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ラノロワ仮完結作品投下スレッド
262
:
名も無き黒幕さん
:2014/08/23(土) 23:13:29 ID:f0Abop4o
◇◇◇
状況は全て折原臨也の予想通りに動いた。
何一つ計画に狂いはない。全員の視線は、意識は、確かにその一瞬だけ、ダウゲ・ベルガーのみに注がれた。
だから、臨也は予定通りに動いた。
腕を伸ばす。その先には動かない頭で懸命に反論の為の思考を紡いでいた海野千絵の体があった。
ベルガーに詰め寄る様に一歩を踏み出したのはこの為の布石。リナ・インバース殺害を糾弾する瞬間、臨也は千絵の身柄を拘束できる位置に居なければならなかった。
「っ、な――きゃっ!?」
右腕を千絵の首に掛け、力任せに引き寄せる。同時に左腕をコートのポケットに突っ込み、この場を脱出する為の保険として用意していたものを掴んだ。
千絵は抵抗しようともがいたが、お世辞にも運動神経が良いとは言えない彼女では、こうした荒事に多少は慣れている臨也の拘束を振り払うことは難しい。
そこまでくれば、周囲の人間も状況の変化に気づく。あるものは武器に手を掛け、ある者は己の異能を発現させようと意識を集中させ、
「――動くな!」
臨也の発した短い警告に、その動きを止めた。
それを確認してから、臨也は素早く自分とそれ以外の位置取りを確認する。もっとも近くにいるベルガー。そこからやや離れた場所に居る、仲裁役だった佐山とカーラ。そして遠巻きにこちらを見ている同行してきたヘイズ達。
完全な包囲はされていない。それを確認すると、臨也は暴れる千絵を難なく押さえつけながらさらに数歩後退した。
「イザヤ!?」
クリーオウが咎めるのと制止するのとを混ぜこぜにしたような声音をあげる。それを見て臨也は笑った。もしかしたら、彼女はこう考えているのかもしれない――裏切られ、仲間を殺された男が、その怒りを暴発させたのだと。
(まあ、苛立ちはあるけどね――全く、本当にここは常識が通じなくて嫌になる。嘘を見破る魔法なんて、そんなものを持ち出されたらどうしようもないに決まってるじゃないか。綺麗すぎる水に魚は住まないって言葉を知らないのかな)
センス・ライは確かに完全無欠の魔法ではない。だがそれは、強力な魔法ではないということにはならない。
少なくとも臨也にとってはそうだ。こうして一時は誤魔化せても、問答を続ければいずれはぼろが出る。一度ペテンにひっかけたからと言って、それで『はい、処刑』という風にはならない。この後、ベルガー達に質問が繰り返されれは、いずれはこの誤解も解けてしまう。
そして反対に自分が追及されれば、他の"余罪"が明かされる可能性も大きい。臨也は朝比奈みくるやサラ・バーリンの殺害に関して"仕方がなかった"と心の底から思っているが、その思考に同調してくれるのは少数派だろうということも理解している。
だから臨也は、センス・ライの存在が明かされた瞬間から、この集団に潜り込むのではなくて、いかにしてこの場から脱するかということだけを考えていた。
逆上状態の海野千絵が向こうに居る以上、大人しく降参するという手はない。謝ったところで見逃して等くれないだろうし、即時処刑がないとしても、この少女が捕らわれの身になった自分に対して私刑を加えない保証はなかった。せめて挑発する前にセンス・ライの存在を知っていれば別の手も打てただろうが……。
「……それは、君が犯人だという自白代わりの行動、ということでいいのかな?」
「さあね? 少なくとも、俺の言葉に嘘はないよ? あと、これからは喋るのも禁止だ。魔法使いみたいに――いや、まさに魔法使いがこの場に居るんだしさ」
佐山の言葉に、臨也は応じるというよりは一方的に要求を叩きつけるような心地で言葉を吐き捨てる。同時に、ポケットに突っ込んでいた左手を掲げた。高々と衆目に曝されるのは携帯電話大の黒い機械。
(あれは……)
コミクロンはその機械を知っていた。臨也の武装解除を行った際にもっていた"バッテリーパックが入っていないケイタイデンワ"の筈だ。
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