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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】
157
:
煌月の鎮魂歌8 23/29
:2016/01/16(土) 18:46:57
「嫌だ」
見開いたままの瞳からつっと涙がこぼれた。赤い涙、血の涙だった。
ユリウスはそれを、たった今自分が口に垂らし入れた血そのものと感じた。ユリウスの
血を体内にとどめておくことが耐えられないとでもいうように、涙は白い頬を伝って
地面に滴った。
「嫌だ」
もう一度呟くと、アルカードは力なく目を閉じ、かたわらの崇光の腕にぐったりと寄り
かかった。
「ど、どうしたの、アルカード」
予想外の反応に、イリーナが泣きやんでおろおろとスカートを揉み絞っている。
「あたし、あたし何か悪いことしたの、何かいけないこと──」
「いえ、大丈夫ですよ、イリーナ。あなたは悪くない」
ため息まじりに崇光は言い、意識のないアルカードの目尻をぬぐって赤い涙を拭くと、
唇を開かせて、その上に指を持っていった。
親指と人差し指を絞るようにあわせると、その間から一滴の血が絞り出され、アルカー
ドの唇に消えた。アルカードは苦しげに眉根をよせて頭を振ったが、やがて、小さく喉を
鳴らして血を飲み込んだ。
「これでしばらくは大丈夫でしょう」
アルカードを人形のように抱え上げて崇光は立ち上がった。
「本家に式を飛ばしました。まもなく迎えが来るはずです。戻ったらすぐに、本格的な
処置をしなければ。あなたもですよ、ユリウス」
見返った目にはどんな表情も読みとれなかった。
「その手はかなりひどい。瘴気の毒がまだ残っているかもしれません。浄化と治癒の処置
を、できるだけ早く。僕たちは、あなたまでも失うわけにはいかないのですから」
「──あいつは誰だ」
まだ呆然としたまま、ユリウスは呟いた。
真紅の血の糸がアルカードと彼をつないだ瞬間、心にひらめいた映像があった。
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