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【初めての】練習場【バトロワ】
49
:
英雄の決断 8/10
:2007/08/30(木) 14:43:01
ピピッ… ピピッ… ピピッ…
どこからか聞こえる電子音が、ヒーローを眠りの闇から引きずり出した。ほんの数秒だけ眼を閉じたような記憶
しかなかったが、時計を見るともう11時を過ぎている。1時間ほど寝たということか。
毛布で汗を拭った。それほど暑くはないのに、ずいぶんびっしょり寝汗をかいている。覚えていないが、なにか
イヤな夢でも見たのかもしれない。ありえなくはなかった。小細工が好きな魔王サマのことだ、安眠を妨げる夢魔
たちを街中にばら撒いていたっておかしくはない。
「やれやれ、閣下ともあろうお方が、ずいぶんセコい真似をなさるもんだね」
つぶやいた。今度の皮肉は、かなり笑える。仮定の話から決め付けての人格攻撃は少し卑怯かな、と思ったが、
別に気にしないことにした。罪もない人々を、いや、罪があろうがなかろうが、こんな風にかき集めて閉じ込めて
殺し合いを強制すること以上に卑怯なことなどありはしない。誹謗中傷のひとつやふたつぐらいで文句を言われる
筋合いなどないだろう。ヒーローは笑いを押し殺しながら、外しておいた武器を装着した。
身支度を整えて、仮眠室を出て階段を下りた。ドアの開く音を聞きつけて顔を上げた伽耶に、ヒーローは挨拶の
代わりに片手を挙げた。
「眠れたか?」
椅子に腰掛けた伽耶が、手元に視線を戻しながら言った。カッターナイフで鉛筆の表面を削る作業をしている。
精巧な文様が刻まれた鉛筆が、机の上に何本か転がっていた。この1時間、ずっとこの作業をしていたのだろう。
「それなりにね。けっこう休めたよ、ま、さすが万全とはいえないけど」
「夜まで寝ててもらったって構わないぞ、私は」
「はは、そうは行かないよ… ところで、それ、なに?」
鉛筆を指差して尋ねたヒーローを、伽耶は意味ありげな微笑を浮かべて無視した。
「それより、何か鳴ってるぞ。GUMPじゃないのか?」
「え? あぁ、そうか、そういやなんか鳴ってた」
「…おいおい、寝惚けてるのか? しっかりしてくれ」
伽耶が呆れたように言う。ヒーローは苦笑してGUMPを開いた。こんな大きな音を聞き逃すなんて、寝惚けている
と思われても仕方ない。
「…HYAKUTAROH?」
画面に点滅している文字を読んだ。ひゃくたろう、だろうか。そういえば、インストールソフトの中にそういう
名前のものがあったことを思い出す。確か、機能は…
「…伽耶」
「分かってる、かなり近いな」
伽耶はいつの間にかデスクの上の荷物を片付け、鉄パイプとスタンガンを手に視線を窓の外へ向けている。数秒
遅れて、ヒーローも窓の外に蠢く害意を感じ取る。荷物を背負い、鉄パイプを構え、GUMPのグリップを握った。
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