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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章
167
:
Interlude
◆5WH73DXszU
:2019/06/16(日) 07:50:34
【タクティカル・スキマティック(Ⅰ) ――チープ・トリック――】
所謂ハイエンド・コンテンツが“実装時点ではクリア不可能”な形式で実装される事は珍しくない。
何故ならば――それは、不可逆的な資源の消費によって生成された、一つの集大成だからだ。
ここで言う資源とは労働力/人件費の事ではない――それらの消費は不可逆ではない。
不可逆な資源とは――キャラクター/ロケーション/ストーリー等の事を指す。
慣れ親しまれた登場人物/積み重ねた伏線/描き上げた壮大な世界観。
それらを生贄に――ハイエンド・コンテンツは召喚される。
「……つまり飢えたゲーマー如きが、小腹を満たす為に食い散らかしていいような代物じゃないのです。
同時実装されたガチャ限スペルとユニットを揃えて、レベルマにして、漸くスタートライン。
それが出来ない連中は、レベルキャップが解放されるまでは参加権すらないのです」
「なるほど……それが、俺をこんな小汚い監獄に誘拐した理由か」
「軽口を叩かない事です。この会話のログは全て保存されているのです。
我々運営はあなたとそのチームが、例のコンテンツをクリアした事を疑問視してるのです。
例え重課金規模のガチャを回していたとしても、あなた達のクリアタイムは我々の想定外なのです」
「それで?タネ明かしをしてくれって?アクションログくらいサーバーに残ってるだろ」
「ログを精査し、そこからあなた達の利用したバグ、グリッチを逆算する。
勿論、それもこのインタビューと並行して進めているのです。ですが時間が惜しいのです。
最新コンテンツを封鎖してのバグフィクスなど、運営の恥。さっさと自白すれば、アカウント停止処分だけは――」
「ちょっと待て……バグ利用だと?」
「例のコンテンツは完璧だったのです。攻略に必要な総ダメージ量と、総ダメージ軽減量。
既存のカード、ユニットをどう組み合わせようと、それらの釣り合いは決して取れない。
そのように設計されていたのです。さあ、吐くのです。あなた達が利用したバグの――」
「いいか、一度しか言わないぜ――そのような事実は、ない。
ただ俺の方が、あんた達よりも知恵が回った。それだけだ」
「ログの精査が終われば、あなたの自白には何の価値もなくなるのですよ?」
「……分かったよ。そこまで言うなら、いい機会だ……少し、自慢話に付き合ってもらおうか。
俺達の編み出した攻略法は、本当は誰にも明かすつもりはなかったんだが――
あんたは多分、これを口外にはしない……いや、出来ないだろうしな」
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