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TSFのSS「白と黒の羽」※再掲、修正・加筆

7luci★:2015/09/05(土) 01:38:53 ID:???0
それでも男達の唾液の匂いが俺をゆっくりと動かした。立ち上がり鏡を見ると泣きはらした目で見つめる似非天使の姿を再び認めた。じっと見ていると、しかし、似非天使と目の前の女は細部が違う。

金に近い琥珀色の瞳が俺を射抜く。青だの赤だのに変化していた瞳とは違うのは判っていても、似非天使に見られている気分になって急いでシャワーを浴び始めた。

女は知っているけれど、体内の残磋をどうやって洗い流せばいいのか判らず、徐に股間にシャワーを当てた。思わず叫びそうになる程浸みて痛みが走った。

ひりつく痛み。ぬるつく粘液。それが身体から流れ出していった。全部出たのか判らない。でもそれ以上のことを考えたくなかった。

頭上から降り注ぐ熱いシャワー。恐怖も悔しさも、身体に染みついたような唾液も流せるんだろうか。身体を包み込む繭のようなソープの泡。洗い流せば新しい俺になるんだろうか。何もかも元に戻るんだろうか。

泡の中から現れたのは、やはり女の身体。その事実がイヤで早々にユニットバスから飛び出した。タオルで身体を拭くと否応なく柔らかな肉体を触ることになった。豊かな胸にくびれたウェスト、張った腰。何もかも俺じゃない。長い髪が濡れたせいか頭が重くなって肩が凝りそうだった。

猫の鳴き声。それが俺の耳に絶え間なく入り込んでくる。それを無視してTシャツとパンツ、スウェットを履いた。いつもの俺の寝間着。乳首がちょこっと出て、スウェットの股間はつるんとして、女であることを強調していた。ガラスに写った姿に顔を顰めた時、ドアをノックする音が聞こえた。

●●さん、ちょっと、いるんでしょ。開けてちょうだい。 大家の声に驚いたのか、三毛猫は机の下に引きこもっていた。俺は今の姿のままで出ることに躊躇したが、ライトが点いているのに居留守も使えなかった。ノックの音は大きくなり、ついに俺はドアを開けた。

●●さんは? 猫の声がするって言われたのよ。ここにいるでしょ。すぐに捨てて頂戴。イヤなら出ていってもらいます。 矢継ぎ早に口から飛び出る言葉に、俺は口を挟む間もなかった。

それから、あんた誰? ここは●●さんの部屋でしょ?  俺が本人です、そう言えたら楽になるんだろうか。俺が、間借りしていると言った途端、●●さんは真面目そうだったのに見損なっただの、住んでるならもう一人分家賃追加だの、帰って来たら言いたい事を言って去っていった。


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