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Awake
198
:
Awake 16話(11/11)
:2013/12/21(土) 06:40:07
「おかしな事を言う。俺が今この職を放棄したとして何が出来る?」
「お前はまだ若い。職人の徒弟としては年が行き過ぎているとしても、どこに出しても恥
ずかしく無いくらいの教養は与えたつもりだ。幸いスコットランドの殆どの大学は宗派に
関係なく門戸が開かれている、お前さえ望めば……視野を広げるために学問の世界に身を
投じても遅すぎる事はあるまい」
今度は自分が今まで考えた事すらなかった提案を出され、ヒューは少々面食らい自分の希
望とこれまでの経緯を踏まえた予測を絡め、意見を出した。
「止してくれ。もし、そうなったとしても今のままの俺では学資の無駄になるのは目に見
えている。身近な者からさえ学ぶ事を軽んじていた人間が、他人に混じって急に求道する
事など出来ようものか」
――嫌だ、まだあんたに教えてもらいたい事がいっぱいある。ネイサンからも学ばなければい
けない事がいっぱいある。教えを請う事は問題ない。だが、一緒に居るなら告解のような
俺への想いを答えにして導き出さないといけない。断るにしても熟考しなければ。それに、
もし承諾したとして受け入れられるのだろうか? 性愛も含めて。前よりは嫌悪を感じな
いのは事実だが、今は判らない。でも、状況が想いを決めるのは確実だろう。
「それに、折角伸ばした髪も切らないといけなくなる。ハイランドではともかく、大学へ
行くにはこれでは野蛮人の姿だからな」
変化を望んでいない事を訴え、自嘲するように髪に触れた。
「だけど俺の処置は親父、あんたが決めてくれ。またしても己の所在を人に委ねる愚かさ
は百も承知だ。それに、職業としての適性だけは、俺の希望だけで判断できる物ではない
と思うから」
「……解った。ただし、儂の決定に従う事を約束できるか?」
「ああ」
暗闇の中に浮かぶ月輪が風に流された黒い雲に覆われた。二人の会話は途切れ、奇跡と
恩寵を待った。
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