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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第二章

158 ??? ◇jTxzZlBhXo :2019/01/29(火) 21:44:36
アルメリア王国領内、とある廃墟にて。

――遥か古の時代。
人と魔が誇りと名誉と、一つの聖地をかけて争った“天門戦争”と呼ばれる戦いに於いて、その廃墟は最前線を守護する要害として機能していた。
城を取り囲む高い城壁は、数え切れないほどの傷を受けて尚健在であり、跳ね橋へと続く荘厳な城門を見れば、兵士たちの活気で賑わうかつての姿が目に浮かぶようであった。
――しかし、そんな砦も今は昔。
すっかり朽ち果て、民衆からも忘れ去られたこの場所は、現在では人ならざる者たちが根城とする魔窟と化していた。

そして、その廃墟の中庭で一人、夜空を見上げながら立ち尽くす少年の姿があった。
年の頃は十代後半くらいだろうか。肩ほどまで伸びたブロンドの髪は絹のように美しく、前髪の隙間から覗く青い瞳は、切れ長で意志の強さを感じさせる。
一見すると性別が分からないほど中性的でありながら、されど彼の容貌は、世の女性が思わず振り返らずにはいられないくらい整っていた。
そんな少年が黒いローブを纏い、月明かりの下でワーグナーを口ずさむ姿は、まるで童話の一節を切り取ったかのように幻想的であった。

「また、ここに居たのか。ミハエル・シュヴァルツァー」

ふと、少年の背後から一人の男が現れて声を掛ける。

その男は、魔族だった。
体格は3メートルを優に越えるほど大柄であり、鍛え抜かれた全身には漆黒の甲冑を身に着け、同色の外套を肩から羽織っている。
彼の屈強な肉体や、そこから醸し出される威厳を見れば、男が尋常な存在でないことは一目で分かるだろう。

「ノスタルジー……とでも言えばいいのかな。この場所から空を見てると、遠い故郷を思い出すんだよ」

魔族の男からミハエルと呼ばれた少年は、口元に微笑を携えながらそう答える。

「〈悪魔の種子(デーモンシード)〉で目覚めさせたタイラントが、件の連中に討ち取られたようだ。まだ完全体ではなかったといえど……どうやら貴様の言う通り、奴らに対する認識を改める必要があるらしいな」

男が発した言葉に対し、ミハエルは特に驚いた様子もなく、ただ軽く肩をすくめて見せた。

「まあ、秘密兵器の実験は上手くいったみたいで良かったじゃないか。……彼らのところには、次は僕が行くよ。君たちもそのために、僕をこんな場所まで呼んだのだろう?」

ミハエルは人差し指でくるくると前髪を弄びながら、相変わらず子供のように邪気のない笑顔を浮かべて返答する。
そんな彼の答えに満足したのか、魔族の男は無言でミハエルの姿を一瞥すると、そのまま踵を返して立ち去ってしまった。
男の後ろ姿が消えていったのを見送り、ミハエルはわざとらしくもう一度肩をすくめた後、懐から何かを取り出す。

ミハエルの右手には“ブレイブ”と呼ばれる少年たちと同じく――“魔法の板”が握られていた。


この廃墟から望む夜空には、二つの天体が浮かんでいる。

一つは、まるで鮮血で染まったかのように、紅い燐光を放つ月。
そしてもう一つは、蒼い輝きで空を満たす――水の惑星。


第二章「古の守護者」





【第二章完結!
 このまま次章の冒頭文を投下しますので、もう少々お待ちください】


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