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尚六掌編

12はっぴー・どりーむ:新刊発売まであと2日:2019/10/10(木) 19:30:23
『一人カウントダウン企画』第八弾は、
尚隆との情事を夢だと思い込んでいる、天然でちょっとおバカなろくたん。
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 酒盛りのあと、そのまま尚隆の臥室に泊まるのはけっこう好きだったりす
る。ここだけの話、あいつの房室に泊まると、必ずと言っていいほど淫靡な
夢を見るのだ。
 でもそれは嫌じゃない。ちょっと、いや、かなりどきどきするけど、あい
つに組み敷かれていろいろされる夢はむしろお気に入りだ。尚隆にそんな気
がないことはわかってるから、内心で自分がこんなことを望んでいるのかと
考えると気恥ずかしいけど、たぶん相手の体温を感じられるほど近くで寝る
から影響されるんだろう。
 特にゆうべはすごかった。出奔した尚隆が宮城に戻ってきたのは半月ぶり
で、間が空くと夢も激しくなる傾向があるから、俺は内心でうきうきしなが
ら、市井で買った安酒を土産に長楽殿に行った。もちろん酒に強くはない俺
は早々に牀榻に引っこんだけど、いつもそうであるように、尚隆はその後も
少し飲んでいたらしい。そんなあいつの気配を感じながら幸せな気分で眠り
につき――見た夢の中の尚隆は、普段の夢と比べても相当に激しかった。情
熱的な腰の動きがもたらす法外な悦楽に、失神しそう、と思いながらも、夢
の中で失神するなんて、と我ながら苦笑したものだ。
 尚隆はひっきりなしに腰を打ちつけて最奥まで俺を貫き、何度か休憩を挟
んでは体位を変えてまた貫いてきた。相当に長い夢だったらしく、朝目覚め
たとき、まだ中に入っている感覚が残っていた。思いこみが過ぎると、実際
に身体にまで影響が出るらしいと聞いたことはあるから、それなんだろうけ
ど。
 いつの間にか素っ裸になっていたことについては、毎度のことながら寝ぼ
けて自分で脱いだんだろう。昔、暑い夏の盛りに泊まったとき、寝ている間
に自分で脱ぎだしたから焦ったぞ、と尚隆に笑われたことがある。まあ、蓬
山にいたときは普通に裸で水浴びしていたし、本性が麒麟の俺はもともと裸
になることに無頓着なせいもあるだろう。
「尚隆……尚隆……!」
 夢の中で俺はいつも、あえぎながらもあいつにしがみついて名前を呼ぶ。
現実には首にしがみついて名前を連呼するなんてないから、王とともにいた
い麒麟としての俺の欲求をそこで満たしているのかもしれない。

 そんなこんなで今日も下心とともに酒を携えて臥室に行ったら、酒盛りの
途中で榻に押し倒された。きょとんとして尚隆を見上げていたら、いつも俺
が先に寝てしまい、途中で起こすのが大変だからだと言ってきた。寝つきが
良すぎる上、なかなか起きないからそのまま行為を始めてしまうが、そうす
ると終わったあとも俺はすぐに寝入ってしまって、余韻も何もないんだそう
だ。
 あれ?と首を傾げながら尚隆を見上げ、夢だったんじゃ?とつい口にした
ら、尚隆は一瞬呆けた表情になった。そして頭が痛いのか、かなり激しかっ
たはずなんだが、とつぶやきながら額を押さえたので俺は瞬いた。
「……夢じゃない?」
「そもそも、どこをどう押せばあれが夢になるのだ」
 そう呆れられて、俺はまた首を傾げた。

 とりあえず、その夜は今までにないほど激しくて、俺も、そして尚隆も非
常に満足したのは確かだった。


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