したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

緊急投下用スレ

998謎のミーディアム:2009/07/12(日) 05:04:33 ID:49MvjLLs
>>997
拘るに決まってる。好きな女の子のことなら、なおさらじゃないか。
もはや開き直って、僕は君の痩身を掻き抱いた。
 
「大好きだ。柿…………めぐ」
 
人の習慣は、そうそう変えられるものじゃないらしい。
慌てて言い直したことで、却って、君の失笑を買ってしまった。
 
「まったく。そんな調子で、大丈夫なのかしら」
「あ、当ったり前だろ。いまのは練習だからノーカンな」
「ずるいのね」
「キニシナイったら、キニシナイ」
 
歌うように茶化して、仕切り直し。
僕は、抱きしめたままだった君の耳元に、そっと囁いた。
 
「大好きだ、めぐ」
「……私も。大好きよ、ジュン」
 
どうして、君は一度目でさらっと言えてしまったのかな。女の子だから?
それとも……独りきりのときは、僕を名前で呼んでくれていたのかな――なんて。
いまでもね、ちょっと自惚れては、独りでニヤついているんだよ。
 
 
   ▼   ▲   
 
あれから、ずいぶんと月日が流れたよ、めぐ。
君と僕が、とんでもなく遠く隔てられてから、もう7年が経ってしまったんだ。
17歳だった僕は24歳になって、駆け出しの社会人さ。
 
1年に一度、この七夕の夜に、僕はここを訪れる。
めぐが入院していた、有栖川大学病院の屋上に、天体望遠鏡を担ぎながら。
 
 
「よく続くものねぇ。ホぉント、呆れるわ」
 
僕の傍らで、腕組みしながら吐息するのは、めぐの一番の親友だった女の子。
いまでは立派な看護士になって、有栖川大学病院に勤務する水銀燈だ。
僕が、毎年こうしてここに来られるのも、彼女の協力あってのこと。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板