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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】

147煌月の鎮魂歌8 13/29:2016/01/16(土) 18:39:58
 本体は腐った沼の緑色をしたカメレオンと、ヤモリのあいのこのような生き物だった。
ぬめぬめした粘液を垂らす皮膚と堅い緑色の鱗がでたらめに入り交じり、見ていると目
が回るような極彩色の巨大な目玉が左右別々にきょろきょろと動く。吸盤のある脚は
全部で六本あり、先細りの長い尾は先のほうになって黒光りする甲殻に代わり、鋭く
曲がった毒針がついていた。不吉なタールのような液体が、すでに滴を作っている。
弓なりになったとげだらけの背中には、あの毒蛾どものものをそのまま人間代に拡大
したかのような、蛾の翅が一対突っ立っている。いまわしい髑髏の模様が青い妖光を
放って、せせら笑いを浮かべていた。
 だがさらにおぞましいのは、その舌だった。いや舌、と呼ぶべきなのだろうか。
カメレオンの長い舌の先端は、中ほどで立ち上がって、肉感的な半裸の女の姿になって
いた。女は睫をそよがせ、指をのばしてユリウスにむかってちょっちょっと舌を鳴らして
みせた。これまで感じたこともないほど強烈な嫌悪に襲われて、ユリウスは顔を
そむけた。どんなに唾棄すべき最低の娼婦でも、ここまでユリウスの吐き気を催させた
者はなかった。
 女は美しかったが、それは地獄の美だった。汚らわしい快楽と魂をもてあそぶ堕地獄
のためのものだった。豊かにもりあがった白い乳房に海草のような濡れた黒い髪が
ぬめぬめとまとわりつき、秘密めいた下腹に、裸よりももっと扇情的な透ける黄金の
飾りを巻いているだけのほとんど裸体。そして豊かなふくらはぎから下は化け物
カメレオンの紫色がかったべとべとの肉にとけ込み、見えなくなっている。
『陛下のご復活は近い』
 女──の形をしたもの──は言って、唇をなめた。唇もまた濡れて、たった今血を
舐めたばかりのように毒々しく赤い。
『われらはその露払いとしておまえたちのような虫けらを排除する義務を負っているの。
闇の王国の臣民にして魔王の眷属として。でもそれ以前におまえたちは目障りだわ。人間
などというものはもともと家畜として地上を這い回る猿のくせに増えすぎた。おまえたち
は増長しすぎたのよ。誰かがそれを思い知らせるべきときだわ』


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