突くべきだと判断した」

女が見た目通りの戦い方をするのであれば、近接戦闘が最も優れているはずだ。
戦いが始まった時、近い距離に居たいということだろう。

「笑う理由もなければ鎧を脱ぐ理由もないな。
 そうしなければ君が落ち着かないと言うのであれば、私は今すぐここから去ろう。

 それに、こんな仕事をしていれば、大なり小なり恐れられるものだ。
 私も、同業者を見れば恐れる――恐れなければならない」

245サンチェリー:2014/04/20(日) 22:27:01 ID:Cz8cdu02
>>244
「……むぅ。まあいいけど……
 でもそれなら、ルゴサだってちょっとは警戒しても良いんじゃない?」

彫像のようにじっと月明かりに照らされているルゴサを見て
かの竜はこのような時は蟻の一匹も踏み潰さぬようにしているのが常である

「あるよあるよぉ。少しくらい見た目が平和的だったり、話すのが楽しければ
 お互い余計な気遣いしなくていいじゃん?
 そりゃ私だって警戒する時くらいあるけど……お互い怖がって信じられなくなるから争いになるんだよ。人も竜も」

246リタ・ウォルシュ:2014/04/22(火) 06:36:15 ID:KhRUqcAw
>>243
「……確かにな。
 遠目で見た時はドラゴンの方を警戒していたが、
 こうして接近してみると、巨大なルゴサではなく君にばかり注意を引かれてしまった。
 ――――不思議なものだな」

サンチェリーから視線を外し、ルゴサへ向けた。
満月の湖畔と白毛の竜――絵画のような光景にしばらく見惚れていたが、
会話の再開とともに視線も戻した。

「……何故そんなに、熱心なんだ?
 ついさっき出会ったばかりの他人を温厚そうな人間に変えて、君に一体どんな得がある?」

247サンチェリー:2014/04/23(水) 22:57:21 ID:Cz8cdu02
>>246
「だって……ヒマだし。見つかんないし、アイリーヌ・ルナ
 満月に照らされ紫の光を放ち、香りを嗅ぐとたちまち安らかな眠りに誘われ
 魔道の材料に使えばその場に夜を形作る、そんな花
 見た感じアイリーヌは咲いているんだけど、その特別なやつが無くてね」

湖畔の草原に目をやる。星と月の明かりに照らされ、微かにざわめく様が見える以外は
何て事のない原っぱのように見える

「そんな中でせっかく話せる人が見つかったんだから、せめて有意義に過ごしたいじゃん?
 そうだ、自己紹介がまだだったね。私はサンチェリー、見ての通り、ルゴサと一緒に旅をしてるの
 故郷は岩と山ばっかりてタイクツだからね」

248リタ・ウォルシュ:2014/04/24(木) 05:16:52 ID:KhRUqcAw
>>247
「それが、君の本来の目的か。
 ……そのアイリーヌ・ルナとやらのことは知らないが、
 月光を浴びて発光する花が、これだけ視界の開けた見晴らしの良い場所で見つからないということは考えにくい。
 ここには自生していないのではないのか?」

あるいは、既に誰かが摘んだ後か。

「先程も名乗ったが、私の名はリタ・ウォルシュ。
 賞金稼ぎを生業としている……のだが、専業というわけではない。
 手頃な賞金首が帝都に溢れているわけではないからな。
 こうして、盗賊団潰しなどを請け負う事もある」

「旅、か。
 ドラゴンに乗って大空を駆るのはさぞや快適だろうな。
 跨る相手がルゴサなら、高高度でもあまり寒くはないだろう」

249サンチェリー:2014/04/24(木) 23:20:56 ID:r2PeBmU.
>>248
「見当はずれなのかなぁ……ここにあるって聞いたのに
 ま、ここはなかなか気持ち良い場所だし、もうちょっと探しているけど」

月は頭上から斜め45°くらいの場所で静かに佇んでいる

「賞金稼ぎねー。私も似たような事やってるけど、少し前にアシュタルって所まで行って
 ちょっと懲りた感じかな。こういうの向いてないのかもね……誰かがやんなきゃって事は分かるんだけど
 ……やっぱり、強い?」

言いたい事を上手く言えないのか、或いはわざとぼかしているのか

「うんっ!ちょっとお節介な所もあるけどね。一緒に寝るとあったかいの。今はもうそんな事しないけどさ」

サンチェリーはリタと話していると気分が良くなったのか、湖面との境にある砂地に座り
ブーツと靴下を脱いでばしゃばしゃと水を蹴った。水滴は月光で煌き、湖面に幾つもの模様を描く

250リタ・ウォルシュ:2014/04/25(金) 07:02:26 ID:KhRUqcAw
>>249
「その光る花をどうしても手に入れたい理由があるようだな。
 それは美しいからか? それとも何かに利用するのか?」

「アシュタル――たしか冒険者を募集していたな。遺跡の調査に参加していたのか。
 私も、ダンジョンの攻略はそれほど得意ではない。
 そういった仕事は何度も請け負っているので経験は積んでいるのだが、『冒険』には意外に要求されるスキルが多いからな。
 私のような武骨者には、敵を殺す事しか考えなくて良い仕事の方が性に合っている。
 ……と言っても、同業者と比べてそれほど強いというわけではない。むしろ弱いほうかもしれないな」

容姿。武装。挙動。魔力。
これら五感を通じて得られる情報は全て、女の言葉を肯定している。

『もしかしたら―――――』
『もしかしたら、この女は本当は弱いのかもしれない』

おそらくそのような思いが、サンチェリーの心の中に生まれることだろう。

   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ .・ ・ ・ ・ ・ ・
  異様な気配を纏っているのは見せかけだけで、実際には大した力はないのかもしれない。


この女は、どんな異常な兆候も見せてはいないのだ。
恐れるのは、無駄ではないのか?


「ふ…………仲が良いようだな」

自然と共感が生まれたのか、ウォルシュの表情もどことなく和らいでいる。
湖に近づいてゆき、水袋に湖水を入れ始めた。

251サンチェリー:2014/04/25(金) 22:37:35 ID:Cz8cdu02
>>250
「手に入れる?……あっ、そっか。どうだろう、そりゃレアアイテムみたいだし欲しいは欲しいけど
 いちばんはやっぱり直で見たいかな。旅の思い出、ってやつ」

リタの言葉を聞いて思い出したように

「私は後ろから援護するのが精一杯かな。私の村の人たちみたいに強くないし
 強くなりたい……のかな。どうだろう、わかんない。敵を殺すのだって……
 あなたも、やっぱり強くなりたい?」

巨大な剣を軽々振り払い、未知へと繋がる障壁を打ち砕く彼
へらへらしながらもいざという時には自分を護ってくれる彼
自分が射殺したコボルト、自分が蹂躙した遺跡と共に朽ちる守人
強くなった時、彼らはどう見えるのだろうか。かつての自分はチョコレートのように溶けてなくなるのか

「子供の頃はそうしてた。今は違うけど……
 ふふっ、『ふ……』だって。えいっ!」

今だって十分に子供だが――と同時に、悪戯心が沸いたのかぎゅっとリタを引き寄せる

252リタ・ウォルシュ:2014/04/26(土) 12:27:14 ID:KhRUqcAw
>>251
「薬品や魔術の素材としての使い道よりも、満月の夜に花が輝く、その光景の方が魅力的か。
 美しいものを愛でる気持ちは分からないわけではないが、私は実利の方に目が行くな」

話しながらも水を汲み、それが終わると水袋を仕舞う。

サンチェリーが“後ろから援護する”スタイルだと聞き、ちらと彼女の装備に目を向けた。
意識的にか無意識的にか、サンチェリーがどんな武器で戦うのかを推し量ろうとしたのだろう。
未だ、完全には警戒心を解いていない様子である。

「そうやって悩んでいるということ自体が、今の君に強くなる必要性があまりないということの証拠ではないのか?
 君は既に十分強いか、武力以外に目的達成・問題解決をする方法をいくつか持っているのだろう。
 君の故郷には強者たちが溢れているのかもしれないが、だからといって君が過剰な強さを追い求める必要はない。
 殺人もそう、しなくていいならしない方がいい。

 ……私か? それは強くなりたいさ。
 誰しも自分の才能は出来る限り伸ばしたいものだ。これで食い扶持を稼いでもいるから、力を得ることで実益もある。
 逆に言えば、それ以上の理由はないな」

サンチェリーがはっきりと何かを思い浮かべながら話していることに、女も気づいたようだった。
彼女も真摯に答えようとしているためか、口数が多くなっている。

「今も一緒に寝ればいいじゃないか? そうしてはならない理由はないだろう?」
「なんだ? 私の声がなにかおかしなところでも……?」


リタを掴み引き寄せ ――――  『ガシッ!』  ―――― ようと力を込めたサンチェリーの腕が、リタ・ウォルシュの空いた手によって鷲掴みにされる。


女戦士の荒れた指が、サンチェリーの腕に食い込んでいた。

253サンチェリー:2014/04/26(土) 22:17:11 ID:Cz8cdu02
>>252
「そうだよ。それに、そういうお金で得られない物のほうが大切だと思う
 街の建物や美術品より、自然の景色のほうがずっと素敵」

 ……じゃあ、強く”も”なりたい!
 いつまで経っても守られっぱなしじゃみっともないし!出来る事っていっても大した事じゃないよ
 生きるため、才能を伸ばすためかあ。うーん……」

何か言いたげだが、ルゴサをちらりと見ると口を閉ざしてしまった
かの竜の前では言えないような事なのだろうか

そうしてリタを引き寄せようとして逆に掴み返され、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする
ぱちぱちとまばたきをすると掴んでいた手を離して

「ほらね、大人になるといちいちくっついたりしないでしょ?」

軽やかに笑って湖と月を眺める。月の明るさは少し前より増し
こころなしか周りにある星が眩しそうにしているように見える

254リタ・ウォルシュ:2014/04/27(日) 00:20:39 ID:KhRUqcAw
>>253
サンチェリーが手を離すと同時に、リタ・ウォルシュの手も離れた。

「……少し過剰反応だった。
 咄嗟だったから反射的に強く掴みすぎてしまったかもしれない。
 すまないことをした。痛みはないか?」

「…………いや、『これ』は大人かどうかは関係ないと思う。
 強いて言うなら私ひとりが大人気なかった」


「………………………………」


「何の話をしていたんだったか……そう、景色の話と強さの話だったな」

気を取り直し、話題をもとに戻すつもりのようだ。

「私は帝都出身だからか、人工物よりは自然の方が珍しく、好みだ。
 君は都会の生まれではないんだろう? 自然の景色より、建物や美術品の方が魅力的に映りそうなものだがな。
 それとも君の村では、人の手で造られた芸術品はありふれているのか?」

「君なら、努力すれば強くなれるだろう。その素質はあるはずだ。
 仮にも私に不意打ちを食らわせたのだから。
 そういえば先程、君は強く“も”なりたいと言ったな。他にも欲しいものがあるのか?」

255サンチェリー:2014/04/27(日) 01:33:29 ID:Cz8cdu02
>>254
「ううん、私こそごめん。ちょっと調子に乗りすぎた
 それに私だって同じ事されたらそうするかもしれないし……なんか、話しているうちに
 雰囲気変わったかもって思ってついね

 そう?…………それじゃあ」

水に浸けていた足を上げ、水辺の砂の中に突っ込む
砂の感触がくすぐったいような感じで心地よい
そして今度は先ほどより優しく、手全体を使ってリタを引き寄せようとする

「ううん、街の中だって好きだよ。でも、何だかきゅうくつなの。私にとっても、ルゴサにとっても
 ルゴサはほら、大きいから人間の街では自由に翼を広げられないし
 あなたみたいに怖がらずに近づいてくる人ばっかりとは限らない
 それに自然の景色っていっても私のいた所は山ばっかりだったし。海とかこっち来て初めて見たよ

 何だろう。わかんない……そりゃ、強くなって誰かに助けられなくても頑張れるようにっていうのはあるけど」

色々と欲しいものはあるが、同時に何かを失くしてしまうかもしれないという事だろうか
ふと湖面を見ると、月明かりの中に花の姿がような気がする

256リタ・ウォルシュ:2014/04/27(日) 15:29:26 ID:KhRUqcAw
>>255
「では……お互い、水に流すとしようか。
 雰囲気? よくわからないが――私達は、打ち解けた空気になれたと思う」

リタ・ウォルシュは、“雰囲気”という言葉を、自身の放つ異様な気配についてのことだとは思わなかったようだ。
あるいは、それも見せかけかもしれない。わかっていてあえて、気づかないふりをしているのかもしれない。

「…………大丈夫。そこまで気を遣わなくてもいい。
 掴まれることがわかっていれば、妙な反応をしたりはしないさ」

身体を引かれるが、今回は抵抗することもない。
サンチェリーに、身を任せる――――。

「どこに行っても良い事ばかりではないな。
 確かに都会は、魅力はあるが欠点も多い。

 君のように、即物的な悦楽より美的感覚を重要視する者には、帝都の欠点は大きな不都合になるのかも知れないな。
 私は花より団子だから、カネさえあればそれで幸せだが」

ふと、湖面に映る花に気づく。

「………アイリーヌという花は、水草の一種なのか?」

サンチェリーに、花の映る湖面を指し示す。
もし陸上の景色を反射しているのであれば、花があるべき実際の位置に目をやる。

257サンチェリー:2014/04/27(日) 20:25:03 ID:Cz8cdu02
>>256
「二人してびくびくしてただけかもね。なんだか可笑しい

 子供の頃はこうやってルゴサと寝たりもしてた。今だって、山の上は寒いから
 夜通し見張らないといけない竜使いたちはこうやって身を寄せて寝るのよ
 ……でも何だか恥ずかしいの。強くなりたいっていうのも関係しているのかもね」

寄り添い、湖畔を眺めながらぽつぽつと

「えー?そうかな、えへへ……」

美的感覚を重要視と言われ、褒められていると思ったのか照れたように笑った

「ん?違うよ、っていうかそこ(湖畔のほう)に生えてるじゃん。さっきだって探していたし」

湖畔の、ルゴサが居るほうを指差す。それからリタの指し示すほうを見て
立ち上がって見れば湖の上にぽつぽつと、しかしはっきりと確認出来る

「…………あれだーーーーーー!!!!!!」

258リタ・ウォルシュ:2014/04/29(火) 15:04:26 ID:KhRUqcAw
>>257
「そうだな。傍から見ると滑稽だろうな。
 だが仕方がないことでもある。お互い、時には危険に身を晒される人種だ。
 このくらいの警戒感はむしろ当然と思うべきだろう。

 何も恥ずかしがるようなことはないと思うが、な……信頼関係を築いている証だ。
 それに、例えば私とこうしているのは恥ずかしくないのか?」

ごく近い距離で触れ合っていることを言っているようだ。


「……これはいったいどういうことなんだ? なかなか幻想的な光景ではあるが」

「水面にしか映らない光を放つ、ということだろうか」

水袋を再び取り出して高く持ち上げ、先ほど汲んだばかりの水を湖面へと流す。
流れ落ちる水を注視し、花の光を反射するかどうか観察を行う。

259サンチェリー:2014/04/30(水) 00:58:51 ID:GKZ3G.uY
>>258
「そりゃそうだよ。あんまり無警戒でも今度は騙されやすくなっちゃうし
 だから私だって初めはちょっとびくびくしてた
 でもこうやって笑い合えば余計な心配せずに仲良く出来る」

すっかりリタを信頼しているのか、彼女の頬を指でつつく

「……そうじゃない。私はまだ、信頼関係なんかじゃない気がするの
 うまく言えないけど……

 今こうしてくっついてるのはまた別。リタは面白いからこうしてるの」

信頼とはお互いが支え合うものであり、自分はまだそこまで至っていないから恥ずかしいのだが
そこらへんをうまく説明出来ないらしい

「反射……なのかなあ、ひょっとすると本当に水面に生えているのかも」

リタが水を流して観察するかたわら、自分も立ち歩いて光の具合を確認してみる
どうも陸上からというよりは水面から光が届いているような気がするが

260リタ・ウォルシュ:2014/04/30(水) 12:12:20 ID:KhRUqcAw
>>259
「ふ……そう簡単に親しくなったと考えていいものか?
 人間、心の中では何を考えているかわからないものだ。
 警戒心が強すぎるのは問題だが、警戒をすぐに緩めすぎてしまうのもまた不都合を招くぞ?」

そう言っている当人は、既にサンチェリーとこうして寄り添っている。

自身の頬が狙われていることに気づいた女戦士は、反射的に払い除けようとした。
だが、途中で踏みとどまる。
次善の防御手段を講じる前に、指先が頬に到達してしまった。
こうなってしまえば、指を引き剥がすか、体ごと離れる以外に逃れる方法はない――女戦士は、されるがままになることを選んだ。

「ルゴサは君を背に乗せて飛ぶんだろう? これは、ほとんど背中を預けているに等しい。
 君がどう思うかは自由だが……我々の界隈では、普段から背中を預けるような繋がりを、信頼関係と呼んでいる」

流水を観察したが、実態は未だ不明だった。

「サンチェリー、実際に水面近くまで歩いて行ってみたらどうだ? そうすればあれが本物なのか虚像なのかわかるだろう。
 あるいは、ルゴサに乗って低空から手を伸ばすか。これなら濡れることもない」

261サンチェリー:2014/05/02(金) 23:00:05 ID:GKZ3G.uY
>>260
「むむむ……そうかも。ちょっと反省かな」

納得したように自分から指を離した

「そーかもしれないけどさー、背中に乗るっていうか、乗せられているっていうか……」

「湖は浅い所が暫く続いているし、遠くのほうまで行かないと分からないかも
 ルゴサが飛ぶとけっこうスピード出さなきゃいけないし手だって届かない。それに風圧で飛ばされちゃう」

ルゴサに泳いでもらいそれに乗るという手段もあるが
そのためにわざわざかの竜を冷たい水でずぶ濡れにさせるというのも気が引ける

「……泳ぐ?」

262リタ・ウォルシュ:2014/05/05(月) 18:10:10 ID:KhRUqcAw
>>261
「一賞金稼ぎの意見だから、鵜呑みにしなくてもいいが、な」

結局指が離れるまでの間、女戦士は抵抗しようとはしなかった。
ある意味では、全面降伏と言ってよかった。

「―――不思議な関係だな、君達は。
 騎兵と騎馬は強い関係で結ばれているものも多いが、信頼関係で悩んだりはしない。
 竜騎士というものは全て、そうやって人間同士のような関係を結ぶものなのか?」


「夜の冷たい湖を、か? できればそれは避けたいところだが……
 いや、仕方ない。泳ぐ以外に確かめる方法は無さそうだ。」

近場の木陰に歩いて行く。
装備を外し、衣服を枝に掛ける。
やがて肌着だけになると、剣を鞘から抜いて右手に携え、湖の中に入った。

263サンチェリー:2014/05/06(火) 00:03:16 ID:GKZ3G.uY
>>262
「関係……そうだね、多分人間同士と似たような感じなんだと思う
 ルゴサだって私たちと同じで笑ったり怒ったりするし、いろいろとお喋りする事だってある
 ときには私にお願いだってするし、勝手にどこかに行ったりもする
 よその竜騎士はどうか分からないけど……馬に例えるなら、普通の人がすごい馬に乗っている感じ?」

「よっし、お互い手に入れたら山分けね。だいじょうぶ、何かあったらルゴサもいるし
 タオルも後で貸してあげるね」

自分も最低限の衣服だけになり、腰に吊るしてあるダガーではなく小さなナイフだけ持って湖の中に入っていく

水は冷たく澄んでおり、月の明かりだけで自分の身体や湖底まで鮮明に見る事が出来る
アイリーヌ・ルナは水深1m程の湖面に土も無いのに揺れている
ラベンダーのような形状をしており、花は冷たく輝いている

264【黒鉄の盾】:2014/07/23(水) 22:37:15 ID:Hscnb5Mk
ジェフリーは暗闇の中に漂っていた。そこは静かで穏やかな場所だった
目を凝らすとそこには闇の中でもひときわ暗く輝く翼の生えた人影が立っていた
シルエットは何となく分かるものの、色や細かい形などは分からない

目を閉じれば、そのまま永遠に眠る事も出来るのではないか。そう考えさせるような場所だった

265ジェフリー:2014/07/23(水) 22:52:22 ID:KbqED1eI
>>264
『うぇ……ここは……』
何年も前、まだこの姿<ヴィジョン>でなく他人の姿を借りていた時にも
闇の中に入ったことがある。
だが、あの場所とはまた違う感じがする……。
あの時の闇は、こんなに穏やかで安らかな場所ではなかった気がする。

無意識のうちに、先ほど別れてきた赤毛の兄<リチャード>を探すかのように目を凝らした。
『……んだ? 誰かいるぜ……』

見出したのは彼ではないであろう翼を持つ姿―

『おまえ、誰?
 もしかして……フリッツ!?』
嘗て姿を借りていた、今は亡き風使いの名を思わず呼ぶ。
そいつの背中にも翼があったのだ。ただし、不可視の。

266【黒鉄の盾】:2014/07/23(水) 23:31:19 ID:QcYo5jiY
>>265
探し人の姿は見えない。彼はどこに行ってしまったのだろうか?

そして、その安らかな闇は長くは続かなかった
暗く輝く翼のシルエットは消え、代わりにジェフリーの全身に痛みが襲い掛かった
疼く程度の痛みはより強く、遂には引き裂くような痛みとなり、視界は眩いばかりの赤に染まり――



ジェフリーは覚醒した。そこは冷たく暗い石畳の洞窟のような場所であった
石畳はぼろぼろで所々地面が剥き出しとなり、更にそこには水溜りが出来ている
壁面は石畳を構成する物質と同じ物で出来た装飾の残渣が散らばり
空間は壁に設置されたごく僅かな魔元素の照明でなんとか見える程度であった
尤も視界に関しては闇に適応出来るならいずれ慣れる程度のものだ

どこかへと繋がる通路から足音が聞こえてくる

267ジェフリー:2014/07/25(金) 23:15:55 ID:KbqED1eI
>>266
自分からリッキーの元を離れたというのに寂しさを感じる。

『んなわけねーよなー。大体アイツの翼見えねーし』
目の前にあるシルエットも、当然ながら翼のシルエットも知っている奴のものではなく……。
平穏と共に消えていった。

『うあ……っ!? 痛い! 何だよコレ痛いいたいイタ…やめ……!!!』
全身に襲い掛かる激痛にのた打ち回る。
特に、死んだ時の致命傷があの日のように強く激しく痛む。
『があああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!』

自分のすべてが崩れそうになる。
そして―赤に染まる世界―



『ぁ……』
気がつくと、崩れかけた石畳の上に倒れていた。
『……うぇ? ここどこ?』
リッキーとは違い闇に染まったわけではない為、どんな場所なのかよく見えない。
だが、足音の聞こえてきたほうへと視線を向ける。
『だ、誰かいんの?』

268【黒鉄の盾】:2014/07/26(土) 01:01:37 ID:osCioArI
>>267
暫く足音を聞いていると、やがて一つの女性のような人影が現れた
それが先程暗闇の中で出会った人物ではないという事は、どういう訳かリッキーには理解出来た

まず、背はジェフリーより僅かに低い。目は暗闇の中で赤く輝いており、肌は抜けるように白いが肌質はセラミックのように硬く見える
そして、その肌には幾つも暗い色の金属片やコードが埋め込まれており、金属片が組み合わさって出来た首や
胸部へと繋がっている。頭や腕、可動部など僅かな隙間を除けば全身がそのような金属の鎧で構成されており
服といえばマントを羽織っている程度。女性のような、というのも灰がかった長髪である事と顔の形がそう見えるというだけだ

「我が主の祝福を授かったようね
 と言っても……単なる寂しがりやにしか見えないけれど」

269【黒鉄の盾】:2014/07/26(土) 01:02:35 ID:osCioArI
訂正
×どういう訳かリッキーには理解出来た
○どういう訳かジェフリーには理解出来た

270ジェフリー:2014/07/30(水) 01:26:04 ID:KbqED1eI
>>268
『うぇ……? さっきのヤツじゃねー……?』
曖昧な視界に映った人影を観察する。

『なんか魔機みてーな……あんま見たことねーけど……。
 えーと、お姉さん、誰?』
実体なきままに起き上がり、というより浮き上がり、女性に尋ねる。

271【黒鉄の盾】:2014/07/31(木) 00:26:33 ID:osCioArI
>>270
「そんな事を聞いてどうするのかしら?」

……暫くの間、沈黙したままその赤い瞳をジェフリーに向けていた

「……私はカナリーベル。偉大なるゴーダに仕えし者
 いずれにせよ、新米の入信者に説法を聞かせる仕事は私の役割ではない
 ついて来なさい。あなたの捜し求めている物が見つかるかもしれないわよ」

彼女はそう言うと来た道を戻り始めた。そこは狭くて暗い道だったが、横道の中に何かの気配が感じられる
彼女と同じように暗闇の中で赤く輝く瞳……そして小さな水の流れを飛び越え(通り抜け)る
しかしそれは水ではない。赤い血だ

272ジェフリー:2014/08/02(土) 00:02:45 ID:DhiiHjT.
>>271
『うぇ? 名前で呼ぶのはレディへの当然の礼儀だし……。
(って、自分から名乗んなきゃダメだよな……)
 あ、俺はジェフリー。皆からはジェフって呼ばれてる』

『カナリーベルさんかー。綺麗な名前っすね』
純粋なのか、はたまた単なるナンパ野郎なのか。
そんな感想を述べるジェフ。

『偉大なるゴーダ……。
 俺の探し求めてる物が?
 って、ちょま!』
慌ててカナリーベルの後を追うジェフ。
『なんか、誰か他にいる感じが……っと……。
 って、これ、まさか血!?』
暗闇にある気配や僅かに見えた色に怯えながらも進む。
―ここまで来たら引き返せない。
 何より、願いを叶えてくれる……そんな気がする。だから進む。

273【黒鉄の盾】:2014/08/02(土) 21:46:35 ID:osCioArI
>>272
「直ぐにそれが間違いである事に気付くでしょうね
 それは彼らが知恵の泉の水、或いはゴーダの血と呼んでいるものよ
 尤もあなたがそれを他の誰かに話せるかどうかは、あなた自身の行動に由るでしょうけど」

ジェフリーの軟派な言葉も意に介さず彼女は進んでいく
古ぼけた、変わり映えのしない道。いくつかの分岐を進んでいくと、やがて小さな広間へと出た
そこは通路よりも幾らか明るく、何人かのローブ姿の人影――つい先程までジェフリーが戦った者と同じ姿だ――が
瞑想を行ったり、書物を読みふけったり、杖に細工を施したり、小さなネズミに餌をやって過ごしたりしていた
彼らのうち一人がジェフリー達を見つけると、彼は大変驚いた様子で近づいてくる

「これはこれはお嬢様、何故このような場所に?それにこの者は一体?」
「我らが神の祝福を受けた、新しい信者よ。おそらくはね」
「祝福を!?おお……その話は本当なのですか?」
「私に聞くより彼に聞いたほうが早いのではないかしら。後はよろしく」

そう言うとカナリーベルは通ってきた道を戻っていった

「……ふうむ。我らが神の言葉を……か
 さて。我らが神に仕えようと志す者は、どのような生い立ちであれ歓迎しよう。
 だがお前について分からない事だらけだ。聞くが、何を聞いてここに来た?そして、何が目的なのだ?」

カナリーベルの口調は良く言えば気楽な、悪く言えばどうでもよさげな調子であったが
目の前の男は物言いこそ穏やかだが、ジェフリーを問いただそうとしているような威圧感がある
周囲の人影は程度の差こそあれジェフリーの事を気にしているが、とりわけ本を読んでいた小さな人影は興味があるようだ

274ジェフリー:2014/08/03(日) 23:13:09 ID:NAJw/gk.
>>273
「知恵の泉の水? ゴーダの血?
 んでもって、話せるかどーかは俺次第?
 ……なんかよくわかんねー……」
正直、混乱してきたが、ヘタに探るとマズそうだということはわかってきた。

そして広間に着く。
「さっきの奴らと同じローブ! ……って、当然か。
 え、ちょ、カナリーベルもう行っちゃうのかよ!?」
置いていかれたところで信徒の一人が穏やかに問いただしてきた。

「うぇ、えーと……。
 『恐怖に怯えなくて済む方法がある、その道を教えてやるから私の元へ来い』
 って言われて……」

何が目的……?

「……俺、一人でも自由に戦える力が欲しいんだ。
 ほら、俺、魔力もない幽霊だから……一人じゃ何にも出来ねーし……。
 それと、どうしても忘れてーことがあるんだ……」

「その願いを叶えてくれるんじゃねーかって思ってんだけど……」

275【黒鉄の盾】:2014/08/05(火) 20:49:20 ID:osCioArI
>>274
「闇の皇女様――カナリーベル――は我らの神との交信や、古の兵器の復活のためにお忙しいのだ
 我ら黒鉄の盾の偉大なる議長、グレイ様でさえその知識を認め対等の立場に立っておられるのだから」

闇の皇女様、という割には少々素っ気無いような素振りで

「おっと、話が逸れてしまったな。それで何を聞いたかは……ふむふむ……成るほど……うむ、うむ、そうか
 成る程、お前の望みと我らが神が語りかけたという言葉を照らし合わせれば、お前が何故ここに来たかが理解出来た

 お前は何かを忘れたいようだが、それはお前が一人で戦う力を求めている事とは少し違う
 力が欲しいだけなら練武場にでも行くか、或いは先人の遺した魔術の教科書を指でなぞれば済む事だからな
 忘れたい――それは恐れから来る感情だ。そして恐れは何か理解できない事、不可解な事に対して沸く感情だ
 だが、お前は忘れたいと思うと同時に力を求めている。それは暗に、その恐怖を克服したいのではないか?
 そしてその恐怖を克服するには、理解できない事、不可解な事を理解し、己の物とする事が必要だ
 そしてそれには膨大な知識が必要だ。魔術書を読むだけでは到達する事の出来ない、より高みにある知識が――
 我らが神は、その知識と力を授けてくださるのだ
 我々に協力し、我らの神と授かった知識を口外せぬと約束するならば、我らにはお前を助ける用意がある

 ……何か聞きたい事はあるかね?可能な範囲で答えよう」

そこまで言うとローブの男は口をつぐんだ。ジェフリーの言葉を待っているようだ
すると先程興味ありげにこちらを見ていた小さな人影が意味深そうに顔を上げた。まだ子供と言っても良いような女の子だ

「何かを忘れたいなら簡単な方法があるわよ。私の降霊術であなたを魂を捻り潰して、私の心無きしもべにするの
 あなたみたいな丸裸の幽霊ならきっと簡単よ?」

276ジェフリー:2014/08/06(水) 23:52:34 ID:NAJw/gk.
>>275
『うぇ!? カナリーベルって皇女様かよ!?
 ぜんっぜんわからんかった……うわー俺とんでもねー人呼び捨てにしてたー!』
表情が驚愕一色に染まるジェフであった。


そして、望みを口にし、返答に耳を傾ける。
『恐れ……んで、それを克服したい……』

『そうだよ。
 俺、なんでか未だにわかんねーけど……親に殺されたんだ。
 多分、父ちゃんも母ちゃんも誰かに騙されてたんだと思うけどさ。
 でも俺、兄ちゃんみたいに賢くなかったし……。
 それで、俺いらない子って思われたのかな、とか考えてたっけ……。
 今だって、俺一人じゃ何もできねーけど……』

『……わかんねーことを理解して自分の物に……そのための知識をくれる……』
自分の過去をこぼしつつ、男の言葉を時々繰り返す。
まるで、何ゆえそれを求めるのか、再確認するように。

と、横合いから少女の声が聞こえてきた。
『ちょ、待ーてーよそれは嫌だぜ! だって俺は俺のまま誰か……』

不意にはっとなった。
(そうだよ、俺、何で何度も現世に戻ってきてんだっけ……!)

『……んじゃ、質問』
男に向き直る。
『あんたら"黒鉄の盾"って、
 その神様に力とか知恵とか授けてもらう代わりにしてる特別なことってあんの?
 教会だとさー、神様が見守ってくれてることに感謝して祈って、
 んで、人のために尽くしなさいとか言うんだけど、
 教会の神様って直接なんか力くれてたりはしねーし……。
 やっぱその辺違うのかなーって。
 特別な供え物とかあったり?』

277【黒鉄の盾】:2014/08/07(木) 21:41:32 ID:hoCq2US2
>>276
「かつての不死なる皇帝にその魂を今の器へと移され、つい最近まで眠っておられたのだ
 その身に今では失われし膨大な禁呪の知識を封じられて、な
 とはいえあのように飾らない性格の御方だ。無理に畏まる必要はないと思うが……話を戻そう」

「終わりの選択肢としては悪くないと思うわよ。そもそもあなたは何故、殺されてから未だに意識を繋ぎ止めているの?
 それはたとえ苦しいことがあったとしても、やりたい事があるからじゃないかしら」

少女はジェフリーがうろたえる様子を見たり、彼の身の上話を聞いたりすると僅かに微笑んだ

「さて、つまるところお前は力を授かる、或いは授かった後の見返りについて心配しているのだな?
 そうだな……敢えて言うとすれば『強くなる事』だな
 先程言った膨大な知識だが、あれは実のところ力を授かった直後に限って言えばそれほど多くはないのだ
 いや、それどころかグレイ様でさえ自身も未だ探求の途上にあると仰っている
 身の丈に合わない膨大な知識というのは、それだけで肉体や自我を変容させるに十分足りるからな
 お前に魔術を扱う素養があるとするならば魔力や霊力も同時に授かるだろうが、やはりそれだけでは足りない
 神に忠実であり、より強くあれ。それこそが我らが神の望むものだ。さすれば多くの祝福を授かるだろう
 お前が知っている神は祈ったところで手を差し伸べてくれる訳ではないだろうが、我らが神は必ず応えてくれる
 強くなるには幾つか方法があるが、いずれ話す時が来るだろう

 ……どうかね、決心がついたかな?」

278ジェフリー:2014/08/07(木) 23:08:58 ID:NAJw/gk.
>>277
男の話を頷きつつ聴く。
膨大な知識云々は義兄から聞いたことがある。

『強くなること、っすか……。
そんだけなら俺だって強くなりたい訳だし、代償でも何でもねーじゃん!』
男と少女には、無邪気なやる気を見せたように映ることだろう。

『俺は、俺以外の誰にも俺が味わったよーな経験させたくねー。
誰も生贄にさせねー……。
その為に力が欲しいんだ!!』
叫んだつもりはなかったが、広間に響くほど強い声になっていた。
そうだ……これが、俺がまだこの世界に居る理由。
そーいや……まだアイツのドッペルゲンガーだった頃も同じ理由で、
帝都を潰そうとした奴のこと裏切ったっけ……。

『……だからさ、もし俺が見たおっちゃんらと同じ格好した奴らがおっちゃんの仲間で、
んで、生贄のために村襲ったりしてんだったら……!』
拳を握りしめる。

『いや、わかってるんだけどさ……。
どー考えてもあいつらと仲間だって。
その誘いに乗っちまったのは俺だって。
んでも、やっぱり……!』
ヘイゼルの瞳が鋭く輝く。
『だから……悪ぃけど俺はこっから出てくぜ!!!』
決心を告げると同時に、拳を握りしめたまま来た道へと駆け出した!

279【黒鉄の盾】:2014/08/07(木) 23:52:09 ID:hoCq2US2
>>278
「お前は私が思っていたよりも愚かだったようだな
 マチルダ、やれ」

男の言葉を聞くが早いが、マチルダ――先程からジェフリーに話しかけていた少女――が
両手を掲げると、通路を戻って直ぐのジェフリーの眼前にローブを纏った幽霊が立ちふさがる
その手には生ける者と死せる者を両断する輝く剣を持ち、それを横薙ぎにジェフリー目掛けて振りぬく

更に部屋で同じく待機していた魔術師達が立ち上がり、殺気立ってジェフリーの元へと向かう

280ジェフリー:2014/08/08(金) 23:00:49 ID:hEa6MR7s
>>279
『るっせぇ! 俺は確かにバカだし迷ったりもすっけど
 譲れねーもんがあんだよ!』
立ち塞がった幽霊の剣を上へ飛び上がり天井に張り付くようにしてかわす。
幽霊のままだからこそ出来る芸当だ。
(つっても、俺一人じゃこの場の全員ぶっ飛ばすのは無理!
 思いっきり謝んねーとダメだろーけど……!)
左手首に触れる。が―

『デュアライザーがねえ!?』

ここに来るまではあったはずの絆の証<デュアライザー>がない。
それを通じてリッキーと連絡を取り、彼の元へ召喚<コール>してもらい脱出する算段だったのに……。

(まさか、リッキーに愛想尽かされたとかねーよな……!?
 確かに俺ワガママばっか言ったし今もワガママの果てにこんなとこにいるわけだし……)
―見捨てられた?
 そんなことあるはずもないと信じながらもそんな想いが強くなる……。

『っくそ! 相手が幽霊なら俺一人でも!』
天井を蹴るイメージで動き出し、敵幽霊の正面上方から顔を狙い拳を突き出す。
揺らぐ心のまま放った拳はあまりに雑であり、大きな隙を作っていた。

281【黒鉄の盾】:2014/08/09(土) 00:37:34 ID:fOwRFarI
>>280
天上近くまで上がったジェフリーは輝く剣による攻撃を避ける事が出来たが
幽霊は攻撃を予見して自身の存在を希薄にし、ジェフリーの攻撃を素通りさせた
そしてジェフリーと幽霊との位置関係は反転し、カナリーベルと共に通った曲がりくねる道へと進む事を可能にした

幽霊は少し時間をかけて自身の存在を元に戻すと、再び輝く剣をジェフリー目掛けて横に薙いだ

282ジェフリー:2014/08/09(土) 22:46:46 ID:hEa6MR7s
>>281
『うぇ!? んなのありかよ!?』
幽霊をすり抜け、その背後の床が迫る。
なんとか宙返りし着地、そして前方の景色を見て気付いた。
『って、突破成功じゃねーか!? っしゃ!
 つーわけであーばよ!!』
通ってきた道をいつもより速く飛びながら進む。
輝く剣の切っ先はわずかに届かなかった。

 このとき、ジェフは忘れていた、あるいは思い出す余裕はなかった。
 道中にカナリーベルのような赤い目達が並んでいたことを……。

『(とにかくリッキーんとこまで戻んねーと!
 怒ってるよなー絶対……帰ってこなくても良かったとか言われたりしないよな……?)』

283【黒鉄の盾】:2014/08/09(土) 23:42:02 ID:fOwRFarI
>>282
一度通っただけの道、背後から迫る追っ手。ジェフリーにとってはまさしく八方ふさがりであった

確かに赤い目の存在は居るが、凝視するばかりでジェフリーに襲い掛かっては来ない
或いは、手を出せないのだろうか?だが、不気味な息遣いのような物は聞こえる

『諦めなさい。それが貴方にとって賢明なのだから』

どこからか声が聞こえる。それは間違いなくカナリーベルの声で、2本ある分岐のうち一つから聞こえて来るようだ
もう一方の道もあるにはあるが、そこは下り坂でしかも血の流れの気配を感じる
来た道を戻ろうにも、そこには多くの崇拝者や先程の幽霊が居るだろう

284ジェフリー:2014/08/10(日) 22:46:22 ID:hEa6MR7s
>>283
『やっべ! そーいやここなんか居……
 たけど……動かねーの?
 って止まってる場合じゃねー!! 道あってんのここ!?』
不安と恐怖が沸き起こりながらも、とにかく進む。
不意にカナリーベルの声が聞こえ、思わず足を止める。
『あ、諦めろって言われてもよー……!』

目の前には分岐点。
『ちょ、ちょ待てよ……。
 どっちから来たっけ……つーかこんなとこあったっけ……』
実体などないにも関わらず膝が震える。
背後からは迫る追っ手。
前方には声が聞こえてきた道と―何かが流れている気配のする道。

『……そーいや、途中に確か血みてーなもんが流れてたよーな……。
 てーことはこっちだ!』
下り坂のほうへと全速力で進む。

285【黒鉄の盾】:2014/08/12(火) 20:24:02 ID:fOwRFarI
>>284
僅かな魔元素の照明を頼りに道を進んでいくと、ジェフリーは開けた場所に出た
赤い地下水が溜まった洞窟のような場所で、先程の暗い通路よりも明るく視界には困らない
ごつごつとした岩がちらほら見えるものの、その向こうにもまだ洞窟が続いているようだ
周囲にはすっかり枯れてしまった低木が幾つかあり、かつてはこの地で植物が育っていた事が示唆出来る

――と、その時ジェフリーが通ってきた道が横方向に凄まじい勢いで潰れ、道が無くなってしまった

「こんにちは、自殺願望の正義漢さん」

岩陰から出てきたのは先程ジェフリーに話しかけてきた少女マチルダだ
禍々しい気を纏った杖を携え、ジェフリーと相対する

「あなたは自らの誇りと思い上がりでもって私たちの助けを拒んだわね
 あなたは死ぬ事が怖くないのかしら?そしてそれ以上に、自分が辿る事になる運命について
 ――まさかとは思うけど、このまま無事に助けてくれるなんて思っていないでしょうね
 そして何より、あなたが望んでいる事は一時のけちなプライドで簡単に捨てられるものなの?」

286ジェフリー:2014/08/13(水) 22:52:38 ID:tNM.Gn2w
>>285
『お、開けた……って、ここどこー!?
 んでも、なんか木が生えてたらしいってことは……出口は近いんじゃね!?』
進もうとした矢先―
『うぇ!? み、道が……』
振り返った先で壁が新たに現れる。
『まさか……俺、ひっかかった……』
その疑念は的中した。目の前にはあの少女―。

『……えーっとマチルダだっけ?
 ただで見逃してくれるとか思っちゃーいねーけど……』
 んでもって3回も4回も死ぬのは怖えけど……』
『それでも、俺が現世<ここ>にいんのは! 知らねー誰かが苦しむのを観たくなかったからだ!
 俺が一人で戦える力が欲しいのも! 全部そのためだ!
 マチルダが俺の心も消し去るとか言い出さなきゃ忘れてたけど!』
ないのはわかっていても、デュアライザーのあった左手首に触れる。
それは戦う意思からなのか、寂しさ故か、自分にもはっきりとはわからない。

ただ、敵わないのはわかっていても

『それを思いあがりとかけちなブライドとか言うんじゃねー!!!』
男には戦うべき時がある!
自慢の左拳を構えながら、マチルダ目掛け駆け出した!

287【黒鉄の盾】:2014/08/14(木) 20:48:42 ID:fOwRFarI
>>286
「あなたみたいな人に誰かを守る力があれば、そういう世界が来るかもしれないわね
 私だって……!」

ジェフリーの戦う目的を聞くとマチルダの余裕そうな表情が消え、強い怒りの篭った目で彼を睨みつける

「自分一人も守れない癖に、歯の浮くような事言うな!!
 あなたが背を向け、私が手に入れた偉大なる力を見せてやる!」

突撃してくるジェフリーに対して持っている杖を振りぬくと、ジェフリーを中心とした周囲5m程にに青白い火柱が立ち上る
それはつい先程相対した術士の霊弾と本質的には同じだが、その威力は霊弾に比べて遥かに強力である
肉体を焼き尽くすような凄まじい痛みが降りかかるが、これで死ぬ事は無い。まるで拷問のようだ

288ジェフリー:2014/08/14(木) 22:41:36 ID:tNM.Gn2w
>>287
『マチルダ……?』
豹変した表情に、突如顕在化した怒りに一瞬戸惑う。
その瞬間、青い火柱が――!
『がああああああ!!!』
これまで、何度か"死んだ時"ですら味わったことのないその痛みにもがく。
『ああああああああああ!!!!!』
前後左右もわからなくなるほど、激しく踊り狂うかのように転がりあるいはばたつく。
『うああああああああああああ!!!!!!!』

そんな中でも、たった一つ握り締めたままの左拳―。
その周囲の炎だけが一瞬真紅に染まり―また青白く戻り拳を灼き続ける。

 一瞬だけ、青白い炎の属性が典型的な炎の力へと書き換えられ生じた現象だった。
 術者であるマチルダもそれを感じ取れるだろう。

289【黒鉄の盾】:2014/08/14(木) 23:25:18 ID:fOwRFarI
>>288
「もがけ!苦しめ!あなたが死ぬ事は許さない!
 そうよ、あなたみたいな奴が私を我が主に仕える道へと進ませた!だから私はこの力を、手に入れた力を――!
 闇よ、亡者の魂を我が久遠の下僕へと縛らんことを!」

一瞬だけ自身の術式が書き換えられた事に違和感を感じるが、どうという事も無く炎を燃やし続け
続けて詠唱すると炎がどんどん小さく丸くなり――ジェフリーの身体に吸い込まれた
ジェフリーの魂に青く輝く炎の力が取り込まれ、逃げ始めた時に現れた亡者のような輝く剣の創造を可能とする
だがそれは忌まわしき呪いであり、ジェフリーを拘束し、痛めつける事を今までよりもずっと容易くするだろう

「あなたの事を心無い下僕にすると言ったわね。でもそれは止めたのよ
 あなたはその愚かな心をずっと抱えたまま私に仕え続ける――私が死ぬ時までね
 その間せいぜい悔い改めなさい。尤も改めないなら、またあの炎の痛みを味わってもらうけど
 それじゃまず命令――私に逆らうな。私の前から逃げるな」

290ジェフリー:2014/08/15(金) 00:03:57 ID:tNM.Gn2w
>>289
『があああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!』
燃え続ける炎の中のた打ち回る。
 さらに二度だけ、握り締められたままの拳に触れた炎が書き換わる。
 一度目は一瞬氷の欠片となり溶け、
 二度目は一瞬の風に変わり止んだ。
 属性を書き換える。それがジェフリーの持つ"力"なのか……?

かつて母親に刺された傷跡がこれまでの何より強く痛んだ時―
その時の情景が、最も忘れたい記憶がフラッシュバックした。
『い、嫌だああああああ!!!!!! ぁ…………』

そして抵抗の拳は力なく開かれ――炎は魂を取り込んだ。
 だが何故だろう。マチルダには思えた。
 その呪いがマチルダ達の闇よりも深い闇に一瞬触れたと。
 ジェフの魂全てには触れられなかった……と。
 もっとも、気のせいにしか感じないほどに弱い感覚ではあるが……。

『…………わかった。いや、
 わかりました、マチルダ様……』
抵抗の意思はもうない。あの炎に灼かれるのはもう嫌だ……。
自然と主たるマチルダに膝を折る。

291【黒鉄の盾】:2014/08/15(金) 21:46:17 ID:PWDrfzFk
>>290
「……!
 ふん、小賢しい。いずれにせよあなたの抵抗は無意味だったようね
 カッコつけの甘ったれめ、よくも私の前であんな事を言えたわね」

ジェフリーの未知なる力、そして触れた闇に少し驚くが
支配に成功した事にとりあえず安堵し、膝を折るジェフリーを嘲るように見下ろす

「あら、随分と素直になったじゃない
 まず第一に、下僕の分際で軽々しく名前を呼ばない事ね。ご主人様と呼びなさい
 私達の中にあなたみたいなスパイがいつどこに居てもおかしくはないのよ
 それと先に言っておくけど、私の命令は私の意志無しにあなたを縛り付けるから
 私が寝ている間に逃げ出したり、襲い掛かったりしても無駄よ
 どうしてもあなたがろくでなしの役立たずなら闇の皇女様にあなたを引き渡すからね
 あの御方は私のように慈悲深くはないし、いつだって自分の研究の為に新たな魂を欲している
 あなたがここの闇の中に潜む赤い目の一部になりたくなかったら、頑張って仕えるべき主の為に尽くす事ね
 ……さあ、戻るわよ」

塞がった道の前まで歩き、杖を一振りすると壁が動き出して元のような道に戻る
そうしてジェフリーには目もくれず通路を戻り始めた

292ジェフリー:2014/08/15(金) 22:56:11 ID:tNM.Gn2w
>>291
変換の力はとにかく、終わりなきほど深い闇は
支配下に置いた幽霊のものではない。―マチルダはそうも感じた。

『はい、ご主人様……』
あれほど豊かだった表情を消し、マチルダに従った。

(あいつらは……犠牲者の成れの果て……。
 くそっ……俺、甘ったれでなんもできねーかっこつけしいかよ……!)
その内心で悔し涙を流しつつ、

しかし、

(……んでも、これで俺には……ひとりで戦う力が……)
支配されると同時に与えられた輝く剣。
その力を魂に感じた時、感謝さえ覚えたのだ。
望んでいたものの一つを手にしたのだから……
 たったひとつ守り続けてきた誇りを犠牲にして、だが―

矛盾を抱えながらだが、
引き返せない道を歩き出した事、迷わないようにしよう……。


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