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試験投下スレッド
982
:
たった一度の冴えたやり方(2/5)
◆5KqBC89beU
:2008/06/24(火) 12:53:00 ID:wFs0ZlLc
文字通りの意味で、蝶の羽ばたきが嵐を起こす可能性すら、この島にはある。
どれほど些細で微小な相違点だろうが“無視しても構わないもの”ではない。
ほんのわずかにでも差異があるのなら、それは再現ではなく改変だ。
世界の上に現実が上書きされれば、かつて在ったすべては色あせ、台無しになる。
連続性の途絶を滅びだと定義するなら、それは確かにある種の終焉だ。
その気になれば“かつての現実”をどれでも復元することはできる。だが、実行する
場合には“そのときそこにある現実”を犠牲にする必要がある。後退は不可能であり、
ただ逆方向へも前進できるというだけのことだ。犠牲になる現実の数は減らない。
可能性は多重に在るが、“この世界の現実”は一つしかありえない。
当然、“別の世界”には“この世界”とは違う現実がある。しかし、そこでも数多の
可能性が現実になれず幻想と化している。可能性の数は、世界の数を遥かに上回る。
この前提が当てはまらない場所を、わたしは見たことも聞いたこともない。
所詮、“今ここにいるわたし”も、星の数より多くある可能性の一つでしかないが。
虹色の淡い光に照らされながら、わたしは静かに目を伏せる。
唯一無二――そんな言葉が脳裏をよぎった。
わたしと出会った彼が何人目の坂井悠二だったのか、わたしは知らない。
今ここにいる自分が本当に自分であるか否かについて、少しだけ彼は語ってくれた。
ただの人間であった坂井悠二は既に亡く、ここいるのはその模造品だ、と。
自分もまた坂井悠二ではあるが、故人・坂井悠二とは明確に異なる、と。
今の自分には、本来の坂井悠二が知りえなかった記憶や感情がある、と。
もしも仮に、この肉体が故人・坂井悠二と同じ物だったとしても、心は異なる、と。
同種であり同属であり同類ではあっても同一ではない、と。
価値観や常識が激変するほどの経験をした彼には、そう言えるだけの資格があった。
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