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ここだけ能力者達の物語投下所part1

20名無しさん:2018/10/06(土) 21:57:50
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空いた手が金髪を掻き毟る。思い通りにいかず癇癪を起こす子供の様に。
歪んだ顔に浮かぶのは怒りだけではない。身を焼き尽くさんばかりの自責の念、後悔の波、終わらない疑問。それらが一緒くたになったものだ。
「───何でお前は、あの時オレを赦したんだ……!」
力無く膝を付き項垂れる。顔を掴んでいた手は高さが変わった事により、少年の両肩を掴んだ。

「──────君には君の……」
「それはもう聴いた、やめろ! その口を閉じろ!オレを憐れむのを止めろ!オレを赦すのを止めろ!
 お前の両腕をへし折った男をいつもみたいにからかうのを止めろ!お前の武器を砕いた男の身を案じるのを止めろ!お前の……お前の首を潰して血の泡に沈めた男を、これ以上気遣うのはやめろ!」
絞り出す様な叫び。それは最早怒号ではなく嘆願だ。
何故、何故こいつは袂を分かった自分の事を案じたのか。あの日以来、三橋翼にとってはそれが一番の苦痛だというのに。

「あの時……。信じていた筈の友達を殺して、あの学校を捨てて逃げたオレ達を、お前とその仲間は追ってきた。
 だから殺した。お前にとっては取るに足らない任務だっただろうが、オレにとっては生き延びる為に必要な行動だった!」
「怒れ!罵れ!理不尽にお前の同行者を殺したオレを恨め!
 死体も埋めずにお前をあの燃える村に棄てて行ったオレを呪え!」

最早人影は無い。土下座するかの様に蹲り、今にも泣き出しそうな声で三橋は叫び続ける
彼を覆うのは暗闇のみ。己を責め続ける髑髏も、視界の端から引きずり込もうと伸ばしてくるミイラの如き亡者の手も無い、塗り潰した様な暗闇。
「オレを…、オレを赦さないでくれ……。 それすらも叶わないのなら──────」


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