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157エンジェル・ハウリング(弱虫の泣き声):2009/03/19(木) 00:54:26 ID:Fc72kk0o
「光よ」

 リナ・インバースの囁きに従い、夜闇の中で光り輝く刀身が出現する。
 魔法は使えない。武器は相棒の忘れ形見のみだ。
 おまけに刻印と疲労のためか、具現化した刀身はショート・ソード並みにちゃちなものである。
 警戒して地下を使わずに遠回りをして来たが、リナは事態のほとんど一部始終を見ていた。
 万全の筈だった舞台は完膚無きまでに壊滅した。ベルガーが潰されるところを見て飛び出しそうになったが、何とか自制は効いている。
 あるいは足下に転がるダナティアの首を見た時点で、そんなものは無かったのかも知れない。
 リナの意識は犯人の抹殺にすべて傾倒していた。
 犯人を見つけるのは簡単だった。銀の巨人の傍らに、血塗れの少女が佇んでいる。
 返り血と首をもぐという殺害方法は一致するように思えた。
 だが、今の自分とあの巨人では戦力が圧倒的に違う。
 考えついたのは奇襲だった。
 リナはガウリイほどこの剣を扱い慣れていない。そのため奇襲は万全の用意をして行われた。
 足音を忍ばせ、ギリギリ気づかれない距離まで近づく。
 さらには光が漏れないように刀身をマントで覆い、マント越しに刀身を射出した。
 厚手の布地を突き破り、光の矢が一直線に血塗れの少女を狙う。

 だが、当たらない。運良く躓いて転んだらしい。こちらにとっては不幸でしかないが。
 舌打ちをひとつして、リナはマントを投げ捨てた。奇襲が失敗したのなら、残る手段は急襲しかない。

「メフィスト、待機組に連絡を! ダナティアが殺された!」

 叫び、了承を確認する前にリナは駆けだしていた。
 瓦礫でできた天井開きのドーム。その壁の切れ目にいる少女にリナは接近した。手には再び刀身を具現化した光の剣。
 だが、少女が振り返る方が圧倒的に早い。
 リナの前に巨人が立ち塞がった。破壊精霊は目標を選ばない。戸惑うこともなくリナに拳を打ち込む。
 ベルガー達の戦いを見て、完全な回避が難しいことは分かっていた。
 横に跳んで拳自体をかわし、衝撃波で吹き飛ばされる勢いを利用してドームの中に転がり込む。
 瞬時に体が擦過傷と打撲だらけになったが、代わりに終と合流できた。
 メフィストは、どうやらリナが攻撃されている隙にドームから抜け出せたようだ。
 この場から死なずに離脱できるのは彼だけだっただろう。目論見がひとつ達成できたことに安堵する。


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