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修正SS投下スレ

319目覚めたその部分(修正):2017/05/07(日) 12:42:37 ID:3wUER77g0

「………………………………………………」

弾丸の摘出は終わった。
切開した傷は短時間で閉じられ、完治には遠いもののさっきよりは動かせるだろうと推測できるくらいまでは
ましになったと思える。傷口には生命繊維がきつく巻かれていた。

「……はぁ」

流子は疲労からの溜息をつく。
天井を見る。何の変哲もない、きれいな天井。
すぐに起き上がり風見雄二への追跡を再開する気も起こらない。
それほどまでに疲れていた。疲労感と共にもどかしさが流子の胸中を廻る。
首を横に向ける。小綺麗な壁と家具が見えた。
流子の耳に砂が混じるような音が聞こえた。何度も何度も。
煩わしいと思う間もなく、夜の帳が降りるように流子の意識は落ちていく。
それを拙いと思い流子はしばし考えた。彼女は独り、頼れる相手は……。
彼女はひと声かけた。

「純潔、見張ってくれ」

純潔が動いたような気がした。
ここに来て初めて己の神衣に話しかけた流子は瞼を落とし眠りに着く。
アイツん家と違ってきれいな家だなと思いながら。

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いつか見た光景がそこにはあった。もう何年も前の事のように思える。
明らかなボロ家の中で4人と1匹の家族が少女に対し土下座をしている。
それはもうすがすがしいまでのあやまりっぷりで。

「……」

少女は彼女等を切り捨てようかと思った。もう自分は人ではないから。
でも口に出た言葉はあの時と同じものだった。

「今度あんなことしたら容赦しないよ」

少女は苦笑いで応えている、一家は「ははー」と応えると顔を上げ夕食に取り掛かる。
ひとりを除いて一家はあの時と変わらなかった。

「……」

少女は胸のむかつきを覚えつつ、何の拒絶の言葉も言い出せないでいる。
――堂々巡り。そんな単語が脳裏に浮かんだ。
思えばあの時も自分が強く出られなかったからあの一家は暴走した。
今はさっさと切り捨てればいいと思っているのに、私はそれができないでいる。
おかしい。何でだ? これではこれまでと同じじゃねえか……。

少女は顔をしかめつつ思わずアイツの姿を探した。

「?!」

少女は一瞬アイツの姿を見た。だが次の瞬間掻き消えるようにいなくなった。


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