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Awake

131Awake 11話(6/8):2013/10/09(水) 23:11:32
 床に叩きつけられた痛みで座り込んだまま動けないヒューの体は、ドラキュラに一瞥されただけ
で両手の肉が瞬時に融けるように崩れ落ち止め処なく血が流れ出た。

「馬鹿な……痛みを全く感じない。ではこの空間は、この体は、俺の精神であっても貴様
の支配下にあるのか……畜生っ、止めろ、精神が崩壊したら魂のない器になってしまう」

「確かに人ではなくなるな、それもいかなる様態もこなせる肉体に構築できる。例えばそ
うだな……」
 ドラキュラは指を鳴らしヒューの肉体の崩壊を止め一気に肉体を再構築した。だが、服装は変わ
らないものの少し丸みを帯びた女そのものだった。
 彼は女体に戻りかけたサキュバスを思い出し全身に怖気が走ったが、ドラキュラは表情を崩さず
ヒューの視線の先へ瞬時に移動すると、己の目を彼の眼と合わせ眼球を見開いた。
 一瞬にして眼光を浴びた彼は咄嗟の事で対抗できず、防御の呪文を詠唱したものの防護
壁の構築が間に合わなかったため、精神の奥にまで呪文を具現化した黒い膜を纏ったドラキ
ュラの侵入を許してしまった。
 接触した直後に刺すような痛みがヒューの全身を駆け巡り、呪詛が体中の皮膚を赤黒く盛り
上げながら刻まれていった。
「しっ……しまった!」
「目覚めよ! 同情と憐憫を用いて人の心に入り込む卑劣な背徳者を消し正道を貫くのだ。
その責はお前のような貞潔な人間にしか出来ぬ仕事なのだから」
 その瞬間、閃光とともに引き込まれるような空間の歪みによって、ヒューの体はもとあった
場所から引きずり出された感覚に襲われた。


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