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SS投下スレ

1管理人:2022/06/22(水) 22:22:27
SSを投下するためのスレです。
内容に不安のある話の仮投下や、修正後の作品を投下するためにお使いください。

216 ◆ytUSxp038U:2023/12/16(土) 19:01:33
本スレ867を以下のように修正します

甜花と共にいたらしい猿の画像は、二回目の定時放送の際死亡者の中に見つけた。
どうして貨物船が参加していたのかはともかく、甜花の近くでも殺される者が現れたのは事実。
恐ろしい目に遭っていないだろうか、エボルトの言葉に同意はしたくないが酷い怪我だってしているかもしれない。
考えれば考える程甜花が心配で堪らなくなる。



甜花と共にいたらしい猿の画像は、二回目の定時放送の際死亡者の中に見つけた。
定時放送後に位置が更新され彼女と共にいただろう青髪の少女(精神は男)の脱落も、ついさっきの放送で知ったばかり。
どうして貨物船が参加していたのかはともかく、甜花の近くでも殺される者が現れたのは事実。
恐ろしい目に遭っていないだろうか、エボルトの言葉に同意はしたくないが酷い怪我だってしているかもしれない。
考えれば考える程甜花が心配で堪らなくなる。

217 ◆ytUSxp038U:2023/12/16(土) 19:03:00
遠坂凛と雨宮蓮の状態表を以下のものに修正します

【遠坂凛@Fate/stay night】
[身体]:野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん
[状態]:疲労(大)、精神的ショック(大)、乗車中
[装備]:スゲーナ・スゴイデスのトランプ×1@クレヨンしんちゃん
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜2(煉獄の分、刀剣類はなし)、煉獄の首輪
[思考・状況]基本方針:他の参加者の様子を伺いながら行動する。
1:エレン・イェーガーの家を調べる。あんまりのんびりしてられないわね。
2:キャメロットと行動、グリードはどうしようかしら。
3:サーヴァントシステムに干渉しているかもしれないし第三魔法って、頭が痛いわ。
4:私の身体に関しては、放送ではっきり言われてもうなんか吹っ切れた。
5:身体の持ち主(野原しんのすけ)を探したい。多分雨宮君達の方が先に見付けそうね。
6:アイツ(ダグバ)倒せてないってどんだけ丈夫なの。っていうかもっとヤバくなれるってなんなのよ。
7:アルフォンス、ちょっとマズいことになってない?
8:施設とかキョウヤ関係者とか、やること増えてきたわね……
9:亀?カメラ?どういうことなのよ。
10:ある程度戦力を揃えて、安全と判断できるなら向かうC-5へ向かいたかったけど……もうそれどころじゃないわ…
[備考]
※参戦時期は少なくとも士郎と同盟を組んだ後。セイバーの真名をまだ知らない時期です。
※野原しんのすけのことについてだいたい理解しました。
※ガンド撃ちや鉱石魔術は使えませんが八極拳は使えるかもしれません。
※御城プロジェクト:Reの世界観について知りました。
※地図の後出しに関して『主催もすべて把握できてないから後出ししてる』と考えてます。
※城プロ、鋼の錬金術師、ポケダンのある程度の世界観を把握しました
※ゲンガーと情報交換してます。

【雨宮蓮@ペルソナ5】
[身体]:左翔太郎@仮面ライダーW
[状態]:ダメージ(中)、疲労(極大)、SP消費(中)、体力消耗(大)、怒りと悲しみ(極大)、ぶつけ所の無い悔しさ、メタモンを殺した事への複雑な感情、運転中
[装備]:煙幕@ペルソナ5、T2ジョーカーメモリ+T2サイクロンメモリ+ロストドライバー@仮面ライダーW、三十年式銃剣@ゴールデンカムイ、ハードボイルダー@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品×6、ダブルドライバー@仮面ライダーW、スパイダーショック@仮面ライダーW、新八のメガネ@銀魂、ラーの鏡@ドラゴンクエストシリーズ、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、2つ前の放送時点の参加者配置図(身体)@オリジナル)、耀哉の首輪、ジューダスのメモ、大人用の傘
[思考・状況]基本方針:主催を打倒し、この催しを終わらせる。
1:西側のエリアに向かい、しんのすけや協力出来る一団やと合流する。
2:仲間を集めたい。
3:エボルトは信用した訳ではないが、共闘を受け入れる。
4:今は別行動だが、しんのすけの力になってやりたい。フリーザの宇宙船にいるみたいだ。
5:どうして双葉がボンドルド達の所にいるんだ?助け出さないと。
6:体の持ち主に対して少し申し訳なさを感じている。元の体に戻れたら無茶をした事を謝りたい。
7:ディケイド(JUDO)はまだ倒せていない気がする…。
8:新たなペルソナと仮面ライダー。この力で今度こそ巻き込まれた人を守りたい。
9:推定殺害人数というのは気になるが、ミチルは無害だと思う。
[備考]
※参戦時期については少なくとも心の怪盗団を結成し、既に何人か改心させた後です。フタバパレスまでは攻略済み。
※スキルカード@ペルソナ5を使用した事で、アルセーヌがラクンダを習得しました。
※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。
※翔太郎の記憶から仮面ライダーダブル、仮面ライダージョーカーの知識を得ました。
※ベルベットルームを訪れましたが、再び行けるかは不明です。また悪魔合体や囚人名簿などの利用は一切不可能となっています。
※エボルトとのコープ発生により「道化師」のペルソナ「マガツイザナギ」を獲得しました。燃費は劣悪です。
※しんのすけとのコープ発生により「太陽」のペルソナ「ケツアルカトル」を獲得しました。
※ミチルとのコープ発生により「信念」のペルソナ「ホウオウ」を獲得しました。
※アルフォンスとのコープ発生により「塔」のペルソナ「セト」を獲得しました。スキルは以下の通りです。
・ワンショットキル
・アギダイン
・マハスクカジャ
・火炎ガードキル

218 ◆ytUSxp038U:2023/12/16(土) 19:04:07
以上で修正の投下終了です
何か問題がありましたら連絡をお願い致します

219 ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 22:54:51
決闘ロワの一作目の仮投下をします。

220二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 22:57:23
肉体派おじゃる丸を撤退させることに成功した黒の剣士ことキリトとI ♡ 人類の文字が書かれた黄色いシャツの男こと空は友好的な参加者と接触するべく行動を移そうとしていた。
彼らのいる場所はD-8の孤島に位置する。
逃げられた肉おじゃも元々はこの狐島に立たされていたが、支給品を使って本島に転移されたと想像がつく。
キリトとしては中央部分に人が集まると思い、提案したが、空の案で北東に行くことを決定した。
理由としては地図の方角から端に配置された参加者は移動して、人が集まりやすい場所に行くだろう。
そこで移動して来る参加者を待ち伏せみたいな形で接触するということだ。
勿論、ゲームに乗っている人物と会う危険性もあるものの、空としては中央に集まりすぎて、下手をすれば危険人物同士の乱戦に巻き込まれて命を落とす可能性を考慮し、最初は北東に向かい、参加者と会うことを決めた。
只でさえ、お互いの仲間がいるか不明で、情報もない。
ここは慎重に動くことを決めた。

「空、交渉役はあんたに頼っていいか?」
「任せろ、俺はこういうのに強いからな」

キリトは肉おじゃとの襲撃で相手がチートカードを出されて、終わりかと思った瞬間、空は相手の先を読んで罠を発動させてピンチを乗り切れた。
自分も洞察力はあるけどそこまでではない。
今までに会った仲間の中で空は心理戦に滅法強く、ずば抜けている。
まるで嘘を見抜く能力があると思うくらいに。

(いざという時は俺がしっかりしないと)

だからといって戦闘では空一辺倒にしない。
空は肉弾戦向きではないので、キリトが前線で支えてやらないといけない。

「あのおっさんの襲撃で流れたけど、磯野の放送で言っていたが、俺達は異世界に集められている」
「そんなことがあり得るのか?」
「これは連中が嘘を言っていない。事実だが、俺と白は日本からディス・ボードという世界に召喚された形になったというものあるが、証拠を得たのが、このデュエルカードだ。俺が今いる世界にはこのカードゲームはなかった、キリトもこれのこと知らなかったしな」
「確かに納得だな」

空は無数の世界があると虚言を言う理由がないとして参加者は異世界から集められている結論が出た。
最も空白が単純なゲームで決まる世界に呼ばれたのもあるというのが大きかった。
それでなくても一早く気づくのに時間の問題だ。
肉おじゃの襲撃前にキリトがデュエルカードを知らなかった時点で、他者を納得させる証拠を見つけた。
キリトは元の世界でデュエルという遊びはなく、情報交換でその存在を初めて知った。
パラレルワールドから集められたという最初は信じられなかったが、空の根拠のある説明で素早く理解した。

「空は今いる世界と言ったけど、空は日本に戻るつもりはないのか?」
「日本にはもう未練はない。ディス・ボードに来てから空白にとって合っている世界だから」
「そうか」

空は日本=前の世界では白共々、居場所がなく、亡き両親からも疎まれていた。
生まれる世界を間違えたのではないかと思うほどに。
神によってディス・ボードに召喚されてから人類種(イマニティ)を救う目的は最初は成り行きだったが、十六種族(イクシード)とのゲームを通して、仲間や協力者が出来、本当の居場所を見つけた。

「でも、キリトは違うだろ」
「ああ、俺のいる日本には大切な人や仲間が待っている」

キリトは両親から疎まれていないが、10歳の頃に本当の家族でないことを知って、疑心暗鬼になり、距離を置き、仮想世界に逃避していた。
SAO事件に巻き込まれてから様々な出来事を通して、現実世界と仮想世界は同じで、相手を想う気持ちが大事ということに気づき、大切な人や、仲間、協力者が出来、家族と歩み寄れた。
SAO事件以降も新たな仲間が増えていき、コミュニティーが広がっていったが。

221二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 22:58:36
「キリト彼女いるの!?」
「そうだよ」
「マジか。俺は未だに空童貞十八年で脱却してないのに」
「空もいつかいい人見つかるさ」

彼女がいることに空は羨ましいと思ったのだった。
それから歩きながらお互いのことを語った。
遊戯は違うがゲーマー仲間であること、義理の妹がいること、メタ発言だが、声が似ている等など。
ここに来てキリトと空は共通点が多く、話も合うことに気づいた。

「何というか、似てる部分が少しは多いな」
「共通な話題があるなら、俺達、対等な親友になれそうだ」
「それは・・・・・・気持ちだけ受け取っておく。仲間としてなら一緒に付き合う」

キリトはとある一件で同年代の同性の親友を喪っている。
彼が亡くなったショックで心身ともに甚大な絶望を味わった程。
今では立ち直っているが、喪った心の傷は簡単に拭えない。
心に大きな穴を埋められず、同年代の同性の友人を作ることが出来なくなった。
空はその条件が限りなく近いのもあって、彼には申し訳ない気持ちがいっぱいだ。
でも、彼とは馬が合うのは事実で信頼もしている。

「何があったかは言わんが、困ったことがあるなら力になる」
「分かった」

空は一瞬の間がある時点で「親友」の言葉に何があったのか大体察した。
この場所に巻き込まれる前に悲しい出来事があったのだろう。
それが何かは不明だが、触れるべきではないと判断した。
今後も仲間として、支えるが、仮にキリトから親友になりたいと言うなら、喜んで受け入れる。
最も空は日本で碌に友達がおらず、少し、欲しい気持ちもあった。

その時だった、夜空から見たことがない一人の男が浮かび上がったのは。





「あいつら人の命を何だと思ってるんだ!!」

放送が終わった後、キリトは憤慨していた。
檀黎斗なる新たな主催の一人が現れたと思ったら、本当の神を名乗る葛葉紘汰という男にエルフの容姿をしたツインテールの少女が殺された。
それだけでなく、アプリの配信で小学生くらいの女の子が金髪の男に殺されるグロすぎる悪意ある映像まで見世物にされた。
更にキリトと空は無事だったが、黎斗によって運試しで理不尽に命を奪われただろう人達もいる。
今まで対峙してきた各事件の元凶はおろかあのPoHを超えるほどのどうしようもない奴らだ。
もし、犠牲になった三人の知り合いがいたらどういう心境をしていたか想像は難しくない。

「同感だ。何が神だ、人類を舐めすぎだ」

檀黎斗より、葛葉紘汰のほうが神に相応しいのは一目瞭然だ。
見ている限りでは、お人好しで無謀だったが、正義感が強く、最後まで諦めなかった。
空白を異世界に召喚した、神のテトだって悪意はなく、命を奪い合うゲームを一切提案してない。
それに対し、あのゲームマスターは神を気取る傲慢な男にしか見えない。
空も改めてこのデスゲームの後味の悪さに内心は腹が立って仕方ない。

「とりあえず名簿を見る。仲間がいるかもしれないし」
「そうだな」

222二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:00:26
二人はそれぞれ恋人や仲間が殺し合いに巻き込まれないことを気が気でなかったり、特定の人物がこの場所に来ているか願ったりしながらタブレットを開き、名簿を確認した。

「白すらいないのか」

正直、ステフといづな、ジブリールらはこのゲームにいないことに喜ぶべきだ。同時に、白がいないのは致命的だ。
天才である白がいればどんな確定要素を見つけ出し、ゲームの攻略に近づけていた。
空白が揃わないのは空にとってかなり痛手だ。
白がデスゲームに巻き込まれないことに一瞬だけ安心してしまったので、複雑な気持ちだ。

「俺はいなかったけど、キリトは?」
「何で、何であいつがいるんだ!!」

キリトに声をかけた直後、名簿を見ながらかなり険しい顔をしている。
その様子だと問題のある人物がいるのだろう。

「俺の仲間はいなかった。だが、最悪なことにこのデスゲームに確実に乗る奴がいる」
「誰だ?」
「PoHという奴だ」

アスナやクラインら他の仲間達がこの殺し合いにいないのは安心だ。
しかし、よりによってこのゲームで呼ばれてはいけない男、PoHがいるのは最悪だ。
SAO事件を通して、最悪のレッドプレイヤーで殺人ギルドのラフィン・コフィンのリーダー。
本性は外道以外になく、ラフィン・コフィンと攻略組が煽動され、潰し合わされた。
ラフィン・コフィン討伐戦で姿を現さずに、陰で嘲笑っていた。
その後もUWで姿を現し、ラフィン・コフィン討伐戦と似たやり口で再び惨劇を起こそうとした。

「そんなに腐りきった奴がいるか」
「PoHはあの時、杉の木にしたはずなんだ」

キリトはPoHの末路を語った。
UWでPoHと一騎打ちの末、打ち勝ち、二度と現れないよう大木にしたはずだった。
だからこそ、名簿で名を見つけた際、衝撃を隠せずにいた。
自力で大木から抜け出すのは不可能なのだから。

「それが事実ならハ・デス達は底知れない恐ろしさがあるな」

葛葉紘汰が神から人間に戻したのを考えると杉の大木から解放させる何らかの力があってもおかしくない。
そう思うとハ・デス達の強大さを身に染みた。
その反面、あくまで可能性の話だが、ハ・デスと磯野が何も知らされていない事実を動揺しているのを見る限り、一枚岩ではないのが、低くなく、力で従わせているか、それぞれ違う思惑があるかもしれない。
それに警備或いはセキュリティを頑丈にするのが普通だが、神とはいえ、葛葉紘汰が主催陣営に簡単に乗り込んだ件もおざなりな面があった。

「それと檀黎斗のことだが、勘だが、ヒースクリフって奴と似ているような感じなんだ」

あのデスゲームの主犯だった茅場昌彦ことヒースクリフは天才量子物理学者でゲームデザイナーを担当し、あの事件が起こるまで彼のことを憧れていた。
その後、茅場はヒースクリフとしてSAOでプレイヤーを監視しながら、ある勢力を立ち上げた。
ヒースクリフは旧アインクラッドで本来なら99層クリア後に100層でラスボスとして立ちふさがるはずだったこと。
死後は、仮想空間で観測者として見守るようになった。

『神であり最強のラスボスとしても君臨している私を倒せたら、ゲームクリアということ君たちを元の世界へ帰してやろう』

この発言でヒースクリフと同類だと理解してしまったのだ。
黎斗が本当に挑んで来てもハ・デス達が許容するとは考えにくい。

223二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:01:52
「なるほどな。ヒースクリフが関与してる可能性は?」
「明らかにない。檀黎斗と類似しているが、方針が違う」
「聞く限りだと低いな」

ヒースクリフは事実上の単独犯だったのに対し、檀黎斗はハ・デス達と手を組んでいる。
彼は一切、ルールを捻じ曲げず、フェアだったが、連中はデュエルに関しては改善してくれたが、それ以外はプライドも欠片もない。
そもそも、今のヒースクリフはハ・デス達に協力するとは到底思えなかった。
仮に協力したとしても特に黎斗はあの性格だと反目して、主催陣営は直ぐに空中分解した可能性が高い。

「でも、SAOっていうのを連中が盗んでたら話は別だ」
「確かにあり得なくはない」

黎斗達がSAO事件を技術やNPCの存在の件を含め参考にしたのなら、こんな大規模な殺し合いを準備できたのかもしれない。
あくまで仮説なので何とも言えないが。

「奴らに関しては関係のある人物と接触すれば、後々、分かるだろ。ところでデュエルを確認し直す」

主催の話を切り上げ、空は再度デュエルのルールブックを確認した。
黎斗によるルール改変が起きたが故、説明書に追加した箇所が記載されていないか念入りにチェックしていた。
カードゲーム方式では死なずに済むのは癪だが、ありがたいけど、逆にリアルファイト方式では今まで通り、命の危険性があるのは変わらない。
ついでにシンクロとエクシーズの試運転をし、あっさり使いこなした。
デュエルといえばキリトは殺された小学生くらいの少女に関するある疑問を思い出した。

「あの少女は何故、デッキの使い方を理解していなかったんだ?」
「説明書を記載していないのは考えにくいし、紙束デッキもあり得ないしな」

これについては主催が説明書を配布ミスや紙束デッキをわざと支給したとも思えなかった。
空自身に説明書も配られたお陰で直ぐにルールを把握し、肉おじゃ戦で完璧に使いこなしている。
空が持っている轟惑魔のデッキだって、徹底的に組み込まれている。
黎斗の放送でデッキは『強力なアイテム』と伝え、デュエルディスクとデッキ以外没収され、平等なのが分かるので後者の線も薄い。
となると単純な答えしかない。

「恐らく、本当にルールを理解していないであろう」
「それか使い方を確認する前に金髪の男に襲われた可能性もある」

そうでなければ、考えもなしにモンスターを出さないだろう。
ルールを把握していたら、最善策は正面から戦わずに魔法・罠カードを使って、時間を稼いで逃げるが勝ちだ。
この理由も仮定の一つで真相は永遠に開示しないだろう。
だが、最大の不運は同行者と巡り遭えなかったことだった。
キリトと空があの場にいれば死なずに済んでいたであろう。
デュエルのルールを空から教えを乞う未来があったかもしれない。

デュエルのルールブックアプリを再度、隅々まで全て読んだ空は次の話題に移った。

「危険人物についてだが、俺達が最初に遭遇したおっさんにPoH、女子小学生を殺した金髪の男だな」
「金髪の男はアプリからの配信で情報を手に入れたのが大きいけど・・・・」

キリトは再度、女子小学生が金髪の男に殺される理不尽さに助けることができなかった悔しさしかない。
気の毒ではあるが、金髪の男の情報が入ったのは皮肉としか言いようがない。

「あの金髪の男は参加者の中では上位に位置する存在だ」
「俺も只者ではないのはひしひしと伝わってくる」
「金髪の男に負けるつもりはないが、今はまだ仲間を集めるのが優先だ」

224二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:03:36
金髪の男は槍を使っているとしか、現在はそれしか情報がない。
支給品という勝負を左右する不確定要素もあるので侮れない。
白がいない今、金髪の男のような上位クラスの攻略は時間がかかるだろう。
当たり前だが、ここには白と遜色ない天才がいないのは明白だ。
でも、獣人種(ワービースト)とのゲームでは勝てたのは空白の力があったというのもあるが、仲間や協力者がいたのが大きかった。
このデスゲームでも仲間の存在が鍵になってくる。
白の穴を埋められるか分からないが、人類の可能性を信じている。

「PoHは俺に任せてくれないか。あいつとは俺が決着を付ける」

『何度もお前の前に現れる』という捨て台詞は本当に現実になってしまった。
PoHは確実に自分を狙ってくるし、今頃、誰かを襲い、悲劇を起こさせているだろう。
また自分の前に現れるなら覚悟しないといけない。
今度こそPoHと決着を付けて、長きに渡るラフィン・コフィンの因縁を終わらせる。

「だが、危なくなったら加勢する」
「肝に銘じておく」

これはキリトだけの問題ではない。
いずれ他の参加者にも直面するので、空は釘を刺した。

黎斗の放送が始まる前に遭遇した変なおっさん(肉おじゃ)の戦闘力は可もなく不可もなし。
ただ、誰かと手を組まれたり、時間が経つにつれて、チートカード以外にも装備が充実になり得るかもしれないので油断しない。

「檀黎斗に人質になった少女の関係者も警戒しておかないとな」
「それって・・・・美遊という少女救う為にその関係者が殺し合いに乗る事態か」
「人質がいるのにその関係者を呼ばないのはまず有り得ない」

空は美遊という少女の関係者も巻き込まれていることを放送の時点で確信していた。
キリトは空に明言されるまで考えてなかったが、美遊が人質にされるもう一つの最悪のケースを察した。

「奴らのことだ。ゲームを円滑に進めるために人質を餌にして煽らせているな」
「檀黎斗達がやりそうなことだな」
「勿論、ゲームに乗らずに人質奪還の方針だったら問題はない。万が一、馬鹿なことをしでかす可能性も考慮する」

キリトは主催に対し、苦々しい顔をするしかなかった。
もし、美遊の関係者が本当に殺し合いに乗っていて、対峙してしまったら、説得に成功できるか分からない。
美遊の関係者がこのデスゲームに乗っていないのを願うしかない。

継国縁壱という人物に関して、情報が皆無で余り話題にならなかった。
しかし、空は主催が特別扱いし、何故か嫌な予感がしたのでキリトに最大限の警戒をするよう忠告した。

「と、まあ、俺達が知っている範囲の警戒すべき危険人物だ」

キリトは改めて空の洞察力に驚かされた。
様々な視点や最悪の場合も考えており、彼は抜かりがなく、有能だ。
このデスゲームを打破するには、空の駆け引きが重要になる。

「もう移動しようか」
「そろそろ、狐島から出ないとな」

孤島にはキリトと空しかいないが故に変なおっさん(肉おじゃ)の時みたいに情報交換中に襲撃がないのはよかったと思う。
だが、この島に配置されたが為に出遅れてしまうであろう現状だ。
ここに留まっても事態は好転しないし、何も始まらない。
当初の方針通り、参加者と接触して、仲間を集める。

225二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:05:25
出発する前に二人のゲーマーはそれぞれの思いがある。

(檀黎斗、てめぇは俺が止める)

今のキリトの状態はUWと一緒だ。
痛覚があるのはいつも通りだが、UW同様、血も出るだろう。
それはPoHも言えることで、黎斗に調整を施されたのだと推測する。

黎斗はゲームに対する情熱は本物だ。
黎斗とヒースクリフは類似しているようで違う部分がある。
ヒースクリフは神を名乗らずに、傲慢でもない、なにより、バレた後も逃げずに堂々と自分に勝負を挑んだ。
SAO事件を起こして、かなりの犠牲を出したのは許されるものではない。
それでも、彼には彼なりの追い求めていた理想があったのは確かだった。
間接的に家族と修復する切っ掛けを作っており、彼を恨むことはできなかった。
黎斗はヒースクリフと違い、自称神を名乗り、今も笑いながらどこかで高みの見物をしている。
奴はヒースクリフに遠く及ばない、キリトは主催打倒の挑戦を受ける。

(檀黎斗。あまり、人類を舐めるんじゃねぇ)

空も黎斗に宣戦布告し、このデスゲームの攻略に挑戦を受ける。
黎斗がゲームに対する熱があるのだけは認める。
殺し合いには当然、乗らずに仲間を作り脱出して主催者にゲームを挑む。
神への挑戦はディスボードの世界と同じだが、違うのは黎斗が邪悪な神様気取りのみだ。
今度のゲームは現実の『戦争』で本当に死んだら終わりで今までにやったゲームとは訳が違った。
空白が揃わないのも興味本位か、ビビッて二人参加させるのを恐れているか、或いは別の理由かもしれない。
盟約もなく、都合が悪いとルールを改ざんする連中に絶対に負けない。
白は不在で、少々、手こずるかもしれないけど、それでも我々が勝つ。

「空黒(くうこく)に敗北の二文字はない」
「何だ空黒って言うのは?」
「白がいない今、脱出までの間、俺とキリトは臨時でコンビ名を名乗ろうと考えていた。空は俺の名前そのもので、キリトはイメージカラーが黒だし。勝手に名前を付けるのは駄目だったか?」
「賛成だ。気に入った」

空は主催に対し、宣言を表明する。
平行してコンビ名が決定し、改めて結成する。
二人のゲーマーは仲間を集めるべく歩き出した。

その後、キリト達は海辺に着いたが、海面が広がっており、肝心な島に上陸する方法はあっさりと解決していた。
そこにはいくつかのモーターボートが配置されていた。
主催陣営が孤島からスタートしたが故の救済措置なのは察しがつく。
キリト達が選んだのは高級で木材の美しいほうだ。

「俺はリアルでバイクの免許を取っているからいけなくはないが、空は出来るのか?」
「ゲームで鍛えたから問題ない」
「突っ込み要素はあるが、俺が操縦する」

空は明らかに素人で不安な箇所はあるのでモーターボートの運転はキリトに任せる。
走行中に襲撃されるのを考慮し、その時は仕方なく交代して、キリトが対処し、空は操縦を担当する。
幸い、操縦はご丁寧にマニュアルが用意されており、二人は読んで理解した。

「本島に上陸する前に地図の外を確かめに行く」
「望みは薄いけど、調査しない訳にはいかないもんな」

226二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:07:10
キリトも会場外の水平線の向こう側は気になっていた。
しかし、主催者も対策を立てない程馬鹿ではない、明らかに連中の干渉を受けるだろう。
本島には当然だが、船やモーターボートを配置するはずがない。
リスクはあるが、海の調査ができるのはキリトと空しかいない。

「出発進行」

モーターボートを出航し、会場外へ進路を定めた。
発進した当初は操縦がぎこちなかったが、徐々に慣れていき難なく操縦出来た。

隣には一緒に戦ってくれる元の相棒はいないが、新たな相棒は互いを信頼しているから。

【D-8 海上/一日目/深夜】

【キリト@ソードアート・オンライン(アニメ版) 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:カゲミツG4@ソードアート・オンライン、高級木材のモーターボート@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:ハ・デスと檀黎斗を倒す
1:空と共闘する
2:地図外を調査しに行く。調査後、D-7の本島に上陸する
3:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、念のため美遊の関係者を警戒
4:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
[備考]
※参戦時期はソードアート・オンライン
アリシゼーション War of Underworld終了後
※遊戯王OCGのルールをだいたい把握しました
※アバターはSAO時代の黒の剣士。
GGOアバターに変身することも出来ます。GGOアバターでは《着弾予測円(バレット・サークル) 》及び《弾道予測線(バレッド・ライン) 》が視認可能。
その他のアバターに変身するためには、そのアバターに縁の深い武器が必要です。SAOのアバターのみキリトを象徴するものであるためエリュシデータやダークリパルサー無しでも使用出来ます。SAOアバター時以外は二刀流スキルを発揮出来ません。これらのことはキリトに説明書に記されており、本人も把握済みです
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※空と空黒というコンビ名を結成しました。

【空@ノーゲーム・ノーライフ(アニメ版) 】
[状態]:健康
[装備]:デュエルディスクとデッキ(轟惑魔)@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品
[思考・状態]基本方針:ハ・デスと檀黎斗を倒す。あまり人類ナメるんじゃねぇ
1:キリトと共闘する
2:地図外を調査しに行く。調査後、D-7の本島に上陸する
3:主催者と関係ある人物と接触する
4:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、念のため美遊の関係者を警戒
5:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後
※遊戯王OCGのルール及び轟惑魔デッキの回し方を把握しました
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※キリトと空黒というコンビ名を結成しました。

227 ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:08:32
決闘ロワの一作目の仮投下を終了します。

228 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:32:37
決闘ロワの二作目の仮投下します。

229マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:35:02
「会場の外に出たら起爆。そりゃ、当然か」

空達は地図の外を調査するべく、会場外の直前まで来て見たのはよかった。
このまま脱出が可能か確認するため、会場の外に出た瞬間に首輪の警告が鳴った。
想定内であるが、外からの脱出は不可能でその先に何があるか不明だ。
直ぐに旋回し、このまま当初の目的であるD-7に上陸する。
収穫がない訳でもなく、地図の外の調査報告を他の参加者に共有できるのだから。
空としては海面の中も調べたかったが、まだ夜で暗すぎるのもあるが、絶対に用意されないだろうウェットスーツがなく当然ながら断念。

「案の定、外からの脱出は不可で微妙な成果だ」
「他の人に外の件を伝えるだけでマシだな」

その後、キリト達は無事、北東のD-7に到着した。
途中で襲撃は起きなかったけど、モーターボートを流石に放置はせずにデイパックに仕舞った。
突然、空はある物を思い出した。

「キリト念のためハズレの支給品を見せてくれないか?」

肉おじゃに襲われる前にキリトは唯一のハズレの支給品があると言った。
空の支給品はデュエルディスクとデッキ以外主催に没収されてしまった。
だからこそ、例え、役に立たない物でも意外なとこで活用できると考えている。

「いいけど、この変な古い物だ」
「古代の遺産か」

キリトはデイパックから片方の角が生えた埴輪だった。
余りにも間抜けな面をしたデザインだ。

「お主達は誰だ?」
「喋った!?」
「誰だと言いたいのこっちだ」

すると声が聞こえ、埴輪が喋ったのだ。

「余の名はリリス。5000年も生きている魔族だ」
「俺はキリト、こっちが空だ」
「ってかここはどこだ?状況が分からぬのだ」
「空、如何やら何も知らないみたいだ」
「実はな」

リリスは状況を把握するべく、キリトと空に事情の説明を求めた。
ここは殺し合いに巻き込まれたこと、檀黎斗達によるデスゲーム開始宣言が行われたことなど伝えた。
リリスは最初こそ戸惑いを隠せなかったが、あっさりこの状況を受け入れた。
何故デイパックにいつの間にか入れられた記憶が皆無だ。
如何やら、支給品扱いでも参加者と同様な処置を取るようだ。

「余のぞんざいに扱うとは何事だ!!」
「それはごめん」
「直ぐに起きなかったお前も悪い」

因みにキリトがリリスを放置したのは故意ではない。
殺し合いが始まった直後もあって、慎重すぎていたが故、埴輪を手に取ったが、反応がなかったらしく、即デイパックにしまってしまった。
結局、ずっと熟睡し、2度目で外に出して、ここでようやく起きたのが真相。
キリトも悪気はなかったといえ、全く気づかずに放置した件を謝罪しているに今に至る。
最もリリスも封印が解かれる前も肉叩きやドアストッパーにされて、雑に扱われていたので今に始まったことではないが。

「余は5000年も生きておるのに空は何故、驚かん」
「俺の知る限り、お前以上に長寿がいるんだ。ドヤ顔で自慢されてもな」

230マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:36:47
リリスは自己紹介をした際、長寿であるのをドヤ顔していたのだ。
キリトは驚愕したが、空は一ミリも反応がなかった。

そもそも空は天翼種(フリューゲル)のジブリールは6407歳なのは知っているし、他にも六千年前に起きたらしい大戦にも存命している種族もいることは多少は把握している。
逆にキリトはUWという世界で200年、300年も長生きしている人もいるが、流石に5000年はいないので驚愕した。
古代からずっと生きてきたのは理解しているものの、空にとってはそれと比べると霞んでしまっていた。

「余はいずれ世界を征服する魔族だぞ」
「冗談はよせ」
「あんたは根は悪人じゃないの、分かっている」
「本気だぞ」

キリトと空は短いやり取りでリリスの人柄を既に理解した。
確かに欲に忠実で尊大で、更に言うなら抜けているなど二人は敬う気は全然ない。
本質は悪ぶっているだけで本気で人を平気で傷つける魔族ではないことだ。
例え、しょうもないことで悪い事をしても詰めが甘かったり、自滅が想像するので全く危惧はなかったりする。

「それより、リリスは知っている人はいるのか?」

キリトは名簿をリリスの目の前に置いた。
そこで驚愕しかなかった。

「え!? ほぼ全員集合ではないか!!」

そこには、吉田優子、千代田桃、陽夏木ミカン、吉田良子、吉田清子、小倉しおんの名が載っていた。
シャミ子の友人、佐田杏里はいないのが幸いだ。

リリスはキリトと空に自分の一家の子孫と知り合いの魔法少女、シャミ子の友人がいることを話した。
六人の特徴と全員殺し合いに乗るわけがないことも伝えた。

「あんたの知り合い多いな」
「危険な人物がいるよりはマシかもな」
「シャミ子らが無事であればいいが・・・」

リリスも不安がないと言えば噓になる。
このバトルロワイアルは吉田一家や知り合いが無事でいられる保証はないのだから。
桃、ミカンは自衛出来るが、手に負えない人物とやったらどうなるか分からない。
シャミ子と小倉は持ち前の機転で乗り切ってくれると信じている。
良子は軍師と言える程、頭脳明晰だけど、まだ幼く、誰かに保護しないと危ない。
特に清子は戦える力がなく、心配だ。
不安要素は多々あるが、気が合わなくても死んだら悲しまないわけがない。
六人全員が無事に再会を祈るしかない。

「リリスの知り合い探しを付け加えるとして、リリスには今後の方針と放送後に俺とキリトと出し合った情報量を頭に叩き込んでおけ」

現在、これから参加者と接触し、そのために北東に行って、捜索すること。
主催の謎の目的に関する仮説や危険人物の詳細情報など伝達した。

「お主、良子以上に優秀かもな」

良子も頭の回転は速いが、下手すると空はそれを超えるほどの有能な人物だ。
あくまで推測だが、空は参加者の中で優秀な頭脳なら間違いなく三本の指に入るだろう。
全然、参加者と出会っておらず、今は確信できないが。

231マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:38:15
「しかし、魔法少女と魔族がいる世界か」
「平行世界とは檀黎斗とやらも大胆だな」

リリスも最初こそ参加者は異世界から集められたと空から聞き、半信半疑だったが、デュエルカードを説明し、リリスも元の世界にこのカードゲームを知らない時点でパラレルワールドの存在を理解した。
空達はリリスのいる世界を聞き、大体、把握している。

「如何にも争いが起きそうなんだが・・・」
「安心しろ。今は穏健派な魔法少女が大半を占めていて、余らも無害なまぞくも多いし、お主らが思っている程、争いはない。」
「それなら、よかった」

キリトはUWで起きた人界と暗黒界との戦争を連想していた。
リリスが闇の一族、光の一族のことを聞かされて、異界大戦の二の舞が起きた可能性を心配していたが、何事もないみたいで安心している。
多摩市の人々は優しさに溢れているらしいので平和が一番だと思った。
リリスに全て事情を話したキリトと空は再出発をした。





「誰も会わないではないか」

再度移動を始めたが、あれから参加者と接触出来ずにいた。
C-6に来ては見たけど、人っ子一人見当たらない。
リリスが捜しているシャミ子達すら遭遇していない。
空は何も進展がないのではと一瞬、考え出すくらいに。

その時、音が聞こえて、遠くに1台の車が走っていた。

「あっちに車が走っているぞ」
「やっと人と会えるのか」
「接触するが、車にいるのがゲームに乗っていない人とは限らないぞ」
「分かっている」

遠いが、十分な距離もあり、キリトは警戒しながら車に向けて手を振った。
しかし、気づく気配はなく、段々と遠ざかっていた。
これで車に乗っている人は危険人物ではないのは明白だが、同時にキリト達がいるのに明らかに周りを確認していない様子だ。
キリトは走り出し駆けようとしていた。

「もういいキリト、無駄な体力を使うな」
「そう、だな。追いかけても見失うだけだな」
「手を振ったのに分からんとかとんだ愚か者だ」

キリトは追いかけかけたが、空に静止されて、冷静になった。
空とリリスは車にいる者に大いに失望していた。
並行して空は何者かに意図的に避けていると推測しているが、証拠が弱い部分も多く、断定は出来なかった。

もし、車に乗っていた主こと冴島鋼牙と柊ねむが彼らに気づいていたら当然、車を止めて接触していただろう。
否、鋼牙はともかく、ねむは車の窓を眺めキリト達を目撃したが、直感からキリト達と接触したらねむにとって死活問題になると感じていた。
危惧する通り、空はねむの隠している本質を時間がかからずに見破っていたかもしれない。
空達は魔戒騎士の情報を得て、主催にいる黒い騎士に関する考察をしていただろう。
だが、鋼牙は一瞬で周囲の確認を怠る大きなミスをし、キリト達の接触を逃してしまった。
後の遭遇する二人とゲーマーの二人を加えた六人で二人のマーダーと戦う未来があった。
全部IFの世界で時間を戻すことはあり得ないのだから。

232マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:39:58
車を追うのを断念した後、それから参加者の捜索をC-6からC-7に移っていた。
C-7を隈なく捜し回っているが、この付近も見つからず仕舞いだ。

「この辺りも誰もいないか」

車に無視される形になってから、巡り合わせもなく、収穫もない。
リリスはげんなりしつつあった。
でも、端っこにいる可能性もあるので捜さない訳にもいかない。
少し、歩いたら建物を発見した。
それは空の知っている建物だからだ。

「エルキア大図書館が何である?」
「知っておるのか」
「今いる世界のイマニティの図書館だ」

忘れる訳がない。
元々は人類種(イマニティ)の所有物だったが、昔、天翼種(フリューゲル)にゲームに負けて奪われてしまった。
後に空白の具象化しりとりというゲームに勝って、所有権を取り戻したが。
以降は情報を得たい時はこの図書館に寄っている。
空はエルキア大図書館を見つけたことにより、新たに方針が思い浮かんだ。

「キリト、リリス寄り道してしまうが、俺は図書館を調べたい。もしかしたら、手掛かりが残っているかもな」

可能性は高くないが、何かしら情報があるなら調べておく必要がある。
この会場の全体の仕掛けや秘密、主催の情報等、断片的でも残っているなら見逃さない。
中の構造も本物かそれも見ないといけない。

「その前に参加者の捜索が優先だな」
「だな。捜索後は図書館に寄る。リリスもそれでいいな?」
「仕方ない、お主の見知った場所だし、道草に付き合ってやろう。」
「決まりだな」


空はエルキア大図書館を見つけた際、もう一つのプランを考えていた。
それはエルキア大図書館に6,7人(支給品扱いは除く)くらい集まったら二手に分かれるというもの。
大人数で動かずに固まっていると情報収集にどうしても遅れが生じてしまう。
エルキア大図書館を調べても手掛かりがないなら時間が短縮するが、有力な情報を得たら長時間かかり、話が別になる。
特にリリスみたいに知り合いがいる場合、早く合流させてあげたい気持ちもある。
参加者を捜索する組と図書館に残って情報を集める組に分けて、効率よくするということだ。
前者は西か中央辺りで捜索させ、後者の空を含む居残り組は図書館の調査終了後にD-6の近場の島に向かう。

だが、5人以下の場合は固まるしかない。
一般人やサポート系が何人かいて、別行動するとどうしても戦力が偏ってしまう。
万が一、金髪の男みたいな上位クラスの力を持った者や手を組んでいる連中が来ると対処が難しくなる。
集まらなかったら知り合いがいる人には申し訳ないが、我慢して貰う。
デメリットは上記の通り、情報収集の出遅れだ。
あの車の面子がこちらに気づいていれば仲間にして、負担を減らせたかもしれなかったと残念すぎた。
どっちにしろD-6の近場の島に行くのは変わらない。

少なくとも一回目の放送前後にはエルキア大図書館を調べ始める。
この案は北東で参加者の捜索後、キリト達に話す。
友好的な参加者と接触できた場合、一気に話したほうが早い。


空達はエルキア大図書館を一時、後にし、まだ人がいるかもしれない近辺の捜索を再開した。

233マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:42:14
【C-7 国立エルキア大図書館付近/一日目/黎明】

【キリト@ソードアート・オンライン(アニメ版) 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:カゲミツG4@ソードアート・オンライン、ごせん像@まちカドまぞく
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:ハ・デスと檀黎斗を倒す
1:空と共闘する
2:北東で参加者を捜す
3:2の後、エルキア大図書館に寄り、調べる
4:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、念のため美遊の関係者を警戒
5:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
[備考]
※参戦時期はソードアート・オンライン
アリシゼーション War of Underworld終了後
※遊戯王OCGのルールをだいたい把握しました
※アバターはSAO時代の黒の剣士。
GGOアバターに変身することも出来ます。GGOアバターでは《着弾予測円(バレッド・サークル) 》及び《弾道予測戦(バレッド・ライン) 》が視認可能。
その他のアバターに変身するためには、そのアバターに縁の深い武器が必要です。SAOのアバターのみキリトを象徴するものであるためエリュシデータやダークリバルサー無しでも使用出来ます。SAOアバター時以外は二刀流スキルを発揮出来ません。これらのことはキリトに説明書に記されており、本人も把握済みです。
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※空と空黒というコンビ名を結成しました。

【空@ノーゲーム・ノーライフ(アニメ版) 】
[状態]:健康
[装備]:デュエルディスクとデッキ(轟惑魔)@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、高級木材のモーターボート@現実
[思考・状況]基本方針:ハ・デスと檀黎斗を倒す。あまり人類ナメるんじゃねぇ
1:キリトと共闘する
2:北東で参加者を捜す
3:2の後、エルキア大図書館に寄り、調べる。二手に別れるかは人数と戦力状況による
4:主催者と関係ある人物と接触する
5:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、念のため美遊の関係者を警戒
6:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後
※遊戯王OCGのルール及び轟惑魔デッキの回し方を把握しました。
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※キリトと空黒というコンビ名を結成しました。

【キリト、空の地図外についての共通認識】
・マップの端に出たら首輪による警告音が鳴り、それでも留まったら起爆する。
・水平線の向こう側の外側は現状不明。

【ごせん像@まちカドまぞく】
キリトに支給
リリスが封印されている依り代。
封印前はシャミ子しか聞けなかったが、封印が一部解除されてからはシャミ子以外にも声を届けることができた。
参戦時期は原作4巻(アニメ2期)終了後。

『施設紹介』
【国立エルキア大図書館】
イマニティが所有する図書館
館内にはたくさんの本が置かれており、知識が豊富である。
地下にも本があり、そこで具象化しりとりゲームが行われた。

234マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:43:04
二作目の仮投下を終了します

235 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 23:53:47
決闘ロワの二作目の仮投下の>>231>>232を修正します。

236マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 23:55:44
「しかし、魔法少女と魔族がいる世界か」
「平行世界とは檀黎斗とやらも大胆だな」

リリスも最初こそ参加者は異世界から集められたと空から聞き、半信半疑だったが、デュエルカードを説明し、リリスも元の世界にこのカードゲームを知らない時点でパラレルワールドの存在を理解した。
空達はリリスのいる世界を聞き、大体、把握している。

「如何にも争いが起きそうなんだが・・・」
「安心しろ。今は穏健派な魔法少女が大半を占めていて、余らも無害なまぞくも多いし、お主らが思っている程、争いはない。」
「それなら、よかった」

キリトはUWで起きた人界と暗黒界との戦争を連想していた。
リリスが闇の一族、光の一族のことを聞かされて、異界大戦の二の舞が起きた可能性を心配していたが、何事もないみたいで安心している。
多摩市の人々は優しさに溢れているらしいので平和が一番だと思った。
リリスに全て事情を話したキリトと空は再出発をした。





「誰も会わないではないか」

再度移動を始めたが、あれから参加者と接触出来ずにいた。
C-6に来ては見たけど、人っ子一人見当たらない。
リリスが捜しているシャミ子達すら遭遇していない。
空は何も進展がないのではと一瞬、考え出すくらいに。

その時、遥か遠くに1台の車が走っていた。

「あっちに車が走っているぞ」
「やっと人と会えるのか」
「あの様子だと余らと余りにも離れすぎておる」
「そんな」

一台の車を見かけた時には地平線を見るように遥か先に距離が開きすぎており、真っ直ぐに向かって即見えなくなってしまった。
間に合わなかった事実に三人(内一人は支給品扱い)は大いに落胆した。
キリト達から見ると車は後ろ姿で止めに四km以上も離れていたのが大きな不運だ。
だが、キリトは走り出し駆けようとしていた。

「もういいキリト、無駄な体力を使うな」
「そう、だな。追いかけても見失うだけだな」
「余もこれは仕方ない」

キリトは追いかけかけたが、空に静止されて、冷静になった。
空は危惧していたが、狐島に配置されるデメリットは参加者の接触を逃し、出遅れることだ。
接触を逃し続けると情報面で不利になり、最悪、全滅であろう。
あの車とは生きていれば再会出来るだろうし、キリト達は次に切り替えた。

もし、あの車にいた面々、冴島鋼牙と柊ねむの近くか隣のエリアに配置されていれば簡単に接触して出遅れることはなかっただろう。
今回ばかりは最悪のタイミングでアンラックを呼んでしまった。
もしも、キリト達は鋼牙達と接触に成功し、その際、空はねむの隠していた本質を時間が掛からずに見破り、敵対する理由がないとして、空の交渉力でやちよ達と共闘するよう持ち込むことは可能だったであろう。
そして、主催にいる漆黒の騎士についての考察もしていただろう。
後の遭遇する二人とゲーマーの二人を加えた六人で二人のマーダーと戦う未来があった。
全部IFの世界で時間を戻すことはあり得ないのだから。

237マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 23:57:59
車を追うのを断念した後、それから参加者の捜索をC-6からC-7に移っていた。
C-7を隈なく捜し回っているが、この付近も見つからず仕舞いだ。

「この辺りも誰もいないか」

車に無視される形になってから、巡り合わせもなく、収穫もない。
リリスはげんなりしつつあった。
でも、端っこにいる可能性もあるので捜さない訳にもいかない。
少し、歩いたら建物を発見した。
それは空の知っている建物だからだ。

「エルキア大図書館が何である?」
「知っておるのか」
「今いる世界のイマニティの図書館だ」

忘れる訳がない。
元々は人類種(イマニティ)の所有物だったが、昔、天翼種(フリューゲル)にゲームに負けて奪われてしまった。
後に空白の具象化しりとりというゲームに勝って、所有権を取り戻したが。
以降は情報を得たい時はこの図書館に寄っている。
空はエルキア大図書館を見つけたことにより、新たに方針が思い浮かんだ。

「キリト、リリス寄り道してしまうが、俺は図書館を調べたい。もしかしたら、手掛かりが残っているかもな」

可能性は高くないが、何かしら情報があるなら調べておく必要がある。
この会場の全体の仕掛けや秘密、主催の情報等、断片的でも残っているなら見逃さない。
中の構造も本物かそれも見ないといけない。

「その前に参加者の捜索が優先だな」
「だな。捜索後は図書館に寄る。リリスもそれでいいな?」
「仕方ない、お主の見知った場所だし、道草に付き合ってやろう。」
「決まりだな」


空はエルキア大図書館を見つけた際、もう一つのプランを考えていた。
それはエルキア大図書館に6,7人(支給品扱いは除く)くらい集まったら二手に分かれるというもの。
大人数で動かずに固まっていると情報収集にどうしても遅れが生じてしまう。
エルキア大図書館を調べても手掛かりがないなら時間が短縮するが、有力な情報を得たら長時間かかり、話が別になる。
特にリリスみたいに知り合いがいる場合、早く合流させてあげたい気持ちもある。
参加者を捜索する組と図書館に残って情報を集める組に分けて、効率よくするということだ。
前者は西か中央辺りで捜索させ、後者の空を含む居残り組は図書館の調査終了後にD-6の近場の島に向かう。

だが、5人以下の場合は固まるしかない。
一般人やサポート系が何人かいて、別行動するとどうしても戦力が偏ってしまう。
万が一、金髪の男みたいな上位クラスの力を持った者や手を組んでいる連中が来ると対処が難しくなる。
集まらなかったら知り合いがいる人には申し訳ないが、我慢して貰う。
デメリットは上記の通り、情報収集の出遅れだ。
あの車の面子と接触に成功出来ていたら仲間にして、負担を減らせたかもしれなかったかもしれない。
どっちにしろD-6の近場の島に行くのは変わらない。

少なくとも一回目の放送前後にはエルキア大図書館を調べ始める。
この案は北東で参加者の捜索後、キリト達に話す。
友好的な参加者と接触できた場合、一気に話したほうが早い。


空達はエルキア大図書館を一時、後にし、まだ人がいるかもしれない近辺の捜索を再開した。

238 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 23:59:23
決闘ロワ二作目の仮投下の修正は終了します。

239 ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:42:00
決闘ロワの三作目を仮投下します。

240Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:47:45
PoHは月の邂逅後、狐島からわざわざ泳いで脱出した。
月を絶望させて上機嫌になっていたが、今は何とも言えない気分になっていた。

「しんどいぜ」

原因は月を追ってG-2の本島から狐島へ泳いで往復したことだ。
そもそも本来、PoHのスタート地点は本島の某所の街である。
獲物を探す為に地図だと5マス分わざわざ南西へと大きく移動した。
月を発見したのはいいが、どういう訳か狐島という安全とは言い難い場所に行ってしまったのだ。
月を追跡する為に行かざるを得なくなった。
下半身が濡れたがそれは問題ではない。
往復する形で泳いだのが面倒臭かったのだ。
月を絶望させていなかったらテンションが下がったかもしれない。

気分を変えて一時、南西から離れて新たな行き先を決めていた。
地図の中央に向かう予定だ。
それに南西で狩りを始めたら逆に月が自分を追って来る可能性もある。
直ぐに月と再会するのは簡単だけど、それではつまらない。
別の方角に向かうことにする。
しばらくしてから南西に行くかは保留にしておこう。

移動しようとした矢先に突然、金色のカブトムシがPoHの周りに宙を舞う。

「俺を選んでくれたな」

そう言うとデイパックからブレスレットを取り出し、右腕に巻き付けた。
この言葉を指していたのは金色の昆虫メカことカブティックゼクターだ。

「ちょいと、実験してみるか」

カブティックゼクターはブレスレットに鎮座した。
先程、交戦した男と同じ掛け声を口にした。

「変身」
『HEN-SHIN』
『CHANGE BEETLE』

PoHの全身が装甲に覆われていく。
その姿は上半身も三又の角も黄金で王様を思わせるような感じだ。
右肩にはショルダーアーマーが装備されている。

その名は仮面ライダーコーカサス。
秘密機関ZECTが別世界線にて開発したコーカサスオオカブト型のマスクドライダーシステムだ。

実はPoHの最後の支給品がとても有力な物があった。
見せしめで殺された葛葉紘汰が言っていた仮面ライダーという変身アイテムだ。
いい物を当てたと思いきや簡単にカブティックゼクターに選ばれなかった。
宝の持ち腐れだと思った。この時までは。

でも、カブティックゼクターはPoHが資格者に相応しいか内密に見極めていた。
そして、月との戦闘を観察して今、カブティックゼクターに認められたに至る。

「システムは異なっているが、悪くねぇな」

241Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:51:01
仮面ライダーに変身出来た途端、気分を取り戻した。
紘汰と月とは変身アイテムの形状は違うが興味深かった。

「あれを試すか」

最初にコーカサスの説明書を確認し、頭の片隅に置いておくだけだった。
あれの効果を試すなら丁度良かった。

「クロックアップ」
『CLOCK UP』

すると物凄い速度で移動を始めた。
それはクロックアップという能力だ。
これに変身した時のみ流れてくるタキオン粒子を操作し、超高速移動が出来るらしい。
常人では目視出来ない速さを上回る。
効果を試したら思っていた以上だ。

思うように移動している最中だった......

『CLOCK OVER』

何故か急にクロックアップが解除されたのだ。
PoHはその答えを直ぐに理解する。

「無敵じゃねぇのを知っただけでも充分だ」

この能力は強力だが、過信しないほうが身のためだ。
連発も不可なのは確認出来た。
決める時に決めないといけない。

変身を解除した後、地図を見るとクロックアップのお陰でF-3の南側に移動していた。
狩りでもないのにクロックアップを使用したのは月を撒くのが目的であくまで実験段階。
ここまで来れば月と直ぐに再会はしないだろう。
この会場の中央へと歩き出した。

PoHは知る由もないが、無惨と滅がこの付近に滞在していた。
運がいいのか悪いのか定かではないが、PoHは戦闘音を聞くことも彼らに遭遇するもなかった。
彼はそのことに一切、気づくことはなかった。





橋を渡り終えたPoHは歩みを進める。
そんな中PoHは思考を纏めている。
月を追うのに夢中でそれ所ではなく後回しにしていた。

(そういや閃光は来てねぇな。なら、あいつと一緒にいる仲間に変更するか)

新たな考えが浮かび上がった。
キリトの愛人アスナと言う女がいないのは残念だが、いなくても充分だ。
奴は今頃、このデスゲームに乗らずに仲間を作っているのだろう。
アスナの代わりに今の同行者或いは現在の相棒をターゲットにして、目の前で殺し、キリトを追い詰める。
そして、キリトを最高の愛情を持って殺す。

242Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:52:42
(あの神様気取りが反故にするなら.......)

PoHが危惧しているのは、最後の一人として生き残っても、主催が渋って、最終的には自分も始末する最悪の事態だ。
諸事情でPoHは韓国系の犯罪組織に拾われて、いくつもの汚れ仕事をしてきた。
故に長年、裏の世界で暗殺者としての勘からそう考えた。
ハ・デスと磯野がいい例かもしれない。
仮に自分にも殺しに掛かるなら、主催も皆殺しに含める。

(まあいい、その時になれば分かるさ)

今はこのバトルロワイアルを愉しもう。
狩りはまだまだ始まったばかりだ。
序盤でこれについて考えるのは今はまだいい。
何れにせよ最悪も想定しておこう。

気を取り直しPoHは新たな狩り場を求めて歩き続ける。

一つだけこの時点のPoHには預かり知らぬのがある。
それは心意システムである。
想いの力があれば色々な事象を発動できる。
それが歪んだ想いや憎悪だろうと関係ない。
扇動の心意も問題なく引き起こせるのにPoH自身は知らない。

あれからかなり時間が経過し、誰とも遭遇せずに進展はない。
地図の中央辺りに来ても見られずにいた。

その矢先、向こうで戦闘音が聞こえた。

「お待ちかねの狩りの時間だな」

PoHは戦闘音がした方向へ走って行った。





結論から言ってPoHは気配を隠して様子見を決めた。
ようやく狩りの時間に在り付けると思ったら、遠目にてある存在に気づけたのだ。
自称神様が紹介したレッドプレイヤーがこの場にいてそれ所ではない。
ぱんだ荘に隠れて継国縁壱の実力を確認することにした。

縁壱と相対するのが五人の日本人だ。
まず、あの集団の中で一番強いのは軍服の男だ。
相当な手馴れで血盟騎士団に入ってもおかしくない実力だ。
剣捌きも中々やるみたいだ。

次にマシなのは黒服の陰キャラのような男だ。
場数を踏んでいるのもあって悪くない。
遠目で発見した際は同じ黒のせいでキリトと危なく間違いかけたのは内緒。
仮にキリトがいたら静観せずに飛び出していただろう。

女三人ははっきり言って論外。
恐らく、月同様、支給品で補って強化しただけだろう。
ズブの素人で全体の足を引っ張っている印象だ。
本気でやれば一人ずつ二秒も掛からずに終わる。

243Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:54:33
肝心な侍の実力はどんでもなかった。
無駄な動きと隙を見せる気配がない。
軍服の男が優勢になったと思いきやそれをあっさり跳ね除けた。
主催が用意しただけある。

(あんなバケモンに隙なんてあんのか?)

余りにも強すぎて見たことないが、アインクラッドの百層のフロアボスと遜色ないと考えた。
この序盤で手を出すべきではないと決断した。
あの侍は全参加者からラスボスとして無視出来なくなる。
攻略する方法を見つけるまで放置で良いだろう。

(つまみ食いしても罰は当たらねえよな)

PoHは見ていることしか出来ない黒服の男と女三人に視線を向けていた。
軍服の男と侍が戦闘中に四人を狩りの時間にする。
月との邂逅以降、参加者との接触がなかった。
扇動させる火種もなさそうなので、ちょうどコーカサスの性能を試す実験台にしよう。
クロックアップ以外にもスペックを把握するにはいい機会だ。
狩りの最中に先に軍服の男が負けたら直ぐに逃走するのを忘れない。

ここでウエイトレスの女が何らかのカードを取り出した。
これは自分が使用したカードと同類だ。
連中に動きを見せた。
そして、カードを掲げた。

(させねえよ)

邪魔をするべく動き出そうと・・・・・・


すると不快な笑い声がした途端にウエイトレスの女が殺された。
笑い声の正体は道化師のような和風装束の男だ。
ウエイトレスの女を殺った下手人は小学生くらいの女だ。
突然の乱入によってPoHは静観を延長する。
あの様子だと手を組んでいると即理解する。

黒服の男が突撃したら、リンボと言う陰陽師によって呆気なく叩き潰された。
如何やらあの陰陽師は流石に侍程ではないが、只者ではない。
未来のPoHなら後にある組織の上司になるガブリエル・ミラーに匹敵或いはそれ以上と評しただろう。

オレンジ髪の女が剣で斬りかかる途端、女子高生が乱入し、一蹴した。
盗み聞きした会話で最上と言う女子高生も手を組んでいるらしい。
この女も月とは比べ物にならない程の邪悪で容赦なくウサギを虐殺した。

(こいつは傑作だ。あのメスガキ狂ってるな)

PoHは今でも笑いを堪えている。
角が生えた赤髪の女と良子と呼んでいるメスガキは何と姉妹らしい。
何でも姉の為に殺し合いに乗って、残らせるべく手を汚したそうだ。
参謀と自称したことから嘗て自分が立ちあげた組織ラフィン・コフィンの幹部ジョニー・ブラックと同じ立ち位置だと考えた。
ラフコフと攻略組よる惨劇と同じくらい面白い物を見れて満足だ。

244Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:56:16
(あいつら終わったな)

どう考えても自分が手を出さなくても終了だ。
どんなフィナーレを飾るか楽しみにした時だった。

(あれは)

別の二人の日本人がこの戦場に乱入し、オレンジの髪の女を助けたのだ。
ヒーローは遅れて到着する。お手本のような場面だ。
それを見たPoHは面白くなかった。
しかもマゼンタ色の仮面ライダーと剣士の女は強い。

『という展開はまたいずれ。此処はこれにて御免』

あの台詞から撤退するつもりらしい。
PoHももう離れるつもりでいた。
この場に残っても意味がなくそれどころか次に自分が侍の標的にされるであろう。
キリトも現れる気配はなくこの場にいる連中に聞けなかったのは残念だ。
それに陰陽師達に用がある。
空飛ぶ絨毯で飛び去って行くと同時に人知れずにぱんだ荘から離れて行き、絨毯を追いかける。





「面白くなって来たじゃねえか」

PoHは走り続けていた。
陰陽師達に接触する為に。
それは彼らと一時休戦をして、手を組むのが目的だ。

PoHはこのデスゲームで大分認識を改めざるを得ない。
最初に遭遇したのが月であるが故に若干余裕があると思えた。
しかし、自称神が用意したレッドプレイヤーの実力を始め陰陽師一味や乱入した実力のある偽善者のアジア人によって兜の尾を締めさせてくれた。
この場は終始、静観を徹底したお陰で単体では遅れを取る気は毛頭ないが、組んだら面倒だと知っただけでも儲け物だ。

最初はラフィン・コフィンのような集団を結成しようと考えた。
陰陽師一味の有力さと陰陽師にほんの少しだけ興味を持ったことで気が変わったのだ。
あの集団は陰陽師がリーダー格だが、女子高生のほうが冷静に見える。
四人の日本人を横取り行為は頂けなかったが、代わりに面白い物を見れたのでなかったことにする。

あの陰陽師は明らかに自分と似た本質だと気づいたから。
他人の本質を見抜き矜持、信念等を平気で踏みにじみ愉悦を感じる所は共感出来る。
奴の邪悪さは下手すれば自分を超えているだろう。
信用は一切、出来ないが同じ同類として、一時休戦を申し込んで損はしないはずだ。
陰陽師は直感だが、恐らく、人間でないだろう。
殺し合いに乗っている日本人と手を組むのは反吐が出るが、ラフコフの構成員みたいに利用尽くして最終的に捨てれば問題ない。
勿論、断られる可能性もあるので迎撃と撤退の準備も怠らずに慎重に交渉する。
仮に交渉に成功しても全員が利用し合う関係で利害一致しただけに過ぎず、自分に憧れていた馬鹿ばかりのラフコフの構成員とは違う点だ。
同行するにしろ別で行動するにしろ用心もする。

理由はまだある。陰陽師一味と手を組めたらキリトを殺させない為と遭遇する確率を上げる為。
いくらキリトといえども陰陽師一味相手に多勢に無勢で一溜まりもないかもしれない。
その為には釘を刺しておくが、約束を保証する可能性は低いだろう。特に陰陽師は。

245Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:58:01
それにしても繰り返すが手を組めたらメスガキの姉をレッドプレイヤー側にさせるのも面白そうだ。
先程はいい物を見れたけど、手を組めたらそれはそれ、これはこれだ。
姉妹共々後戻り出来ない方向に行かせるのも悪くない考えだ。
その役目は陰陽師に任せても構わない。
奴もどうせ同じことを考えているであろう。

(さて、連中の方向は――――だ)

遥か彼方へ行った絨毯に乗っている陰陽師一味を追っている最中だ。
連中の行き先を把握出来たのは一足早くあの場から離れた判断力と前方を見れたのもあるが、一番は飛んでいると目立っていたお陰で行き先を完全に特定した。
後は飛行し続けると目立つのでそう遠くに行かないだろうと推測する。
PoHはこの交渉を吉と出るか凶と出るかはまだ誰にも分からない。


【E-5/一日目/早朝】

【PoH@ソードアート・オンライン】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン、カブティックゼクター(コーカサス)+ライダーブレス@仮面ライダーカブト、シフトチェンジ(現在使用不可)@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本:この決闘を楽しむ。
1:陰陽師一味に接触して、一時休戦&手を組むのを交渉する。
2:あのアジア人(月)は今後どうなるやら。楽しみだ。
3:この剣でキリトだけなくその相棒或いは同行者も殺す。
4:アジア人は優先的に殺すか扇動していく。
5:手を組めた場合はメスガキ(良子)の姉(シャミ子)をレッドプレイヤー側にさせるのも悪くない考えだ。
6:主催も皆殺しにするのも視野に入れる。
[備考]
※参戦時期はラフィン・コフィン討伐戦より後です。
※コーカサスの資格者に選ばれました。
※アニメ版で披露した扇動の心意は問題なく作用します。


※リンボ一派の方向先を把握しました。詳細は後続の書き手にお任せします。


【カブティックゼクター(コーカサス)+ライダーブレス@仮面ライダーカブト】
PoHに支給
マスクドライダーシステムの一つ。
資格者が変身ツールのブレスレット型のライダーブレスを装着する。
コーカサスオオカブト型メカのカブティックゼクターを資格者が装備することでコーカサスに変身する。

246 ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:59:14
決闘ロワ三作目の仮投下を終了します。

247 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:11:34
前半部分のみ先こちらへ投下します

248 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:12:21
一つの争いが終わればまた新しい争いが始まる。
一人が死ねば二人目の死者が必ず現れる。
なれど、再び争いが起こるまでには一時の静寂が訪れる。
それは奇妙な運命に導かれた、あるスタンド使いが始めた殺し合いでも同じ。

今宵語られるは次の舞台が整うまでの繋ぎ。
或いは、決して断ち切ることのできない因縁の物語。





幸運と言って良いのだろう。
魔法のじゅうたんで戦場を去ってから、これといったトラブルにはぶつからなかった。
道中またしても面倒な輩に目を付けられる事態も考えていたが、嬉しいことに取り越し苦労で済んだ。
神様もお情けくらいは掛けてくれるらしい。
皮肉気な笑みを隠さずに独り言ち、エボルトは地面へ降りる。
目的地であるフリーザの宇宙船まではまだ遠い。
近くに設置された聖都大学附属病院は禁止エリア内で、立ち寄るのは不可能。
にも関わらず移動を中断したのは、ここまで自分達を運んだ道具が原因。

「こりゃ無理か」

橋を渡って草原を進み、いざ山を経由の段階まで来たは良い。
問題は魔法のじゅうたんではこれ以上進めないこと。
飛行する際の高度が低いせいで、木々が聳え立つエリアを追い越して移動が出来ない。
速度が出せる為平地での移動にこそ役立てるものの、欠点が無いわけでもなかった。
下手に低空飛行で突っ切って木に引っ掛かり破けるとなり、使える道具を一つ失いたいとも思わない。
よって、ここからは徒歩で行くしかないだろう。

249 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:13:07
「ったく、アイドルに肉体労働させるなんざ気が利かねぇな」

愚痴を零しつつトランスチームガンを取り出す。
ボトルをセットし、手早くブラッドスタークに変身完了。
電子音声と火花が散る音が鳴っても起きない相棒を担ぎ、山中へと足を踏み入れる。
変身後の身体能力なら蓮を運んでの移動も、生身より体力を使わずに済む。
ブラッドスタークの機能なら、敵襲にも賊座に対処可能。
変身しない理由を探す方が大変だ。

舗装などされていない山道を駆ける。
オリンピック選手など目でない速度を出しながらも、足音は一切聞こえない。
ブラッドスタークには直線戦闘のみならず、暗殺にも向いた機能が複数搭載されている。
音を立てず、標的の背後へ一気に接近可能なバトルシューズもその一つ。
高機能なセンサーを持つ仮面ライダーならまだしも、生身の人間相手なら存在を気取らせないくらい容易い。

木々の間から時折こちらを覗き見る星々には一切関心を抱かず、黙々と進む。
やがて進行方向に変化が訪れた。
代り映えのしない緑の檻の中にポツンと建つ、木造の一軒家。
どこをどう見ても自然に作られるものではない。

(確か……ああ、竈門家だったか?)

地図に載っていた施設の中に、そんな名前があったのを思い出す。
ジューダス達が戦った痣の少年が同じ姓なのは放送で知った。
ということはここは竈門炭治郎の住まいか。
我が家まで巻き込まれてご愁傷さまと、欠片も同情の籠っていない謝罪を口にし近付く。
動体反応は検知されない。
赤外線センサーを起動し調べても、確認出来たのは無人の空間のみ。
問題無いと分かり、遠慮なく上がり込む。

250 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:13:51
『戸の開け方も知らない奴が来たのかねぇ…』

破壊された入り口を見やり眉を顰める。
余程切羽詰まって、戸を開ける時間も惜しいとばかりに飛び込んだのか。
誰がやったにしろ何とも野蛮だ。
続けて目に飛び込んだのは、物言わぬ何者かの頭部。
生前の顔はおろか、性別すらも判別不能の惨い有様だ。
大方首輪を手に入れてから泣き別れした頭を放置、そんなところだろうと興味無く結論付ける。
まさか街で別れた魔術師の体とは思わず奥へと移動。
やはり人どころか虫の一匹も見当たらない。
担いだ相棒を畳の上に寝かせ、変身を解き一息つく。

「ま、ちょいと休憩しても罰は当たらないだろ」

ダグバとの戦闘直後は他の殺し合いに乗った参加者との接触を避けるのもあって、すぐにあの場を離れた。
魔法のじゅうたんとブラッドスタークでの移動で大分距離を離し、多少は体力回復の時間に充てられる。
戦兎やしんのすけに会うのが遅れるのは避けられない。
しかし流石に自分も蓮も消耗が激しい。
ディケイドを始め敵対する参加者との交戦を考えれば、コンディションに気を遣うのは間違っていない。

腰を下ろしだらしなく姿勢を崩す。
相棒は寝たきり、体の持ち主もダグバの一件で相当憔悴してるのか咎める様子はない。
壁にもたれかかりぼんやり室内を眺める。
電気製品の類は一切置かれておらず、明かりと言ったら少し開けた障子戸から入り込む月の光くらい。
古き良きとは言っても古過ぎやしないだろうか。
少しの間休めれば良いので贅沢を言う気は無いが、施設を設置するにしても現代らしい民家では駄目だったのかと思わなくもない。

デイパックを開けコンビニ弁当を取り出す。
失われた体力を取り戻すにはとにかく体を休ませ、食べるしかない。
デミグラスソースがたっぷりかけられたオムライスを口に運ぶ。
疲れ過ぎていると逆に食欲も湧かないのか、咀嚼が酷く億劫だ。
水で無理やり流し込みながら完食。
ルブランのカレーに比べれば決して良いとは言えない食事を終え、ぼんやり天井を見上げること十数分。
ふと思い出したようにもう一度デイパックに手を伸ばした。

251 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:14:28
「……」

指に引っ掛けた参加者共通の拘束具(アクセサリー)を眺める。
アルフォンスによると、錬金術で解除を試みたが失敗したらしい。
何でも錬金術そのものは発動したが、首輪への錬成は無効化された。
聞いた内容を思い出しながら、指先にブラッド族のエネルギーを収束。
攻撃手段として敵に放つ威力と範囲優先とは違い、此度は首輪をピンポイントで狙えるよう調整。
自分の能力なのだから、これくらいの操作は難しくない。
レーザー状に放たれた一筋の光は室内を赤く照らし、首輪を貫き――

「やっぱり、そうなるよなぁ…」

納得いったとばかりに頷き、無傷の首輪を見やる。
レーザー状のエネルギーは首輪に当たった瞬間に消えた、というよりは吸収された。
不可思議な現象に驚きは無い、エボルトにとってはむしろ予想通りの結果。

薄々おかしいとは思っていた。
ディケイドやオリジナル態に放ったエネルギー波は今の比でないくらいに広範囲。
全身にダメージが行き渡るよう放ったのだから、当然首輪にもエネルギー波が当たったに決まっている。
だというのに、首輪への衝撃でオリジナル態達の頭部が吹き飛ぶ事態は起きていない。

奇妙な例はまだある。
エボルトが手に持つ首輪の装着者、名簿に累の母と記載された女を殺した自称ヒーロー。
アーマージャックはしんのすけが放った特大のエネルギーとの撃ち合いに負け、相当な傷を負ったと蓮から聞いた。
実際、トドメを刺した時のアーマージャックは満身創痍と言って良い程の姿だったのは覚えてる。
だがそんなダメージを与えるレベルのエネルギーなら、首輪が衝撃に耐え切れず爆発する方が自然ではないか。
現実にはアーマージャックの首輪に何らかの破損は見られなかった。

そして今しがた行った実験。
これらの結果からエボルトは一つの仮説を立てる。

252 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:16:19
(こいつにはエネルギーの吸収装置か何かが仕組まれてる、ってとこか?それも自分への被害だけを綺麗に吸い取る、そんな仕掛けが)

何故破壊されてもおかしくないエネルギー波が直撃しても無傷なのか。
恐らくは首輪にエネルギーが接触すると、それを吸収し無効化する仕掛けが施されている。
無効化と言っても恩恵に与れるのはあくまで首輪のみであって、装着された参加者の肉体には影響がない。
放送前のオリジナル態との戦闘を例に出すと、首輪周辺のエネルギー波だけが吸収、他はそのままオリジナル態の肉体を痛め付けた。
深く考えなくても当たり前の話だ。
もし首輪が参加者へのエネルギー攻撃を無効化するなら、殺し合いの進行にいらぬ枷を付けたに等しい。

錬金術に関して詳しくは聞いていない。
とはいえ発動の際に何らかのエネルギーが発生するのであれば、立てた仮説の通りだ。
錬成エネルギー(仮)が首輪の装置で吸収され、錬金術による干渉が無効化された。

「で、何でそんな装置を付けた?」

推察が正しいとして、次に生まれる疑問。
何故主催者は首輪にエネルギー吸収の仕組みを施したのか。
アルフォンスが錬金術で首輪を無効化するのを防ぐ為?
それは分かる、首輪への錬成対策として見事に役割を果たしている。
しかしだ、アルフォンス曰く参加させられている中で知り合いはバリーと、変則的な途中参加を果たしたグリードの二名。
どちらも錬金術師では無い。
たった一人の能力への対策をするくらいなら、そもそもアルフォンスを参加させなければ良いだろうに。
余程千翼とかいう体で暴れ回って欲しかったのだろうか。
どうにも読めない主催者の狙いに、天井へ向ける視線が鋭さを増す。

253 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:17:06
「…………狙いが違うのか?」

吸収装置を首輪に付けた理由はアルフォンスの対策。
が、若しかすると錬金術に関しては副産物に過ぎないのではとの考えがよぎった。
錬成エネルギーやブラッド族のエネルギーではない、主催者が本当に集めたかったものが別に存在する。
別のナニカの吸収がそもそもの目的であって、錬成エネルギーの吸収は都合良く使われたおまけ。
首輪の役目とは、殺し合いで発生した何らかのエネルギーを回収し主催者の元へ集める装置。
その何らかのエネルギーこそ、『亀でありカメラ』の黒幕の狙いなんじゃあないか。

全ては推測だ、確実にそうとは言えない。
自分がとんだ的外れなことを考えている可能性とて、否定はできない。
なれどもしこの考えが正しいならば。
複数の並行世界を巻き込んでまで殺し合いを開き、そうまでして欲するエネルギーが実在すると言うのなら。
主催者を始末し、そのエネルギーを我が物にできれば――。

「…まぁ、まずは自分の首輪とおさらばしてからが先だがなァ」

考えが正しいにしろ違うにしろ、首輪を外したいのは同じ。
アルフォンスが言っていた通り、錬金術に頼らない昔ながらの方法。
工具を使った分解で何とかするしか無く、エボルトの知る限り可能な知識と技術の持ち主は戦兎だけ。
早急に会いたいところだが今どこにいるのやら。
とりあえず、もう少し休んでおくかと欠伸を一つ漏らし、

「……」

侵入者の気配を感じ取った。

254 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:18:26
投下終了です
首輪について

※首輪にはエネルギーを吸収する装置があり、錬成エネルギーやブラッド族のエネルギー波などが当たっても吸収される。
※主催者はこの装置を使い殺し合いの会場で発生する何らかのエネルギー(差異エネルギー)を回収している。

以上をエボルトの考察として出しました
これらが◆5IjCIYVjCc氏の構想と食い違ったりなど問題があれば該当箇所を削除しますので、お手数をおかけしますが連絡をお願いします

255 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:04:34
これは、可能性の物語





「おやおやおやおや」

無数のモニターへ映し出される光景に、普段の口癖も心なしか弾んでいる。
有り得ぬ邂逅、有り得ぬ戦闘、有り得ぬ悲劇、有り得ぬ死。
五感へ送られる全ての情報が予想外。
ヒーロー番組に見入る子供のように、一秒たりとも見逃すまいと画面へ食い付く。

「随分嬉しそうだねぇ。僕らにも君達にも想定外の事態だって言うのに」
「だからこそですよ。これ程に興味深いデータが取れるとは…いやはや、年甲斐も無く胸が躍ってしまいます。

仮面の下で一体どんな笑みを浮かべているのやら。
紅白髪を揺らす女の呆れも意に介さず、黎明卿の視線はモニターに固定されたまま。

矢に選ばれたスタンド使いも、混沌と闇の化身も予想だにしなかった、新たな殺し合いを。

256 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:05:11
【アイドル×ギターヒーロー】


「あばばばななあぎゃああああああ!!!」
「ひっ、ひぃっ……!」

唐突な事態に大崎甜花は後退る。
彼女の目の前にはおさげ髪の少女、後藤ひとりが泡を吹いて倒れていた。
出会った当初こそお互いおっかなびっくりだったものの、ぽつぽつと会話を続けそこそこ花を咲かせていたのに。
お互いアイドルとバンドをやっていると話し、何と無しにこう言った直後だ。

『あと……配信とかも、偶にやったり……」
『あ、そうなんで――え?』

甜花は気付かなかったが、この時ひとりの脳内へ電気のように映像が駆け巡った。
アイドルの配信、しかも見た目は喜多郁代と同じような陽キャの美少女。
視聴者数も再生回数もとんでもない、そんな中コメント同士でこんな会話が繰り広げられる。

『やっぱギターヒーローより甜花ちゃんだよな!』
『それなwwww甜花ちゃんかわゆすwww』
『ギターヒーローとか秒で忘れたわww』

ネガティブ全開の妄想で勝手にダメージを受け、あっという間に気絶。
何が何やら分からない甜花を更に困惑させるように、ひとりが素早く起き上がる。

「あー…ひとりちゃんが驚かせちまったな」

気まずそうに頬を掻く少女の顔には、クッキリと傷痕が浮かんでいた。

257 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:05:55
【殺人鬼×妖】


美少女同士の交流と、知らない者が見たらそう口にする光景があった。

「お互い災難な目に遭ったね斗和子さん」
「はい、まさかまた殺し合いに巻き込まれるなんて…」
「ああ…おっと、そこは窪みになってるから気を付けた方が良い」

エスコートするように自然に手を引き、安心させる笑みを作る。
しかし視線が向かう先は相手の顔では無く握った手。
細くて白い、芸術品と見紛う美しさ。
冷え性なのか女性にしては冷たい、それもまた吉良吉影を興奮させる一つのスパイス。
失った男性器の代わりに、女性器から熱い蜜が溢れ出る。

(今は落ち着け…機会が来たらその時は……)

新たな恋人が手に入る瞬間を想像し、心の中でほくそ笑む。
そんな殺人鬼を見つめる少女の瞳は、墨をぶち撒けたようにドス黒く染まっていた。

258 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:06:32
【刺青囚人×裏切り者】


「ニャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

絶叫と共にキャルは逃げ出した。
涙と鼻水を垂れ流し、ニャオハの顔は子供の落書きのよう。
尤も、今のキャルにそのようなものを気にしてられる余裕は髪の毛一本ほども無い。
逃げなければ、少しでも『アイツ』から離れなければ――

「待って下さああああああいっ!逃げないで!恐がらなくても大丈夫だから!」

一体どの口で大丈夫などと言うのか分からない変質者。
可愛らしい顔と純白の翼が台無しに思える、大蛇の如きペニスをそそり立たせた天使。
キャルを見付けるや否やスパッツを脱ぎ捨て、鬼ごっこが始まったという訳である。
捕まったらどうなるかは考えるまでも無い

「ニャン!ニャニャーン!ニャアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!(ユ゛ウ゛キ゛ィ゛〜!!コ゛ロ゛助゛〜!!ペ゛コ゛リ゛〜ヌ゛〜!!誰かだじゅげでええええええええええええええええっ!!!!)」

259 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:07:44
【帝王×吸血鬼&退治人】


ゴクリと唾を飲む音が異様に大きく聞こえた。
目の前にいるのは長身の青年。
さぞや女性受けするだろう爽やかなマスクの持ち主。
だが本能が強く訴える、こいつは決して紳士然としたハンサムボーイなんかじゃあない。
もっとおぞましい、決して相容れない“悪”であると。

「つーわけだドラ公。後は任せた」
「なにがつーわけなのかねアホルドくん!?最初のシリアスな出だしを無視し過ぎだろ!」
「るっせぇ!良いからやれって!お前今はムカつくメスガキだけど、強さは元のクソ雑魚とは比べ物にならねえんだしよ」
「だからと言って…おい押すな押すな!幼女の背に隠れて押し出すな!ビジュアルの良さが台無しになってるぞ!?」
「ふっ、良く聞けドラルク。あんなヤバそうな相手と殺り合って、この顔に傷でも付いてみろ。イケメンが台無しになるってのはそれだけで罪なんだぜ?」

緊張感の無い漫才を繰り広げる二人組を、DIOは冷めた目で見据える。
男の方は正直どうでも良いが、もう一人の幼女は違う。
人間の体となっても分かる、元の自分と同じ強大な力を秘めた夜の種族だ。
利用か排除か、いずれにせよまずは話をせねば始まらない。

全てはこのDIOが完全勝利を収める為に。

260 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:08:18
【亡霊×悪鬼】


「しっかしまぁ、とんでもねぇなその体」

顎を擦りながら呟く志々雄真実の瞳が映すのは、規格外のサイズを誇る男性器。
自分の体である柱の男を知った時も驚いたが、今の驚きは下手をすればそれ以上だ。
まさか人間では有り得ぬ巨根を持ち、あまつさえソレを剣として振るうとは。
世界は広いとつくづく思い知らされる。

「それはこちらも同じだ…よもや…鬼以外にも化生の類がいたとは…」
「俺からすりゃ、その鬼ってのも十分驚きなんだがな。ま、そこは深く考えなくても良いだろうよ」
「同感だ…肉体が何であれ…我らがやる事はただ一つ…」

機械仕掛けの剣を構え、獰猛に笑う志々雄へ黒死牟も笑い返す。
敵は強い、肉体の力もさることながら真に脅威なのは剣の腕。
黒死牟をして見事と言う他ない剣術の持ち主、相手にとって不足は無し。

幕末の亡霊と上弦の壱、剣に生きた怪物達の宴はまだ始まったばかり。

261 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:09:02
【ヒーロー×ヒーロー】


怒りを乗せて振るわれた剣を、舌打ち交じりに躱す。
武器はあるのに打ち合いができない。
元の肉体以上の耐久力があるのに避けるしかない。
なにせ敵の攻撃は強度を無視して死を届かせる、万物両断の魔剣。
全く持って腹立たしいが、今の自分でさえ殺され兼ねないのだ。

「ちょこまかするな悪党め!」
「テメェこそ鬱陶しいんだよコスプレ野郎!」

罵倒を叩きつけ合う二人の男。
句楽兼人とアーマージャックが敵意を剥き出し殺し合うのに時間は掛からなかった。
互いに我こそがヒーロー、他の紛い物は必要無しと考える傲慢が服を着て歩いているような男達だ。
ヒーローになりたかった医者、力への不安から暴走した風来坊。
彼らの魂を陵辱するに等しい暴力を振るい、唾を飛ばして喚き散らす。
目の前の偽ヒーローは必ず殺すと。

「ぶっ殺してやる…!」

距離を取って両腕にエネルギーを集中。
怪獣を倒した光線技発動の予兆に、句楽も決着を急ぐべきと決断。
撃たれる前に斬れば良い、吸血鬼の身体能力を駆使し急接近を果たす。

勝者がどちらになろうと、ヒーローとは程遠い災厄なのは同じだ。

262 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:10:10
【城娘×戦争狂】


何故と問うた少女へ、超人はくつくつと笑みを零し答えを返す。
戦争が好きだから、と。

「私の方からも問おう、お嬢さん。君は何を以て闘争に臨む?
 ブリテンが誇る英雄の居城、騎士物語とは名ばかりの愛憎と裏切りに満ちた没落劇の舞台よ」

血のように赤く光る瞳がキャメロットを捉える。
人では無い機械仕掛けの目、なれどそこに宿るは機械にはない純然たる人の狂気。
信念は無いのか、誇りはないのかと問い質せばきっとこう答えるだろう。
あるとも、それらを秘めて私は戦争をするのだと。
決して相容れないし理解も出来ない、だがこの男にとって譲れぬものがそこに秘められているならば。

「私は、物語を守る騎士として剣を振るいます」

全霊を以て打ち倒すまで。

263 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:11:05
【星狩り×歌姫】


「で?いい加減答えは決まったか?」
「っ……!」
「おいおいまさか、あれだけ考える時間をくれてやったのに分かりませんなんて言う気じゃないよな?」

蛇に巻き付かれたみたいに気持ち悪い。
飄々と言葉を紡ぐ女へ返す言葉が思い付かず、ウタに出来たのは俯き唇を噛み締めることだけ。

体を奪われた、殺し合いに巻き込まれた。
不運の連鎖はこれだけでは終わらない、むしろ今ウタに降りかかった事態こそが最大の不幸かもしれない。
目の前でケラケラ笑う一人の女。
吐き出す言葉を毒に変えてこちらを蝕む、蛇の如き怪人物に遭ってしまったのが運の尽き。

「お前が嫌だって言うのは勝手だ。だが――」
「分かってるよ……」

逃げ出せば良い、全部放り投げればどんなに楽なことか。
だけど出来ない、出来る筈がない、そんなことは許されない。
救世主という立場が、根付いた祝福(呪い)がウタを逃がさないのだから。

「そんなの…アンタに言われなくたって…!」
「なら話は簡単だろ?」

ヘラリと嗤い蛇は歌姫の手を取る。
全ては己の目的を果たす、それだけの為に。

星狩りの怪物は再び救世主(ヒーロー)を創造(ビルド)する。

264 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:11:57
【無能力者×悪魔】


「何なんだ…お前は何がしたい……?」
「カカカ!そう硬くならずにスマイル、スマイル」

警戒と困惑をふんだんに籠めた視線も意味を為さない。
とびっきりの美少女に微笑まれ、柊ナナは歯噛みする。
何故、どうしてこうなったと繰り返し問い掛けたとて、望む答えは返って来ないだろう。

殺し合い、危険過ぎる能力者の体、そして目の前の少女。
ロトムちゃんと呼ばれたカメラを回す姿は、悪質な配信者に見えなくも無い。
だがナナの直感が告げて来る。
これを前に僅かでも気を緩めるのは間違いだと。

「さてさて皆様盛り上がってますし、ここらでタイトルをドーン!と出しましょうか。
 んんー、そのまんまな気もしますがここはやっぱり――」



『CHANGE ROYALE×SIN CHANGE ROYALE』

265 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:16:53
【魔術師×なんか小さくてかわいいやつ】


「美味しい?」
「ン…!」

ほっぺたが落ちる程に美味い。
そんな喩えが思い浮かぶ程に満面の笑みで、少女はむちゃうまプリンなる菓子を口に運ぶ。
整った顔立ちもあって、まるで小動物のような愛らしさを遠坂凛は感じた。
少々おかしな方へと向かいつつある思考を戻し、改めて状況を整理すべく話しかける。

「それで…アンタの方も伊地知さんと気が付いたらここにいたのよね?」
『ああ。君の方も殺し合いを強制されたのは同じなんだな」

カタカタと柄を鳴らす剣との会話を続けるも、現状を解決できそうな情報は無い。
難しい顔で黙り込むジャガイモ頭の少年に、むちゃうまプリンを少女は差し出す。
金髪のサイドポニーを揺らし心配そうに覗き込まれ、凛は思わず呆れ笑いを浮かべた。

「食べたいとかじゃないけど…もらっておくわ。ありがとね」
「エヘヘ…」

体は5歳児でも、これでは自分の方が保護者みたいだ。







4月1日START


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