したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ネタスレだよ!全員集合@子馬亭

1萌えの下なる名無しさん:2004/06/25(金) 01:29
■オールスター・ストーリー、イロモノ、ご隠居もの、前衛作品、ざれ歌、狂歌・川柳、分類不可能、
そのほか、他スレでやったら迷惑千万なものはこのスレで。
読み手も書き手も、わだつみのごとく広い心で参加せよ。
ただしパラレル、SSは投稿前に相談のこと。

■『萌える子馬亭』の約束(必読)■SS投稿時には必ずお読み下さい。
http://0024.hiho.jp/pony/fellowship_rule.html

■前スレはこちら ネタバレ@豪華絢爛オールスター■
http://0024.hiho.jp/pony/last_log/all_neta.htm

さあー、いってみよー!

33萌えの下なる名無しさん:2004/09/04(土) 06:31
PCのデータを整理していて、以前書いていたものを発見しました。手直ししたものを、
このスレに捧げさせていただいてよろしいでしょうか。上方落語とのダブルパロです。

ただ、なぜ以前に投下しなかったかというと、元ネタが男女ものなので、キャラの一人が姫扱いなうえ、
相手を「婿養子にもらいたい」などというセリフが飛び交う始末でして(女体化にはしていないのですが)。
またオチが弱い…。

もし、それでもいいとおっしゃってくださる方がいらっしゃれば、以下6レスをおつきあいいただければ幸いです。

元ネタ 植木屋娘
主な登場人物
ビルボ、サム、エルロンド、ドゥナダン(=馳夫)、フロド

カプはいちおう、ドゥナダン×フロド
直接的な汁気は皆無です

341/6:2004/09/04(土) 06:32
















ここにおりますホビットの旦那さん、名前をばビルボ・バギンズと申します。エルフの住まいます裂け谷の門前に、
袋小路屋敷というまことに裕福なお家をかまえて、甥のフロドとともに住んでおります。
この甥が、性格よければ頭も見目もよいという、ビルボ自慢の種でございます。

このビルボ、冒険はするわ詩は詠むわと、世間には少々変わり者のホビットとして知られております。
裂け谷の王エルロンドとはいたって昵懇でございまして、今日も表より……

ビルボ「エルロンドはん、こんにちは」
エルロンド(以下エル)「おお、誰やと思たらビルボやないか。どぉしたな?」
ビルボ「詩を作りましたんでな、一つ添削を頼んますわ」
エル「してやらんこともないが、ここ二、三日は闇の森との宴会の準備でちょっと手が離せん。
置いといてくれたらまた暇にでも……」
ビルボ「そんな悠長な。詩てなもん、気分を逃したらお仕舞いでんがな。
そんなこと言わんと頼んまっさ、頼んまっさ、頼んまっさ!」
エル「おまえさん、いつも急に来ては、無茶を言う……困ったなあ。そおじゃ、ドゥナダンに代わりをさせることにしよか」
ビルボ「居候はんの? 詩なんか分かりまんのか?」
エル「これこれ、『分かりまんのんか』どころの騒ぎやないがな。あれは事情があってこの地で預かってはいるが、
いずれ世間へ出て王位を継ぐ身じゃ。詩に学に武芸に、なんでも立派にこなす」
ビルボ「さよか、ほなドゥナダンで結構だす。すぐに来てもろとくなはれや。
屋敷で準備して待ってますよって、頼んまっせー!」
エル「相変わらずバタバタと騒々しいホビットじゃ。……ドゥナダン、ドゥナダンや」
ドゥナダン(以下ドゥナ)「お呼びでございますか?」
エル「ビルボが詩を添削してほしいというで、済まんがこなた代わりに行ってやってはくれんかな?」
ドゥナ「かしこまりました」
エル「それからな、ビルボは賑やかじゃが、いたって腹のさっぱりしたえぇホビットじゃで、
何を言われてもどぉぞ気にせんよぉにな」
ドゥナ「心得ております。それでは行て参じます」

352/6:2004/09/04(土) 06:33
















袋小路屋敷にドゥナダンが訪ねて参りまして、ビルボと頭をつきあわせて立派に詩を完成させます。
感激したビルボは、酒、肴、パイプ草などでもてなしをいたします。
そんなことがきっかけになりまして、ドゥナダンがちょいちょいと袋小路屋敷へ遊びに来るようになる。
ビルボも、それまでは何かというと「エルロンドはん、エルロンドはん」言ぅてのが、このごろはもぉドゥナダン一本槍。
ドゥナダンのほうもあんじょう親切に相談に乗ってやるもんですから、すっかりドゥナダン頼りに思うようになります。

ビルボ「サム、サム、こっち来い。ちょっと話があんねん。実はうちのフロドのことやけどな。あれも年頃で、
町内の若い奴ら、寄ったらフロドの噂や。「折があったら押し倒そか、いてまおか」てな物騒なことも耳にする。
そうならんまえに、あれにええ婿養子を迎えて、わしは隠居しようと、こう考えてるんや」
サム「そらまた、けっこうなお話で。その婿養子さんのあてはありまんのんか?」
ビルボ「話っちゅうのはそこじゃ。あの裂け谷のドゥナダンな、あれなかなか人間しっかりしてるで」
サム「馳夫さんでっか。そら、あのお人やったら、こんな結構なことはあらしまへん。
そやけど、フロドの若旦那のお気持ちは?」
ビルボ「フロドの気持ちも糞もあるかい。わしがあんなええ婿探して来たってるのに、
ぐずぐず言わさんぞ。なんぞ言うよおなら、フロド放り出してしまうぞ」
サム「フロドの若旦那放り出して、どないしなはんねん?」
ビルボ「フロド放り出してドゥナダン養子にもらうがな。わし、ドゥナダン好きやがな」
サム「ほな何でっか、実の甥放り出して赤の他人にこの屋敷譲るんですか?」
ビルボ「そおなったらしゃあない、お前に暇やるがな」
サム「お暇をもろて、おらどこ行ったらええんです?」
ビルボ「どこも行かいでええ、ドゥナダンと一緒になれ。夫婦になってわしを養え」
サム「……やっぱり、フロドの若旦那のお気持ちを確かめんことには」

363/6:2004/09/04(土) 06:35
















サムがフロドを呼びに行きます。ビルボがフロドに、ドゥナダンを婿養子に迎えたいと考えていることを告げますと、
フロドは顔を赤くして下を向いたきり。そうかそうかと合点して、ビルボは裂け谷へ駆け出しよった。

ビルボ「エルロンドはん、こんちわ。実はちょっと話があって来ました。ほかでもない、フロドのことで」
エル「ふんふん、近所若いもんが寄ったらフロドの噂を。下手な虫がつくまえに婿養子を迎えたい
……なかなかええ話やないかいな」
ビルボ「ええ話か?」
エル「結構な話やないか」
ビルボ「ホンマに結構か? ほんまのホンマに結構か? ……もらいまひょ」
エル「なんやて?」
ビルボ「もらいまひょ。ドゥナダン養子にもらいまひょ」
エル「なんじゃいな、相手はドゥナダンかいな。そらあかん。こないだも言ぅたやろ、
あれはいずれ世間へ出て王位を継ぐ身」
ビルボ「そんなこと言わんと、ドゥナダンおくれぇな。いま、結構ちゅうたやないかいな。おくれ、おくれ、おくれ。
ドゥナダン好きや、おくれぇな」
エル「あかんと言うておろうが」
ビルボ「そんなこと言わんと。エルロンドはんかて、いつも不死のモンの世話ばっかりせんと、
たまには定命のモンの世話しなはれ。みんながみんな、あんたらエルフみたいに、いつまでも生きてられるんとちゃうんやで」
エル「この話だけはきっぱりと諦めてもらおう」

374/6:2004/09/04(土) 06:36
















とりつく島もないエルロンドに、ビルボはがっくり袋小路屋敷に戻ります。

サム「どないでした?」
ビルボ「エルロンドが、本人に確かめもせんと断るんや。
 ……これぐらいのことでは諦めんぞ。これからドゥナダン呼んで来て、酒呑ましてフロドと二人きりにしよ。
ドゥナダンかて、わいのためだけやったら、あぁ再々遊びに来るかい。フロドが居ればこそ来るんやないか!
 わいは用があるっちゅうて中座する。そやけど裏から二人の様子を伺うねん。二人っきりで酒の一杯も呑んだら、
フロドの手ぇのひとつも握るわ。そこ見といて、「ドゥナダン、何ちゅうことしなはんねん」、「ビルボ、これは酒の上」、
「酒の上も糞もあるか、好きやと思やこそ手ぇにぎったんやろ。手ぇ握ったら子どもが生まれるぞ、うちへ養子に来い!」」
サム「そんな無茶な」
ビルボ「やったるねん。酒・肴用意せぇ。わいは裂け谷に行ってドゥナダン呼んで来る!」

ドゥナ「お呼びでございますかいな」
ビルボ「いや、今日はちょっと暇ができたんで、あんたと一杯呑もと思て」
ドゥナ「それはありがたいことにございます。これはまたみごとな肴の数々で」
ビルボ「ホビットをなめたらあかんで。背ぇや力比べではともかく、食べることにかんしてやったら、
他の種族に勝りこそすれひけはとらんぞ。ささ、食べてぇな。
フロド、そこ座れ。今日はドゥナダンと一杯呑むんやさかい、そばへ座って酌をせないかんぞ。

あっ、思い出した! 大事な用があったんコロっと忘れてた。じき帰るよってそのまま呑んでてくれたらええし。
じきに帰ってくる……、じきと言うても直ぐのじきと違うで、なんやかやする間くらいはあるじきや。
そこんとこ二人ともよぉ考えといてや」

ビルボは表へ飛び出すとすぐ指輪をはめて、窓辺から二人の様子を伺います。

ビルボ「わぁ、こぉして見るとドゥナダンえぇ男やなぁ。フロドもそれに負けてへんぞぉ。
二人とも恥ずかしそぉにモジモジしてるがな。フロドが、「ビルボは慌てもんで」……何をぬかしてけつかんねん。
わしは慌てもんでも、養子はええのをもろてあるわい。「馳夫さん、おひとついかがでございます」
……うわぁ、あんなこと言ぅよぉになったんやなぁ、教えもせんのに。

ドゥナダン、恥ずかしそぉに呑んでるわ。「フロド、あんたもひとついかがでございます」。
うわぁ、ドゥナダンも言うなあ。よしよし、そこで受け取ってグッと呑め……何?
「わたくしは、いたって不調法で」おい、酒のひとつもよぉ呑まんのか。それ呑むところから事が起こるねんやないか。
それでもホビットかい。

みてみぃなドゥナダン、テレてるがな。「ビルボ、なかなかお帰りやございませんなぁ」…当り前じゃ、なかなか帰らんぞぉ。
起こる事が起こるまで帰ったるかい……

えぇ何や?「それではわたくしは、これでぼちぼち失礼を」……何を言うねん。ここで帰ったらあかんがな。
はよフロドが止めんと……「さよおならば、そおいうことに」って、送りに立ってけつかる。おいおい、なにしてんねん!」

385/6:2004/09/04(土) 06:37
















やきもきするビルボをよそに、その日はそれきりとなりました。
この一件、いくらビルボが一人で悶々としてもどうにもなりません。

さて、それからほかに二、三縁談もございましたが、フロドの方が気が進まんと、それなりになる。
袋小路屋敷の養子は叔父同様の変わり者や、誰にもなびかんという噂がたちはじめた、
そんなある日のことでございます。

サム「ビルボの旦那……。最近フロドの若旦那を見てて思いますんやけどな、
若旦那にはどうやら肌を合わせた方がおいでかと」
ビルボ「なんやと!」
サム「このところ、前にも増してこう、しっとりとした色気があるような。かと思えば潤んだ目でせつない顔して
空を見てらっしゃる。加えて、どこにいてはるのか分からん時間が増えたとなれば、これはもう」
ビルボ「わしがあんだけドゥナダンとくっつけたろうと思てたのに……。
よっしゃ分かった。フロド捕まえて相手が誰か聞いたる」
サム「いやいや、ビルボの旦那が相手やったら、申し訳のうて、なんもおっしゃらへんかもしれません。
おらが聞いてまいりますよって」

それでも気になるビルボは指輪をはめて、こっそりサムの後をついていきます。

サム「フロドの若旦那、若旦那はなんぞ隠したはりまんな。そやけど、サムの目はごまかせません。
若旦那には、だれぞ心通わせたお方がいたはるんとちゃいますか」
笑ってごまかそうとしたフロドですが、じいっとこっちを見てるサムに居心地悪そうに視線をそらせます。
辛そうな顔をして、首筋をほんのり赤らめて、ぽつんと言いました。
フロド「……ビルボに知られたら、なんて言われるか……」
サム「それはおらがおとりなしいたします。そやから、正直に答えておくれやす。どなたはんですか」
フロド「あのな、あの。……あのな」
サム「あのな、では分かりません。どなたはんです?」
フロド「あの……」
サム「はい」
フロド「あのな……裂け谷の馳夫さん」

まさかと思てた名前が耳に入った。ビルボはうっかり指輪をはめたまま、「ドゥナダンー!?」と叫んだ。
フロドとサムの驚いた顔に、指輪を抜いてフロドをゆさぶります。

ビルボ「フロド、フロド、ビックリせんでええ。よぉ取った、よぉ取った。あの取り難いドゥナダンをよぉ取った。
こうなったらあのエルロンドにグゥの音も言わさんぞ。よっしゃ、安心しとれ。わしがこれからドゥナダンもろてきたる!」

396/6:2004/09/04(土) 06:38
















ビルボ「エルロンドはん、こんちわ、こんちわ、こんちわ」
エル「しばらく来んから静かやったんじゃが……、どぉしたんじゃ?」
ビルボ「へぇ、ドゥナダン養子にもらいまひょ」
エル「まだそんなこと言うてるんかえ、何べん言うたら分かる。あれは将来……」
ビルボ「そら、もぉいけまへんねん。うちのフロドに手ぇ出した♪ うちのフロドに手ぇ出した♪」
エル「ほたら何かいな、ドゥナダンがおまえとこのフロドと……」
ビルボ「いくとこまでいきましたんや。さ、ドゥナダン養子にもらいまひょ」
エル「なんとまあ。そやけど言ぅてる通り、あれは石の国を相続せんならん」
ビルボ「それも成るよぉな話にしまひょ。よろしぃか、とりあえずドゥナダンをうちへ養子にもらいます。
それから、国を継ぐときには、フロドともどもわしを石の国とやらに連れてってもろたらよろし」
エル「これこれ、一国の将来を左右するようなことをそう簡単に言うんやない。
しかし、ドゥナダンには、身を慎むよう、重々命を下しておったのになあ」
ビルボ「そんな命を下してたんでっか? でも、それは、しゃあないわ。
     命は食にありと申します。食は、ホビットの領分にござります」

40萌えの下なる名無しさん:2004/09/04(土) 06:41
お読みいただいてありがとうございました。
ビルボのドゥナダンへのスキスキぶりが甚だしいと思われた向きもおられるでしょうが、
原作通りです、というか原作のほうが激しいです(苦藁 
おかげで801アンテナに引っかかり、心に残っていた演題でした。
分かりにくいサゲで申し訳ありませんでした、力不足をお詫びいたします。

それでは、女神様方のご降臨をお待ちさせていただきます。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板