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幕間

25名無しさん (ワッチョイ 7c33-2ee7):2020/09/30(水) 23:46:23 ID:vGthCQwc00
「……あのですね……先ずはその、お金持ちならプライベートビーチくらいあるでしょうというような……。
 ステレオタイプのお金持ちのイメージを止めなさい」

「え、持ってないんですか!? 大金持ちなのに!?」

「ありますが」

「あるんだ」

瀬平戸に根を張り巡らす権力者である藤宮の資産の中には瀬平戸の土地が幾つも存在する。
その中に確かに、所謂プライベートビーチというものがあるのは確かだった……ただし日本の法律では厳密には個人が所有出来るビーチはない。
そこに続くための道中をすべて所有することによって、アクセスを制限し、それによって成立するというものとなる。
グイグイと藤宮の腕を引っ張って空腹を訴えるゲームマスター(瀬平戸)と、それを引っ張るゲームマスター(瀬平戸)。
それをこの世の物で無い何かでも直視するように、死んだ瞳で見つめる此花。

「……まあ、いいでしょう。あまり納得は行きませんが……」

「本当ですか、やったぁ! やりましたね、此花さん!」

「う、うん……! 皆にも教えてあげないとね……」

然し、何にせよ藤宮自信が負い目があるのは事実であった。
仕方なくではあるが、手に入れた了承に、ひよりと此花が向かい合って喜んだ。
その二人を、長身の藤宮が見下ろしている。


「――――――――ただし、一つ条件があります」


一瞬で空気が凍り付くような感覚。黒百合の支配者。冷徹なる執行者。その姿を、ひよりの脳裏に今一度思い起こさせる。
思わず、二人共に息を呑んだ……聞こえてくるのは、透明の少女二人組の争う声だけであった。



「私達も行きます」


「本気ですか?」


かくして、黒百合学院生徒会長藤宮明花と、ゲームマスター×2の参戦が決定される。
大丈夫なんだろうかこれ。此花立夏は、自分の思わぬ発言によって動く物語に、今更ながら責任と行き先への恐怖心を抱いた。



「ところで、水着とか持ってるんですか?」

「え、あ……学校の……」

「……此花さんの水着を買うのも、手伝ってあげてください」


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