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TSFのSS「Tatoo」

8luci★:2016/03/09(水) 02:01:52 ID:???0
 一度目は文字通り男から女へ。二度目は犯されて。そして三度目は、女としての能力が備わった事を意味していた。その事実は私を恐怖させるに十分すぎた。このままあいつに犯され続け、受精してしまったら? どんどん変化していく肉体を目の当たりにしたら、狂ってしまうのではないか……。
 血にまみれた毛布をあいつは確認すると、私の懇願を無視して犯そうとした。それでも拒否すると、罵倒しながら殴り、蹴り、肉体を苛んだ。
 今痛くて苦しくて、それをどうにかしたくて、後々の恐怖など確率的に低いのだ、などと自分に言い訳をして、あいつを受けれていた。
 一度心が折れると、痛みや恐怖を忘れようと肉体が受ける快楽を享受していた。
 殴られたり蹴られたりする前にあいつに媚び、それを回避し、受精などしないと言い聞かせ、耳を塞ぎ、自分の嬌声だけを聞く。
 そんなことが、もう、長い間続いている。
 
「あっ、あっ、イク……うっ?!」
 恐らく三日ぶりのあいつの訪問後、すぐさま身体を合わせた。そしてあいつが放った精が身体から出、その臭いが穴の中に広がると、胃に不快感が広がり、胃液を吐き出していた。
「――あぁ? なんだ? そんなに精液が気持ち悪いのか?」
 蹲る私の髪を掴み、殴る真似をする。その行為に身を固くして答えた。
「ごごめんなさい――いつもならそんなことないんだけど……」
「……そうか。ああ、君、ついに妊娠したね」
 にやっと笑いながら残酷な事実を告げられ、目の前のあいつの顔がひどく遠くに感じた。
「まさか」
「これまでどれだけ中出ししてきたと思ってる? しかしやっとか。中々当たらないもんだなぁ」
「……そんな……」
 ショックを受けた私を余所に、あいつは私の足枷の鎖を外し、口を開いた。
「さて、ここは女人図が示すように人を異形へと変化させるための祭儀場と思えるのは、以前話したと思う。話さなかったかな? しかしね、形状的には玄室があってしかるべきところなんだ。君もわかると思うけど。ところが君を連れてくる前にかなり調査したんだけど、それらしきものは見つからなかった」
「――なぜ今そんな話を?」
 あいつは入り口を背に、服を着始めた。
「ここが発見されたとき、女人図だけではインパクトに欠けるだろう? だからやはりここは玄室でなくてはね」
「ぎゃっ」
 あいつに何かで殴られたと分かったのは、冷たい地面を頬に感じた時だった。
 倒れた私を後に、あいつは入り口から出て、手早く石を積み上げていく。
「そう。ここは多湿だろう? もしかしたら、見目麗しい今の君の姿は、屍蝋化して発見されるかもしれないな。子宮のような玄室で、子を宿した君が発見される――なんてセンセーショナルなんだ。そう思うだろう? 何年後になるか分からないが。俺の踏み台になってくれて、ありがとう! それじゃぁ、また会える日を楽しみにしてるよ!」
「――! あ、まっ――」
 思うように動かない身体に鞭打ち、這い蹲ってあいつの声を追うけれど、穴が塞がれ光が閉ざされると、静寂だけが残っていた。
 半狂乱になりながら石積みを崩そうとしても、びくともしない。爪が剥がれるだけだった。
 暫く、呆然としていたが、不意に爪の痛みと共にある考えが過った。刺青があるから女なのだと。それが無くなれば元に戻るのでは?
 しかしここには刃物はない。ないなら、鋭い石なら皮を剥げるかもしれない。そう思って手探りで鋭そうな石欠片を探した。ないと分かれば、石と石をぶつけ割って、破片を集めた。
「ふぅ……」
 適度な鋭さを持つ石器を背中の刺青に当てると、ふと、これで戻ったら腹の子はどうなるのだろうと思ってしまった。
 その思いを振り切るべく、ブツリと肌を引き裂いた。

 新たに見つけられた古墳に、鮮やかな女人図と、屍蝋化した遺体が設置され、それがこれまでの歴史の系譜から外れたものとして脚光を浴びたのは十年以上前のことだった。発見者は嬉々として論文を書きまくったが、権威者からはトンデモとして扱われ、結局、ブームが過ぎると話題にも上らなくなっていた。
 件の屍蝋は、「剥がれかけた刺青の妊婦」として大学の研究施設内に保管され、時折、学生の好奇の目にさらされている。


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