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正義の女戦士クリスタルローズ 8

3舞方雅人 ◆8Yv6k4sIFg:2007/05/13(日) 22:39:39
 私は校門のところで私を待っていた存在に気が付いた。
 セーラー服に身を包み学生鞄を手にした姿はそこらの女子学生となんら変わるところは無い。
 だが、私はそのこげ茶色の髪を風にもてあそばせている少女の中に私以上かもしれない闇が存在することを知っている。
「私を待っていたのかしら?」
 所在無げにしていた少女に私は声を掛ける。
「あ、お疲れ様です・・・君嶋先生」
 主人を見つけた子犬のような明るい表情を浮かべる片場聡美。周囲を気にして私の人間としての名を呼んでくる。
「調べはついたのかしら?」
「はい、滞りなく」
 聡美はこくりとうなずく。
「そう、行くところがあるので歩きながら聞くことにするわ」
 私は聡美を従えて歩き出す。
「それで? どうだったのかしら?」
「はい・・・その・・・やはり・・・」
 言いづらそうに言葉を濁す聡美。その様子は何となく嗜虐心をそそる気がする。
「そう・・・片場玲子はやはりクリスタルストロベリーだったということね?」
「はい・・・この倉口市には穂村玲子という名前で年齢がほぼ一致する人間は私の母のみでした」
 うつむきつぶやくように聡美は言う。
 自分の母がそんな存在だったことが許せないようだ。
「そう・・・篠田沙耶香についてはどう?」
「はい、篠田沙耶香は病院にいます」
「病院?」
 私は思わず聡美の方を向く。
「はい、倉口市立病院に入院中です。最後の戦い以来意識を失ったままとかで・・・」
「最後の戦い以来? まさか・・・もう何年にもなるのよ」
 気の遠くなる話だわ。
「ずっと植物人間の状態のようです。費用は・・・」
「費用は?」
「私の母と、三崎聖夜が負担していたようです」
「そう・・・」
 聡美のハッカーとしての腕前はたいしたものだ。心を闇に染めたことで良心の呵責などによって手心を加えることがなくなり、そのもてる能力を存分に発揮しているのだろう。
 それにしても、これで当面の敵はクリスタルレモンとまだ正義の心を持つクリスタルプラムだけとなったわけだ。
 クリスタルプラムを迎え入れた暁には龍脈確保に動いてもいいかもしれない。
「ご苦労様聡美。よく調べたわね」
「いえ、これぐらい当然のことです。ブラックローズ様」
 歩いている私たちに注意を払っているものはいない。そのため聡美も私をそう呼んだのだろう。
「先にマンションへ帰っていなさい。私は行くところがあるから」
 駅が近付いてきたので私はそう言って別れようとした。だが、聡美は首を振る。
「ご一緒させてはいただけませんか? 私で何かお役に立てれば・・・」
「部屋に居なさい。あなたにやってもらうことは無いわ」
 私は不服そうな聡美を残し、タクシーに乗り込んだ。


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