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修正SS投下スレ

320目覚めたその部分(修正):2017/05/07(日) 12:43:05 ID:3wUER77g0

少女は絶句する、数秒遅れて慌てたようにアイツの父親に声をかけた。
だが彼は始めっから娘がいないかのように振る舞っている。他の家族も同様だった。
少女は声を張り上げようとした、だが薄気味悪さに震え声を出せない。

少しして窓の向こうに巨大な人影が見えた。
少女は顔を歪ませ窓の方へ向く。一家はそれをきょとんと見つめている。
すると巨大な人影は家から離れていった。
困惑と動揺が少女の胸中を駆け巡る。なんだあいつは?
少女は思わず走り出した。
大男の後ろ姿が見える。彼は徒歩とは思えぬ速度である建設物が存在する方角へ向かっている。
本能字学園に。
少女は怒りと焦りが混じった形相で大男を追いかける。
追いつけない。途中、大男は半透明と気づく。
けどそれに構わず走った。

「!!?」

突然、何かに掴まれたように足の動きが止まった。
たまらず転倒する。信じられないような表情で少女は地面を見る。
そこには1枚の何も描かれていないカードがあった。
大男がさらに遠ざかるのを気にしつつ、少女は怒りを込めてカードへ向かい拳を振るう。
だが、拳がカードに触れた瞬間、地面から白と黒の触手のようなものが現出し少女を捕らえた。
脱出しようともがくが、まるで通じない。自分を遥かに超える力かも知れない……!
自分にはもう無くなった筈の感情をむき出しにしながら、少女は巨大なカードに吸い込まれていった。

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・流子3

「?!」

驚愕の表情で流子は目を覚ました。純潔が何事かと身じろぎをする。
流子はなんとか気を落ち着かせようとする。

「……ハァ、ハァ、ハァ」

流子は青カードからスポーツドリンクを出して飲む。
苛立ちと焦りのような感情は消えないが、多少は落ち着いた。
現状を把握すべく頭を働かせる。
……睡眠時間は数分かあるいは数時間か?

「……」

すごく嫌な夢を見た。それは恐れる物は無くなった筈の彼女が恐怖を感じさせる内容。
闇か光のような不定形のものが自身を予想もつかない遠くに連れ去っていくもの。
他にも何かがあったかも知れないが流子が覚えているのはそれだけだった。
流子は額の汗を手で拭う。

「……」

数秒の間を開けた後、彼女は純潔に話しかけた。

「見張りありがとよ」
『……』

純潔の双眸が怪訝そうに歪んだ。
だが流子はそれに構わず自らの神衣を見つめる。
胸元を見る。従来なら固く閉じられているはずの前面が、胸元だけ不自然にはだけていた。
良くないなと彼女は思った。そこを狙われると拙いと思えるほどの隙間だ。
支給品の生命繊維の糸束はまだ充分にある。
それを使って修繕できないだろうかと流子は思った。
裁縫道具を見つけるべく小屋内の物色を始める。

「……………………………………チッ!!」

見つからなかった。
もっとも仮にあったとして神衣を修繕できる道具はおいそれとして存在しないが。

「……クソッ」

他に方法はないかと考える内に縫の顔が浮かぶ。流子は脳裏からすぐに縫の顔を消し吐き捨てた。
針目縫なら純潔の修繕も可能かも知れない。だが先にこちらが敵対行動を取ったのでそれはもう後の祭だ。
流子は手が出るよりも気が滅入り、思わず仰向けに寝転がった。



・雄二3

雄二は入手した布で応急処置を終えるや、北東の方角を見る。
小屋から離れてだいぶ時間が経つ。纏流子からの逃走を始めて3時間は過ぎたか。
遠くから白い物体が北上しているのが見えた。結構な速度だ。


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