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【初めての】練習場【バトロワ】
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英雄の決断 9/10
:2007/08/30(木) 14:43:35
窓の外に人影が見えた。濁った臭気と殺気を漂わせつつ、散漫な動きで周囲を探っている様子が伺える。ゾンビ
に代表される、屍鬼の類の悪魔だろう。ヒーローは軽く舌打ちした。知能が低く邪悪なため仲魔にしづらいうえ、
戦力としても合体材料としてもあまり魅力的な種族ではない。
「面倒だな、どうする?」
ヒーローは伽耶に話しかける。やりすごすか、倒すか。どちらにせよ大した敵ではない、と思っていた。しかし
伽耶は真剣な表情を少しも緩めず、窓の外を凝視したまま動かない。
「どうもこうもない、隙を見て逃げるぞ」
「…え?」
「分からないのか、あれはゾンビなんて甘いものじゃない」
言われて初めて、ヒーローは自分の考え違いに気付く。周囲に悪魔の気配がないことはさきほど何度も確かめた。
ゾンビの習性から考えて、縄張りから離れて単独でふらふら歩いてくることは考えにくい。とするならば。
「…くそッ、またネクロマの術か」
ヒーローは毒づいた。屍体をゾンビとして操る呪術、ネクロマ。それにより蘇った屍体と、既に一度やりあって
いる。あのときは逃げることしかできなかった。今も、戦力的にはあのときと大差はない。
(…どうする…?)
考えた。圧倒的に不利であったとしても、やり方ひとつで逆転できるということは、ヒーローが今まで経験して
きた戦闘から明らかなのだ。現にこの街に来てからも、諦めずに考え抜くことで、何度も危機を免れてきたのだ。
考えた。手持ちの武器。仲魔のメンツ。自分たちの体調。部屋の構造。部屋の中にある物。この状況を打破する
ために、どうするのが最善か。疲れの抜け切らぬ寝起きの頭を、強引にフル回転させて、考えた。
考えをまとめる時間は、なかった。窓の外の人影がこちらを向いた。部屋の中にいる新鮮な肉に気が付いたのだ。
力の加減ができなくなったような激しい動きで、手に持った何かを振り上げ、投げつける。窓が割れた。がちゃん、
と機械特有の音を立て、四角い物体が床で跳ねた。
(…電動ドリル?)
窓を破り侵入してきた物体を、ヒーローはつい反射的に眼で追ってしまう。
「余所見するな、来るぞッ!」
伽耶が叫ぶ。慌ててヒーローは正面を向いて、GUMPをホルスターから引き抜いた。
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