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Awake

21Awake 2話(7/16):2013/09/20(金) 05:11:51
 ネイサンは長い回顧と決意に気を取り直してから、目の前の冷えたコーヒーを一気飲みし、
――旨いが、ほろ苦い……だが、清濁合わせて生きる事はこの様な物なんだろう。
と眉間に皺を寄せ、飲み干したコーヒーカップの底を虚ろに見ながらそう思った。
すると、
――バルヴィーノ(ボールドウィン)さん!
――マウリッヅオ(モーリス)・バルヴィーノさんとその一行の方々はいらっしゃいますか!?
 カフェテラスにナポリ方言で叫ぶ甲高い少年の声が響いた。
三人は少年、いや見習い修士のいでたちをした、ヴァチカンからの使者の姿を確認し、
「ここだ!!」
 と片言の相手の方言で身振り手振りしながら大声で叫んだ。
 見習いはホッとした表情で、自分の胸の辺りに手を添えながらモーリスに柔らかな眼差しを
向けた。
「よかったぁ、言葉が通じない方々ならどうしようかと思いました。僕、イングランドの
人の言葉が話せないから……」 
「して、司祭は用意なさったのかな?」
 カフェテラスは、相変わらず満席で騒がしく大声で話さないと聴こえないほどだが、モー
リスは用心深く周りを見回すと、小声で本題を切り出した。
「はい、ですが、もっと大事な用があるとかで直接、教皇庁の司祭の書斎にお越し下さる
ように申し付かって参りました。外に馬車を待たせてありますので、お急ぎ下さい」
 通常、司祭は自室に外部の者をみだりに招いたりはしない。したがって、緊急事態だと
察した三人は言い様の無い不安を覚えて固唾を呑んだ。


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