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「ニューハーフ・シーメールでエロパロ」スレの避難スレ

81ROSE ◆ROSE/4VERo:2010/10/02(土) 14:17:49 ID:JKstQ1Dk0
「……ねえルチエラ君。君はこの屋敷から出たくは無いかい?」
「ええと、それはもしかして……」
「うん。君がよければ、僕は君を身請けしたい。どうかな?」
 サー・トーマスのお申し出に心が動かなかったといえば嘘になる。しかし、私には自由な身分以上に
大事なものがあった。このお屋敷から離れるというのは、それを捨て去るに等しいことだった。
「ありがとうございます、サー・トーマス。ですが私には――」
 私は自分の気持ちをサー・トーマスに告げた。
「そうか、残念だよ。でも君の気持ちを応援させてもらうよ」
 笑って私を応援してくださるサー・トーマスに、私は深々と頭を下げた。

                    ●

「さてラファエラ。今年で君がこの屋敷に来て十年だ。最初の約束どおり、年が明ければ君は自由だ」
「はい、ご主人様」
 秋も深まったある日の夜、ご主人様の書斎に呼び出された私は、ご主人様に今後の意向を尋ねられた。
 私が望むのであればこのまま自由な身分で勤め続けても良いし、また退職金を貰ってお屋敷を離れても
かまわない。しかし退職する場合新しいメイドを探してこなければならないので、いずれにするにせよ、
私の意向を確認しておきたいとのことだった。
「ご主人様、こういうことをお願いしてよろしいでしょうか」
 私は前々から考えていたことをご主人様に尋ねてみた。それは――。
「おかえり、ラファエラ」
「ただいま」
 部屋に戻った私をルチエラが迎えてくれる。その声にかすかな不安がにじんでいるのは、けして私の気の
せいではないはずだ。
「……ねえ、ラファエラ」
「なあに?」
「私は後二年ここで働かなくちゃいけないんだけど、ラファエラはやっぱり出て行っちゃうの?」
「うふふ、そのことなんだけどね。喜んで、ルチエラ!」
「?」
「ご主人様にお願いしてね、私の奉公期間を一年延ばす代わりにあなたの方を一年短縮してもらったわ。
来年には一緒に自由になれるのよ」
「えっ――で、でも、ラファエラはそれでいいの? 本当なら今年の暮れで……」
「いやよ、二年もルチエラと別れるなんて、私我慢できないわ。それとも迷惑だった?」
「ううん、そんなことない! うれしい、すごくれしい!」
「うふふ、良かった。あのね、ルチエラ、私、自由になったらやりたいことがあるの」
「やりたいこと?」
「ええ。私の実家ってね、料理屋だったの。それで私もね、小さくて良いから自分のお店を持ちたいなって。
だからお料理もたくさん勉強したのよ」
「うん、ラファエラは料理上手だよ。きっと繁盛するよ!」
「それでね、ルチエラにも一緒に、お店やって欲しいなって――どうかしら?」
「ええっと、それって……」
「ええ。これからもずっと、私と一緒にいて欲しいなって、お願い」
「うん! ずっと、ずっと一緒にいるよ。一生だよ!」
「ありがとう」
 私はルチエラを抱きしめ、その背中にしっかりと腕を廻した。ルチエラも私をしっかりと抱きしめてくれる。
 ルチエラの体温を感じながら、私はその暖かさが魂の奥底にまで染み入るのを感じていた。この暖かさを
手放さないためなら、私はどんな苦労も厭わない覚悟だった。


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