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Awake

61Awake 4話(7/9):2013/09/20(金) 05:58:38
 ネイサンは、先ほどスケルトンとボーンヘッドを消失させた時に発現したカードの効果を思
い出した。
 埒外の獣に対抗する術は手持ちの聖水を用いて体躯の進行方向に常に攻撃しながら、自
分が持っている攻撃範囲の広い炎の鞭をケルベロスに叩き付け、振り返るアクションを取
ったと同時に接触を避けるため足場を使用し、その際にまた聖水をケルベロスの体躯の前
後に投げつけ足止めしながら後方に回り込む一連の作業をとることに決めた。
――だが、実際にやって見なければ判らない賭けだ。賭ける物は己自身の生命。
 
 彼は考察したと同時にケルベロスに対して実行しにかかった。ただ、考えていただけで
はもちろん失敗するもので、その作戦がある程度のパターンを持ってケルベロスを嵌める
事に成功したのは、攻撃の種類が体の色の変化によって異なると気づくまで何度か突撃し
て攻撃を喰らいながら見極めての事だったが、連続してダメージを与える事が出来るよう
になるとケルベロスの動きはみるみる鈍化し咆哮も力無い唸り声へと変わって行った。
 やがてケルベロスの体躯から炎が出現し始め、その姿が実体よりも陽炎に包まれる比率
が高くなった瞬間に――跡形も無く消えた。

「倒した……のか?」
 ネイサンは体をその場で四方に向けながら辺りを確認してもケルベロスの気配も、姿も見え
ないことを確信すると自分が開いた扉と対面側になっている扉に向かって走り出した。
 最初に予想した通り、その扉は駒を倒して解呪され開く仕組みになっており、扉に触れ
たとたん宝飾品や金貨、銀貨が散乱している部屋が現れた。
 さながら宝物庫と言ったところだろうか、部屋の宝玉台に鎮座している本当の宝は、ト
ルコの金細工のような精緻な模様の金鎖がワインのような深い赤みを持つ宝玉を銜えた首
飾りであった。


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