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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

250 煌月の鎮魂歌10 41/43 :2017/08/12(土) 23:08:28


「ユリウス」
 背後から近づいてきたアルカードに、ユリウスは意識を引き戻された。
 視界の端で金色の結界の光が消え、腕にイリーナを抱えた崇光が姿を現した。イリーナ
はぐったりとして意識がない。あまりの心理的負担が限界を超えたのか、それとも、これ
から起こることを少女には見せたくなかった崇光が眠らせたのかはわからない。
 ユリウスはちらりとアルカードを振り返り、また視線を落とした。戦いの高揚は消え失
せ、重い倦怠と悲哀が全身に覆いかぶさっていた。
 高揚も俺のものではない、とユリウスは苦く思った。この戦いに喜びはなく、ユリウス
の使い手としての初陣は、血を分けた兄弟を敵手とするものだった。鞭は自らの闇の鏡像
を打ち破ったが、ユリウスがいま眼前にしているのは、一度もわかり合う機会がなく、い
までは永遠にその可能性も失われようとしている、幼い異腹の弟だった。
「……アルカード?」
 ラファエルがぼんやりと目を開いた。瞳は白く濁り、もはや何も見えてはいないようだ
った。だらりと投げ出された手はまだなにかを握りしめるように曲げられている。ラファ
エルは頭を動かし、手探りするように指をひくつかせた。
「アルカード。どこにいるの」呟いて、ラファエルは左右にわずかに首を動かした。
「よく見えないや。僕、どうしたの? なにがあったの? せっかく動けるようになった
のに、どうしてだか、あなたが見えないや──」
 横たわる上半身に傷はなかったが、闇の力に浸された下半身は、ベスティア女侯爵が消
滅するのと同時に、黒い液体になって流れ去っていた。あとには萎えて骨と皮にしぼんだ
下肢が遺された。
 あおむいたラファエルの顔に、苦痛はなかった。少年は幼げな顔で、見えない目をふし
ぎそうに瞬き、しきりにあたりを見回してアルカードを探した。


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