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短編 ウルトラマンショーの舞台裏

1名無しの作家さん:2018/01/24(水) 21:14:12 ID:sHJhqcqc
文章力のなさはご了承ください

2名無しの作家さん:2018/01/24(水) 21:15:17 ID:sHJhqcqc
住宅展示場での話。

二部あるウルトラマンのショーの一部が終わり、ウルトラマンも怪獣も同じテントに引き揚げてきた。

ウルトラマンは怪獣のファスナーを下ろし、中から女性が出てくる。
長年この仕事をしている女性アクター。
女性アクターは怪獣の着ぐるみを脱ぐと、ウルトラマン達のファスナーを次々に下ろしていき、私のところへやってきた。

「どうする?」
ファスナーを開けるかどう聞いてきたのだ。
女性は私と女性アクターの二人だけ、後は男性。
私はバイトで何度かショーに参加していたが、アクションの少ないウルトラの母をすることが多かった。
時々怪獣もあったのだが。

この日もウルトラの母でショーに出演したが、男性と違いスッピンで着ぐるみを脱ぐと髪がボサボサになるので、そのまま着ぐるみを着ていることが多かった。
だから、背中のファスナーを開けるか聞かれたのだ。

冬の住宅展示場で、屋外にテントが設置されていたこともあり、着ぐるみを着ていても寒いぐらいである。

アクションをした男性アクター達の上半身はTシャツ一枚と見ているこっちが寒くなる。
私は自分のロングのダウンコートを着て首元までファスナーを閉めた。

男性アクター達は着替えを済ませると、昼食のためテントを出て行った。
皆、私が着ぐるみを脱ぐのを嫌がり、休憩中寝ていることを知っていたからだ。

先程まで賑やかにパチンコや競馬の話をしていた男性アクター達がいなくなり、テントの中が静まり返る。
テントの外では子ども達のはしゃぐ声が聞こえる。
私は近くにあった段ボールを地面に敷くと、その上に横になる。
少し寒いので使っていないウルトラマンの着ぐるみを羽織って。

ウルトラの母の着ぐるみは私を包み込んで眠りへと誘う。

3名無しの作家さん:2018/01/24(水) 21:16:42 ID:sHJhqcqc
どれくらい寝たかは定かではないが、近くで話し声がする。
夢見心地で周りの声に耳を傾けていた。
男性アクター達が戻ってきたはのかと思ったが、どうも違う。
それに頭の後ろの方がスースーする感じ。
「女だよ、髪長いもん!」

ハッとして体を起こすと、子どもが二人テントに入ってきていた。
しかも頭のてっぺんまで閉めていたファスナーが開けられて、少し湿った髪が外に出ている。
起き上がると子ども達は怪獣でもいたかのようにテントを走って出ていく。

「コラァ、なにしとんじゃあ!」
思わず方言で怒鳴ってしまった。
子ども達を追いかけてテントを出たところには一人の男性が立っていた。
子ども達はその男性の後ろから顔だけ出してこちらを見ている。

男性の顔を見ると知り合い「あ!岡山」と言いかけ口を押さえる。
すぐに方向転換しテントに引き返そうとした時、長い髪が開けられたファスナーから飛び出した。

「すみません、甥っ子達が」言葉が追いかけてくる。
私と岡山は大学の友人で、最近気になり出した存在。
顔を見られた訳ではないが、恥ずかしく急いでテントへ戻ろうとした時、「待って、大河内」と言って肩に手をかけられた。

ドキッとして固まってしまう。
岡山は「ゴメンね」と言って着ぐるみから飛び出した髪をまとめてファスナーを閉めてくれた。

背中越しに「なんで?」と質問すると、「ダウンあまり見ない色だから、それに長く綺麗な髪と香水」
それに「岡山って言うから」

私は思わず笑ってしまった。
岡山も。

「昼からもがんばれよ!応援してる」
今度は言葉を発せず、手だけ振った。


おしまい


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