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Awake

129Awake 11話(4/8):2013/10/09(水) 23:09:03
 一気に嚇怒したと同時に羞恥が込み上げてきたヒューの心の鼓動は激しく高鳴った。
 明確な拒絶を示さなかった自分の心境は、表層では否定していても暗にネイサンを受け入れ
ていたからからでは無かっただろうか? 
 薄眼でしか確認しようがないが、他人には見せない彼の切ない眼差しと、互いに頑強な
肉体を有しているのに潰れやすい水蜜桃を食むかのように、柔らかく己の頬と唇を求めた
姿と想いの儚さが去来すると、モーリスに対して叶わぬ想いを抱くネイサンの行為を受け入れてき
た自分の心の在りかは、孤独の中に佇んでいたのにようやく気づいた。

 打倒すべき敵にそれを指摘され、揺れ動く己の心の危うさに対峙するための気力を削が
れて感情を顕わにしたが、それは己が知識として体得していた「悪魔と対話すべからず」
という原則を忘れるほどの動揺だった。
「貴様、御託を並べ嫌悪を催させて奴との殺し合い望んでいるのは解っているぞ。浅墓な」
「あの男もお前のように面白みのある奴であれば良かったのに」
 からかうように言葉を淀ませ口許を歪めたドラキュラの皮肉に、ヒューは自分の感情よりモーリスの
安否に一抹の不安を覚え口にした。
「親父……親父をどうした!? 答えろ!」
「生贄の生死なぞ関知しておらぬわ。身体は儀式の間にあるがうんともすんとも云わぬ。
ただ魔力が未だに感知出来るから生きてはいるのだろう。大した物だ」
「な……生殺しの状態にあるわけか。非道な。放せ! やはり死力を尽くして貴様を倒す!」
――この空間が俺の精神なら意識は俺のものだ。少なくとも剣を構築できるだろう。
術者の幻影を振り払えれば意識は俺の手に戻るはずだ。


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