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TSFのSS「Tatoo」

7luci★:2016/03/04(金) 23:31:12 ID:???0
 どのくらい失神していたのだろう。気付いた時にはすでにあいつはいなかった。周りを見ると2リッターのペットボトルの水と、四本入りの携行食、懐中電灯一本、毛布一枚、そして、右足には太さが5㎜はあろうかという鎖がついていた。もし空腹でなかったなら、鎖を見て絶望したんだろう。しかしそれよりもその時は飢餓が勝っていた。
 携行食を貪り食い、冷えた水を胃に流し込んだ。
 少しばかり満たされて、改めて鎖を見ると杭に繋がっていた。鎖の長さを測ろうと毛布をはおり立ち上がった。
「あ……」
 身体の奥からドロリとあいつの精が腿を伝わって垂れた。何度吐き出していったのか。その光景を思うとゾッとし、考えまいと首を振った。
 鎖の長さは手を伸ばしてやっと石組みの出口に届く程度だった。

 それ以来、あいつは不定期にやって来ては、私を犯し、罵倒し、暴力に及んだ。
 あいつが来なければ、私は飢えと冷えと、狂わんばかりの孤独に襲われ、あいつが来れば安堵した。しかしそれも束の間だった。犯されれば身体も心も傷つけられ、罵倒されれば尊厳が失われていく。そして暴力の恐怖は、次第にあいつへの依存が出来上がっていった。
 黙って従い、媚び諂えば、命だけは存えられる、とばかりに。
 このころには、私の慰みは二つだけになっていた。一つは壁画の鑑賞。そしてもう一つは声。とにかく声を出していた。無音というものが音の地獄なのだと初めて知った。私は考えていることを全て声にして出し、これに耐えた。
「私は、おなかが減った。あいつがこない。股を開けば食べ物が貰える。最近は、少し感じるようになってしまったかも知れない。もしかしてあいつも感づいているだろうか? ああ、おなかが減った。そういえば、この身体は本当に女なのか? これだけ犯され続けていれば――もしかして」
 独り言が私の心を掴んでいた。そう、妊娠してしまうのでは? そのことが急に怖くなり、声に出せなくなっていた。声に出したら、本当にそうなってしまうのではないか、と。
「……いや、待て。待てよ。そう、そうだ。生理もないのだから、そもそも――そんなことになりはしないはず、だ、よな?」
 しかし、そんな私の願いは、壁画の女人たちは聞き入れてくれなかった。
 何度かあいつに強引に犯された後、下腹部に違和感があった。そして、目覚めると、私は「女」になっていた。都合三度目だった。


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