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【1999年】煌月の鎮魂歌【ユリウス×アルカード】
138
:
煌月の鎮魂歌8 4/29
:2016/01/16(土) 18:33:42
「ここからは歩きです。結界の外への道を開きました。僕たちが出たあとはすぐに閉じ
ます。急いで。一秒ごとに危険が倍加すると思ってください。早く」
彼らしくもない、せっぱ詰まった口調だった。イリーナがドアを開けてぴょんと飛び
出し、アルカードが流れるようにあとに従った。ドアを蹴飛ばしてやりたかったが、
ユリウスも渋々と二人に続いた。
三人が車を降り、道の先に集合すると、崇光はいま剥がした札をかかげ、手を離した。
札は見えない腕に奪い取られるように宙に舞い上がり、再びまた石碑の上に貼りついて、
瞬きのあいだ青い光を放って燃えた。石碑全体に青い稲妻が走り、またどこかで地響きが
低く腹をゆすった。
「ここからは敵地だ」
アルカードが静かに言った。静まりかえった闇の奥に、その声はどこまでも深く反響
していくようだった。
「いつどこから闇の者が襲ってくるかわからない。用意をしておけ、ユリウス。崇光が
先に立つ。そのあとにおまえ、そしてイリーナ、しんがりは、私だ」
3
確かに空気が違っていた。冷たく心地よかった夜風はなにか腥いものを秘め、薄気味
悪く肌をなでていく。
進むほどに、いよいよ闇は濃くなっていった。単なる夜ではない、月のない夜である
ことはわかっていたが、星さえ見えないとはどういうことだ。新月ならばあふだん月に
消されて見えないはずのもっと暗い星々もそらにきらめくはずだ、なのに、どこまでも
濃くねっとりとした糖蜜めいた暗黒が、周囲をどろりと取り巻いている。
足首を擦っていく芝草の葉がいやに冷たく、まるで死んだ女の指にそっとさすられて
いるようで、ユリウスは思わず顔をしかめた。
とたんに地面に顔を出していた石につまづき、悪態をついた。
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