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小ネタ投下スレ
520
:
名も無き黒幕さん
:2010/04/29(木) 23:06:56 ID:owUuycZo
アリュセは最初、事実の一部を語らず、誤解を訂正しない程度で済まそうとした。
双子なのかと出雲・覚が訊けば、無言の笑みで応じ、さりげなく明言を避けた。
自分は双子だと能動的に偽るつもりなど、少しもなかった。
そんな中途半端な行為を彼女がやめたのは、第二回放送後からだ。
リリアとイルダーナフの死を知り、出雲を危うく殺されかけて、アリュセは誓った。
何かを掴むために何かを手放さねばならぬというのなら、限界まで捨て去ろう、と。
真実を知る者が現れればそれまでの儚い虚言でも、必要ならば嘯いてみせよう、と。
敵を欺くために味方を欺き、その罪から逃げず、されど表面上は平然と笑おう、と。
セリと共に歩みセリと幸せを分かち合う資格を、アリュセは自ら放棄した。
アリュセには、姉妹の一人をいなかったことにしてでも守るべきものがある。
双子であるという皆の誤解を、彼女は積極的に助長し始めた。
己の心を傷つけてでも他人を救おうとするその気質は、美徳と呼ばれることもある。
けれど、極端すぎる献身的行動は、生物の在り様としては歪んでいるともいえる。
正や陽や善の属性を帯びてはいるが、それはいずれ自滅に至りかねない志向なのだ。
出雲・覚は、アリュセが抱える秘密について一言も触れぬまま彼女と接している。
おおむね素っ頓狂な青年ではあるが、出雲はただそれだけの男ではない。
ごく稀に彼が垣間見せる凛々しい一面は、ある種の懐の深さをうかがわせる。
ずっと一緒に行動し、共に死線を潜った間柄で、何も気づかない方がおかしい。
深刻な事情を彼なりに察した上で、あえて静観していると考えるべき状況だった。
「それにしても、すげえ宝の山だったな……」
感嘆しつつエロ本をデイパックに詰め込む彼の姿には、賢慮のケの字もなかったが。
どう見ても大馬鹿者だとしか思えないくらいの非常に残念な有様だった。
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