したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

テストロールスレッド

16アウラ・Y・ミューリライネン:2015/09/01(火) 00:55:14 ID:aBJGlet20
>>14
それは正しく狂気であった。それが最初のどんな感情を以てして翳されたのかは、今となっては知る由も無かった。
だが、今ではそれは狂気だった。狂気へと変質した、ただの狂気であった。滅びた今も、世界に食い込み続ける呪い以外の何物でもなかった。
一人のフィンランド人の少女は、その炎に焼かれて息絶えた。最早その狂気に抵抗する事も出来ず―――――――― しかし、それはきっと幸運だったのだろう。
掲げるハカリスティは幸運の証であり。それは少女を、救った。危うく、千切れかけた糸を、ほんの僅かな部分で留まらせた。……確かに、それは繋がれていた。

「……う、ぁあ」

その少女は、確かに一度死んでいた。けれどもフィンランドの英雄がその命を繋ぎとめた。三つの旗の下に戦った、一人の英雄の聖遺物が、少女を救った。
顔の右半分が焼け爛れていた。白かった服はボロボロに焼け焦げて、下に見える肌も酷い火傷を負っていた。だが、そこに致命傷となりうる傷は存在しなかった。
否……再生、されていた。ほんの僅か、命を繋ぎとめるだけの再生。立ち上がる事は出来ないが、生きることは出来るだけの。
右眼の視力は失っていて、左眼を細めて転がる死体を見つめた。血だまりの中に倒れた男は、アウラの手を握り締めたまま死んでいた。
剣は突き刺さっている。この聖遺物を抉り出そうとしたのだろうが、よくもその状態でそこまで出来たものだと、アウラは関心すらしてしまった。
聖遺物がそこにあるのは、見えていた。だがそれを回収するのは、余りにも恐ろしかった。それに触れたらどうなるか……自分も、それに呪われるのではないか。

「……と、に、かく……こ、こから……離れ……スオミの……回収……を……」

ずるり、ずるりと身体を引き摺ってその場から脱する事にした。
ソビエト・ロシアの聖遺物……ロシア側から何も説明が無い辺り、それにはきっと現ロシアの陰謀が大いに絡んでいる。
そのままそこに倒れ続けていたら、いったいどうなるか分かった物では無い。機動部隊も信頼できない以上、フィンランドの回収部隊が来るまで隠れるしかない。
這いずり、路地裏へと入り込む。ゴミ箱の横に背を預けて、其処にアウラは一旦留まる事とした。

「ソヴィエト、ロシアの聖遺物……亡国の、意思……。
 一体、ロシアは……何を……考えているの。何か……恐ろしい、ことが……」

あの聖遺物の性質が、自分が感じたとおりならば……いずれ、"彼"の代わりが現れたとしてもおかしくは無い。
何か、恐ろしいことが起きている、と思った。馬鹿げた話、映画や何かの中の話を再現するような……例えば、あの社会主義国の再建なんて、大それたことがあるとしたら。
だが、それ以上の事を考える余裕は無く。其処でアウラは、意識を手離した。

数分後、アウラ・Y・ミューリライネンと共にモスクワへと入国していた特務部隊がアウラを回収し、速やかにフィンランドへと帰国した。
ロシア側からのアウラ、およびフィンランドへの説明はされないまま。その謀略を、アウラは、今はまだ、歯を食いしばって見つめるしかなかった。

/絡みありがとうございました、お疲れ様でしたー!
/こちらこそ長引かせてしまって申し訳ありません……楽しかったです!


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板