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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】
182
:
煌月の鎮魂歌9 19/22
:2016/06/18(土) 06:22:46
どれほど酷い行為かを知りつつ、それをせねばならなかった自分、にもかかわらずまだ
生きて地上にいなければならない自分、人でも魔でもない黄昏の者として永遠に、死ぬ
ことも忘れることも許されず生き続けなければならない自分、いずれは三度目の父殺しを
行わねばならない自分、そういった自分自身すべてに対して、無力な拒否をつきつけてい
たのだ。
そしてそれが無力であり、意味などないことも彼は知っている。文字通り、骨の髄まで。
遠い記憶のあの男の血を継ぐ人間たちとともに、魔王と化した父と戦い、最終封印を
施して完全に滅すること、ただそれだけが現在の彼の使命であり、生き甲斐であり、
存在価値なのだ。
ベルモンドの至宝とたたえられ、どれほど多くの者から慕われ愛されようと、本当の
意味でアルカードが満たされることはけっしてないだろう。彼の愛は遠い昔にあるベルモ
ンドの男とともに埋葬されたのであり、その男の血と誓いとを守るために、三度目の封印、
光と闇の最終戦争に立ち向かおうとしている彼は、実質、あの頃の彼の抜け殻でしかない。
どれほど強くまたやさしく、果敢に闇に立ちふさがろうと、彼の心は数百年を閲してまだ
生々しい──忘れることができないからこそいっそう生々しく、いつまでも血を流し続け
る、あの夜に縛られつづけている。
それでも彼は立つのだ、他の誰のためでもなく、ただ、あの男との約束のために。遠い
過去に置き去りにした恋人、心と身体、魂のすべてをかけて愛した、ただ一人のベルモン
ドのために。
手の中の指輪が灼けつく。いや、これこそが心臓だ。あのなめらかな胸の中から取り出
されて、血を流しながら脈打っている。
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